ロシアでは9月に新しい学年がスタートします。季節の変わり目、たっぷり睡眠をとってしっかり朝食をとって、素敵な1日のはじまりを迎えたいものですね。

さて、ロシアではどんな朝食が人気なのでしょうか?

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△ロシアの朝ごはんの定番はいくつかありますが、卵やロシアのクレープ「ブリヌイ」、そして右下に見えるロシアのお粥「カーシャ」もそのひとつ。

「カーシャ」とは、お粥と翻訳されますが、日本人がイメージするような生米をたっぷりのお水でやわらかくなるまで炊いたものとは違い、セモリナ粉(ひきわり小麦)やお米、オーツ麦、カラス麦、キビ、蕎麦の実などのさまざまな穀物をミルクや水でとろみが出るまで煮たものです。

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△ロシアではホテルの朝食でもよく見かけます。バターを乗せて、お砂糖や蜂蜜、ヴァレーニエというジャムをかけたりして食べる甘いカーシャは幼い子どもにも好まれます。(関連ブログ☆【モスクワ通信】ジャム<ヴァレーニエ<コンポート

ロシアでは幼稚園や学校給食で、朝ごはんも提供されるのですが、「子ども時代はカーシャばかり食べていたなあ」と思い出を語ってくれるロシア人も。

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△お洒落なカフェのブランチメニューでも、このとおりお好みのカーシャを選ぶようになっていました。手前の黄色いカーシャはキビのカーシャ。右上がお米のカーシャ、そして左上が「マンナヤ・カーシャ」と呼ばれるセモリナ粉を使ったカーシャです。

「マンナヤ・カーシャ」の作り方は、セモリナ粉1に対しミルク10くらいの分量でたっぷりのミルクを温め、セモリナ粉を入れて、ゆっくりとかき混ぜながら煮込みます。ロシアでも「ミルクが逃げた(Молоко убежало)」と表現したりしますが、ミルクはちょっと目を離すと吹きこぼれてしまうのでご注意を。最後にバターを落とし、蓋をして、数分蒸らしたら完成です。

この最後にバターを落とすのがポイントで、「バターでカーシャを台無しにすることはない=カーシャにバターを入れれば入れるほど美味しくなる(К кашу маслом не испортишь)」という言い回しがあるほど。

ソ連時代もロシアでも、忙しい朝に手軽に栄養がとれるカーシャは定番の朝食で、スーパーにはさまざまなレトルト商品も並んでいます。

 

ところで、日本では蕎麦=麺類ですが、ロシアでは脱穀した蕎麦の実を茹でていただくのが主流です。

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△ソ連時代からあるレストランのランチ。

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△蕎麦の実をミルクと煮てお粥状態(蕎麦の実は煮ても粒が感じられるためスープ状態という方が適切?)にして朝食でもいただきますが、一般的にはお湯で煮て、水分が飛ぶまで蒸らし、スプーンで掬うとポロポロと崩れる状態で、こんなふうに朝食以外の食事でもメインの付け合わせとしてよく登場します。

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△ファーストフード店のメニューにある「蕎麦の実のカーシャ」(関連☆【ロシアのファーストフード事情】2017 〜ТЕРЕМОК テレモーク〜)安くて栄養があるので手軽な食事にぴったり。どどんとソーセージやハム&チーズとの組み合わせ!

シンプルな「蕎麦の実のカーシャ」の作り方は、蕎麦の実1カップに対して、お水を2カップほど鍋に入れて、ひとつまみの塩と一緒に煮ます。水気がなくなったら上にバターを乗せ、蓋をして数分間蒸らします。バターが溶け、全体を軽く混ぜたら出来上がり。

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△モスクワのロシア料理店のビーフストロガノフ。付け合わせは「蕎麦の実のカーシャ」です。香りがよく滋味豊かで、病みつきになりそう。

この「蕎麦の実のカーシャ」と「付け合わせの蕎麦の実」の呼び方の厳密な違いはないようで、友人たちに尋ねてみても、感覚的に朝にお粥がわりに食べるならカーシャ、メインの付け合わせとして食べるなら「蕎麦の実」と呼んでいる方が多いようです。「どっちがどっち⁉︎ 頭が混乱する〜!」という私に友人が笑って一言「頭が混乱するとき、ロシア人は、頭の中がカーシャっていうのよ。」

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△付け合わせの「蕎麦の実」には、玉ねぎやきのこ、オリーブオイルを合わせたりして、ボリュームや旨みを加えたものも人気です。

△スーパーの陳列棚にはずらりと蕎麦の実が並んでいます。コロナ禍のステイホーム前に一時期スーパーの食材が買い占め⁉︎とニュースになったときに、がらりとしていたのは蕎麦の実のコーナーでした。長持ちして栄養豊富、しかも安いので、ロシア人にとって欠かせない食材なんでしょうね。

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△日本の朝市で、スーパーフードとして売られていた蕎麦の実。国産のものはロシアで食べていたものよりも少し色が薄い印象です。蕎麦の実は、レジスタントプロテインやレジスタントスターチと呼ばれる体内で消化されにくい成分が含まれており、脂肪やコレステロールの吸収を防いでくれるほか、低GIでグルテンフリーの穀物のため、食後の血糖値の上昇をゆるやかにしてくれます。ミネラル豊富で栄養価が高いため、海外ではダイエット食としても人気があります。

日本でも近年オートミールが人気で、和風に味つけしてご飯がわりに食べるなど工夫されたメニューがたくさん登場していますが、もともとお蕎麦が大好きな日本人ですから、そのうち蕎麦の実のカーシャもブームが来るでしょうか?

