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■2021年12月23日■

2021ロシア文化フェスティバル忘年会コンサートで慰労
チャイコフスキー組曲「白鳥の湖」をカンディンスキー編曲による熱演
全出演者がボランティア友情出演で盛り上げる

 12月23日、浜離宮朝日ホール小ホールにてロシア文化フェスティバルの忘年会コンサートが行われました。昨年のフェスティバルは全予定プログラムの3分の1の開催でしたが、ことしのフェスティバルは3分2が遂行され、コロナ禍における緻密な防止対策のもとに文化藝術イベントを開催するノウハウを会得した形となりました。忘年会コンサートはすべての出演者がボランティア友情出演で18名の多数が盛り上げてくださいました。女優の中沢由佳のMCで、栗原小巻=ロシア文化フェスティバル日本組織委員会副委員長が冒頭挨拶、コロナ禍で奮闘した関係者を慰労、激励しました。会では、「ヤポー二ヤ&ロシア」「カッチ―ニのアヴェ・マリア」(V・ヴァヴィロフ曲)を中村初恵(アルパ演奏=池山由香)、ヘルマン曲「黒い瞳」、ラリオーノフ曲「カリンカ」をV・パンチェンコが熱唱(ピアノ=ユリア・レヴ)、チャイコフスキー組曲「白鳥の湖」OP20aより第一曲「情景」、第三曲「4羽の白鳥の踊り」、第四曲「情景(王子と王女)」を編曲してカンディンスキーが感銘をあたえました。チャイコフスキー「よき地の思い出」作品42-3「メロディ」、ラフマニノフ「ヴォカリーズ」をヴァイオリン=谷本潤、ピアノ=加島千香子で抒情性豊かに演奏、川西宏明(ピアノ)は一世を風靡した松井須磨子の中山晋平曲「ゴンドラの歌」「さすらいの歌」に続いて、アレクサンドロフ曲「ロシア連邦国歌」を力強くダイナミックに演奏しました。東京バラライカアンサンブルの八田圭子・山根綾香・本田康二・本田健一・河村久美・河村忠耕はチャイコフスキーのピアノ組曲「四季」より「10月秋の歌」と「ロシア民謡メドレー」を演奏しました。最後はピアノ連弾でハチャトリアン「スパルタクス」より「アダ―ジョ」、「ガイーヌ」より「バラの乙女の踊り」「剣の舞」を佐野真澄・伊奈千加子が演奏し拍手に包まれました。(撮影=丸山英樹)

心に残る多彩な演奏―― 美山紅葉
 忘年会コンサートは、インターネットミュージアム「日本のなかのロシア」にちなんだプログラムで行われました。まず、中村初恵の歌とアルパの池山由香のフェスティバルのテーマ曲「ヤポーニヤ&ロシア」から始まり、第2章では、V・パンチェンコがサーモンピンクの衣装で登場。彼女の「黒い瞳」の歌声も、ユリア・レヴのピアノもとても華やかで、最後は手拍子で盛り上がりました。第4章は、M・カンディンスキーが奏でるチャイコフスキーの「白鳥の湖」の哀愁漂うピアノの音色が心に残りました。第5章では谷本潤がラフマニノフの「ヴォカリーズ」をヴァイオリンで演奏。ピアノの加島千香子の寄り添い支える伴奏が印象的でした。続いてコンポーザーピアニスト川西宏明が、第6章の女優松井須磨子の劇中歌「ゴンドラの歌」と「さすらいの歌」をしみじみとしたアレンジで聞かせ、第11章の「ロシア連邦国歌」を華やかな力強い音で披露しました。第7章では、八田圭子率いるバラライカとドムラ6人のアンサンブルが、「ロシア民謡メドレー」を楽し気な演奏で盛り上げました。第9章は、佐野真澄と伊奈千加子のピアノ連弾でハチャトゥリアンの「アダージョ」や「バラの乙女の踊り」ではバレエに登場する女性を感情豊かに表現し、強烈な舞曲「剣の舞」でコンサートを締めくくりました。総勢16名が参加して、多彩な演奏を披露した、今年の締めくくりにふさわしい忘年会コンサートとなりました。
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■2021年12月18日■

“毎年師走にこれを聞かなければこころの洗濯ができない”
三大アヴェ・マリアが豊かに響き渡る一夜
トレグボヴイッチ&チェカノヴァ&サンクトペテルブルク合奏団

 2000年いらい毎年、クリスマスにやって来るサンクトぺテルブルク室内合奏団とマリーナ・トレグボヴィッチ&ヴェラ・チェカノヴァのふたりのソプラノ。豊かな弦のハーモニーと幻想的なハープの響き、透き通ったソプラノの歌声が聖夜を彩ります。バッハ、シューベルト、カッチ―ニの三大アヴェ・マリアをトレグボヴィッチとチェカノヴァがみごとな美声で歌い上げました。新型コロナウイルス拡大防止のために来日してから2週間隔離制限をクリアして、12月15日の海老名市文化会館を皮切りに16日東京文化会館、17日飯能市民会館、18-19日東京オペラシテイ、22日神奈川県立音楽堂、23日千葉市民会館、24-25日東京オペラシテイと11回公演を成功裏におこない元気に帰国しました。(写真撮影=丸山英樹)

弦楽器とソプラノの声のハーモニーが優しく響いたー佐野真澄
 会場はほぼ満席、徹底したコロナ感染対策の中、毎年楽しみに足を運んでいる観客の方々の熱気は開演前から高まっていて、コンサートマスターのイリヤ・ヨーフの登場で、拍手喝采でコンサートが始まった。バッハ「ブランデンブルク第3番」は11人編成。気心の知れた演奏者たちの暖かみのある弦楽の調べが心地よい。「G線上のアリア」から16人編成に変わり、厳かな空気の中、ヴァイオリンが繊細なメロディーを奏でた。「ラウダムステ」で歌手ヴェラ・チェカノヴァが薄いオレンジのドレスで登場。心温まるソプラノの歌声とチェロの掛け合いが美しい。パッヘルベル「カノンとジーグ」は、音もなじんできて、動きも出てきた感じ。グノー「アヴェ・マリア」では、コンサートマスターは指揮者になり、ハープの伴奏にのせて弦楽器とソプラノの声のハーモニーが優しく響いた。マスネ「タイスの瞑想曲」の最初のヴァイオリンソロは美しく、音の溶け合う弦楽器の響きに心洗われた。カッチーニ「アヴェ・マリア」は、ソプラノの声と弦楽器のバランスがとても良く、ハープとの掛け合いもきれいでした。1部の終わりはヴィヴァルディ「四季より冬」。厳しい冬を緩急を使って表現した1楽章。なじみのある安らぎのメロディーの2楽章。これぞ室内合奏団という響きの3楽章、とそれぞれに聞きどころがあった。2部は軽快なモーツァルト「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」から始まり、グリーグ「ペールギュントよりアニトラの踊り」はピッツィカートが様々な表情を出していた。グノー「ロメオとジュリエットより私は夢に生きたい」は、歌手マリーナ・トレグボヴィッチが登場。身振り手振りを使って表情豊かに楽しませてくれた。サン=サーンス「白鳥」のチェロは明るめの音質。最後のハープも美しく響いた。チャイコフスキー「弦楽セレナーデよりワルツ」はリズミカルで絶妙なハーモニーに心浮き立った。マスカーニ「カヴァレリア・ルスティカーナより間奏曲」は、チェロのメロディー心奪われた。シューベルト「アヴェ・マリア」は赤いドレスに着替えて登場したソプラノ歌手が透き通るような声から、心を優しく包み込むような声まで聞かせてくれた。プログラム最後のモーツァルト「ハレルヤ」は歌声もヴァイオリンもこの上ない華やかな響きでホールをいっぱいにした。クリスマスにふさわしい、暖かく心に染みわたる素晴らしいコンサートでした。
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■2021年12月5日■

コロナ禍、ダニエル・ハリトーノフピアノリサイタル2021
2人の巨匠の名曲を若きピアニストが魅せた!

 演奏家にとってコロナウイルス蔓延のさ中の国際的演奏活動は執拗以上のストレスを与えることになります。2週間の隔離制限期間を終えて、11月27日大阪、28日長久手、12月1日東京・豊洲、3日志木、4日つくば、5日東京オペラシティの公演を成功裏に終了しました。今回はベートーヴェンとブラームスのロマン派3つのソナタを演奏、チャイコフスキー国際コンクール第3位(2015年、15才)の実力を魅せました。(撮影=丸山英樹)

爽やかな風が吹き抜けていったーーー佐野真澄
 「ドイツピアニズムの巨匠 ロマン派3つのソナタ」と題した日本公演最終日、元気な足取りでにこやかに登場したハリトーノフ。1曲目はベートーヴェンのピアノソナタ第8番「悲愴」。導入部から非常に切れが良く、スピード感があって、どこまでも引っ張られる感覚。ここまでためらいの無い演奏は、ある意味清々しい。2楽章は温かみのある音で、弱音も美しかった。よどみのない流暢な演奏。3楽章になってピアノの音も鳴ってきた。1曲通して爽やかな風が吹き抜けていったような印象で、今日のプログラムの序章のような印象を受けた。2曲目は同じくベートーヴェンのピアノソナタ第17番「テンペスト」。この曲も、さらりとした導入部でしたが、その後はメリハリの効いた演奏で良かったと思う。2楽章はゆったりとしたリズムに乗せて、バランスよく音楽が進んでいき、多彩な音色で聞かせてくれた。3楽章は柔らかな音で始まり、終始、浮遊感のある漂うような雰囲気を保って終わった。休憩後の第2部は、さらに勢いよく飛び出してきて驚いた。ブラームスのラプソディ第1番は音が伸び伸びとしていて、音楽を進めていく力がとても強く、本領発揮といったところ。中間部はピアノと会話しているかのように見えた。第2番は待っていた響きが私のところにやっと届いてきた感じ。今日の最後の曲、ブラームスのピアノソナタ第1番は、重厚な和音の響きで始まったが、ブラームスの世界観という意味では繊細過ぎるように感じた。2楽章は穏やかなハーモニーが美しい。3楽章は曲全体が華やかで、技巧的で素晴らしく、若い彼自身の得意とするところとマッチしていたと思う。終楽章は、素晴らしいテクニックを持っているのに、どこか単調で一本調子な印象を受けた。みずみずしい感性と超絶技巧的なテクニックがあるのはよくわかるし、音楽の推進力も持っている。が、そういう部分に走りすぎずに、作曲家の音楽と楽譜を通して真摯に向き合い、表現の幅を時間をかけて広げていって、その先の彼のさらなる飛躍に期待したいと思う。
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■2021年12月4日■

