モスクワ通信『琥珀、防空壕、マジパン!カリーニングラードでおすすめの博物館3選』
By russian-festival. Filed in いちのへ友里 |中世ドイツからソ連、そしてロシアへ・・・歴史を紡ぐ融合の都市カリーニングラードの特徴ある博物館を3つご紹介します。
1 琥珀博物館(Музей Янтаря)
△琥珀博物館は、世界有数の琥珀の産地として知られるカリーニングラードに、ロシア唯一の琥珀博物館として1979年に開館しました。市内には、赤煉瓦造りが美しい中世の城塞や城壁が点在しており、王の門、フリードランド門、フリードリフスブルク門など全部で6つある城門を巡るツアーも人気です。現在は修復されて博物館やレストランとして利用されるなど観光地化が進んでいます。琥珀博物館は、ロスガルテン門(Росгартенские ворота)とともに残っている塔 の中にあります。
△地中奥深くに眠っている鉱物からなる他の宝石とは違い、琥珀は地上の植物の樹液(樹脂)が悠久のときを経て化石となったもので、“太陽の石”とも呼ばれています。長い歳月をかけて琥珀が誕生するまでの歴史や、虫や植物などが含まれた珍しい琥珀が展示されています。
△4kg280gの琥珀の標本
△トンボの羽が見える琥珀。美しい地球の恵みです。
△琥珀を採掘している様子のジオラマ
△サンクトペテルブルク郊外プーシキンにあるエカテリーナ宮殿には、部屋全体が琥珀で装飾された“琥珀の間”があります。かつてプロイセン王からピョートル1世に贈られた琥珀の装飾パネルが原型となり、ピョートル大帝の没後にはエカテリーナ2世が夏の宮殿であるエカテリーナ宮殿に琥珀の間を完成させて特別に好んでいたと言われています。しかし、第二次世界大戦中ナチス・ドイツ軍がソビエト連邦を侵攻し、レニングラード(現在のサンクトペテルブルク)のエカテリーナ宮殿から沢山の宝飾品と共に琥珀の間も奪われてしまいました。琥珀の間の装飾は分解されてケーニヒスベルクへ運ばれ、ケーニヒスベルク城内で保管されていました。しかし空襲で町全体が破壊されると琥珀の間は跡形もなく消滅してしまい、それから現在まで見つかっていません。今もどこかに隠されているのか、誰かが密売してしまったのか、はたまた本当に消滅してしまったのか、想像をかき立てられます。
△琥珀の間は、その後新たに復元されることになり、1979年から24年かけて作業が行われ、選び抜かれた最高級の琥珀およそ6,000kgを用いて2003年に完成しました。困難を極めた当時の修復の様子についても紹介されていました。
△エカテリーナ宮殿の飾り箱のレプリカ(1979年)
△赤から橙色、黄色、緑色、茶色へ・・・美しいグラデーションで魅せる琥珀工芸美術品の傑作はどれも見応えたっぷりです。館内のショップも充実しており、記念に琥珀製品を購入することもできます。
△続いて、のどかな公園の中に、地下へ続く道。防空壕博物館(Музей бункер) へ。
△第2次世界大戦でナチス・ドイツ軍が使っていた防空壕が博物館として公開されています。細長い通路の両脇に小部屋があり、展示室になっています。
△戦時中のジオラマ。空襲により壊滅的な町の様子と、地下の防空壕の中の様子も細かく見ることができました。
△部屋の様子も当時のままに再現されています。1945年、ここで、ドイツの司令官が降伏の決定を下しました。
△薄暗い防空壕から外へ出ると夏の強い日差しの下で戦車も展示されていました。
3 ブランデンブルク門のマジパン博物館 (Музей марципана в Бранденбургских воротах)
△ブランデンブルク門(Бранденбургские ворота)の中にあるマジパン博物館へ
△マジパン(марципан)は、アーモンドプードル(粉末)と砂糖をペースト状に固めた素朴な甘さのお菓子。起源は諸説ありますが、ドイツでは18世紀まで薬局で売られていたのだそうです。様々な型に入れたり、粘土のように手で成形したりして、そのまま頂いたり、デコレーションに使ったりもします。マジパンの歴史、そして昔の貴重な型や美しい化粧箱のコレクションが紹介されています。
△博物館内にはマジパンで作られたカリーニングラードの観光スポットも。マジパンで作られた“ソヴィエトの家”
△ソ連時代のアニメ作品をテーマにした特集コーナーには、チェブラーシカやソ連版くまのプーさん
△奥にはお土産用のマジパン屋さんもあります。ドイツ製とカリーニングラード«ポマッティ(Поматти)» 社のマジパンが販売されていました。1809年ケーニヒスベルク ではポマッティ兄弟が初めてマジパン工場を開き、すぐに評判となりました。ロシア帝国にも輸出され、流行したそうです。
△カラフルで凝った形のマジパンは、贈り物としても喜ばれます。年末年始が近づくと、ドイツでは幸運を運んでくれるアイテムとして豚の形のマジパンが縁起物のひとつなのだそうです。
飛び地ならではの文化の交差点 カリーニングラードの魅力を味わえる博物館、ぜひ訪れてみてください。