△ドイツのグリム兄弟の童話「あまいカーシャ」のロシア語版。

日本では甘いお粥はあまり馴染みがありませんが、ロシアだけでなくヨーロッパでは昔から甘いお粥は朝ごはんの定番のようです。

夏のオリンピック・パラリンピックで開催地フランスが注目を集めている2024年8月。

エッフェル塔、凱旋門、シャンゼリゼ通り、ノートルダム大聖堂、ルーブル美術館・・・フランスを旅して魅力溢れる観光スポットを訪れたことがある方も多いのではないでしょうか。

今回のブログでは、定番の旅では満足できない!あなたのために、とっておきの“フランスのなかのロシア”な場所を集めてみました。

 

〜パリ・マドレーヌ駅にロシア民話のステンドグラス!〜

まるで宮殿や美術館のように芸術的で人気の観光名所にもなっているモスクワ地下鉄。どの駅もそれぞれにテーマがありますが、ノヴォスラヴォツカヤ駅のステンドグラスで飾られたホームの美しさは有名で、映画『モスクワは涙を信じない』でのワンシーンも目に焼き付いています。一方、フランスにも、ロシアゆかりのステンドグラスが美しい地下鉄駅があります。

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△パリの地下鉄マドレーヌ駅構内では、ステンドグラス作品『雌鶏リャーバ(Курочка Ряба)』を見ることができます。デザインしたのはベラルーシ生まれの人民芸術家イヴァン・ルベンニコフで、モスクワの地下鉄マヤコフスカヤ駅やスラビャンスキー・ブリバール駅などを手がけました。

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△総重量は約2.5トン、大きさは約6×10メートル。ガラス部分はウラジーミル地方のグシ=フルスタリヌィの職人たちの手によって制作されました。(→関連ブログ☆モスクワ通信『クリスタル・ガラスの里グシ=フルスタリヌイの世にも美しい聖堂ガラス博物館!』)ロシア正教会の玉ねぎ屋根や十字架、サモワール、クレムリンの赤い星、マレーヴィチの『黒い正方形』などソ連&ロシアのモチーフが点在しています。

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△民話『雌鶏リャーバ』は雌鶏が金の卵を産むが、最後にはちいさなネズミが割ってしまうというお話。ルベンニコフはインタビューのなかで、フランスを象徴するモチーフのひとつにガリア雄鶏があり、このふたつの鶏を関連づけてみることから着想を得たと話しています。

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△2008年にモスクワ地下鉄からパリ地下鉄へ寄贈されたことが記されています。

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△説明パネルによると、2007年にはフランス地下鉄からモスクワ地下鉄へ、フランスの建築家エクトル・ギマールの優美なアール・ヌーヴォー調デザインのエントランス装飾が贈られました。写真左はモスクワのヨーロッパ広場(現・ユーラシア広場)にあるキエフスカヤ駅入り口、写真右はパリのモンマルトルにある12号線のアベス駅入り口です。

 

〜アレクサンドル3世橋〜

モスクワ川の美しい橋と観光クルーズも大人気ですが(→関連ブログ☆モスクワ通信『モスクワ川クルーズへご案内!』 )、フランス・パリを流れるセーヌ川にも、やはりたくさんの美しい橋が架かっていて、クルーズ船が行き交っています。

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△なかでも最も美しい橋とも称されるのはアレクサンドル3世橋。セーヌ河岸の一部としてユネスコ世界文化遺産になっています。

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△この橋は1900年のパリ万博にあわせてロシアから寄贈されました。フランスとロシアの友好に寄与したロシア皇帝アレクサンドル3世の名前がつけられています。

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△天使やペガサスの彫刻やレリーフなどで装飾されています。4本の柱には、芸術と農業と闘争と戦争をモチーフにした女神像が建っています。今回のパリ五輪ではトライアスロン競技などで使用されたようです。

 

〜パリ・オペラ座のシャガールの天井画とシャトレ座〜

モスクワのボリショイ劇場の美しい天井画とそこに描かれた女神の謎については以前ご紹介しましたが(→関連ブログ☆モスクワ通信『改装後のボリショイ劇場本館』をご紹介!)、パリのオペラ座でも素晴らしい天井画を見ることができます。

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△豊かな色合いのバレエとオペラ作品に、パリの風景が溶け合った詩情あふれる大きな天井画は、まさに『夢の花束』というタイトルが示すとおり、シャガールから私たちへの贈り物です。今にも音楽が聞こえ、踊りだしそう・・・!1964年9月23日に完成した、シャガール78歳の作品です。

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△1875年に完成したオペラ座(ガルニエ宮)は入場券を購入して自由に見学できるほか、“オペラ座の怪人“をテーマにした演劇仕立てのツアーも人気でした。

一方、フランス最古の劇場のひとつであるシャトレ座では、セルゲイ・ディアギレフ率いるバレエ・リュス(Ballets Russes ロシア・バレエ団)が1909年に旗揚げ、パリを中心に一大ブームを巻き起こしました。また、シャンゼリゼ劇場では、ストラヴィンスキーのバレエ『春の祭典』の初演が行われ、あまりの前衛性で世界を震撼させました。

 

〜シャガールも!レーニンも!パリ老舗カフェのラ・ロトンド〜

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△1903年創業の老舗カフェ、ラ・ロトンド(La Rotonde)。ピカソ、モディリアニ、ドビュッシー、コクトー、シャガール・・・!多くの作家や芸術家たちがここに集いました。トロツキーやレーニンといった亡命ロシア人政治家たちのたまり場でもあったそうです。

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△シックで洒落た、赤の空間!

街歩きの途中でひと休み、天才芸術家たちがこよなく愛したカフェで美味しいカフェオレでもいかがでしょうか。

 

〜クスミティー 150周年!〜

ロシア生まれ、フランス育ちの紅茶ブランド、クスミティー。帝政ロシア時代にサンクトペテルブルクで、パーヴェル・クスミチョフ氏が創業し、ロシア国内でも大手の紅茶メーカーに成長するものの、ロシア革命後に一族でパリへ亡命。その後はフランス人オーナーの手によってフランスを代表する紅茶メーカーのひとつになりました。

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△アナスタシア、サンクトペテルブルク、トロイカなどロシア・ブレンドは人気商品です。

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△2017年の150周年記念商品。ロシアでも、海外ブランドと並んで高級スーパーなどで購入可能ですが、残念ながらモスクワで路面店はみたことがありません。

可愛いパッケージはお土産にもぴったりですね。

 

フランスのなかのロシア〜展覧会の絵に描かれたテュイルリー公園、モネと睡蓮〜

ロシア文化フェスティバルIN JAPANでは7月、作曲家ムソルグスキーの生誕185周年を記念して日本舞踊とバレエのコラボ作品『展覧会の絵』が上演されました!この組曲は、親友ガルトマンの遺作展からインスピレーションを得て作曲された親友に捧げる作品といわれています。プロムナードと呼ばれる間奏がそれぞれの曲をつなぎ、まるで、展覧会の部屋をひとつひとつ巡りながら、親友との日々に想いを馳せるような展開になっています。

