毎日の味 トヴォローク、スメタナ、ケフィール…乳製品天国ロシア!
By russian-festival. Filed in いちのへ友里 |ロシアの寒い気候の中で育まれてきた、栄養価が高く、体をやさしく支える乳製品。スーパーマーケットの売り場にも、多彩な商品がずらりと並びます。
日本では、牛乳やヨーグルト、チーズなどがさまざまなメーカーやブランドごとに展開されていますが、
ロシアでは、売り場の広さも商品の種類も、圧倒されてしまうほどの世界が広がっています。
今回はモスクワのスーパーマーケット、乳製品コーナーを探検してみましょう!
牛乳は“%”で選ぶ?
ロシアの牛乳売り場でまず目に入るのが数字。
1.5%、2.5%、3.2%、3.5%、6%……これは価格ではなく、乳脂肪分です。ロシアでは牛乳を「何%か」で選ぶことが一般的で、パッケージにも大きく表示されています。ロシア生活を始めた頃は、なかなか“日本で飲み慣れた味”の牛乳が見つけられなかったことも思い出します。
また、常温保存できる超高温殺菌牛乳も多く、未開封なら数か月保存できるものもあります。寒冷地や広い国土という背景もあり、保存性を重視した商品文化が発達したとも言われます。
パッケージも紙パック、ビニール袋入り、ガラス瓶入り、三角パック(テトラ型)などさまざま。
スーパーの棚を見ているだけでも、日本との違いが見えてきます。
ロシアならではの存在「トヴォローク」
トヴォローク(Творог)は、カッテージチーズのようなフレッシュチーズで、ロシアの食卓に欠かせない存在です。
△そのまま食べるのはもちろん、
△フルーツや蜂蜜と合わせたり、
△スィルニキ(トヴォロークを焼いて作る小さなパンケーキのようなお菓子)やザペカンカ(トヴォロークをオーブンで焼き上げる素朴な家庭風ケーキ)にしたり、
△ヴァトルーシカ(トヴォロークをのせて焼き上げる菓子パン)、ソチニク(トヴォロークを包んだ焼き菓子)など、朝食や日常のおやつとして暮らしに溶け込んでいます。
△乳製品コーナーでよく見かけるのが、スィローク。
こちらはトヴォロークをチョコレートでコーティングした小さな棒状のお菓子です。
昔から親しまれている定番のおやつで、多くのロシアの人にとってはどこか懐かしさを感じる味。
ひと口サイズながら満足感があり、子どもの頃の思い出と結びついている人も多いそうです。
△日本でも輸入食材店にて「ロシア プレミアムチーズ」という名前で話題になったこともありました。
味のバリエーションも豊富で、乳脂肪分の異なるものをはじめ、ココア味、バニラ味、コンデンスミルク入りなどさまざまなフレーバーがあります。最近では、乳製品の代わりに大豆製品を使ったベジタリアン向けタイプまで登場しています。
△また、ロシアのヨーグルト売り場では、一般的なヨーグルト以外に、この「トヴォローク」を使ったデザートタイプの商品も充実しています。濃厚でなめらかで、どこかレアチーズケーキのような味わいです。
ロシアのヨーグルトも、実にバリエーション豊かです。フルーツ系はもちろん、最近では、チアシードやキヌア、亜麻などのスーパーフードを加えた健康食品としてのヨーグルトや、チョコレートやクランチ入りのデザートタイプなどデザート感覚で楽しめるものも多く見られます。
△飲むヨーグルトも人気で、子どもから大人まで日常的に親しまれています。
発酵乳文化の国
ロシアの売り場では、牛乳や飲むヨーグルトと並んで、ケフィール(Кефир 乳酸菌と酵母で発酵させた飲み物)やリャジェンカ(Ряженка 加熱した牛乳から作る、ほんのりキャラメル色の発酵飲料)、プロストクヴァーシャ(Простокваша 飲むヨーグルトのような自然発酵の酸乳)など、名前も味わいも少しずつ違うさまざまな発酵乳飲料がずらりと並んでいます。
とくにケフィールは日常的な飲み物で、家庭の冷蔵庫に必ずあると言ってもいい存在。「二日酔いには毛フィール!」とか「胃が重いときはとりあえずケフィール」と言われることもあるほど、
さっぱりとした酸味があり、体調を整える存在として親しまれています。
△スープやパン生地に加えられることもあります。こちらは、ケフィールを入れた夏の人気の冷製スープ「オクローシカ」。
スメタナは“仕上げのひとさじ”
ロシアの食卓で欠かせないのが、スメタナ(Сметана)。日本では「サワークリーム」と紹介されることが多いですが、ボルシチに添えるだけでなく、スープ、肉料理、サラダ、さらにはデザートにまで幅広く使われています。ロシアの家庭料理では「最後にスメタナを」が定番です。
ボルシチにも、ビーフストロガノフにも、コクを足して料理全体をやさしく包み込み味をまとめてくれます。
有塩バターが見つからない!?
日本では、バターといえば有塩バターが一般的で、製菓材料として無塩バターも並んでいます。
ところが、モスクワのスーパーでバター売り場を見てみると、乳製品が豊富なだけあって種類はたくさんあるのに、ほとんどが無塩バター。
「有塩バターはありますか?」と尋ねてみると、あるお店では、ハーブやにんにくがミックスされたタイプのみとのことでした。
「どうしてロシアでは無塩バターが主流なのかしら?」そう尋ねてみると、ロシア人の店員さんがこんなふうに教えてくれました。
「バターはパンに塗って、サラミやチーズ、サーモン、イクラなどをのせて食べるでしょう?サラミもチーズもサーモンも塩辛いから、バターに塩気はいらないの。パンの素朴な食感をマイルドにするクリーミーさが大事なのよ」
その言葉を聞いた瞬間、なるほど、と妙に納得しました。
△劇場のカフェに並ぶブッテルブロート(オープンサンド)
ロシアでは、バターは塩味を足すものではなく、パンと具材をつなぐ、やさしいクリームのような存在なのかもしれません。
チーズ売り場に豆腐!?
モスクワのスーパーを歩いていて、チーズのコーナーに豆腐を見つけたこともありました。
日本人としては少し不思議な気持ちになりますが、ロシア正教の精進期にあたる「ポスト」の時期には、動物性食品を控える人も多く、豆腐や植物性の商品が並ぶことがあります。
△最後に、ロシア生活での私のお気に入りの朝ごはんをご紹介します!
トヴォロークにスメタナ、それに旬のフルーツかヴァレーニエ(果実の形を残して煮たロシアのジャム)を合わせていただきます!
ロシアで美味しかったものは?
ロシアのお土産で欲しいものは?
そう聞かれると、私はいつも、このトヴォロークたっぷりの朝ごはんが恋しくなります。けれど冷蔵必須の乳製品なので、長距離の輸送には向きません。だからこそ、いつかまた現地で、フレッシュで美味しいトヴォロークやスメタナを味わえる朝を楽しみにしているのです。























