Archive for the 'いちのへ友里' Category

プーシキン美術館展 開会式!

金曜日, 7月 12th, 2013

さて記者会見後には、グランドギャラリーにおいて開会式が催され、モスクワからはイリーナ・バカノワ副館長が来日しました。

 

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▲「東日本大震災後の日本の皆様の勇気に感動し、展覧会開催という約束をぜひとも果たしたいという想いでやってまいりました。もともとはモスクワ大学の学生たちが芸術をよく理解出来るようにと設立されたプーシキン美術館は、今もその使命を受け継ぎ、素晴らしいものを世界に広めようという大きなエネルギーを持っていると自負しております。音声ガイドや映像、パネル展示なども合わせて、ぜひロシアという国やプーシキン美術館についても知っていただけたらと願っております。ロシア人と日本人のチームワークで作り上げたこの展覧会を鑑賞して、喜びに包まれるであろう皆様が、他の作品も見てみたいと実際にモスクワのプーシキン美術館を訪れてくださることを心から望んでおります。日本とロシアの間の文化の結びつきが、ますます両国の友好関係を発展させてくれると信じております。スパシーバ!」

 

横浜美術館の逢坂恵里子館長、朝日新聞社の木村伊量代表取締役社長、そしてテレビ朝日の早河洋代表取締役社長による主催者挨拶につづき、来賓代表として在日ロシア連邦大使館のコンスタンチン・ヴィノグラドフ一等書記官と林文子横浜市長がお祝いのメッセージを述べると・・・最後にスペシャルゲストとして、音声ガイドでナビゲーターを務められた俳優の水谷豊さんが登場!

 

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▲「今年はとてもロシアにご縁がありまして、夫婦で初共演した映画『少年H』がモスクワ国際映画祭で特別賞を受賞しまして、先日モスクワを訪問してきたばかりです。」ジョークを交えつつ、プーシキン美術館展をPR。

 

 

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ヴィノグラドフ一等書記官のご挨拶での素敵なお言葉をお借りして・・・日本には、日本古来の精神を大切にしつつ西洋の技術を受け入れ、両者を調和させ発展させていく和魂洋才という言葉がありますが、まさに“露“魂洋才といえるプーシキン美術館展。いよいよ開幕です!

 

 

 

プーシキン美術館展のロシア的楽しみ方2:絵をとりまく人々

木曜日, 7月 11th, 2013

ロシア国立プーシキン美術館が収蔵する西洋絵画のなかでも、約700点ものフランス絵画コレクションの素晴らしさは、本国フランスも羨むほどと称されています。そのなかから時代を象徴する名品66点で、17世紀〜20世紀にかけての300年を辿っていく今回の展覧会。

 

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横浜美術館の松永真太郎主任学芸員はこんなふうに教えてくださいました。

「今回の展覧会のもうひとつのテーマは“人“です。出品作品の多くに描かれているのは人物です。神話に登場する人々、ロシア皇帝が自ら発注したという聖母画、ルノワールが背景にまで愛を込めて描いた肖像画・・・人の描かれ方の変遷にぜひ着目してみてください。そして、ロシアの皇帝や貴族、大商人などのコレクター、描いた画家と、描かれたモデル・・・一枚の絵の背景にある人の繋がりやその想いによって受け継がれてきたことに想いを馳せると、また違った楽しみ方ができるのではないでしょうか。」

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1枚の絵が誕生するまで、そしてフランスで誕生してからロシアへやってくるまで、そして開催延期から2年間を経て今日まで、いったいどれほどの人々がこの絵に関わってきたことでしょうか!

そして今、2013年横浜で、あなたはどんな想いを受け取るのでしょうか・・・。

 

プーシキン美術館展のロシア的楽しみ方1:コレクター

火曜日, 7月 9th, 2013

今日7月6日からはじまる「プーシキン美術館展 フランス絵画300年」

その見どころを探るべく、内覧会&記者会見に潜入してきました!