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△その『展覧会の絵』の第3曲に、パリのテュイルリー公園が登場します。ガルトマン遺作展の作品のなかにこのテュイルリー公園で遊んだり喧嘩したりする子どもたちの様子を描いた作品があったと言われています。当時は約400点も展示されたという遺作の多くを今は確認することが叶いません。ムソルグスキーの自筆楽譜には「遊びのあとの子供たちのけんか」と記されているそうです。

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△さてテュイルリー公園には、印象派の画家クロード・モネの連作『睡蓮』を展示するために作られたオランジュリー美術館があります。「睡蓮の間」と呼ばれる2つの展示室はゆったりとした楕円形で、ぐるりと連作に抱かれて、まるで睡蓮の浮かぶ池のほとりに佇んでいるような気分に。人生でたくさんの睡蓮を描いたモネのこの晩年の大連作は、自身の死後にという約束で寄贈されたもの。オランジュリー(温室)を利用して自然光の差し込む空間での展示にこだわったのだそうです。

さて、せっかくですからモネの絵画で睡蓮を見たら、郊外ジヴェルニーにあるモネの庭へ、本物の睡蓮を見に行ってみましょう!

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△さすが印象派の巨匠!なんて可愛らしいモネの家。壁にたくさんの絵が飾られたアトリエや、明るい黄色のダイニングルーム、水色のキッチン・・・美しいパステルカラーが居心地よく調和して、訪れる人を温かく包み込んでくれます。また、部屋のあちらこちらに浮世絵が飾られていました。

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△造園師でもあったモネ自身が人生をかけて造り上げた理想の庭は、まるで彼の絵そのもののような素晴らしさ!日本にもとても興味を持っていたモネらしく、太鼓橋や竹林、もみじなど和を感じさせる部分も。そこからか日傘をさしたカミーユ夫人と息子さんの声までが聞こえてきそうです。その美しさは、間違いなく人生で目にしたなかで最も美しい風景のひとつでした。

なお、モスクワのプーシキン美術館でもモネの『白い睡蓮』を楽しむことができます。

 

番外編

〜パリにも!?カフェ・プーシキン〜

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△ロシア・モスクワで最も人気のあるカフェ・プーシキンが、実はフランス・パリにもある!というのは、以前ブログでご紹介しました。(→関連ブログ☆モスクワ通信『フランスにも!? カフェ・プーシキン』)残念ながら現在は閉業してしまったようですが、素敵な店内、メニューの様子をご覧ください。

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△モーニングのブリヌイ・セット。スメタナとサーモン、たっぷりのホイップクリームと蜂蜜やジャムの小瓶

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△サモワールのある美しい書斎風

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△ロシア式アフタヌーンティーもありました。

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△カフェ・プーシキンとキリル文字で書かれたプリャニク(ロシアの伝統的なジンジャーブレッド)や、モスクワのカフェ・プーシキンと同じトリョーシカ・ケーキなどが味わえました。

 

新しい視点で街を探索してみたら、興味深い夏休みの自由研究が完成しそうですね。

夏本番!ロシアの定番アイスクリームをご紹介した前回にひきつづき、今回はロシアでしか食べられない⁉︎ユニークなアイスクリームをご紹介していきます。

【ロシアならではの味】

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△ロシアの定番人気スイーツ、“鳥のミルク”味!

この世には存在しないはずの“鳥のミルク”というネーミングは、この世には存在しないほど美味しい!ということで、呼ばれるようになりました。(関連ブログ☆【モスクワ通信】鳥のミルク?チョコレートのじゃがいも?ロシアの定番人気ケーキを一挙ご紹介!〜前編〜

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△夏といえば!スイカ×メロン味

楕円形の大きなスイカとメロンを売る屋台は、モスクワの街角で夏の風物詩。日本のスイカバーのようなチョコレートの種はありませんが、スイカアイスのなかにメロンの果肉が入っていて、こちらもなかなか美味しい!

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△ロシアでは、ジュースやガム、シャンプーや洗剤などにもスイカあるいはスイカ×メロンのフレーバーが人気でよく見かけます。

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△真っ黒!竹墨味

チョコレートでコーティングされた竹墨の黒いアイスクリームコーンのなかには真っ黒のブルーベリーソース!食べ終わるとお歯黒のようにお口も真っ黒に。

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△スーパーでは、カラフルでお洒落なパッケージのロシア製ジェラートを発見!アルタイ地方の蜂蜜入りシーバックソーン味やホワイトチョコ入りのハルヴァ味などロシアらしい味もありました。

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△(左)ベリーの一種でビタミンたっぷり!夏はジュースに、冬はフルーツティーにとロシアで愛されているシーバックソーンについては、ぜひ今後のブログでご紹介できたらと思っています。(右)ナッツ類とお砂糖で出来たハルヴァは、昔から愛されているお菓子のひとつ。ロシア語通訳・エッセイストとして活躍された故・米原万里さんの名著『旅行者の食卓』のなかでも、世にも美味しい忘れられない味として紹介されています。

 

【人気アイスクリームチェーン店のロシアな味】

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△コロナ前2020年頃、フードコートのバスキン・ロビンス(サーティワン・アイスクリーム)で見つけた、ロシアでしか味わえないお味もご紹介しましょう。

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△皇帝アレクサンドル2世のために造られた王室御用達スパークリング・ワイン『アブラウ・ドュルソー』のフレーバー。老舗ワイナリーは温暖な気候の黒海沿岸にあります。

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△ロシアの人気アニメ『フィクシキ』のフレーバー。主人公のネジの家族と一緒に、さまざまな電化製品や器具などの内部や構造を冒険しながらその仕組みや役割を楽しく学ぶことができます。2010年12月から、テレビ放映が開始され、 原作はチェブラーシカでお馴染みのウスペンスキー氏す。

 

【近年のロシアはヘルシー志向】

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△お砂糖が貴重だったソ連時代、たっぷりのお砂糖を使った甘いお菓子は最高のおもてなしでしたが、そのなごりなのか、日本に比べてロシアのお菓子は全般的にとっても甘いものが多いです。ところが近年、健康志向のお菓子が注目されています。写真は、ノンシュガーのバニラ味、バナナ味、チョコレート味。プロテイン入りや80キロカロリーなどの表示も。

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△特に子ども向けのコーナーには、お砂糖控えめや添加物ゼロの表記が増えました。こちらの虹アイスは、ビーツのピンク色や人参のカロチンを使用した黄色、海藻スピルリナから抽出された水色、野菜のクロロフィル+ウコンの緑色など着色料のかわりに自然の食材を使っています。

【日本人気!抹茶味と餅アイス】

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△日本ブームがきっかけでロシアにも広まった抹茶味!また、薄い求肥の中にアイスクリームが入っている餅アイスも日本食レストランのみならずスーパーマーケットでも売られているほどの人気ぶり。とろけるようななめらかさは日本が圧倒的に上手ですが、意外な味のバリエーションはロシアの方が豊富かも!?