ゴーゴリ作、アニシモフ演出「検察官」能楽堂公演を開催
東京ノーヴイ・レパートリーシアターからTOKYO NOVYI ARTに改称の劇団
腐敗した役人・官僚を描く現代に通ずるゴーゴリの笑劇

 12月4、5日、東京都中野区の梅若能楽学院会館にてニコライ・ゴーゴリ作、レオニード・アニシモフ演出で「検察官」が上演されました。収賄、官金横領が横行する小さな地方都市を舞台に市長を中心とした無知で腐敗した役人たちに起こった思いもよらぬ大騒動。市長、妻と娘、判事、病院長、教育委員長、郵便局長、ペテルブルクから来た「役人」らの田舎の方言丸出しのコミカルな演技は、ロシアの劇団と対照的に能楽堂公演という日本的雰囲気の舞台を創り出すが、ロシアの風景やロシア的音響なしで能楽堂舞台でのロシア演劇のユニークさと難しさを浮き彫りにしました。(撮影=丸山英樹)
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■2021年11月27日■

ロシア国立アカデミー・クラシック・バレエ団(ワシリョーフ・カサートキナバレエ団)
コロナ禍、子どもたちで満席の観客の「くるみ割り人形」公演
タス報道「年末年始の日本国民へのまたとない贈り物」

 ロシア国立アカデミー・クラシック・バレエ劇場(ウラジーミル・ワシリョーフ&ナターリア・カサートキナ記念バレエ団)の日本公演は、新型コロナウイルス対策の日本政府の2週間隔離制限期間を終えて、11月26日長野を皮切りに27日横浜、28日静岡、30日津と行われ、12月1日大阪、3日和歌山、4日西条、5日広島、7日長崎、8日久留米、9日鹿児島、11日大分、12日北九州と開催予定です。演目は、年末年始の恒例のチャイコフスキーの「くるみ割り人形」全2幕5場で日本国民の大好きなバレエの傑作で、光藍社がバレエ団と日本政府(文化庁窓口)と粘り強い交渉と打ち合わせを繰り返し実現したもので、大勢の子どもたちが招待され大喜びでした。(撮影=瀬戸秀美)

子どもたちの心に残るユニークな舞台 仙場真理
 この度のロシア国立モスクワ・クラシック・バレエ(ワシリョーク・カサートキナバレエ団)公演の観客の約半数は子ども達で、会場はほぼ満席。『くるみ割り人形』はクリスマスシーズンの風物詩であり、親子で楽しめる芸術鑑賞なのだ。スケートをしている6組のペアと共に橇に乗った子ども、ドロッセルマイヤーと人形達、マーシャ、フリッツ等が次々と登場し、賑やかにシュタールバウム家に急ぐ様子。大広間の中央には天井までのクリスマスツリーが飾られ、ドロッセルマイヤーのおとぎ話劇が始まる。実際、西洋の子ども達は、人形をあたかも自分の友達や兄弟姉妹に見立てて大切にする。チャイコフスキー曲『子どものアルバム』にも「人形のお葬式」や「新しい人形」などの曲があるが、まさにその世界観。マーシャが遊び疲れてツリーの下で眠ってしまうと、いよいよ夢の世界が始まる。
 マーシャ役のマリーナ・ヴォルコワは、2020年にモスクワ・クラシック・バレエに入団の若手だが、世界各国でプリマバレリーナとして活躍した経験豊富なダンサー。ヴォルコワは可憐なマーシャから金平糖の精まで優雅で、美しいラインで魅せる堂々たるプリマの踊りを披露。王子のアルチョム・ホロシロフは2003年に入団のベテランで、高度な技術の担い手であるばかりでなく、舞台を華やかにするカリスマ性のあるダンサー。ドロッセルマイヤー役のニコライ・チェヴィチェロフのキャラクターダンスが物語を展開させる。ネズミの女王役はイリーナ・ドヴィドフスカヤの柔軟性を活かした振付で、夢の世界のキャラクターとして子どもたちの心に残るユニークなバレエ。
 色々な国々を訪れ、様々な舞台で踊るモスクワ・クラシック・バレエ団は、オーケストラが無くても、舞台が狭くても、公演している都市の観客にロシアバレエ芸術を通じ文化を普及させている代表団なのだ。最後は観客に向けて舞台上のアーティスト達からも拍手を送る場面もあった。お互いの文化を尊敬する気持ちが何よりも大切なものだと感じられる公演だった。
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■2021年11月20日■

ニコライ・メトネル没後70年記念コンサート
ミハイル・カンディンスキー ピアノサロン「モスクワの風」

 11月20日12時30分から新宿区のトーキョーコンサーツ・ラボでミハイル・カンジンスキーのピアノサロン「モスクワの風」が開催されました。今回はニコライ・メトネルの没後70年記念コンサートとして行われました。(撮影=丸山英樹)

風を感じる響きが美しくーーー佐野真澄
 メトネルは1880年モスクワでドイツ人の家系に生まれ、モスクワ音楽院で学び、ヴィルトゥオーゾピアニストとして音楽活動を始めました。作曲家としては、ドイツロマン派音楽に傾倒し、抒情性を持った物語音楽としての「おとぎ話」というジャンルを開拓しました。ロシア革命後の社会に失望し、1921年にロシアを離れてベルリン、パリで活動したのち、1935年にイギリスに渡り高い評価を受け、「メトネル協会」が設立され、自作自演の録音も行われました。そのロンドンで1951年に没しました(71才)。コンサートプログラムは、メトネルが深く敬愛していたラフマニノフ「楽興の時」op.16から始まり、1番は幻想的な雰囲気の中、深く響くメロディーが心に染みて、即興的な部分の音色にも輝きがありました。3番は重厚な深い響きと重苦しいリズムの中、音楽が静かに進んでいきました。4番はどんどんと盛り上がっていく情熱的な演奏。続いてはラフマニノフのプレリュードop.32。9番はうごめく低音が印象的。10番は静かに始まり、和音が重なって高まりに導かれていきました。11番は心地よいリズムに乗って穏やかな気持ちになりました。12番は、どこに急いでいるのか?高音が冷たい冬の空気を感じさせました。13番はラフマニノフ的な響きが美しく、高まる緊張感が素晴らしかったです。
 休憩を挟んでいよいよメトネルの「忘れられた調べ」op.38。2「優美な踊り」はラグタイム調。明るい響きとしゃれた和音の響きが印象的。3「祝祭の踊り」は祝祭感あふれる和音が、ワクワクしてくるような明るい音で表現される。ラフマニノフ的な響きや、技巧的なピアノが鳴り響きました。6「夕方の歌」は懐かしい気持ちにさせる音色が夢の世界に誘ってくれました。レヴィタンの絵画「夕べの鐘」のイメージだそうです。7「森の踊り」は、様々な技巧的な音が面白く、最後の音がいつまでも心に残りました。Op.40、1「歌と踊り」は、とりとめのない切ないメロディーが不思議な気持ちにさせる。風を感じる響きも美しい。3「花の踊り」は幸福感あふれるメロディーで始まり、ときめきました。5「波の踊り」は、カンディンスキーのメトネルへの想いが音となって出てきたような印象を受けました。高音の硬質な響きと低音の柔らかな響きが相まって独特な世界観が表現されていました。この日は、メトネルの大作、「ソナタ夜の風」op.25-2も演奏されました。芸術と真摯に向かい合ったメトネルと、誠実な演奏家カンディンスキーの2人の人柄が重なり合ったコンサートを聴いて、とても清々しい気持ちになりました。
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■2021年11月16日■

イリーナ・ぺレン、マラト・シェミウノフがコロナ禍で来日・出演
「日露芸術美の饗宴」バレエガラコンサート開く

 11月16日午後6時30分から渋谷区のさくらホールで「日露芸術美の饗宴」バレエガラコンサートが開催されました。ミハイロフスキー劇場バレエ(旧レニングラード国立バレエ劇場)のプリンシパルダンサーのイリーナ・ぺレン、マラト・シェミウノフが中心のこの舞台に、特別ゲストで能楽師・大倉正之助が出演、佐々木美緒・杉木友里・鎌田真帆・根岸芙矢・三好梨生ら日本バレエ界で活躍するダンサーが盛り上げました。とくに、ペルミバレエ卒業の池田剛志、ワガノワバレエアカデミー留学の山田悠貴・豊田遥夏、チャイコフスキー記念サンクトペテルブルクバレエ団の岩井茉莉奈、ノボシビルスクバレエ学校留学の住谷茉奈実、クラスノヤルスクオペラバレエ劇場研修の逸見優らがロシアバレエで学んだ表現力豊かな演技を披露していました。

