■2012年12月10日■ |
モスクワフィルハーモニー交響楽団によるクロージングコンサート
渾身のチャイコフスキー交響曲第5番。圧巻の演奏に鳴り止まぬ感動の拍手
M・シュビトコイ大統領代理、野口秀明外務省ロシア交流室長、Y・シーモノフ指揮者、坂井音重・能楽師、田口栄治交流基金理事、都甲岳洋元ロシア日本大使が挨拶
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ロシア文化フェステイバル2012INJAPANクロージング・コンサートは、12月10日午後7時から東京芸術劇場において開かれました。舞台上でミハイル・シュビトコイ=ロシア連邦大統領文化特別代理、野口秀明=日本外務省ロシア交流室長が両国を代表して挨拶、フェステイバルが大きな成功を納め、日ロ相互理解と友好の増進に貢献していることを称えました。ソプラノの中村初恵さんとLINGUADAR代表のエレーナ・是枝さんが花束を贈呈しました。
この日のモスクワ・フィルの公演は、日本で絶大な人気のプログラムで、グリンカ「ルスランとリュドミラ」序曲、チャイコフスキー「ヴァイオリン協奏曲二長調作品35」、チャイコフスキー「交響曲第5番ホ短調作品64」を演奏。ソリストのニキータ・ボリソグレブスキーはその豊かな叙情性、激しさ、繊細さに満場の拍手を浴びます。序曲、協奏曲、交響曲の組み合わせで壮大なクライマックスと輝かしい行進のコーダに感動の拍手がいつまでも送られ、アンコール曲で聴衆のどよめきは頂点に達しました。ユーリー・シーモノフはパフォーマンスにも磨きがかかりさらに円熟味を増し、巨匠としてのシーモノフ独自の世界を創出した感があります。
コンサート終了後の午後9時50分から行われたクロージングパーテイーは、M・シュビトコイ大統領文化特別代理、坂井音重・能楽師(人間国宝)が両国代表として挨拶、来賓にはユーリー・シーモノフ・モスクワフィル指揮者、田口栄治・国際交流基金理事が祝辞をのべました。それぞれ、両国の文化交流の発展を祈念し、フェスティバルの継続開催と両国民の絆を強める希望をのべました。乾杯の発声は、都甲岳洋・元駐ロ日本国大使がおこない楽しい歓談は夜遅くまで続きました。
以下、セルゲイ・ナルイシキン国家院議長・ロシア組織委員会委員長からのクロージングへのメッセージは次のとおり。
S・ナルイシキン国家院議長の祝賀メッセージ
ロシア文化フェスティバル 2012 IN JAPANが閉幕しました。これが去りゆく年の我が国の文化の分野において、輝かしくそして記憶に残る出来事の一つとなったことに、議論の余地はありません。フェスティバル2012の諸行事が日本の大部分の都市で行われ、100万人以上の人々が訪れました。
審美眼の厳しい観客の方々の前で披露されましたのは、ロシアのアーティスト、文化人が大掛かりで魅力的なプログラム、―クラシック音楽や室内楽のコンサート、合唱団やフォークロア芸術団、劇団の公演、サーカス公演、バレエのマスターコース、トレチャコフ美術館やエルミタージュ美術館所蔵品による絵画展でした。我々のフェスティバルは、西から東に広がるロシア全土の地理的な広さをご紹介することができました。
ロシア文化フェスティバル IN JAPANとロシアにおける日本文化は、我々両国間の国際関係に置いて重要な役割を果たしています。フェスティバル活動を続けることが必要不可欠である、と私は強く確信しています。ロシアと日本の間で近年ダイナミックに行われている文化交流は、ロシアと日本との全ての関係を発展させるための良い雰囲気作りや、我々両国間や国民どうしの相互理解、友好関係や善隣関係の強化を促進しています。
日本の観客の皆さんに、温かいご歓迎を感謝いたしますとともに、ご健康とご幸福をお祈りさせていただきます。2013年のフェスティバルで、また新ためてお会いしましょう。
ダイナミックなリズム感と推進力―重量級の音楽を味わう シーモノフ指揮モスクワフィルコンサートの評論――石田一志氏
「ロシア文化フェスティバル2012」のフィナーレを飾るモスクワ・フィルハーモニー交響楽団の演奏会が芸術監督兼首席指揮者ユーリー・シーモノフの指揮で、この秋にリニューアル・オープンした東京芸術劇場コンサートホールで開かれた。
シーモノフの音楽作りは彫りが深く活力に溢れるもの。最初のグリンカの「ルスランとリュドミラ」序曲のプレストの推進力からその魅力は遺憾なく発揮された。続くチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲の独奏者であるニキータ・ボリグレブスキーは、モスクワ音楽院の大学院在学中に第14回チャイコフスキーコンクールで第2位、2年前のシベリウス国際ヴァイオリンコンクールでは優勝を果たした気鋭の若手。どちらかというと骨太の造形美をもつオーケストラに乗って強靭で輝きのある独奏を展開した。切れ味の良さは格別。カデンツ後の華やかな色彩感と活発な動きのクライマックスの素晴らしさに第1楽章でも拍手が湧いたほどだ。後半は、閉会の式典に始まった。大団円を告げるチャイコフスキーの交響曲第5番は、まさに圧巻たる演奏。何といっても各パートが実に積極的な表現を重ねていくので、音楽に充実感が漲っている。しかも、シーモノフ独自のダイナッミクなリズム感と推進力が加わる。特に終楽章では躍動する重量級の音楽が味わえた。(撮影=佐久間ナオヒト) |
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