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△おまけ:ユニークな形といえば、まるでバターみたいに包まれた形のアイスクリームは定番スタイル。

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△ソ連の詩人で数多くの児童文学が子どもたちに愛されつづけているサムイル・マルシャークの『アイスクリーム』は日本でも出版されて(マルシャーク文、レーベデフ絵、うちだりさこ訳、岩波書店)、現在は図書館で読むことができます。箱車を押してやってくるアイスクリーム屋さんが、長いさじですくって、まるいウェーファーに挟んでくれるアイスクリームは、いちご味にオレンジ味、パイン味!この作品が描かれた1925年頃には、モスクワの街にこんなアイスクリームを食べるモスクワっ子たちで溢れていたのでしょうか。

冷たいアイスクリームを食べて、暑い夏を元気に乗り切りたいですね。食べ過ぎにはくれぐれもご注意を・・・!

初夏の街中にたくさんのアイスクリーム屋台を見かける季節です。

今回のブログでは、アイスクリームの美味しいロシアで昔から愛されているアイスや珍しいアイスで話題のスポットなどをまとめてみました。

【定番アイス3選!スタカンチク&エスキモー&ラジョック】

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△ファミリーに大人気!週末のモスクワ動物園の近くではアイスクリームの行列が。

 

ロシアでは昔から、このコップ型のアイス「スタカンチク」が人気です。

スタカンはロシア語でコップという意味。このアイスはコップ型のコーンが特徴で、愛情をこめて“コップちゃん” と呼んでいます。なかに入っているクリームは、こちらもロシア定番のプロムビール(生クリーム)味!ミルクともバニラともちょっと違う濃厚さが魅力です。

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△ほかにもよくあるのは、クリーム・ブリュレ味、チョコレート味、ストロベリー味やブルーベリー味、ピスタチオ味など。

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△季節やイベントごとに楽しいデコレーションで楽しませてくれる国営百貨店グムの噴水広場も、6月には巨大アイスクリームが出現してイベントも開催されます。

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△以前のブログで、出来立てのスタカンチクを食べることができる天空のアイスクリーム工場もご紹介しました。(関連☆モスクワ通信『食べ放題!天空のアイスクリーム工場がある展望台PANORAMA360』

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△こちらも定番人気「エスキモー」は、チョコレートでコーティングされた棒つきアイス。2000年頃からショッピングモール内などで人気になったお店 «O! эскимо »(オー!エスキモー)では、目の前でエスキモーにお好みのとろけるチョコレートをコーティングしてくれます。

△あの『チェブラーシカ』のお誕生日の歌のなかでも、“プレゼントに500個のエスキモー“という歌詞が出てきます。

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△傑作絵画とのコラボによるエスキモー。

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△ほかにも「ラジョック」と呼ばれる三角コーンの角形アイスも親しまれています。こちらは、子ども向けのTVアニメ «Три Богатыря »(3勇者)のキャラクターが描かれたもの。

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△モスクワの街角でよく見かけるアイスクリームのキオスクでは、「スタカンチク」も「エスキモー」も「ラジョック」も、さまざまな種類があります。

 

【モスクワで話題の面白アイスクリーム、大集合!】

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△まずは、ロシアの老舗ブランド«чистая линия»(チスタヤ・リニヤ)のアイスクリーム専門カフェは、クレムリンと赤の広場からのびるモスクワの目抜通りトヴェルスカヤ通りにあります。迷ってしまうほどの豊富な種類!なかには、ロシア語でも「Вата(ワタ)」と呼ぶ綿あめ味や生キャラメルのようなロシアのお菓子「Коровка(コロフカ)」味なども。お好みの味のアイスクリームを選んでコーンやカップでテイクアウトして、アイスクリームを舐めながらトヴェルスカヤ通りをお散歩する方も多いのですが、今日はシェフの一押しメニューに挑戦!

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△店員さんが目の前でフタを開けるとドライアイスの煙の中からアイスクリームが・・・!そしてなんと陶器でなくホワイトチョコレートで出来たカップに入ったベリーパフェ!シェフのアイディアが詰まっています。

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△2020年頃に流行したのは、おしゃべりロボットが作ってくれるアイスクリーム!お金を入れると自動的にロボットアームが動きだし、カップにアイスを入れてくれます。こちらはショッピングモールのアヴィアパルクの最上階、キッザニアの目の前にあったので、「こんにちは!アイスはいかが?」の声に誘われてたくさんの子どもたちに囲まれていました。

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△モスクワ市民の憩いの場のひとつゴーリキー・パークで見つけたのは、ロシアの詩人マヤコフスキーの頭像アイス!ほかにもスターウォーズ、ミッキーマウス、ジェイソンにジャッキーに、チェ・ゲバラにマリリンモンロー!?ゴーリキー記念の公園ですが、ロシアの作家ゴーリキーはいないようですね。ちなみにマヤコフスキーはツルコケモモ味のシャーベットです。

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△こちらも大流行したロールアイスクリーム «ЛЁД ‘n’ ROLL»(リョットゥンロール)

好きなフルーツを2、3種類選び、冷たい鉄板の上にアイスクリームと一緒にを流し込むと、両手に持ったへらで手早くつぶしながら混ぜます。よく混ざったら鉄板に押し付けるようにして薄く伸ばし、一列ずつ、へらで上手にくるくると巻いていきます。カップに刺すように立てて完成したら、なんだかばらの花束みたい。

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△ «BLACK STAR BURGER »では、かき氷、アイスクリーム、フルーツ、焼き菓子、マシュマロ、ソースなど・・・カラフルにたっぷりと乗って雪崩の起きそうなアイスの雪山を、黒い手袋をはめて手づかみで食べるスタイルが当時インスタグラムで話題でした。

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△ザリャージエでみつけた自動販売機で購入できるスタカンチク!

