日本では主食、ロシアでは?お米が見せる意外な七変化

By russian-festival. Filed in いちのへ友里  |  
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昨年から日本ではお米の価格高騰や備蓄米の放出がニュースになり、
改めて「お米」が私たちの生活にとってどれほど大切な存在かを感じる機会が増えました。

日本人にとってお米は、ただの食材ではなく“主食”。
だからこそ海外生活でも、日本からお米や炊飯器、土鍋まで持参する——
そんな話を耳にすることも少なくありません。

では、ロシアではどうなのでしょうか。

 ロシアのお米コーナー

ロシアでももちろん、お米はスーパーに並んでいます。
ただ、その売り場をのぞいてみると、日本とは少し違った景色が広がります。

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△こちらはロシアのスーパーマーケットのお米コーナー。黒いもの、細長いもの、さまざまな種類が豊富に取り揃えられています。

日本のように粒がふっくらして粘り気があり、噛めば噛む程に甘さが広がるようなお米とは異なり、
用途に合わせて選ぶ“穀物のひとつ”として並んでいる印象です。主役というよりも料理に寄り添う名脇役。そんな立ち位置が見えてきます。

“日本米に近い”を探す旅

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△リゾットにおすすめ?ミストラル社の『イタリカ』(左)と『イポニカ(ジャポニカ)』(右)

2007年にモスクワに滞在していたときもこの『イタリカ』が人気でした。少し値段がお安めの『クバン(ロシアのクバン地方産)』も重宝していました。こだわり派の方は、ベトナム市場へお米や餅米を調達に行くなど、当時は「いかに日本のお米に近づけるか」が、海外生活の小さなテーマのひとつ。炊き方や水加減の情報交換が、レシピ以上の“生活の知恵”として語られていたのが印象的です。

2017年のモスクワ滞在でも、『イタリカ』人気は健在でしたが、寿司人気の高まりとともに、スーパーで購入できる白米の種類が増えました。

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△一般的なスーパーマーケットで見つけた寿司用の白米。(2017年)

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△ドイツ系スーパーのプライベートブランド米

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△日本風のパッケージのお米を見つけることもありますが、必ずしも日本米とは限りません。こちらは『銀しゃり』と日本語で売り出していますが、韓国米。寿司人気にあやかって日本ブランドのイメージに・・・?

どうしても日本のお米を!という方は、すこしお値段が張りますが、日本食材店«НИППОН»(ニッポン)でも当時購入可能でした。美味しい白米についての情報交換は、海外生活の基本です。

ロシアでのお米の立ち位置

ロシアでは、お米は“主食”というよりも、付け合わせや穀類のひとつとして扱われています。

モスクワの人気シーフードレストランではランチメニューには、こんな一皿も。

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△お米の上に野菜と茹でた海老がのった「サラダ」。パンと一緒に提供されました。
ボリュームたっぷりで、日本人の感覚だとまるで海鮮丼。「これでランチ完了!」と思ってしまいますが、
ロシアではあくまで前菜。このあとにメイン料理へと続きました。

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△朝食の定番カーシャ(ミルク粥)にも、お米がよく使われます。(関連ブログ☆ロシアの朝食の定番、カーシャってなに?

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△ピロシキの中にもお米!パン生地の中にお米というと驚かれますが、ロシアではお米は野菜のような感覚なので、彩りよく卵と混ぜたお米は、ピロシキの具材として人気です。

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△こちらは大学の学食メニュー。ロシア語で「гарнир(ガルニール)」=付け合わせという言葉がありますが、お米もまさにそのひとつ。この日は、白米、マッシュポテト、きのこと揚げ焼きしたジャガイモ、蕎麦の実などのなかから、白米を選びました。

進化する“寿司文化”

2007年のモスクワ生活では、ちょうど寿司ブームの真っただ中。当時はまだ“ちょっと特別な日本食”でしたが、2017年には寿司人気はすっかり定着していました。

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△海が遠いモスクワですが、市場では新鮮なネタが並び、ちょっぴり築地のような雰囲気も。カウンターにはロシア人がずらりと並び。お箸を上手に使って美味しそうにお寿司を召し上がっています。厨房ではアジア系の職人さんがてきぱきと鮮やかにお寿司を握っていきます。

寿司作りに必要な焼き海苔やわさびなどが揃うスーパーも増えて、カフェやレストランでは、日本以上に寿司が気軽に楽しめるヘルシーな軽食へと成長していました。

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△一方、カフェで人気なのは、カリフォルニアロールやフィラデルフィアロール。サーモンや鰻、トビコにクリームチーズを合わせた、どこか“サラダ感覚”の軽やかなお寿司です。

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△モスクワ発のファストフード「СУШИ-РУЛЕТ(スシ・ロール)」は、見た目は太巻きのようですが、薄いトルティーヤ生地でご飯と具材を巻き、さらにその外側を海苔で包むというユニークなスタイル。もはや“日本の寿司”というより、ロシアの食文化の中で自由に再解釈された料理のようにも感じられます。

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△日本のコンビニで人気の三角おにぎりも見かけるように。シンプルな具のおにぎりは、ロシア正教の精進期にもおすすめされていました。どこか見慣れているのに、どこか違う。そんな不思議な感覚もまた、異文化の面白さです。

 

“和食”のイメージは「魚とお米」?

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冷凍食品コーナーで、思わず手に取った一品。その名も「САКЭНА С РИСОМ(魚とお米)」。

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△中を見てみると、魚の切り身は入っておらず、えびやイカなどの魚介に、椎茸やインゲン、パプリカなどの野菜が彩りよく混ざった一品でした。

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△調理も簡単で、フライパンや電子レンジで数分温めるだけの手軽な「和食」として売られています。ロシアにおける「和食」のイメージが、「魚とお米」の組み合わせにあるのかもしれません。

 

こうして見てみると、ロシアで出会うお米は、まるでいくつもの顔を持っているかのようです。日本では当たり前の「お米のある食卓」も、場所が変わるとまた違うかたちで受け取られていることに気づきます。主食ではないからこそ、お米はさまざまな料理の中で、軽やかに姿を変えていく。ロシアの食卓で、そんな一面を見たような気がします。郷に入っては郷に従え。そう思いながらも、やはり美味しいお米があると、ほっとするもの。モスクワでの生活でも、私はほぼ毎日一度はお米を炊いていました。

 

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