 

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まずは横浜美術館の逢坂恵里子館長がご挨拶。「2011年の東日本大震災、そして原発事故によって、やむなく中止となってしまったこの展覧会が、2年という時を経て、ついに今日という日を迎えられたことは大きな喜びです。多くの個人コレクターによる優れたコレクションからなるプーシキン美術館展と、そして横浜美術館のコレクション展も合わせて、絵画への情熱や献身を感じていただけたらと思います。」

 

そう、今回の展覧会のロシア的楽しみ方のキーワード、それはコレクターです。

会場パネル展示には、ロシア人コレクター列伝が!

 

 

 

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▲サンクトペテルブルグのエカテリーナ2世やニコライ・ユスーポフ、アレクサンドル2世。モスクワのセルゲイ・トレチャコフやセルゲイ・シチューキン、イワン・モロゾフなど。

 

それぞれの人物の肖像と経歴、そして絵画が飾られていた個人邸宅と合わせて,その実物のコレクションを眺めていると・・・「ふむふむ、これはまさに、あなた好みの絵画ですね!」なんて、まるでコレクター仲間になって会話しているような気分も味わいつつ鑑賞できますね。

 

 

→つづく

 

 

『ロシアの演劇』出版記念パーティにて

月曜日, 6月 24th, 2013

講演会のあとは、『ロシアの演劇』出版記念パーティが催されました。

グルジア出身のコバヒゼさんのためにと、渋谷ロゴスキーさんが用意してくださったグルジアワインで乾杯!

 

 

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▲中央左がコバヒゼさん、中央右はこの本の帯に推薦コメントを寄せられたた女優の栗原小巻さん、お二人を囲んで左が翻訳された荒井雅子さん、そして右が通訳の安達紀子さん

 

では、コバヒゼさんに少しお話を伺ってみましょう!

★『ロシアの演劇』は、ロシアにおける演劇の起源から最新の動向まで、分かりやすく1冊にまとまっていて、まるで読む“ロシア演劇博物館“のようですね。演劇に興味のある方なら一度は耳にしたことのある“スタニスラフスキー・システム“が、ロシアから世界に広まったように、今後ロシア演劇は世界にどんなことを発信していけるでしょうか。

コバヒゼ:今それを明言するのは難しいですね・・・。スタニスラフスキー・システム自体も時を経て少し変化・進化してきています。たとえばロシアにおいては、今日このシステムを最も発展させたのはピョートル・フォメンコでしょう。今やロシアのさまざまな演劇フェスティバルには世界中から批評家やプロデューサーたちが招かれていますが、こういう活動を通して、ワクワクさせるような大きな影響を与えていけたらと思います。

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★俳優一家に生まれたコバヒゼさん、ご自身もとてもお美しくていらっしゃいますが、俳優でなく批評家の道に進まれたのはどうしてですか?

コバヒゼ:家の伝統として私も1年程、俳優を目指して勉強はしたんですよ。けれど、わかったんです。女優に必要な大きな才能が、自分にはないということが。それでも演劇を愛していたので、演劇批評家を志しました。

 

★では、日本にご興味を持ったきっかけはなんだったのでしょうか?

コバヒゼ:まだグルジアに住んでいたとき、そう、1990年代前半のことですけれども、紫式部の作品を読んでから古典の散文に魅かれ、これがきっかけで日本や日本の歴史について勉強をはじめました。

 

★この夏、ロシアにいらっしゃる方に、ぜひおススメしたい注目の劇場や俳優を教えてください!