涼しげな «Русская Арктика »(ロシアの北極)味、同じく棒付きアイスのエスキモーには «Подмосковные вечера »(モスクワ郊外の夕べ)味などユニークな名前がついていました。(関連☆【モスクワ通信】現在進行形のモスクワ観光スポット!ザリャージエ

 

次回はロシアならではのユニークな味のアイスクリームをご紹介しますので、どうぞお楽しみに!

 

日が長くなり、生き生きと緑が生い茂って夜鳴きウグイスの声が響き始める初夏。どこからともなく妖しく甘やかな香りが漂ってきます。白色から紫色へのグラデーションが美しいライラック(Сирень)の花がモスクワの街を彩り、そよ風に吹かれて輝く白樺の葉と爽やかに踊ったり、宵闇に溶けて幻想的に映えたり・・・モスクワの最も美しい季節のひとつです。

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△ボリショイ劇場前もライラック満開!

△ラフマニノフ作曲『ライラック(Сирень)』は、ロシア文化フェスティバルのコンサートでも人気のある曲。こちらは貴重なラフマニノフ自身の演奏です。

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ラフマニノフの故郷イワノヴォの家の周りもライラックの美しい場所で、ラフマニノフの人生を描いたパーヴェル・ルンギン監督の映画『ラフマニノフ ある愛の調べ(原題はВетка сирени(ライラックの枝)』でもライラックの花は重要なモチーフになっていました。

△こちらはラフマニノフ作曲エカテリーナ・ベケトワ作詞のロシア歌曲『ライラック(Сирень)』エレーナ・オブラスツォワの歌声でどうぞ。

ロシアの芸術家たちを魅了するライラックは、音楽だけでなく絵画にも描かれています。

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△ボリス・クストージエフ『ライラック』

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△ミハイル・ヴルーベリ『ライラック』

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△この季節にぴったり!ライラックが描かれたショップバックやポスター。

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△ロシアの老舗香水専門店ノーヴァヤ・ザリャー(Новая Заря  新しい夜明け)のライラックの香りシリーズ

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△スーパーマーケットの5月号冊子の特集は、卒業式。9月に入学式&新学期がはじまるロシアの学校では、ちょうど年度末を迎えています。入学式では最初の鐘を鳴らす儀式があるのですが、卒業式なので最後の鐘の音と書かれています。卒業式を祝うおすすめのケーキと一緒に満開のライラック。

ところでライラックの花びらは4枚ですが、“もし5枚の花びらを見つけたらその花を食べると幸せになれる”という言い伝えがロシアににはあるそうです。「え!?食べるの!?」と驚く私に友人が一言「幸せのためならね。」・・・四葉のクローバー伝説にもすこし似ていますね。

ライラックの花びらを味わってみたいというあなたにはこちら。

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△ロシアの昔ながらのお菓子パスチラのお店では、この時期限定!ライラックの花の砂糖漬けが飾られたパスチラも購入できます。( 過去関連ブログ☆モスクワ通信『乙女心をくすぐる町コロムナ ドストエフスキーも愛したお菓子!パスチラ博物館』

△春の花いっぱいのマトリョーシカのように、ライラックの花束を抱えている方も見かけます。

見て聴いて、香りや味で、手で触れて心で感じて・・・まさに五感で楽しめるロシアのライラック!5枚目の花びらを探しながら初夏のライラック散歩に出かけたいものです。

ロシアでもやっぱり春は桜?

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By russian-festival | Filed in いちのへ友里 | No comments yet.

サクラサク春!桜と言えばやっぱり日本ですが・・・ロシアでも春になると桜の一種であるチェリョームハ(Черёмуха)が咲きます。4月下旬〜5月上旬にかけて、白い可憐な花がふんわりと咲きほこる美しさは、若草の草原に映えてなんとも爽やか。 以前ブログで、モスクワでも日本の桜が楽しめる場所をご紹介しましたが(過去関連ブログ☆モスクワ通信『日本庭園の桜、満開!』)、ロシアの桜もいいものですね。

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△こちらは、チェーホフの戯曲と同じ”桜の園”と名付けられたモスクワ北部の公園の散歩道。 この頃から明るい時間帯もぐんぐん長くなっていきます。4月後半のある日、日の出は4時50分、日の入りは20時3分でした。そして日本の鶯とはまた違う美声を響かせる夜鳴きウグイスの声が楽しめるようになります。陽射しも強くなり、真っ青な空をみあげると、ふわふわとポプラの綿毛が飛んでいたりも。

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△こちらは春を味わうチェリョームハのケーキ。最近は都心部のケーキ屋さんではあまり見かけませんが、昔はよく家庭で作られていたそうで、友人は“ソ連時代の懐かしいおばあちゃんの家の味”と話していました。茶色のスポンジ生地には混ぜ込まれたチェリョームハのぷつぷつとした食感があり、まわりは花のような真っ白なクリームに覆われています。

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△スーパーに売られていたチェリョームハ粉の箱には、もちろんチェリョームハ・ケーキのレシピが載っていました。

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△その美しさはロシアの芸術家たちを惹きつけ、絵画にもよく描かれています。サンクトペテルブルグのロシア美術館にあるペトロフ・ヴォドキンの絵画『グラスに活けたチェリョームハ(Черёмуха в стакане)』 さて、“春は桜”のイメージはロシアでも定着してきているのか、モスクワではさまざまな場所で桜をイメージした演出も定番になってきました。

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△マヤコスフカヤ駅前。夜にはライトアップされます。

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△新アルバート通り。よくみると枝には白い鳥かごや小鳥を発見できたりも。

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△旧アルバート通り。桜の木の下は人気スポット!

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△もはや春恒例!桜の木でデコレーションされたグム百貨店の噴水。こんなふうに街中もショッピングモールのなかも、とにかく桜のディスプレイでいっぱいです。

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△なんと満開の桜の木をモチーフにしたロシア製のポストカードも発見!

「ああ、いつか日本の桜を見に行ってみたいものだわ!日本の桜はこんな感じなの?」モスクワの桜デコレーションでお花見しながらロシア人の友人に質問されましたが・・・はかなく繊細な日本の桜に比べて、華やかでダイナミック!やっぱりこれはロシア版の桜、ですよね。

春到来!ロシアのお花屋さん事情

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By russian-festival | Filed in いちのへ友里 | No comments yet.