強靭なテクニック、優雅な舞で観客を魅了――仙場真理
 ミハイロフスキー劇場プリンシパルダンサーのイリーナ・ペレンとマラト・シェミウノフによるバレエガラ『日露芸術美の饗宴』は、第1部チャイコフスキー礼賛、第2部2020文化プロジェクト日露芸術交流プログラム、第3部ガラコンサートの3部構成。特に興味を持ったのは、第2部の能楽師、大鼓奏者重要無形文化財総合指定保持者、文化庁日本遺産大使大倉正之助氏の大鼓演奏だ。静まり返った大ホールの空気を突き刺すかのような鋭い高音が会場を一気に神聖化させた感じ。そして大倉氏の演奏がペレンとシェミウノフ踊るラヴェル曲『ボレロ』に日露芸術美の華を飾った。
第1部の最初の演目『レインボウ スワンレイク ジャパンプレミア』は、サンクトペテルブルクにおけるペレンとシェミウノフの活動(”IM” CHARITY FOUNDATION)で、入院中の子どもたちや、医療従事者等が眺めることができるようにと病院の駐車場や学校等で踊るバレエ。“レインボウスワン”達が舞台に登場したが、オデットと王子の登場はホログラムだったので、会場は不思議な雰囲気に包まれた。間もなくして、「本物」の登場に拍手喝采。強靭なテクニックと表裏一体に、見る人の心がいつまでも忘れられない深みのある表現を持つペレンは長い手脚を優雅に操り、安定感のある表情豊かなオデット役で観客を魅了した。第2部のミヨー曲『青列車 ジャパンプレミア』では、シェミウノフの見事なアクロバティックダンスに学ぶ舞台上の若い日本人ダンサー達も多かったはずだ。コンサート最後の演目、ハチャトゥリヤン曲『スパルタクス』クラッススとエギナのアダージョでは、シェミウノフが片手で高いリフトを繰り返し見せたかと思うと、ペレンが全身でシェミウノフの体にまとわりつく官能的なベテランの演技に皆が息をのんだ。
最後には出演者一人一人が感謝の気持ちを込めて紙飛行機を観客に向かって飛ばした。それに呼応するかのように観客は更に大きな拍手をいつまでも送っていた。皆の心に日露交流のあたたかい灯が点じられたようだ。
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■2021年10月23日■

アレクサンドル・ラザレフ圧巻の指揮、そして演出!
音楽的表現やダイナミックレンジの幅の広さに圧倒
洞察力に富んだ、情熱的演奏の福間洸太朗

 日本フィルハーモニー交響楽団、第734回東京定期演奏会が、2021年10月23日サントリーホールにて行われました。指揮は、コロナの制限下来日したロシアを代表する指揮者の一人アレクサンドル・ラザレフ[桂冠指揮者兼芸術顧問]。今回は外国人アーティスト招聘に伴うルールの関係で、指揮者のラザレフが先にステージに入り、後から楽団員が入り、演奏後は先に団員がステージを去ってから、ラザレフが去るという方法を取り、舞台上の並びもイレギュラー、正面席前から4列を空けての徹底した感染対策を取った上での開催となりました。前半はリムスキー=コルサコフの音楽、〈金鶏〉組曲とピアノ協奏曲。〈金鶏〉は最晩年に書かれた歌劇で、プーシキンの民話詩「金のにわとりのお話」を舞台化したもの。今回は演奏会用組曲としてまとめられたものが演奏されました。
 約15分のピアノ協奏曲のソリストはモスクワ・フィルと共演したこともある福間洸太朗。2曲とも日本で演奏されることが極めて珍しいプログラム。リムスキー=コルサコフの色彩的で客観的な作風が、ラザレフの緻密でエネルギッシュな表現ととてもマッチしていました。福間洸太朗の洞察力に富んだ、華やかで情熱的な演奏も作品を一層引き立てました。
 後半のショスタコーヴィチの交響曲第10番は、要望も多く満を持してのプログラム。スターリンの影や自身のイニシャルから取ったDSCHの音型が隠れている謎めいた作品。ラザレフは晩年のショスタコーヴィチから教えを受け、伝統も受け継いでいる指揮者です。音楽的表現やダイナミックレンジの幅の広さに圧倒され、音楽がどんどん突き進んでいく中、フルートの瑞々しく生き生きとしたフレーズが今も心に残っています。日フィルの弦の響きも素晴らしく感動を覚えました。ラザレフは、自ら一番最初に拍手してしまったり、観客にもっともっとと拍手を要求したり、団員にも要求したり、福間洸太朗がアンコールでグリンカの「ひばり」を弾き始めた時も、両手をパタパタさせたり、指揮とは違う一面を見せてくれてホール全体が温かい気持ちと拍手で包まれ、聴衆と団員に愛されている指揮者だということがしみじみと感じられた演奏会となりました。(佐野真澄){撮影=山口敦}
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■2021年10月12日■

精力的にイリヤ・イーティン ピアノリサイタル開く
バッハからラフマニノフへ 意欲的独創的演奏

 10月12日、東京文化会館小ホールにおいてイリヤ・イーティンピアノリサイタルが開かれました。今回は“バッハからラフマニノフへ”をテーマに、バッハ「パルティータ」第6番ホ短調BWV830,「ラフマニノフ/ピアノの為の無伴奏ヴァイオリン パルティ―タ第3番ホ長調よりプレリュ―ド、ガヴォット、ジークBWV1006、ラフマニノフ「絵画的練習曲作品39」を独創的に演奏し、感銘を与えました。

新しい発見、心揺さぶられるコンサートーー佐野真澄
 2021年10月12日、東京文化会館小ホールにて、イリヤ・イーティンピアノリサイタルが行われました。コロナ禍で座席数半分ではありましたが、ほぼ満席。プログラムはバッハ作曲パルティータ第6番、バッハ作曲ラフマニノフ編曲ピアノの為の無伴奏ヴァイオリンパルティータ第3番より、ラフマニノフ作曲絵画的練習曲作品39。使用ピアノはYAMAHA CFX。パルティータ第6番の1曲目トッカータは、ブリリアントな音で始まり、即興的要素の入った軽やかな演奏。フーガは流れの中に嘆きのモチーフが見え隠れする。アルマンドは独特のテンポ感。1音1音というよりフレーズのまとまりで音楽が進んでいきます。コレンテはとにかく速い。そのテンポだからこそ見えてくるものがありました。エールはメリハリのはっきりした演奏。サラバンドはチェンバロのかき鳴らすような響きが印象的。テンポ・ディ・ガヴォットはとてもリズミカルで、低音のテーマが美しい。ジーグはたたみかける複雑なリズムと響きがホールの空間を埋め尽くしました。ラフマニノフ編曲の2曲目のプレリュードはピアノのための編曲がとても素敵でした。ガヴォットはかわいらしい編曲と演奏。ジーグは和音の響き方が興味深かったです。休憩後の「音の絵」のⅠは良く知っている曲なのに、構成や音の作りによって全く違う曲のように聞こえました。Ⅱは美しい高音と目の覚めるような和音が特徴的。Ⅲはまるで現代曲のよう。Ⅳはとても自由な作り。Ⅴもよく知られた曲ですが新しい発見がいたるところに散りばめられていました。Ⅵは暗い和音に不安を掻き立てられました。Ⅶはペダルの使い方が効果的。Ⅷはラフマニノフとイーティンのコラボレーションのように聞こえました。Ⅸは張りつめたものが一気に放出されたようなエネルギッシュな演奏。プログラムが進むにつれて、気が付くとイーティン独自の世界に引き込まれていました。ぜひまた聞いてみたいピアニストの、心揺さぶられる素晴らしいコンサートでした。
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■2021年10月9日■

コロナ禍で世界の旬なダンサーたちが踊る奇跡の舞台
ロシアバレエの美神を見た!
完璧なクラシックバレエの美しさを堪能

 光藍社招聘・主催の「バレエの美神2021」は、10月9日午後と夜、10日に東京国際フォーラム、11日東大阪市文化創造館で開催され、ボリショイバレエ、ミハイロフスキーバレエ、モスクワ音楽劇場バレエを中心に、サンフランシスコバレエ、イングリッシュ・ナショナルバレエ、オランダ国立バレエから12名のダンサーが出演しておこなわれました。コロナ禍に負けないで、バレエ芸術を追求するダンサー達と観客の忘れられない公演となりました。(写真提供=光藍社)

圧巻の演技、美しい演技に鳴りやまぬ拍手――仙場真理
 ボリショイ・バレエのエレオノーラ・セヴェナルドとデニス・ロヂキンの『眠りの森の美女』パ・ド・ドゥに観客は一気に引き込まれた。優雅なラインも、高度な技術も芝居の一部に過ぎないと感じさせる圧巻の演技。『スパルタクス』よりアダージョではフリーギア役がレパートリーの中でも特に好きだと語るセヴェナルドはハチャトゥリヤン曲の雄大さを全身で表現。ロヂキンは理屈抜きに観客を酔わせるダンサーだ。『バヤデルカ』よりニキヤのソロを踊ったボリショイ・バレエのアリョーナ・コワリョーワに先ず目を引かれるのはスタイルの良さだ。悲しみに暮れるニキヤの役作りは、あどけなさの残る素顔のコワリョーワからは想像もつかない存在感があった。ロヂキンとの『白鳥の湖』より黒鳥のグラン・パ・ド・ドゥの中にも、モスクワ音楽劇場バレエのデニス・ドミトリエフとの『ライモンダ』よりアダージョの中にもロシアバレエの美神(ミューズ)を見た思いがした。イングリッシュ・ナショナル・バレエのナターシャ・マイヤーとオランダ国立バレエのヤコブ・フェイフェルリックの踊る『ルミナス』では急緩取り交ぜたしなやかな動きが、『シルヴィア』よりパ・ド・ドゥでは2人の可憐で軽やかな演技の余韻が、脳裏を離れない。サンフランシスコ・バレエの倉永美沙とアンジェロ・グレコの『ハーモニー』では、倉永の確かなテクニックと共にアドリブを排除した完璧なクラシックバレエの美しさを堪能。グレコの情熱的な動きも倉永の繊細なラインを一層引き立てた。『ジゼル』よりパ・ド・ドゥでは、切なさを表現した演技に拍手が鳴り止まなかった。ミハイロフスキー劇場バレエのアンジェリーナ・ヴォロンツォーワとニキータ・チェトヴェリコフによる『ウィズアウト・ワーズ』では鍛錬された肉体の美しい動きを存分に楽しめた。『ドン・キホーテ』では、ヴォロンツォーワの演技が拍手のたびに輝きを増し、観客は舞台との意思疎通を楽しんだ。
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■2021年10月9日■

2021年2回目(秋)のベリャコーヴィチ演出の「マクベス」公演
劇団東演とモスクワのユーゴザパド劇場の合同公演
コロナ禍で中国、四国、関東、東京29都市で好評巡演