コバヒゼ:たくさんありますが、まずはやはりモスクワ芸術座ははずせませんね!それから、ピョートル・フォメンコ工房も観なければなりません!国民劇場も!!エフゲニーミローノフが出演する芝居も絶対に観るべき、『白痴』のムイシュキン伯爵役などで彼は映画やTVにも出演していますよ。

 

★最後に、今年で8年目を迎える「ロシア文化フェスティバル in JAPAN」スタートからずっと、ロシア組織委員会委員を務めていらっしゃいますが、フェスティバルへかける想いをお聞かせください。

コバヒゼ:2006年の開幕から,フェスティバルを通してたくさんの方に出逢いたくさんのことを知ることが出来ました。日本の方にとって興味深いフェスティバルになることを期待して始めましたが、来場者数や盛り上がりをを見れば、これはすでに実証されたのではないかと自負しています。これからもこのフェスティバルに終わりがこないことを願ってやみません!

ありがとうございました!

 

 

 

 

コバヒゼ先生、熱く語る!

月曜日, 6月 24th, 2013

早稲田大学戸山キャンパスにて、学生気分で席に着くと、そこへ颯爽と登場したのはマイヤ・コバヒゼ先生!

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▲さすが、ロシアでも学生におしえていらっしゃるだけに落ち着いたご様子で、「話の途中でも質問してくださいね。私からも質問しますから、会話のようにすすめていきましょうね。」とにっこり。

 

 

 

この日は、特にソ連が崩壊しロシアが誕生した1991年以降の現代ロシアに的を絞り、会場の学生たちのリクエストで、いくつかの新しい演劇プロジェクトを中心に紹介されました。
劇作家たちが“朗読会“形式で魅力的な戯曲を求めた「リュビーモフカ演劇祭」や、若い劇作かや演出家たちの可能性を実現するために設立された「劇作・演出センター」、実在の人々の会話を記録して芝居テキストを作り上げるドキュメンタリー演劇の技法を実践した「Teatr.doc」について。そして特に、大きな論議を巻き起こし、ある意味でロシア演劇の新たな1ページとなった作品キリル・セレブレンニコフ演出『粘土』については、コバヒゼ先生はもちろん、通訳の安達紀子さんも実際に当時観劇されたそうで、そのときの興奮そのままに熱く語られました。

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最後に「いろいろなことをお話ししましたが、一番大切なのは、生きた演劇を観ること。私の課題は、今日の私の講演をお聴きになって、皆さんが実際にロシア演劇を観たいと思ってくださることなのですが・・・いかがですか?」そうコバヒゼ先生が微笑むと、学生たちがちょっぴり恥ずかしそうに、けれどまっすぐに手を挙げ、会場からは拍手が沸き起こりました。

「ロシア文化フェスティバル」は今年もあなたに、生き生きとした本物のロシアの文化芸術に出逢うプログラムをお届けしてまいります!

 

 

『ロシアの演劇』その前に・・・

月曜日, 6月 24th, 2013

早稲田大学で開催されるマイヤ・コバヒゼさんの講演会の前に、構内にある坪内博士記念演劇博物館を訪れました。

洋館巡りツアーでも人気の建物は、1928(昭和3)年10月、坪内逍遙が古稀の齢(70歳)に達したのと、その半生を捧げて翻訳された「シェークスピヤ全集」全40巻の完成を記念して設立されたもの。

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▲梅雨空の演劇博物館。

16世紀イギリスの劇場「フォーチュン座」を模して今井兼次らにより設計されており、建物自体も細部まで見どころが一杯!天井に羊がそぞろあるく「逍遥記念室」は特に素敵で、未年の逍遥博士の愛蔵品コーナーには可愛らしいひつじコレクションがずらり。なんとペンネームの“しょうよう“も小さい羊という響きからきているそうです。残念ながら撮影禁止ですが、公式サイトの動画でたっぷりとご覧頂けます。

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▲エントランス上には「人生は劇場なり」の文字が!