都内でも待ちに待った桜の開花宣言!思いっきり春のお花を楽しめる季節がやってきました。

まだまだ寒いロシアでもひと足早く、街が春のお花でいっぱいになる日といえば、女性に花を贈る3月8日の国際婦人デーです。

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△国際婦人デーのアエロフロート機内では、女性たちに1本ずつバラが手渡される粋な演出

 

優しそうな男性の隣で1本のバラの花を手に歩く幸せそうな女性。
地下道の入り口には、ダーチャから摘んできた野花でお手製のブーケを売るおばあさん。
お目当ての女優にあげるのか、大きな花束を抱えて劇場へ急ぐ親子。
街にはいつも、花があります。

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ソ連時代から、お祝いといえば「シャンパン・チョコレート・バラの花」は人気3点セット。

けれどそんな特別の日だけでなく、ちょっとしたデートや待ち合わせでも、さりげなく手に花を持って立っている男性が多いロシアです。

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△さて、一番人気のバラ以外によく花束にアレンジされるのは・・・なんと菊の花!

日本ではお彼岸やお盆など墓前に供える花としてイメージされがちですが、ロシアではバラと菊の組み合わせはもちろん、さまざまな色や種類の菊が主役の花束もあります。

では、ロシアで花束に関するエチケットといえば?

花の本数にはご注意あれ。偶数本はお葬式と決まっているんですよ。

 

【24時間営業のモスクワの花屋さんへ】

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24時間営業の花屋さんもよく見かけます。色あいや値段、ブーケやアレンジなどお好みで選ぶことが出来るスタイルは日本のお花屋さんと一緒ですね。

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△レジでお会計し、お好みのリボンやペーパーでラッピングしてもらいます。

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△レストランなど花束をお渡しした外出先で、そのまま飾ることができるプラスチックのお水入り花瓶風のラッピングも人気でした。

 

【花市場に行ってみよう!】

一方、たくさんの花を購入するときにお得で便利なのは花市場。一年中、新鮮で綺麗な花で溢れています。

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△たくさんの小さなお店に分かれているので、お気に入りのお店を見つけて購入します。野菜や果物など食品もありますね。

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都心の花屋さんでお花を1本購入する値段で、市場では新鮮な1束を購入できることも。

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△また、街のお花屋さんでは見かけないような種類の草花、大きな枝ものや実などにも出逢えます。

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△アレンジメントもユニーク!こちらはビニール傘を逆さまにしたアレンジと、人気の動物アレンジ。

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△ラッピングやお値段なども、市場ですから値引き交渉で相談に乗ってもらえます。美人なお友達と歩いていたら、歩いているだけであっちでもこっちでも男性が売り物のお花をプレゼントしてくれるので、何も買っていないのに出口で花束が完成してしまったことも。

 

【よく見かける!お花の自動販売機】

“日本ではコンビニ、ロシアでは花屋” そのくらいモスクワの街中にはお花屋さんがあります。そして、空港や劇場にはお花の自動販売機も見かけます。

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△ロシアの飛び地カリーニングラードの空港にて

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△モスクワの空港にて

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△トヴェルスカヤ通りの雑貨屋さんにて

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△大型スーパーの入り口では、ドライフラワーの自動販売機まで見かけました。

 

さりげない1本のバラが、ちょっとしたプレゼントの定番になっているロシア。
大きな花束を贈るのには、その大きさ分の勇気やタイミングが必要でも、1本のバラなら誰でも気軽にいつでも手軽に気持ちを伝えることができます。
美しくラッピングされた大きなブーケもいいですが、まっすぐに手渡されるたった1本のバラも、またいいものです。

 

4月のオープニングに合わせて、今年もロシアから新進気鋭の音楽家たちが来日し、ロシアの新星コンサート2024が開催されます。ロシア文化フェスティバルではこれまでも「ロシア天才少年少女育成コンサート」などロシアの若手音楽家たちを日本に招き、日本の演奏家との競演ステージを実現させるなど、未来につながる交流にも力を注いできました。

今回は、ロシアの子どもたちの音楽教育との出会いをのぞいてみましょう!

ロシア最高峰と称されるのは、チャイコフスキー記念モスクワ国立音楽院付属中央音楽学校とグネーシン記念モスクワ中等特別音楽学校です。ロシア全土から集まった音楽に興味のある子どもたちのなかから選抜が行われ、入学すると音楽を中心に学べる環境のなかで英才教育を受けながら、算数やロシア語など通常の学校のカリキュラムも受けることが出来ます。

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△チャイコフスキー記念モスクワ国立音楽院付属中央音楽学校

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△グネーシン記念モスクワ中等特別音楽学校

このような神童と呼ばれるような子どもたちへの音楽教育だけでなく、芸術大国ロシアでは、一般の学校に通う子どもたちにも、放課後の“第2の学校”として素晴らしい教育を受けることができる音楽学校がたくさんあります。

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△モスクワ南部にある国立の子ども音楽学校でレッスンを待つ子どもたち。各地区にこのような学校があり、充実した教育プログラムが用意されています。

たとえば、こちらの学校では、ピアノやバイオリン、チェロ、フルート、ハープ以外にも、ギターやバラライカ&ドムラなどの民族楽器のなかから、そのお子様にあわせて毎日1〜3時間の時間割が組まれています。専門の楽器の個人レッスン以外に、副科目のピアノや、アンサンブル、ソルフェージュ、合唱、作曲家やその作品などを学ぶ科目などの授業なども。授業の合間には、軽食をとったり、自習室で学校の宿題や練習をしたり、夏には外を散歩して気分転換したり・・・。そのため、ほぼ毎日、放課後はここで過ごしている子たちも多いそうです。

とある日、地下鉄タガンカ駅近くの子ども音楽学校で、弦楽アンサンブルのマスタークラスが開催されると聞いて見学に行ってみました。

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△音符やト音記号などが可愛らしくアレンジされた建物から子どもたちの奏でる音楽が聴こえてくる音楽学校の雰囲気がとても素敵です。

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△作曲家のポートレートが並び、学校の歴史やここから巣立っていった音楽家の先輩たちの写真が飾られています。掲示板には子ども向けのコンサートやコンクール情報などを見ることができます。

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△学校にはホールもあり、伴奏者と合わせる練習のほか、アンサンブルやリハーサル、試験やコンサートに使われています。

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△さきほど廊下で会った時には、たわいもないおしゃべりをして笑いあっていた子どもたちですが、ステージに立つ姿は皆プロフェッショナル!素晴らしい演奏に瞬時に魅き込まれます。

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△別のある冬の日には、モスクワ中心部の子ども音楽学校で開催されたコンサートへ。ロシアでは偉人の名をつけた地名や通りも多いのですが、学校にも偉大な音楽家の名が冠されていることが多いです。

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△こちらも美しい宮殿の広間のようなコンサートホール!