 モスクワのユーゴザパド劇場と提携し、ワレリー・ベリャコーヴィチ演出の「どん底」「ハムレット」「検察官」を成功させてきた劇団東演は、3年連続「マクベス」公演を上演、コロナ禍でことし春の公演に続き秋の公演を10月9日から12月22日まで開催します。ベリャコーヴィチ追悼の気持ちをこめて現・芸術監督O・レウシンらと東演が総力をあげて魅力的な舞台を創りあげています。公演は米子、松江、鳥取、出雲、福山、柳井、周南、広島、安佐南、西大寺、倉敷、玉島、岡山、高松、松山、高知、藍住町、徳島、松戸、板橋、千葉、福生、王子、四街道、船橋、さいたま、練馬、町田、東京・池袋で開催されます。
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■2021年9月10日■

生誕70年、アレクサンドル・ソク―ロフ監督特集2021開催
ロストロポーヴィチ演奏の「モスクワ・エレジー タルコフスキーに捧ぐ」
ワレリー・ゲルギエフ指揮・音楽の「エルミタージュ幻想」
モーッアルト・ベートーヴェン・武満徹ら音楽の「精神の声」
話題・異色作「太陽」―――永遠の人気作4本上映

 独創的で想像力あふれる力作ぞろいのアレクサンドル・ソク―ロフはこの6月14日で70歳を迎えました。今回は、ロシアが世界に誇るアンドレイ・タルコフスキ-に捧げる「モスクワ・エレジー」、タジキスタン内戦に派遣されたロシア軍の若き兵士を描く「精神の声」、ワレリー・ゲルギエフが特別出演する「エルミタージュ幻想」、イッセイ尾形らが出演する20世紀の権力者を描く「太陽」などエポックメイキング的な4本が上映されました。
 9月10日~30日東京・UPLINK𠮷祥寺、9月24日から京都・UPLINK京都、続いて神奈川・川崎市アートセンター、愛知・シネマ・スコーレ、大阪・シネ・ヌーヴォ、沖縄・桜坂劇場で上映されます。
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■2021年9月9日■

カレン・シャフナザーロフ監督映画祭2021開催
「アンナ・カレーニナ ヴロンスキーの物語」「ホワイトタイガー」に人気
感動の「ジャズメン」「ゼロシテイ」―“面白かった”と語る観客
来年は「失われた帝国」「満月の夜」「皇帝暗殺者」「蒼ざめた馬」上映

 緊急事態宣言が続く新型コロナ禍の下で、カレン・シャフナザーロフ監督映画祭2021が東京・浜離宮朝日ホール小ホールで9月9日、10日と2日連続で開催されました。上映されたのは、最近作「アンナ・カレーニナ ヴロンスキーの物語」「ホワイトタイガー ナチス極秘戦車・宿命の砲火」、ペレストロイカ期の注目作「ジャズメン」「ゼロシテイ」の4本。セルゲイ・エイゼンシュテインやアンドレイ・タルコフスキーを輩出したヨーロッパ最大の映画製作スタジオ「モスフィルム」とパンドラの協賛で行われました。(写真撮影=丸山英樹)

シャフナザーロフ節が炸裂するーーー杉浦かおり
 才気あふれる映画人が監督と脚本を兼ねることは珍しくないし、そのうえ実務に長けてプロデューサーまで務める例もままある。けれど映画会社の代表として数多のスタジオを統括し、新作映画の製作から旧作の管理や修復、配信など新時代に即したサービスまで提供して傾きかけた巨大企業の経営を安定させる敏腕の「人民芸術家」なんて他にいるだろうか。しかも監督業を引退するどころか、老舗撮影所の設備や道具を披露する見本帳めいた時代物の自作品を精力的に撮りながら。そんなロシア映画界の重鎮シャフナザーロフ監督の近作2本と、ソ連時代のヒット作2本がデジタルリマスターで上映された。
 2012年の『ホワイトタイガー』は、独ソ戦を監督独自の視点で切り取り、ヨーロッパと距離を置く現代のロシアを孤軍奮闘する無名兵士になぞらえた寓話で、邦題に添えられた「ナチス極秘戦車・宿命の砲火」というベタな副題も見れば納得。
 最近作『アンナ・カレーニナ ヴロンスキーの物語』2017年は、トルストイの原作に日露戦記の文学を接ぎ木した愛の後日譚。テレビシリーズとして製作された長編ドラマの劇場版で、辺境の戦火を背景に、親を喪った息子と、昔その子から母を奪った男が対峙する。回想シーンで繰り広げられる帝政ロシアの華やぎと奈落、ことに競馬場や劇場の場面はモスフィルム文芸大作の伝統を感じさせる。
 1983年の出世作『ジャズメン』は革命直後のオデッサを舞台に、ソ連ジャズの黎明期がユーモラスに軽やかに、ほろ苦く描かれる。自由を渇望しながら、権威からの承認を求める主人公の姿は、ペレストロイカ前夜の社会の反映でもあるだろう。
 カフカ的な不条理劇として公開当時日本でも話題になった1988年の『ゼロ・シティ』は、ソ連邦解体直前の混迷と閉塞感を、追いつめられ名前を奪われる平凡な主人公に託した社会派ブラックコメディにして堂々たるエンターテインメント。唐突に奏でられるジャズ、フラッシュモブの先駆けのような演出、壮大過ぎて笑うしかないフェイクで郷土の歴史を糊塗する博物館など、映画でしか語りえないシャフナザーロフ節が炸裂する。
 これを機に日本未公開の旧作も紹介されれば…と願う充実のプログラムだ。
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■2021年8月31日■

RUSSIAN BALLET GALA―ロシア・バレエ・ガラ2021開催
ミハイロフスキー、マリインスキー、モスクワ音楽劇場らが万難排し来日
「眠れる森の美女」「白鳥の湖」「くるみ割り人形」―高度な技術に満足
新型コロナ禍で2週間隔離、PCR検査などのりこえて実現!

 新型コロナウイルス感染拡大防止のために、政府厚労省の指示に基き、招聘元の光藍社は、2週間隔離制限やPCR検査など大変な努力を行い、8月17日福岡公演を皮切りに13回公演をすべて成功理に開催実現しました。第一部は華やかな踊りが次々と繰り広げられる「パキータ」、第二部は有名クラシックバレエの作品を堪能することができる楽しい企画。ミハイル・ヴェンシコフ芸術監督、マクシム・マリーニン舞台監督の下、マリインスキーバレエのアンドレイ・エルマコフ、元マリインスキーバレエのオクサーナ・ボンダレワ、二カ・ツフヴィタリア、ヴィタリー・アメリシコ、ミハイロフスキー劇場バレエのイリーナ・コシェレワ、モスクワ音楽劇場バレエのラウラ・フェルナンデス、直塚美穂、バイエルン国立バレエのニキータ・キルビトフが集結、ダイナミックで、個性あふれる踊りで魅了しました。(写真提供・光藍社、撮影=瀬戸秀美)

正統派ロシアバレエを楽しむーー仙場真理
 先ずは、直塚美穂の『眠れる森の美女』第1幕よりローズ・アダージョ。軽やかに、可憐に、生まれたばかりの小鹿の様な直塚のステップは、観客を一気にロシアバレエの世界に引き入れ、全幕を見たような感動を与えた。ボリス・ジュリーロフとの『タリスマンのグラン・パ・ド・ドゥ』では、直塚の高度な技術と演技力をジュリーロフのダイナミックな跳躍と素早い正確な回転が支え、見ごたえ十分な演目だった。
 リムスキー=コルサコフ曲『シェヘラザード』アダージョと『ドン・キホーテ』第3幕よりグラン・パ・ド・ドゥを演じるのは、オクサーナ・ボンダレワとアンドレイ・エルマコフ。シェヘラザードの無表情に、しなやかに王に語り掛ける動きは妖艶そのもの。悲しみを内に秘めた命がけの踊りを見事に演じたボンダレワには、ブラボーの代わりに割れんばかりの拍手。『ドン・キホーテ』では超絶技巧のオンパレード。ベテランならではの味を十分に堪能できた。
 『白鳥の湖』第2幕よりアダージョと『ライモンダ』第2幕よりアダージョを、イリーナ・コシェレワとミハイル・ヴェンシコフがクラシックバレエの王道で観客を酔わせた。特に『白鳥の湖』は、ガラコンサートで表現するのは難しい演目にもかかわらず、ベテランのテクニックと優れた演技力で心のやり取りまでもが聞こえてくるようだった。
 『人形の精』よりパ・ド・トロワは、閉店後のおもちゃ屋の人形たちをコミカルに表現した演目。愛らしいフランス人形を演じたラウラ・フェルナンデスのバレエが初々しく、キャラクターを見事に演じていた。ジュリーロフの表現力は期待を裏切らなかった。『くるみ割り人形』第2幕よりパ・ド・ドゥではニキータ・キルビトフと踊り、正統派ロシアバレエを余すところなく楽しませてくれた。
 国家が育てる人材によって演じられるロシアバレエ芸術の真価を日本人が受け止め、評価し、そして楽しむ。この先の日露交流の発展が楽しみになったコンサートであった。(2021年8月31日J:COMホール八王子公演)
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■2021年7月27日■

ユーリー・コジェバートフ バレエ名曲メドレー演奏
三井迎賓館でカラフル・ロシア・ガラコンサート開く

 7月27日、東京港区の綱町三井倶楽部(三井迎賓館)においてロシア・カラフルコンサートが開催されました。緊急事態宣言が発出され台風8号が接近するさ中でしたが、マリインスキー歌劇場で長年ピアノ演奏を担当していたユーリー・コジェバートフがチャイコフスキーなどバレエ名曲を変幻自在に素敵に演奏したコンサートでした。

