リポート
ホーム ロシア文化フェスティバル  in JAPAN 開催プログラム 応援メッセージ リポート 組織委員会/事務局のご紹介 過去のフェスティバル ブログ

■2025年1月31日■

イリヤ・ラシュコフスキー(ピアノ)&周防亮介(ヴァイオリン)
オール・ベートーベンのデユオ・リサイタルで魅了

 1月31日午後7時から東京・紀尾井ホールで第8回浜松国際ピアノコンクール優勝のイリヤ・ラシュコフスキーとヴァイオリンの周防亮介(ヴァイオリン)によるデユオ・リサイタルがオール・ベートーベンプログラムで開催されました。
 演奏曲目は、ピアノソナタ第8番ハ短調作品13「悲愴」、ヴァイオリン・ソナタ第5番へ長調作品24「春」、ヴァイオリン・ソナタ第9番イ長調作品47「クロイツエル」で、アンコール曲はヴァイオリン・ソナタ第8番ト長調作品30-3「第3楽章」でした。三大ソナタの奥深く力強い演奏で観客を魅了しました。(撮影=丸山英樹)

弾きこまれる演奏、鳴りやまぬ拍手――仙場真理
 周防亮介とイリヤ・ラシュコフスキーのデュオ・リサイタルを聴きました。2部構成で第1部はピアノソナタ第8番ハ短調作品13「悲愴」、ヴァイオリン・ソナタ第5番ヘ長調作品24「春」、第2部はヴァイオリン・ソナタ第9番イ長調作品47「クロイツェル」でした。
 第1部の1曲目「悲愴」では、沈黙と緊張の空間を打ち破るような厳粛で緻密な和音で始まりました。作曲家自身の心の陰陽と明暗のコントラストを紹介するかのように丁寧に、じっくりと弾きこまれていました。次第に前のめりなくらいにテンポを刻み始め、躍動感を強く感じさせていきました。第2楽章では曲の輝きにラシュコフスキー自身が吸い込まれ、溶けてゆくような演奏で、暗く忍び寄る影さえも美しく優しく響かせていました。第3楽章は、軽やかで一音一音正確な鋭いタッチ、歌うがごとく、叫ぶがごとくの素晴らしい演奏でした。続いてヴァイオリン・ソナタ「春」では、周防亮介のヴァイオリンとラシュコフスキーのピアノが入れ替わりながらテーマを次々に奏で、歌曲を聴いているような感覚でした。バッハの平均律を「旧約聖書」、ベートーヴェンのピアノソナタは「新約聖書」だと言う逸話があります。ピアノソナタ32曲を色々なピアニストが演奏するのを聴いてきましたが、ラシュコフスキーのピアノソナタはベートーヴェンの人生哲学を曲を通して多くの人に伝える伝道師のようにも思えました。厳しい状況にあっても希望を失わず「それでも生きてゆく」と言うベートーヴェンの選択がラシュコフスキーのピアノから大いに伝わってきました。「クロイツェル」では周防のテクニックもさることながら、ニコロ・アマティが美しいソプラノと、ふくよかで奥行きのあるアルトの歌声を驚くほど力強い音色で響かせていました。鳴り止まない拍手の後、アンコール曲はベートーヴェンヴァイオリンソナタ第8番ト長調Op.30-3より第3楽章が演奏されました。聞けば聞くほど周防亮介とイリヤ・ラシュコフスキーのデュオでベートーヴェン曲を聴いてみたくなるような素晴らしいリサイタルでした。
ロシア文化フェスティバル ロシア文化フェスティバル ロシア文化フェスティバル
ロシア文化フェスティバル ロシア文化フェスティバル ロシア文化フェスティバル
■2025年1月19日■

ヴァイオリンのステパン・ヤコーヴィッチモスクワ音楽院教授を招聘
ドミトリー・フェイギン(チェロ)と新見浩子(ピアノ)のコンサート
3つの楽器が素晴らしいハーモニーを醸し出す

 1月19日、東京サントリーホール・ブルーローズにおいて、ニューイヤーコンサートが開かれました。モスクワ音楽院教授のヴァイオリニスト、ステパン・ヤコーヴィッチを招き、チェロのドミトリー・フェイギンとピアノの新見フェイギン浩子が、トリオでコンサートを行ったもので、大勢のこどもたちへのプレゼントとなりました。

ロシアの代表的作品を美しいメロディーでーーー仙場真理
 リュミエールドチョコリット主催ニューイヤークラシックコンサートに行きました。 就学前のお子さんとご父兄の方々でブルーローズの会場は埋め尽くされていました。チェ ロのドミトリー・フェイギン、ヴァイオリンのステパン・ヤコーヴィッチ、そしてピアノは 新見・フェイギン・浩子と言う親友 3 人の演奏でした。アンコール曲を入れて全 10 曲がロ シアの作曲家による有名作品でしたので、子ども達も最後まで美しいメロディーに浸るこ とのできた贅沢な時間となりました。 2 部構成で、第 1 部はチェロとピアノでチャイコフスキー曲「ノクターン op.19-4」、ショス タコーヴィッチ曲バレエ「明るい小川」、「チェロとピアノのソナタ op.40 から第二楽章スケ ルツォ」、リャードフ曲「プレリュード op.11-1」、プロコフィエフ曲オペラ「3つのオレン ジへの恋 op.33bis から行進曲」でした。続いてはヴァイオリンとピアノでプロコフィエフ 曲バレエ「ロミオとジュリエット op.64 から 3 つの小品」(「モンタギュー家とキャピュレ ット家」、「アンティル諸島から来た娘」、「ジュリエットの死」)、チャイコフスキー曲バレエ 「白鳥の湖 op.20a からロシアの踊り」が演奏されました。 第 2 部は、チェロとヴァイオリン、ピアノの演奏によるラフマニノフ曲ピアノ三重奏曲第 1 番「悲しみの三重奏曲」は最初に超絶技巧のピアノ演奏があり、チェロとヴァイオリンがそ のメロディーを引き継いで、最後は葬送行進曲として最初のテーマが再現されています。グ リンカ曲「悲愴三重奏曲ニ短調」ではイタリア風カンタービレとロシア的メロディーが融合 したクラシックコンサートの王道を楽しみました。拍手が鳴り止まない中に 3 人が再登場 し、アンコールにハチャトゥリヤン曲「スパルタクスよりアダージオ」が演奏されました。 息のぴったり合ったベテラン 3 人の演奏は3つの楽器が対話をしながら一つに溶け合い素 晴らしいハーモニーを醸し出していました。特に「明るい小川」「ロミオとジュリエット」 「白鳥の湖」「スパルタクス」では、踊り手のいるバレエコンサートのような生き生きとし た臨場感を感じました。演奏する前に宙を見上げるヤコーヴィッチの表情には音楽を通じ て平和を祈念しているようにも感じました。彼らの素晴らしい演奏がいつまでもお子さん 方の心に残っていくことを願わずにはいられませんでした。
ロシア文化フェスティバル ロシア文化フェスティバル ロシア文化フェスティバル
▲トップへ戻る
copyright (C) 2025 RUSSIAN FESTIVAL. ALL Rights Reserved.