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△チャイコフスキーやラフマニノフ、プロコフィエフ・・・たくさんの偉大な音楽家の生まれ育ったこのロシアの地で、幼い頃からこんなに美しい環境でクラシック音楽に触れることができるから、こんなにも豊かな感性が育まれるのでしょう・・・!うらやましい限りです。

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△つづいて、こちらの音楽学校では、これからコンクール「魔法の弓」が開催されるところです。ステージには立派なパイプオルガンがあり、ホールの壁にはロシアの作曲家の肖像画が並んでいて、まるでちいさなモスクワ音楽院のような雰囲気。

「私たちは音楽の家族よ」音楽学校の先生の言葉が胸に響きます。ロシアの先生と教え子たちとの絆はとても強く、演奏技術のみならず人生や生活についても、自分の子どものように向き合ってくださるのが印象的です。本気で叱り、心の底から心配し、思いっきり抱きしめて受け止め、キスの雨を降らせて喜びを共にして、熱く指導してくれる先生のもとで、子どもたちは才能を開花させ、それぞれの道へと成長していきます。

今年2024年オープニングでも素晴らしいステージをご期待ください!

チェーホフ(Антон Павлович Чехов 1860ー1904)は、ロシアを代表する劇作家であり小説家です。ロシア南部ロストフ州の黒海沿岸の港湾都市タガンログで生まれ、その後モスクワ大学医学部を卒業し、医者として働きながら、たくさんの作品を残しました。

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△なかでも『かもめ』をご存知の方は多いのではないでしょうか。こちらは2008年(右)と2020年(左)に「モスクワ芸術座」で観劇した『かもめ』のパンフレット

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△赤の広場からトヴェルスカヤ通りを進むと、すぐ右手側に見えてくるモスクワ芸術座。劇場と同じ建物内にあるカフェの名もチェーホフです。サンクトペテルブルクの劇場での初演に失敗した『かもめ』を上演し大成功を収めてから、かもめはこの劇場を代表するエンブレムになりました。

 

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△偉大さ、尊敬の大きさを表すような巨大な銅像の多いモスクワでは珍しく、劇場の向かいのチェーホフ像の若き日のしなやかで線の細いシルエットや、どこか物憂げで悩ましげな思索にふける表情に惹かれてしまいます。

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△モスクワでも最も人気と歴史を兼ね備えた劇場のひとつであるモスクワ芸術座。設立者のコンスタンチン・スタニスラフスキーとヴラジーミル・ネミロヴィチ=ダンチェンコの像も、カメルゲルスキー横町の入り口で迎えてくれます。(関連ブログ☆モスクワ通信『スタニスラフスキーの家博物館』を訪ねて

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△チェーホフの名を冠した地下鉄チェーホフスカヤ駅には、QRコードが設置されており、ダウンロードするとチェーホフ作品のオーディオブックをお楽しみいただけます。(プーシキン記念シェレメチェヴォ空港ではプーシキン作品が楽しめたりとロシアの流行のひとつですね。関連ブログ☆モスクワ通信『プーシキンがお見送り&お出迎え!シェレメチェヴォ空港』

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△乗り換えのための通路には巨大なチェーホフ像……と思いきや、実はこちらは文豪マクシム・ゴーリキー像。栞がわりに読みかけの本に挟んだ指が、モスクワっ子たちに撫でられてピカピカ金色に光っています。地上は、モスクワの目抜き通りのトヴェルスカヤ通りなのですが、ここはかつてゴーリキー通りと呼ばれていました。モスクワ芸術座は89年、チェーホフ記念モスクワ芸術座とゴーリキー記念モスクワ芸術座の二つの独立した劇団になりました。

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△2023年4月にリニューアルオープンしたチェーホフの家博物館(Дом-музей А.П. Чехова)。チェーホフが暮らしたとされる建物がモスクワ市内には数ヶ所あり、記念プレートなどを見つけることもできますが、ここはチェーホフが1886年から1890年に実際に暮らした部屋が博物館としてそのまま残されており、文豪の息遣いを感じることができます。(館内のお写真は博物館ギャラリーより)

チェーホフは30歳のときに馬車でシベリアを横断しサハリン島を目指して旅に出ます。地の果ての流刑地へ旅立った理由は今も謎に包まれていますが、その帰路は船旅で、途中に日本に寄港する計画もありましたが、コレラの流行により叶いませんでした。

1892年から99年までチェーホフが7年住み、『かもめ』や『サハリン島』、『ワーニャおじさん』などの作品を執筆したモスクワ郊外メリホヴォには今もチェーホフの屋敷が博物館として公開されています。医者でもあったチェーホフは現地の農民に無償で医療を施していました。『かもめ』のニーナのモデルとなった女性にはここで出逢ったと言われています。

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△メリホヴォは現在モスクワ州チェーホフ地区にあり、同地区とその中心都市チェーホフのエンブレムにもかもめが使われています。

さらにその後、クリミア半島のヤルタに移り住み、晩年は結核の治療のためドイツのバーデンワイラーで療養し、そこで亡くなりました。

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△お墓はノヴォデヴィチ墓地にあります。(関連ブログ☆モスクワ通信『まるで彫刻の森!ノヴォデヴィチ墓地アルバム』

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△モスクワ中の、そして日本や世界の劇場で、チェーホフの作品は繰り返し上演され愛され続けています。モスクワでは、チェーホフの名前のついた桜色のワインや、チェーホフの作品世界が描かれたTシャツなど、ユニークなお土産も探すことができます。

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△また、偉人の名前を名付けることが多いロシアの地方都市でも、チェーホフの名前のついた場所やチェーホフにまつわる銅像に出逢う機会があります。
たとえば、こちら黄金の輪スーズダリのアートホテルのなかにある『子犬を連れた奥さん』の銅像は、チェーホフ生誕155周年記念に建てられました。また、2019年5月に大統領令でロシア各地44の空港に偉人の名前が冠せられたなかで、サハリンのユジノサハリンスク空港にチェーホフの名がつけられました。

見どころがたくさんのモスクワ散策ですが、自分なりのテーマを見つけて歩いてみると自分だけのお気に入りスポットや新しい発見がありそうです。まずは5月、チェーホフ『決闘』とモスクワ芸術座に出逢ってみてください!