印象に残る変幻自在のピアノ演奏――佐野真澄
 ユーリー・コジェバートフが軽やかにチャイコフスキーのバレエ曲メドレーを演奏して始まり、続いてバレエダンサーの佐々木美緒がロシアの美しい民族衣装をまとって登場し、ユーリー・コジェバートフと「白鳥の湖」よりロシアの踊りを共演しました。次に、ショパンのワルツ作品64-2をしっとりとピアノソロで演奏した後、ソプラノの川端みきと1,グノーの「ロミオとジュリエット」より、ジュリエットのワルツ、私は夢に生きたい、2,J.シュトラウスの喜歌劇「こうもり」より、アデーレのアリア、侯爵様 あなたのようなお方は、3,ジーチンスキーのウィーン、わが夢の町、の3曲を共演しました。川端みきの笑顔は会場を明るくし、軽やかな、心から湧き出る歌声は心地よく耳に響きました。後半のコンサートは、ユーリー・コジェバートフの演奏するラフマニノフの前奏曲「鐘」Op,3-2で始まりました。中間部の細かな鐘の響きがロシアを想わせます。続いて、今度はフルートの綱川泰典の登場。1,モンティのチャールダッシュ、2,ハチャトゥリアンの「スパルタクス」より、アダージョ、3,「ガイーヌ」より、剣の舞、の3曲を共演しました。綱川泰典は、美しい響きの他に、フルートならではのアレンジあり、口笛あり、独特の奏法ありで、楽しませてもらいました。最後の1曲はサン=サーンスの瀕死の白鳥。佐々木美緒が白鳥の衣装で屋外のガラス越しにバルコニーから登場して、傷ついた白鳥の儚さと、息を飲むような美しさで会場を包み込みました。今日のコンサートでは、ユーリー・コジェバートフの変幻自在のピアノの演奏がとても素晴らしく印象に残りました。
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■2021年7月24日■

ミハイル・カンジンスキーのピアノリサイタル
サン=サーンスをナチュラルな響きで演奏
自作自演、本邦初演の「ノクターン アラ・ファンタジア」

 モスクワ音楽院首席卒業のミハイル・カンディンスキーのピアノリサイタル“モスクワの風”#2が、7月24日トーキョーコンサーツ・ラボで開かれました。12時30分からはサン=サーンスの作品を連続的に演奏し感銘を与えました。15時からの2回目の公演では聴衆リクエストによるスペシャルコンサートで、ドビュッシー、ラヴェル、サン=サーンスの作品が演奏され充実したユニークなコンサートとなりました。(写真撮影=丸山英樹)

厚みのある音が印象的で素敵な演奏会――佐野真澄
 サン=サーンス没後100年記念ということで、サン=サーンス中心のプログラム。1曲目のバッハ作曲のシンフォニア ト長調はどの声部も温かみのあるナチュラルな響きが印象的でした。あまり演奏される機会のないサン=サーンス作曲6つのエチュードのOp.52、第1番「プレリュード」は厚みのある音が印象的、第2番「指の独立のために」は絶妙な音のバランスでしみじみと響き、第5番「プレリュードとフーガ イ長調」は和声の変化が美しく、フーガの声部の重なり合い方が、まるで羽に包まれているような不思議な感覚でした。左手のための6つのエチュードOp.135、第5番「エレジー」は、上品で温かい印象、サンサーンス作曲リスト編曲「死の舞踏」は突き刺さるような毒気のある音やユーモアが表現されて、最後は盛り上がりを見せました。休憩後は自作自演、本邦初演の「ノクターン アラ・ファンタジア」から始まりました。コロナ禍で家にいた時に、子どもの頃を想って作曲されたそうで、ラフマニノフやスクリャービン、チャイコフスキーやリャードフを思わせるメロディーも出てきて、耳に心地よく楽しめました。「動物の謝肉祭」より白鳥は、ジロティ編曲のもの。伸びのいいバスの音にバランスよくメロディーが響き、さわやかな風が吹き抜けていったような印象でした。最後は、サン=サーンス作曲ヴァイオリンソナタ第1番Op.75。伸び伸びとした上野真理のヴァイオリンをピアノがしっかりと支えて、息も合っていて、ユニゾンが続くところは圧巻で華やかに終わりました。サン=サーンスの音楽の魅力を感じさせてもらえた素敵な演奏会でした。
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■2021年7月16日■

「北海道―北の海への道」「信頼への道―日本のなかのロシア人」2本上映
ショジエフ国際財団代表挨拶、ピョートル・ポダルコ教授が講演
コロナ禍で「日本のなかのロシア」講演と映画の集い開く

 7月16日午後2時、、ロシア人の監督・脚本による2本のドキュメンタリー映画が上映されました。緊急事態宣言が発令される中で、マスク完全着用、手の消毒、検温、座席両隣を空席にするなど新型コロナウイルス対策を万全にして行われました。インターネットミュージアム「日本のなかのロシア」制作チームの佐野真澄のMCですすめられ、最初にロシア文化フェスティバルテーマソング「ヤポーニヤ&ロシア」(中村初恵歌)が会場に流れ、ユーリャ・ストノギナ=ショジエフ国際財団日本支社アドバイザーが挨拶、財団の概要と活動を紹介しました。続いてピョートル・ポダルコ=青山学院大学教授が、「私の見た日本の中のロシア」と題して講演し、日露姉妹都市交流、亡命ロシア人の来日、夏目漱石・芥川龍之介とロシア文學などについて述べたあと、「1916年頃、ドストエフスキー全集が日本で発行されたのは特筆すべきこと」を指摘、東京五輪で聖火リレーが行われ、ト―チカというロシア語が日本語として使われているなど歴史と生活の中にロシアが深く浸透していることを述べました。講演のあと、表記2本のドキュメンタリ―映画(M・キレ―エヴァ監督、A・パノフ脚本)が上映され、感銘を与えました。(撮影=丸山英樹)
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■2021年7月9日■

東京五輪直前、ロシアスポーツ映画祭2021開催
「おおスポーツよ、君は平和だ」「バスケ、より高く!」ら3本上映

 7月9日、東京・浜離宮朝日ホール小ホールにおいて、ソビエト・ロシアの傑作スポーツ映画3本を一挙上映しました。エレム・クリモフ監督の「スポーツ、スポーツ、スポーツ」、ユーリ・オゼロフ、ボリス・リュチコフ、フョードル・ヒトルク3監督による「おおスポーツよ、君は平和だ」、アントン・メゲルジチェフ監督の「バスケ!より高く」を上映、観客に感動を与えました。この日も新型コロナウイルス対策をきびしく実施し、手の消毒、検温、座席の両隣りを禁止にして開催されました。(写真撮影=丸山英樹)
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■2021年7月1日■

ロシア文化フェスティバル・スペシャル「日露地域姉妹都市交流年記念コンサート」開催
ガルージン駐日ロシア連邦大使、安倍晋三・日本組織委員長(前総理)が挨拶
日ロ音楽家10組18人がポップスとクラシックでコラボする初の舞台盛り上がる

 2021ロシア文化フェスティバル・スペシャル=日露地域・姉妹都市交流年記念コンサートは、7月1日午後5時30分から銀座ブロッサムで開催されました。新型コロナウイルス禍で、主催スタッフの陰性確認、入場者全員の検温、会場定員の50%で座席の両隣りを空けて、防止対策を撤底して行われました。ロシア文化フェスティバルのテーマソング「ヤポーニヤ&ロシア」を中村初恵(ソプラノ)が独唱してスタート、NHKなどで活躍するエカテリーナ(歌手)が「モスクワ郊外の夕べ」、日露デユオNATSUKI&VITALYが「ガリー・ガリー・マヤ・ズベズダー」などを熱唱、一転してオペラ歌手のヴィタリ・ユシュマノフはラフマニノフの歌劇「アレコ」、チャイコフスキーの歌劇「イオランタ」から堂々とした声量で愛の歌を歌いあげました。フルートの福島明佳がハチャトリアンの作品を優美に、そしてリズミカルに演奏、木曽真奈美は素敵な衣装でダイナミックな「展覧会の絵」を、チェロのドミトリー・フェイギン、ピアノのイリヤ・イーチンは共に情感あふれる演奏をして感銘を与えました。ラストはレコード大賞などを受賞し国民的に知られる加藤登紀子による「百万本のバラ」の歌声と川西宏明による「ロシア国歌」演奏で終演しました。日露音楽家による初めてのポップスとクラシツクのコラボレーションは参加者に感動を与え、大成功をおさめました。
 挨拶したガルージン大使は、「本フェスティバルは両国民間の精神的な絆の深さと堅固さを具体的な形でしめすもの」と指摘、安倍晋三委員長は「地域どうし、文化藝術を通じた交流の前進は両国関係の強い絆を発展させていく」とのべました。(撮影=丸山英樹)

ロシア音楽を堪能した一夜――美山紅葉
 オープニングは、ロシア文化フェスティバルのテーマ曲「ヤポーニヤ&ロシア」。中村初恵の思いのこもった歌声と、ユリア・レヴのピアノで始まりました。コンサートのトップはロシアの歌姫エカテリーナ。ピアノの山下淳と、サックスとフルートのつづらのあつしと共に「モスクワ郊外の夕べ―ふるさと」を歌いました。カラフルな帯を使った衣装がライトに映えて、「異邦人」では観客の手拍子も入って、早くも盛り上がりを見せました。続くフルートの福島明佳は、ハチャトゥリアンのバレエ音楽、「スパルタカス」より「アダージョ」と、「ガヤネー」より「剣の舞」を披露しました。伸びやかなフルートの音色と、有名曲を、篠宮久徳のピアノと共に楽しませてくれました。次に、さわやかに手を振って登場してきたNatsuki&Vitalyはフレッシュな日露デュオ。有名なロシアのロマンス「ガリー・ガリー・マヤ・ズベズダー」と、ロシアテレビドラマのテーマソング「素敵な未来」と、「ありもしない街」をエレキギターのサウンドと共に、ロシア語と日本語で歌いました。地球をプリントした衣装も印象的でした。そして、いよいよロシア人バリトンオペラ歌手ヴィタリ・ユシュマノフ登場。ラフマニノフ作曲、歌劇「アレコ」より「アレコのカヴァティーナ」と、チャイコフスキー作曲、歌劇「イオランタ」より「ロベルトのアリア」の、愛の喜びや悲しみを、深みのある素晴らしい声で歌い上げ、深く心に響きました。表現力豊かな山田剛史のピアノも魅力的でした。次の木曽真奈美は、ムソルグスキー作曲「展覧会の絵」の終曲「キエフの大門」をピアノ独奏で熱演し、存在感のある華やかな赤のドレスで会場を一気に沸かせました。続くチェロのドミトリー・フェイギンとピアノの新見フェイギン浩子のデュオは、ラフマニノフ作曲の「ヴォカリーズ」を演奏。チェロとピアノの絡み合うメロディーが高揚感を誘い、クライマックスに到達し、余韻の中に消えていくメロディが本当に美しかったです。ショスタコーヴィチ作曲の「スケルツォ」は、息の合った演奏で独特の世界に引き込まれました。さらにロシア人演奏家が続き、ピアノのイリヤ・イーティンがラフマニノフ作曲「絵画的練習曲op.39」より「第5番」と「第9番」を演奏。大胆で繊細、大きな起伏に富んだロシアのダイナミズム溢れる迫力のある音を会場に響かせました。プログラムの最後は加藤登紀子。ロシア歌謡の「悲しき天使」と、自身の訳による「百万本のバラ」を、ロシアの大地から湧き上がってくるような素晴らしい声で熱唱し、会場が1つになりました。共演のバラライカは北川翔。哀愁漂う響きが心をロシアに連れて行ってくれました。クロージング曲は「ロシア連邦国歌」のピアノ演奏。川西宏明が、自身の華麗なピアノアレンジを披露して、今日の日露地域交流年記念コンサートを締めくくりました。スペシャルという名にふさわしく、日露両国のアーティストたちによるクラシックあり、ポップスありの盛りだくさんのコンサートで、久しぶりにホールでロシアの音楽を聞くことができて大満足でした。司会の金子奈緒も親しみがあってとても良かったです。