 

さて、館内展示は・・・中国の影響を受けてはじまる古代コーナーにはじまり、能や歌舞伎の母体となった中世~近世コーナーでは能面を実際に装着出来るコーナーもありました。そして近代コーナーで注目は、日本初の帝国劇場の復元模型!ロシアの伝説的なバレリーナ、アンナ・パブロワもこの舞台で踊りました。
この日はちょうど劇作家小山内薫がヨーロッパに滞在した当時の資料が公開されており、ロシア滞在期間中に通い詰めたというモスクワ芸術座の資料や、妻にあてた白樺林の絵葉書、帰国後に演出したゴーリキー『夜の宿(どん底)』ポスター等が展示されていました。このように、歩くだけで日本の演劇の歴史を辿ることができる常設展示に加え、魅力的な企画展も見逃せません。

 

 

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▲ 1930 年代初頭ソ連に渡り、演出家メイエルホリドの助手としてその演劇的手法を学んだ『佐野碩と世界演劇~日本・ロシア・メキシコ“芸術は民衆のものだ“~』展(~5月22日)パンフレットも頂きました。

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▲逍遥先生の銅像、その手はピカピカに輝いていました!演劇への情熱とたゆまぬ努力で偉業を成し遂げた先生の手に触れると願いが叶うといわれており、もちろん私もしっかり握手してまいりました。

新刊『ロシアの演劇~起源、歴史、ソ連崩壊後の展開、21世紀の新しい演劇の探求』をより深く理解するために、足を伸ばしてみてはいかがでしょうか。

 

 

 

ロシア演劇の今!

水曜日, 6月 19th, 2013

 

華やかに開催されたロシア文化フェスティバル2013 in JAPANオープニングセレモニー(詳細は公式サイトのリポートをご参照ください。)にて、ご来場くださった皆様へ記念品として贈呈されたのがこちら!

新刊「ロシアの演劇〜起源、歴史、ソ連崩壊後の展開、21世紀の新しい演劇の探求〜」マイヤ・コバヒゼ著 荒井雅子訳(生活ジャーナル)

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出版を祝して、著者マイヤ・コバヒゼさんが来日!“現代ロシア演劇における新しい傾向“と題して講演会を開催します!

 

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音楽・バレエ・演劇評論家であり、元ロシア連邦文化省・文化映画庁現代芸術局長などを歴任、現在はロシアテレビアカデミー基金国際プロジェクトコーディネーターとしてご活躍されているコバヒゼさん。

曾祖母、祖父、父が有名俳優で、娘さんはボリショイ劇場バレリーナという芸術一家のなかで磨き抜かれたその感性と、グルジア演劇大学から英国・米国留学を通して研究し続けた演劇に関する深い知識、そしてこれまでグルジアやロシアの学生たちに教えてきた豊かな経験から産まれた素晴らしい1冊が、コバヒゼさんの生き生きとした言葉で語られます。日本文化と日本語にもご興味があるというコバヒゼさんですから、各会場で予定されているサイン会では、もしかしたら日本語で直接お話できるチャンスもあるかもしれません・・・!?

 

 

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かもめがトレードマークの『モスクワ芸術座』、毎年注目の『黄金のマスク演劇祭』、俳優ならずとも一度は耳にしたことのあるスタニスラフスキー・システム…気になるワードを見つけたあなた、どうぞ会場へおこしください!

 

来る6月3日!ロシア文化フェスティバル2013開幕!

月曜日, 5月 27th, 2013

来る6月3日(月)東京・帝国ホテルにおいて、『ロシア文化フェスティバル2013  in JAPAN』オープニングセレモニー&レセプションが開催されます!

 

http://www.russian-festival.net/img/pdf/2013/p1.pdf

今年で8年目を迎えるロシア文化フェスティバルを祝して、ロシア側からはミハイル・スリペンチュク露日友好議員連盟会長をはじめとする国会議員代表団が出席。日本側からは、鳩山由紀夫第93代内閣総理大臣(日本組織委員会委員長)、女優の栗原小巻さん(同副委員長)など、日本とロシアの架け橋として活躍されている約400人が招かれることになっています。

 

さてセレモニーには、マリインスキー劇場ソリストとして人気を誇るロシアオペラ界のスターであり、その美貌からファッションモデルやテレビ司会者としても引っ張りだこ、さらには国会議員としての顔も合わせ持つ、マリア・マクサコワがスペシャルゲストとして登場予定です!では、その歌声を一足先に、マクサコワさんの公式YouTubeチャンネルで拝聴してみましょう!