 

【公演情報】

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ロシア文化フェスティバル 2024 IN JAPAN モスクワ 芸術座 日本公演 2024

稀代の文豪チェーホフ 隠れた傑作 『決闘』
名優たちの舞台で日本初上演!

公演日程
2024年
5月28日 17:30開場 18:00開演
5月29日 17:30開場 18:00開演
5月30日 17:30開場 18:00開演
5月31日 12:30開場 13:00開演

東京・かめありリリオホール
JR亀有駅南口下車徒歩1分

チケット
8,000円(全席指定)
2023年10月10日 (火)発売

ロシアのお土産として不動の一番人気を誇る、アリョンカ・チョコレート!看板娘アリョンカの顔が目印のチョコレートショップ兼カフェが、2017年頃からモスクワの街中やモール内、空港などに一気に増えました。

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«Красный Октябрь»(クラースヌィ・オクチャーブリ:赤い十月)の看板商品で、プラトークを巻いた愛らしい少女 «Алёнка»(アリョンカ)の顔は一度見たら忘れられません。

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△アリョンカは、ロシアの女性の名前エレーナ(Елена)の愛称形で、世界初の女性宇宙飛行士ワレンチナ・テレシコワの娘の名前にちなんで名付けられたと信じられていましたが、公式サイトによるとそれは伝説のようです。

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△もともとは、ヴィクトル・ヴァスネツォフ(Виктор Васнецов)の『アリョーヌシュカ(Алёнушка)』をパッケージに使用する予定だったそうですが、この少女が悲しげな様子を醸し出していることから取りやめになりました。(画像左・公式サイトより)しかし、販売予定の日は迫り、当初は公式な包み紙のないまま、新年や3月8日国際婦人デー、5月1日、5月9日・・・というようにロシアの祝日に合わせて異なるパッケージが使われていました。(画像右は、当時新年をテーマにしたパッケージ)

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△その後1960年代に、“ロシアの顔”とも言える現在のパッケージになりました。スーパーやお土産屋さんでも必ずといっていいほど置いてあるアリョンカですが、もちろんここでは味も種類も全商品がずらり。私の注目のフレーバーはСладкая Мозаика(スイート・モザイク)で、板チョコのなかにカラフルなマーブルチョコレートが入っています。

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△ソ連時代の1964年に採択された食糧計画のなかで手頃な価格のミルクチョコレートを作ることになり、コンクールの結果「クラースヌィ・オクチャーブリ」工場がその名誉を勝ち取り完成させたのが「アリョンカ」。モスクワ川沿いにある赤煉瓦の工場は、モスクワ川クルーズでも見どころのひとつになっていますが、現在は工場は別の場所へ移り工場跡は博物館やレストランなどの入ったアート・スポットになっています。

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△店内は量り売りで好きなチョコレートを好きなだけ購入できます。

1849年にアルバート通りではじまったドイツ人エイネム(Фердинанд Теодор фон Эйнем)がはじめたお菓子屋さんからはじまったクラースヌィ・オクチャーブリのほかにも、«БАБАЕВСКИЙ»(ババエフスキー)や«Рот Фронт»(ロットフロント)など、ロシアを代表するチョコレート菓子工場の直営店になっており、各社を代表するお菓子の包み紙がパッチワークのようになっているデコレーションが素敵ですね。

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△あかずきんちゃんに、りす、スターリン建築の建物に、宇宙、バレエ・・・ソ連時代から変わらないという包み紙のなんともいえない可愛らしさ!日本の甘さ控えめチョコレートとはまた違うカカオのコクとしっかりした甘さが特徴です。

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△同じくクラースヌィ・オクチャーブリの «Мишка косолапый»(ミーシュカ カサラープィ:ゆっさゆさ歩く熊さんというような意味)という熊が描かれているチョコレートも定番です。ウエハースが軽い食感のこのチョコレート、トレチャコフ美術館に所蔵されている画家イヴァン・シーシキンの名画『松林の朝』をモチーフにしています。

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△バレエが描かれたチョコレート«Вдохновение»(ヴドフノヴェーニエ:インスピレーション)はお土産にもぴったり。

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△可愛らしい化粧箱に詰めてもらうこともできます。

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△店内にはカフェも併設されており、ピロシキやケーキなどを注文することができます。飲み物を注文するとチョコレートが1個ついてきました。

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△キッズスペースには店内で販売されているお菓子やキャラクターがモチーフになった無料ゲームもあります。

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△チョコレート菓子以外のお土産やグッズも充実しています。例えばこちらのマトリョーシカ型の紅茶缶には、さまざまな種類の茶葉が入っています。紅茶を飲み終わった後も飾っておきたい!

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△人気チョコレートの包み紙の柄のトートバッグやパスポートケース、キーホルダーなど。私のお気に入りのココア・パウダーはお菓子作りにも重宝します。

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△アリョンカのボーイフレンドのクージャや、旧ソ連圏のアリョンカ(画像はベラルーシのアリョンカ)など、レアなアリョンカに出会えるチャンスも。

さてロシアはもちろん海外では、2月14日のバレンタインに女性が男性にチョコレートを贈り、3月14日のホワイトデーには倍返し!なんて話をするといつも驚かれます。

ロシアでも2月14日はバレンタイン・デーですが、愛する人たちの日というイメージで、恋人たちだけでなく愛する家族で集まって過ごしたり、お花やちいさな贈り物を渡して愛を伝えあいます。

日本の「バレンタイン」のように、女性が男性をお祝いする日といえば2月23日の「祖国防衛の日(男性の日)」。チョコレートに限らず、お花やちょっとしたプレゼントを贈るのが一般的です。人気のあるお花はカーネーションで、デコレーションやポスターにもよく見かけます。一方、男性が女性をお祝いするのが、3月8日の「国際婦人デー(女性の日)」で、街にはお花を抱えた男性がいっぱい!もちろん、最も人気のあるお花はバラ・・・お値段的にはやっぱり倍返し!?女性たちの華やかな笑顔とカラフルなお花で、モスクワの街にひと足早く春がやってくる日です。