M.Y.ガルージン駐日ロシア連邦大使の挨拶
 尊敬する安倍閣下!尊敬するオーガナイザーの皆様、本日のコンサートに出演するアーチストの皆様!親愛なる同僚諸君、友人の皆様!
毎年恒例のロシア文化フェスティバルIN JAPANの開会にあたり皆様にご挨拶することができ、心より嬉しく存じます。初めに、フェスティバル日本組織員会委員長の任を引き受けて下さいました安倍先生に深い感謝の意を表明させていただきます。これは私達にとって非常に大きな名誉なのです。何故なら、最近のほぼ10年間の露日協力における確固たる進歩は、安倍先生のたゆみなきご努力の結果であり、2012-2020年に内閣総理大臣として安倍先生がロシア連邦プーチン大統領と行った定期的・建設的対話の結果だからです。
フェスティバルはここ日本で既に16回目を迎えております。長年に亘るフェスティバルが日本の広い地域をカバーしていることに注目しております。2006年の開始以来、フェスティバルの諸行事は日本の全47都道府県で実施されており、観客数は既に1800万人以上に達しております。このような数字は、日本人がロシア文化に敬意をもって接し、非常に深い関心を抱き、我が国との善隣関係を築こうと切望していることを示す一目瞭然の証明であります。
今回のフェスティバルは露日地域・姉妹都市交流年との密接な連携・調整の中でオーガナイズされています。二国の文化交流が、コロナウイルス感染症に起因する今日の厳しい状況の中でさえ一貫して継続されていることに満足しております。これは露日関係全般の前進という観点からも、地球規模のコロナ感染症との闘いでは共同の努力が不可欠であるという文脈においても極めて重要です。
フェスティバルのプログラムには100以上のイベントがあり、既に全国で実施されております。日本の観客がロシアの劇場の俳優、音楽家、バレエ・スター、サーカス団や民族舞踊・民謡アンサンブルを暖かく迎えている様子が非常に印象的です。様々な県や市で一年を通じて有名な画家の展覧会、劇映画やドキュメンタリー映画の上映が行われます。例えば、イーゴリ・モイセーエフ記念国立アカデミー民族舞踊アンサンブル、N.カサトキナ・V.ワシリョフ・モスクワクラシックバレエ劇場、サンクトペテルブルグ国立アカデミーバレエ劇場、サンクトペテルブルグ室内楽団『ジベルチスメント』といった著名な芸術家集団が日本で自分達のプログラムを披露致します。
このように大規模であり、見事にオーガナイズされた交流事業は、露日関係の地盤強化に大きな意義を持っており、露日国民間の友好、信頼、相互理解の増進を促すものです。ロシア文化遺産の非常に多くが日本人の魂に響き、鮮烈な反響を引き起こしております。つまり本フェスティバルは両国民間の精神的な絆の深さと堅固さを具体的な形で示すものであり、日本の友人の皆様がロシアに関する知識を広げる上で役立っているのです。
組織委員会幹部の皆様、第一に委員長の安倍先生、副委員長の栗原様、そして常任事務局長の長塚様に、スケールの大きな準備作業をしてくださっていることに対する感謝の気持ちを表明致します。フェスティバルに参加する芸術家には公演の成功を、観客の皆様には鮮烈で忘れられない印象を衷心より祈念致します。

安倍晋三・日本組織委員会委員長の挨拶
 みなさん、こんばんは。安倍晋三でございます。ロシア文化フェスティバルIN JAPAN開催にあたりまして、コロナ禍の中大変なご尽力をいただいた関係者のみなさんに、この場をもって敬意を表したいと思います。また、コロナウイルス感染防止対策をしっかりと行いながら、今日開催させていただきましたが、ご来場いただきましたみなさまに御礼を申し上げたいと思います。今日はガルージン大使と一緒に出席させていただきました。ガルージン大使は、かつて重要な祝賀会談の通訳を務められた方で、日本語はパーフェクトなんですが、今日はどういう訳かロシア語で話をしておりました。私は、今年の1月に組織委員会の委員長を拝命をいたしました。それまでずっと長い間、委員長を務めて来られた高村正彦前自民党副総裁に、まずお礼を申し上げたいと思いますし、立場を生かして、今後日露の文化交流、そして友好親善の発展のために力を尽くしていきたいと思っています。このロシア文化フェスティバルは、2006年から15年間ずっと長きにわたって、みなさまのご協力をいただき続いてきたのでございますが、バレエや演劇、そして映画やコンサート、そうしたロシアの文化、非常に高いレベルの文化に日本にいながら触れることができるということで。ずっと人気を博してきました。継続は力と言いますが、私も7年8ヶ月の総理在任中にプーチン大統領とは、27回首脳会談をさせていただきました。私はモスクワやサンクトペテルブルク、あるいはソチなどロシアを訪問させていただきましたし、プーチン大統領も何回か日本を訪問していただきました。特に印象深いのは、私の地元長門市を訪問していただいたことでございます。その際、私の地元の日本食でもてなしをさせていただいたのですが、日本酒として地元が誇る名酒であります「東洋美人」というお酒を出しましたら、プーチン大統領に大変気に入っていただきました。次の日の共同記者会見で、プーチン大統領は私にサービスをしようという風に考えたんだとおもいますが、記者会見の際にいただいた「東洋美人」というお酒はとっても美味しかったと紹介していただいたんです。しかし、その際、通訳の方が日本語に通訳するとき、「東洋美人」というお酒はは素晴らしかったというところを、「東洋美人」は素晴らしかったと通訳されたので、若干誤解されたのですが、それはそのあと訂正されまして、次の日にこのお酒が街で売り切れになるということになりました。2018年には、モスクワで5月に日露交流年がスタートし、開会式はボリショイ劇場で開催され、プーチン大統領と共に出席致しました。その式典においては、日本の和太鼓、甲冑に身を固めた若いみなさんの演舞は、ロシアのみなさんの聴衆を魅了したと思います。翌年の2019年の6月に、ちょうどG20大阪サミットにおいて閉会式を迎えた訳ですが、この閉会式はプーチン大統領と一緒に出席をしました。その際、日露地域・姉妹都市交流年を2020年からスタートすることを決定しました。リモートでの開催になったのではありますが、地域どうし、姉妹都市どうしの交流というのは、両国の正に基盤となるだろうと思いました。こうした地域どうし、あるいは文化、芸術を通じた交流が前進し、両国関係がこれから強い絆を発展させていくことを期待しています。このあとクラシックとロシア歌謡のコンサートがあるということを承知しておりますが、どうかみなさまには一夜を楽しんでいただきたいと思います。ありがとうございました。スパシーバ。(文責=事務局)
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■2021年6月26日■

ドミトリー・フェイギン(チェロ)&新見フェイギン浩子(ピアノ)
プロコフィエフ、ショスタコヴィッチ、ハチャトリアン
息のあった「チェロとピアノソナタ」を熱演

 6月26日午後7時から東京・ルーテル市ケ谷音楽ホールにおいて、ドミトリー・フェイギン(チェロ)&新見フェイギン浩子(ピアノ)のデュオ・フェイギンCD発売記念コンサートが開かれました。プロコフィエフ、ショスタコヴィッチ、ハチャトリアン3巨匠の「チェロとピアノソナタ」を熱演、夫婦らしい息のあった協演の楽しい一夜でした。(撮影=丸山英樹)

独特な雰囲気、多彩な表現ーー佐野真澄
 2021年6月26日、ルーテル市ヶ谷音楽ホールにて、ドミトリー・フェイギン(チェロ)、新見フェイギン・浩子(ピアノ)夫妻によるデュオ・フェイギン“Russian Album”CD発売記念コンサートが行われました。“故地の藝術へのオマージュ”と題されたコンサートの1曲目は、プロコフィエフ作曲チェロとピアノのソナタOp.119。チェロの重厚な音色と、最初からよく融けあっているチェロとピアノの響きと、心地よいテンポ感に一気に引き込まれました。第2楽章中間部のチェロのメロディーは大変美しく心に残り、作品的にも音楽的にも壮大な盛り上がりを見せた最後は、ホール全体に音が鳴り響き圧倒されました。休憩後のショスタコーヴィチ作曲チェロとピアノのソナタOp.40は、チェロが自在に奏でるメロディーを、ピアノがハーモニーやリズムでショスタコーヴィチの世界を作り支えているイメージで、2人の音が曲が進むにつれて混ざり合っていく感じがとても良かったです。また、チェロのふくよかな響きのある音と、ピアノの硬質な音が作る独特な雰囲気に身をゆだねたり、突き刺さるような不協和音の多彩な表現に驚かされたりしました。心がざわつき、はぐらかされ、引っ張られ、絶妙な表現に聞き手が翻弄される曲でしたが、聞き終わった後にとても心地よい爽快感が残りました。3曲目は、「剣の舞」で有名なハチャトゥリアンの甥のカレン・ハチャトゥリアン作曲チェロとピアノのソナタ。何かを予感させるような音色で始まり、さらに何かを期待させるような動きを持った曲想にどんどん惹かれていきました。第3楽章の「アリア」では、ピアノのリズムにのせて、なんとも気持ちよさそうにチェロが歌いだし、いつの間にかピアノとの二重唱になり、その先の新しい世界へ誘われて、最後はチェロとピアノの激しい動きが絡まり合いながら登りつめて空間全体がに高揚していく感じが素晴らしかったです。非常に歯切れのよい、力強い熱演でした。演奏後、その日初めて見せたピアニストの笑顔も印象に残りました。このコンサートを聞いてみて、20世紀ロシア作曲家のチェロとピアノの作品を、日本とロシアを中心に活躍している2人が演奏し収録したデュオ・フェイギンのCDをぜひおすすめしたいと思いました。
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■2021年6月26日■