http://www.youtube.com/watch?v=b1EJkYbLOWk

http://www.youtube.com/user/Starmaksakova?feature=watch

 

また、昨年のクロージングコンサートで大きな感動を呼んだユーリー・シモノフ指揮モスクワ・フィルハーモニー交響楽団が、再演を望むファンからの熱いラブコールに応えて今度はオープニングに登場します!ソリストには7年ぶりの共演となるピアニストのフジコ・ヘミングらを迎え、さらに多くの方に感動をお届けするため6月16日~30日にかけて日本全国で予定していますので、どうぞお見逃しなく!

 

2006年からスタートし、ソ連&ロシア史上初となるユニークな文化・芸術プログラムを多数世に送り出してきたロシア文化フェスティバルの入場者は、この5月までで999万9750人を記録。これは1970年大阪万博ソ連館以来最高の来場者数だそう!さあ今年2013年、まもなく迎える1000万人目は・・・あなたかもしれません!

 

 

 

アエロフロートロシア航空セミナーに栗原小巻さん登場!

木曜日, 5月 23rd, 2013

本格的な旅行シーズンを前にアエロフロートロシア航空による代理店セミナーが開催されました!昨年日本就航45周年、そして今年創立90周年を迎えるアエロフロートロシア航空が久しぶりに開催するセミナーとあって会場は大盛況でした。

 

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セルゲイ・モイセエフ日本・オーストラリア支社長の流暢な日本語によるご挨拶で幕を開け、オレグ・リャボフ在日ロシア大使館総領事の記念スピーチ、そして大城成二日本地区営業部長によるプレゼンテーションでは、革新を続けるアエロフロート機や現在のサービス、空港や交通アクセスのポイントについてなど丁寧なレクチャーが行われました。特に今後注目の極東と各社力を入れている来年2014年ソチ五輪に向けての情報は注目を集めました。

 

さて、セミナーの最後には、美味しいコーヒー&ケーキを頂きながらゲストとしてロシア文化フェスティバル日本組織委員会副委員長で女優の栗原小巻さんが登場しました!

 

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『私の俳優人生、いえ人生そのものが、ロシアとともにありました』そう話りはじめた栗原小巻さん。

15歳のときバレエ学校でのロシア人恩師との出逢い、日ソ合作映画やロシア映画への出演時の貴重なエピソード(「実はこのロシア映画では、飛行機がハイジャックされてしまうというストーリーなんです」という栗原さんの言葉に、会場は和やかな笑いに包まれました)、古典から現代物までロシア文芸作品の舞台公演のことなど・・・。

そして、代理店の方もビックリの30数回以上もアエロフロート機でロシアを訪れている栗原さんは、機内で元旦を迎えたときの想い出や昨年訪れたばかりのサンクトペテルブルグでのおすすめの過ごし方などにも笑顔で答えてくださいました。

 

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▲登場BGMは栗原小巻さん主演の日ソ合作映画『白夜の調べ』より。エスコート役のモイセエフ支局長のこだわりの選曲に、小巻さんも「涙が出そう・・・」と感激のご様子。花束はこの季節にぴったりのリラの花。日本の花屋さんではなかなか入手できないこのお花も、日本中を探しまわって用意されたそう。この“おもてなしの心”こそ今のアエロフロート!

 

どんなときもチェーホフの言葉を胸に信念と忍耐を失わず、嵐の中でも消えない心と心の文化交流の灯で日本とロシアの真の友情を深めていきたいというロシア文化フェスティバルの願いを込め、愛するプーシキンの詩の朗読をご披露くださると会場は大きな拍手に包まれました!

 

 

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今年もまもなくオープニングを迎えるフェスティバルでも、でたくさんのロシア文化人・芸術家が来日します!その素晴らしいプログラムでロシアに興味を持った日本の皆様が、どうぞ快適な飛行機の旅でロシアを訪れる機会がありますように・・・!

 

 

 

 

 

インタビュー3〜サーシャの楽屋訪問〜

火曜日, 5月 21st, 2013

最後に、チェロ部門第1位アレクサンドル・ラムさんの楽屋を訪ねました。

周囲への気遣いや集中の仕方など、すでに大人の風格が漂うラムさん。「私服姿を撮らせてください」とお願いすると、新婚さんだということで光る指輪も嬉しそうに見せてくださいました。それではチェロへの熱い想いを語っていただきましょう。

 

 

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ラム:私は7歳の時に自分の意思で音楽家になろうと決めました。鏡の前で、はじめはヴァイオリンを弾く人の真似をして遊んでいましたが、それを見ていた母がそれほどまでに好きならばと私を音楽学校に連れて行ってくれました。しかし、ヴァイオリンに必要な手の腱がすでに完成されており、本格的にヴァイオリンをやるにはすでに遅いと言われてしまいました。もちろん僕はとても落ち込みましたが、そこで“もっと大きなヴァイオリン”ならまだ間に合うと言われたんです。しかも座ったままで演奏できるという誘い文句で(苦笑)。そうしてチェロの音を始めて聞いた途端、人間の声と同じような音色で、いっぺんに大好きになってしまいました。今はチェロこそ最高に愛していて、あのときにチェロを選んだことをとても幸せに思っています。

 

いちのへ:それほど恋いこがれて始めたチェロですが、マスターするまでには苦労したことはありましたか・

ラム:まず第一に、自分のなまけ癖に打ち勝つのが一番大変だったかな。もちろん、うまくなるのは誰でも望むことだけれど、そのための努力をしたいひとはほとんどいない。特に小さい頃はそんなに練習しなかった。しかし、少し成長すると、”働かざるものは食うべからず”という諺のように、努力しなければうまくはなれないんだと実感しました。勉強とは一生続けなければならないものだから、今25歳になりましたが、マスタークラスなどに参加したり、また自分の学校の教授に教わってもらったりしながらずっと勉強しています。つまり、一番大変なのは、自分との戦いですね。コンクールの時でも、ライバルと戦うというよりも、私の場合は自分と戦っていると言っていいでしょう。

 

いちのへ:そう、何事も“自分との戦い”ですよね。自分に勝ち、誰よりも努力しているラムさんの、力強い言葉と演奏にパワーをいただいています。ところで、どんなメロディーを演奏しているときに幸せを感じますか?

 

ラム:いつもどのときに演奏している曲が一番好きです。音楽家の人生とは、色々な場面で様々な曲を沢山演奏しなければならない。その瞬間の具体的な曲を愛していなければ、お客さんに感じてもらえる演奏にすることができない。つまり、皆さんに感じてもらう為には、まずは自分が非常に強く感じなければならない。それができないと中途半端な演奏になってしまうから、好きじゃない曲というのはないんだ。ただ、音楽家として弾くのとは別に、違う楽器の演奏などプライべートで聞くのが好きな曲というのはあるよ。例えば、私は作曲家スヴィリドフの室内合唱用の音楽はおそらく一生演奏しないと思うけれども、しかし、これは、この合唱は、世の中で最も美しいもののひとつだと思っています。

 

いちのへ:自分の音楽を通して 聴いている人に何を伝えたいですか。

ラム: 心の中に何かが残るように演奏出来たらと思います。もちろんこれは、とても難しいことだけれど、プロであるかぎりハイレベルな演奏を超えた何かを目指さなければ意味がないと思う。プロだけでいいと思う音楽家もいれば、逆にプロではなくても非常に心をこめた演奏をする音楽家もいるが、どちらかではなく、必ずその両方が調和していなければならない。お客様に何を伝えて、お客様とどんなエネルギーの交換ができるか・・・期待しています。

いちのへ:楽しみにしています!ありがとうございました。