映像の詩人アンドレイ・タルコフスキー監督の長編一挙上映
『僕の村は戦場だった』『惑星ラリス』『ストーカー』など

 6月26日から7月9日まで東京・ユーロスペースで、「タルコフスキー、精神・物質・官能」のタイトルで映像の詩人、アンドレイ・タルコフスキー監督の長編劇映画7本が上映されました。「サクリファイス」(1986)、「ローラーバイオリン」(1960)、「僕の村は戦場だった」(1962)、「アンドレイ・ルブリョフ」(1967)、「惑星ソラリス」(1972)、「鏡」(1975)、「ストーカー」(1979)の名作は映画ファンに大いに喜ばれました。
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■2021年6月14日■

新生ロシア連邦30周年記念写真展を東京交通会館で開催
新しい発展のロシアの姿生き生きと
栗原小巻、I・チトフ大使館参事官、A・コロサーリイスクラ産業代表がテープカット

 6月14日午前11時から新生ロシア連邦30周年記念写真展開幕式が有楽町駅前の東京交通会館ギャラリー、ゴールド・サロンで行われました。冒頭、ロシア文化フェスティバルのテーマソング「ヤポー二ヤ&ロシア」(歌唱・中村初恵)が流れ、栗原小巻・ロシア文化フェスティバル日本組織委員会副委員長、イーゴリ・チトフ駐日ロシア連邦大使館参事官、アンドレイ・コロサーリ・イスクラ産業専務取締役の三氏によりテープカットがおこなわれました。
 写真展は、「ロシアの発展」「モスクワの新名所」「ロシアの健康」「コスプレファッション」「華麗な地下鉄」「市民の日常生活」「文化藝術」「ワールドカップとソチ五輪」「ウラジオストク」「宇宙開発」の構成で展示され、写真を大パネルに拡大し見やすく制作したものです。「モスクワ新シティ、オーストロフ・メチティ/夢の島、食の百貨店デポ、ザリャ-ジエ公園など昔のロシアのイメージが吹き飛んだ」「百貨店でワクチン注射をしたり、セラピー治療など健康に力を入れているのがわかる」「日本のアニメや音楽に関心が高いのね」などの参加者の声が聞かれました。(写真撮影=丸山英樹)
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■2021年6月12日■

牧野記念庭園記念館で「樺太の植物と風景」企画展
船崎光治郎と牧野富太郎の交流
『図説樺太の高山植物 上巻』の原画や『樺太名勝八景』の下絵に注目

 6月12日から8月15日に大泉学園駅の練馬区立牧野記念庭園記念館において、「樺太の植物と風景―船崎光次郎と牧野富太郎」が開催されています。本展では、『華容図聚』や樺太からの荷札が貼られた標本など二人の交流にスポットをあてた展示と、子孫の方が大切にされる『図説樺太の高山植物 上巻』の原画や『樺太名勝八景』の下絵などの初公開をおこなっています。(撮影=丸山英樹)

忘れられたサハリンの自然と植物を愛した画家船崎光治郎――高橋十志
 画家船崎光治郎は、1900年に兵庫県尼崎市に生まれた。船崎は、京都で日本画の基礎を学び、18歳で上京し創作版画や彫刻を覚えたという。26歳で初めてサハリン(旧樺太)に三か月のスケッチ旅行をする。以来、船崎は、第二の故郷と言うほど幾度も訪れサハリンの自然と植物に惚れこんだ。32歳の頃著名な植物学者牧野富太郎お抱えの植物画家として、また植物学の研究者として足を牧野宅に運ぶようになる。
 船崎光治郎の画業は三つある、植物図録の図版下絵と創作版画そして肉筆日本画である。まず、樺太庁樺太叢書「図説樺太の高山植物」は、植物図鑑の図版から解説まで船崎が行った。文庫サイズの本ではあるが大きな仕事である。今回の展覧会には、この時の原画が出されている。次に創作版画であるが、明治から昭和にかけての版画芸術は、絵師・彫師・摺師の分業による浮世絵の流れを汲む「新版画」と「自画自刻自刷」の「創作版画」があった。船崎は、この二つの流れが一つになった日本版画協会の主催する展覧会に第一回から植物の版画を出品している。同じ出品者としてロシア人画家ブブノワがいるのも面白い。また、船崎は、樺太時代に「樺太名勝八景」を版刻出版している。この版画は、日本版画協会が企画した『新日本百景』の樺太バージョンであり、当時、船崎が樺太に詳しいことが公知のことであったことがわかる。
 次に日本画である。船崎が樺太に移り住んだ当時、樺太は製紙産業、漁業などで賑わいをみせ昭和16年に全人口が約40万人を超えていた。船崎は、樺太の主要企業であった王子製紙の庇護を受け豊原(ユージノサハリンスク)の一等地でかなり裕福な暮らしをしていた。王子製紙豊原社屋玄関には、船崎の大きな絵があり、また、屏風を人前でパフォーマンスとして描き上げるなど当地で人気画家であった。新築の家が立ち並ぶ豊原そして樺太各地には、相当数の船崎の日本画があったことと思われる。
 私は、船崎の日本画を一幅所持しているが、箱の横に樺太植物とあるので樺太時代の作と思える。えぞつつじなど全て樺太の花であり、船崎が好んだ7月期に開花する種である。手前の土はポドゾルと呼ばれる独特な粘土質の大地で、小石の表現が奥行きを感じさせる巧みな技である。後ろの岩の表現は不思議な存在感で、金属山のような岩はロシアアヴァンギャルド構成主義の作家、タトリンの金属オブジェを思わせる不思議な生命力を感じさせる絵である。まさに、この展覧会を機に、船崎の絵が日露両国から発見されることを強く望むのは、私だけではあるまい。
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■2021年5月14日■

ソビエトSFの金字塔「不思議惑星キン・ザ・ザ」とそのアニメ「クー!キン・ザ・ザ」
20~30代の若者で満員!有楽町・吉祥寺・川崎で好調上映
2mの巨大な立体展示物“釣鐘型宇宙船(ペペラッツ)で記念撮影

 5月14日から東京=ヒューマントラストシネマ有楽町、アップリンク吉祥寺、神奈川=川崎チネチッタで、ソビエトSFの金字塔「不思議惑星キン・ザ・ザ」とそれをアニメ化した「クー!キン・ザ・ザ」が上映され、20代30代の男女若者が来場し満員となりました。新型コロナウイルス感染症対策のため50%減の観客席での運営ですが、ロビーに設置した高さ2mを超す巨大な立体展示物“釣鐘型宇宙船”(ペペラッツ)に観客は驚いて記念撮影していました。このあと、神奈川=シネマジャツク&ベティ、北海道=シアターキノ、石川=シネモンド、大阪=シネ・リーブル梅田、京都=アップリンク京都、兵庫=元町映画館、岡山=シネマ・クレール、広島=横川シネマ、広島=シネマ尾道、群馬=シネマテークたかさき、静岡=静岡シネ・ギャラリー、愛知=シネマスコーレ、長野=上田映劇、新潟=シネウインド、大分=シネマ5、熊本=Denkikan,宮崎=宮崎キネマ館、沖縄=桜板劇場で上映されます。

アニメ映画「クー!キン・ザ・ザ」の不思議な魅力――佐野真澄
2021年5月14日、ロシアで2013年に制作された長編アニメ映画「クー!キン・ザ・ザ」の日本での上映が始まりました。ストーリーは、冬のモスクワの大通りを著名なチェリストのチジョフが歩いていると、親戚と名乗る若者トリクが一晩泊めて下さいと声をかけてくる。そこに裸足の怪しげな人物が現れて、自分の星に帰るための番号がわからなくなったと言って、この惑星の番号は何かとたずねてきた。若者トリクがその異星人の持っていた機械を手に取りボタンに触れた途端、2人は一面の砂漠の世界へと一気にワープしてしまう、というところから始まります。すると、どこからともなく突然、釣鐘型の飛行船が飛んできて、中から小型のロボットと2人の男が降りて来るが、言葉が全く通じない。ここには「クー」と「キュー」の2つの言葉しか無いらしいと気付く。しばらくするとその2人はロシア語で話し出した。彼らは頭の中で考えていることを読み取るテレパシー能力があり、チジョフとトリクは少しずつ状況がわかってくる。ここはキン・ザ・ザ星雲のプリュク星であること。この星には先住民で身分の高いチャトル人と、パッツ人がいて、識別機の色で区別する。身分の低いパッツ人は、ツァークと呼ばれる鈴を鼻に付け、チャトル人の前では自分の頬を叩き膝を曲げて「クー」と言わなければならない。社会的地位はズボンの色で、赤はエリート、黄色は偉い人、緑は下級者となっている。エツィロップ(policeを逆さに読んだもの)という、権力を持った警察官もいる。もう一つ、この星ではカツェと呼ばれるマッチが大変な貴重品で、1本でもとても役に立つ。このように地球とは全く違う価値観のプリュク星で、チジョフとトリクの2人は戸惑いながらも、なんとか地球に帰るために奮闘するという内容です。実は、この映画の本作は、同じゲオルギー・ダネリア監督の1986年実写版「不思議惑星キン・ザ・ザ」で、カルト映画の傑作として世界映画史に大きな足跡を残した作品です。実写版は社会主義体制下のソ連政治を、そしてこのアニメ版で大きな変革の波によって生じた現代のロシアを戯画化して、風刺しています。今回本作の「不思議惑星キン・ザ・ザ」も同時上映中、実写版ならではの不思議でシュールな魅力満載で、この世界に浸りたい方には是非お勧めしたい作品です。残念ながら2019年に監督は88歳で逝去され、この「クー!キン・ザ・ザ」が遺作となりました。
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■2021年4月24日■

迫力と円熟味―イリヤ・イーティンのピアノリサイタル
バッハとラフマニノフで圧倒!

 4月24日名古屋・宗次ホールで、イリヤ・イーティンのピアノリサイタルが開かれました。エカテリンブルグで生まれ、国立モスクワ音楽院を最優秀で卒業、リーズ国際ピアノコンクール(1996年)で第一位、ラフマニノフ国際コンクール(1990年)で第二位、カサドシュ国際コンクール(1991年)で第一位など輝かしい受賞歴を誇り、サンクトフィル、ロンドンフィル、東京フィルなどで共演、ウラル国際音楽コンクールピアノ部門(2018年)審査委員長、日本音楽コンクール&仙台国際コンクールの審査委員を務めています。この日は、バッハ:パルティータ第6番ホ短調BWV830、バッハ/ラフマニノフ編:ピアノの為の無伴奏ヴァイオリンパルティータ第3番ホ長調BWV1006プレリュ―ド/ガヴォット/ジーグ、ラフマニノフ:「音の絵」OP39(全曲)を聴衆を惹きつけるみごとな演奏を披露しました。
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■2021年4月20日■

日露合同映画「歳三の刀」制作へ
音楽・武術舞・映画「白樺の集い」開く
監督・プロデユーサー・俳優らロシアからオンライン出演

 4月20日午後6時半から、日露合同映画「歳三の刀」撮影にむけてのデモンストレーションとして、音楽・武術舞・映画「白樺の集い」が東京・渋谷ユーロライブで開かれました。新型コロナウイルス感染拡大防止のために来日できなかったロシアの監督アンドレイ・ムイシュキン、俳優マキシム・コロソフ、プロデユ―サーのセルゲイ・ノヴォジーロフがオンラインで出演しました。又、ソプラノ歌唱(辰巳真理恵)、武術舞(JUN AMANTO)、三味線演奏(三味線ガールズメンバー)、ロシア映画「予想外の出来事」が上映されました。
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■2021年4月1日■

インターネットミュージアム「日本の中のロシア」4月開設
全国165か所とロシア文化フェスティバルIN JAPANを紹介

 新生ロシア連邦30周年、日露国交回復65周年を記念して、インターネットミュージアム「日本のなかのロシア」が4月に開設されました。世界で最初に日本語教育を始めたのは315年前のロシアでした。歴史上、日露両国の交流は日本の社会と文化にさまざまな影響を与えてきました。日本のなかのロシアを探究して北海道から沖縄まで165カ所の日露関係史跡を総まとめし、音楽・写真・ナレーションによる動画をYOUTUBEに配信しました。有名な記念碑や史跡はもちろん、知られざる顕彰碑、墓碑、建築物、そして人物に遭遇することでしょう。地域的視点とは別に音楽・バレエ・演劇・文学などジャンル別の日本のなかのロシアも探究しました。又、2006年から15年間継続している日本におけるロシア文化フェスティバルを紹介しています。ミュージアムでは次のように紹介しています。

「2006年からスタートした「日本におけるロシア文化フェスティバル」は、2003年1月にプーチン大統領と小泉首相による日ロ首脳会談によって調印された「日露行動計画」に基づき、2003年の「ロシアにおける日本文化フェスティバル」の返礼として開催されたもので、ちょうど日露国交回復50周年を記念するイベントとして開催されたものです。2006年1月10日東京オペラシティコンサートホールで開かれたオープニングコンサートには、高円宮妃殿下をお迎えして、セルゲイ・ナルイシキン委員長(ロシア大統領府長官)と森喜朗委員長(元内閣総理大臣)による両国代表あいさつがおこなわれ、V・ゲルギエフ指揮マリインスキー歌劇場管弦楽団とチャイコフスキー国際コンクール優勝者である諏訪内晶子、上原彩子が出演しました。2006年から2019年までの14年間に累計466都道府県1179市区町村でフェスティバルが開催され、1827万9400人の市民が参加し、来日したロシア人芸術家は1万977人となりました。すぐれた文化水準を長年にわたって維持、向上させてきたロシアは、ソ連崩壊や金融危機、新型コロナウイルスなどの試練を乗り越え、再び新たな感動の芸術創造に挑んでいます。いま、地球市民にとって大切なのは、“心の豊かさ”を追求し博愛の心情を増進する文化芸術をみんなのものにすることです。音楽と芸術を力に!“感動と元気”を大勢の人々に!そして、「300年の日本のなかのロシア」が示しているように、長年両国民が培ってきた日露文化交流は永久に不滅なのです。」

インターネット「日本のなかのロシア」ミュージアム
館長=イーゴリ・ロマネンコ(ロ日協会会長・モスクワ) 副館長・主事=長塚英雄(日本のなかのロシア研究会主宰)。
HPアドレス http://www.yaponiya-russia.net/
監修 = 中村喜和(一橋大学名誉教授)、ポダルコ・ピョートル(青山学院大学教授)、長縄光男(横浜国大名誉教授)、児島宏子(翻訳・通訳・エッセイスト)、 倉田有佳(ロシア極東連邦総合大学函館校教授) 制作スタッフ=佐野真澄・川西宏明・宮坂絵利佳・長塚英雄・北村れい子・荒井雅子・いちのへ友里・丸山英樹。
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■2021年3月24日■

The 7th BALLET TRADITION「ジゼル」全2幕公演
コロナでI・コルプ、N・スホルコフ来日できず田北志のぶら感動の舞台

 3月24日、田北しのぶオフィス主催の第7回バレエトラディションが開催されました。フェスティバルの公式プログラムでしたが、コロナウイルスのためにロシアからイーゴリ・コルプとニキータ・スホルコフが来日することができませんでした。すでに2回延期しているので、大勢の出演者、スタッフに迷惑をかけるので、開催に踏み切りました。「ジゼル」全二幕を新宿文化センター大ホールで感染対策のために1500名の定員の50%の座席=750人で開催、無事に終了しました。
 ジゼルの田北しのぶはボリショイバレエ学校に留学、キエフバレエ団ソリスト退団、アルブレヒトの高野陽年はワガノワバレエアカデミー卒業、グルジア国立バレエ団プリンシパル、ヒラリオンの菅野英男はモスクワバレエアカデミー、インペリアル・ロシアバレエで研修、日本新国立劇場バレエ団ソリストで、ロシアクラシックバレエのテクニックで魅力的な舞台を創造しました。
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■2021年3月13日■

ワレリー・ベリャコーヴィチ演出の「マクベス」日本公演
コロナウイルスと戦いながら九州・北陸・信州で成功
モスクワ・ユーゴザパト劇場と東演の提携で上演

 鬼才ワレリー・ベリャコーヴィチ演出の「マクベス」日本公演は、「どん底」「ハムレット」「検察官」に続く名舞台としてモスクワのユーゴザパト劇場と東演が提携して九州、北陸、信州地区で成功理に行われました。ご承知の様な新型コロナウイルス拡大防止の対策を行いながら、1月12日の松本公演から3月13日の金沢公演の最終日まで無事に舞台を守り観客に喜んでいただきました。来日したユーゴザパト劇場の俳優・スタッフは元気に帰国しました。べリャコーヴィチは演劇という芸術に誠実に勇敢に騎士のように向き合う芸術家であり、そして常にユーモアを忘れず強く大らかで、かつ並外れた繊細な心をもった偉大な芸術家だ、と演劇専門家とファンの評価は高い。
 大好評につき、10月9日(土)~12月9日(木)地方公演、12月15日(水)~19日(日)東京・池袋のあうるすぽっとで公演を行うことが決まりました。
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■2021年1月4日■

RBAT(ロシアバレエアカデミー東京)ガラコンサート開く
優雅で、格調高く、迫力の演技のニコライ・ヴィユィジャーニン

 2020年夏に予定されていたRBAT(ロシアバレエアカデミーTOKYO)ガラコンサートが、コロナウイルス感染拡大の影響で延期となり、2021年の年明け早々1月4日に、渋谷区大和田さくらホールで開催されました。RBATは、ワガノワメソッドの教授法に沿ってロシアバレエの指導を行っているアカデミーで、1998年開校。1999年からコンサートを行って、2007年から2015年はボリショイ劇場より主要ソリストを招いて全幕ものを上演しました。今回で23回目となります。本日のプログラムに出演のロシア人ダンサー、ニコライ・ヴィユィジャーニンは、ロシア国立ペルミ・オペラ・バレエ劇場のソリストを経て、リムスキー・コルサコフ劇場にプリンシパルとして移籍後、熊川哲也氏率いるKカンパニーでファーストソリストとして活躍。現在はフリーのプロダンサーとして、またバレエ教師としても活動中です。プログラム最初の「グランパクラシックのGPDD」を小見桃子と踊る。ダニール・オーベルの華やかでドラマチックな曲にのせて、さっそうと登場。難度の高い技が次々と展開されていく。軽やかでしなやか。それでいてスピード感もあり、歯切れもいい。後半の「チャイコフスキーのパドドウ」は池田早苗と踊る。しっとりと優雅に始まり、浮遊感のある動きと、力強さのコントラストが見事に表現されていて美しい。確かな技術に支えられた大きなジャンプや回転、リフトなどは迫力がありました。腕、手、指先、足のつま先に至るまでの優雅で格調高い表情は、さらに印象的でした。(文=佐野真澄)
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