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モスクワ通信『モスクワの宝石箱!夏空にきらめく噴水コレクション』

水曜日, 7月 15th, 2020

待ちに待った夏の到来を歓迎するロシアの噴水!まるで祝砲のように5月になると一斉に水を噴き上げ、黄金の秋10月まで楽しむことが出来ます。

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△“噴水アンサンブル”といえば、サンクト・ペテルブルク郊外ペテルゴフにあるピョートル大帝の夏の離宮が有名ですが、モスクワにも数え切れないほどの素敵な噴水があります。今回はいくつかのテーマに分けて、夏空にきらめく素敵なモスクワの噴水をコレクションしてみました。

【彫刻家ツェレテリの噴水】モスクワを彩る巨大彫刻といえばこの人!ズラフ・ツェレテリ(Зураб Церетели)の作品が楽しめる噴水です。

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Фонтан «Старый цирк»オールド・サーカスの噴水 ニクーリン・サーカスのある並木道(ツヴェトノイ・ブリバール)にあるのは、ユーモアたっぷりのピエロの噴水です。ヒョイとかかげたおんぼろの傘から水が滴り落ちてきて、くすりと笑わせてくれます。噴水の周りにも愉快なピエロたちの彫刻を見ることが出来ます。

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クレムリンの周りに広がる噴水アンサンブルのなかでもツェレテリ作品に出会うことが出来ます。1997年に当時のルシュコフ市長によってマネージ広場&アレクサンドロフスキー庭園一帯がリニューアルされました。マネージ広場のФонтан «Четыре времени года» 噴水「四季」 は、立髪をなびかせて4頭の馬が駆け抜けるその後ろが、ちょっと楽しい水のトンネルの小道になっています。ここから赤の広場方面へと歩き出すと・・・

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△もとここに流れていたというネグリンナヤ川をイメージした小川に、『白鳥の王女』『火の鳥』『金の魚』『きつねと鶴』・・・といったロシアの子どたちにお馴染みのおとぎ話の登場人物たちがつぎつぎに現れます。

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△マネージ展示場の前にあるФонтан «Часы мира»噴水「世界時計」は、地下ショッピングモール『オホトヌィ・リャド』名物の天窓にもなっています。

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△せっかくなので噴水を下から見てみると、なんと噴水の下にも噴水を発見!

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△モスクワ 川クルーズでも注目の巨大なピョートル大帝像の噴水もツェレテリ作品。モスクワ市内に2カ所あるツェレテリ・ミュージアムでは彫刻作品の模型も見ることが出来ます。日本では、在日ロシア大使館内の大ホールやメイン階段のステンドグラスがツェレテリ作品で彩られている他、鳩山会館には鳩山一郎像が贈呈されています。(過去ブログ参照:在日ロシア大使館についてはこちら、鳩山会館についてはこちら

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△ちなみに、ツェレテリとは関係ありませんが、たくさんの素敵な橋を通るモスクワ 川クルーズのなかで、ルシュコフ橋からも噴水アンサンブルが楽しめます。晴れた日には虹がかかり、新婚カップルの記念写真スポットにもなっています。橋の横には画家レーピン像があるボロートナヤ広場の緑地が広がり、ここにも美しい噴水がありますし、

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△さらに足を伸ばして、川に突き出す円形の展望橋が話題のモスクワ新名所ザリャージエ公園には、モネの庭のような小さな噴水があります。

 

【子どもたちの遊ぶ噴水】

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△先程のピョートル大帝像を遠くに眺めながらムゼオン芸術公園を歩くと、新トレチャコフ美術館横には音楽に合わせて地面から吹き上げる噴水があり、子供たちのお気に入りの水浴びスポットになっています。
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△新トレチャコフ美術館からクリミヤ橋を挟んで広がるゴーリキー公園には、音楽に合わせて歌い踊る噴水があります(1日に数回)。夜のライトアップも綺麗!バラ園の噴水もロマンチックです。

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△子どもたちも本格的なバレエ作品が楽しめるサッツ記念子ども音楽劇場は、建物そのものも、そして噴水も、物語の世界の続きが広がっているよう・・・!

 

【国民的詩人プーシキンに関連した噴水】国民的詩人プーシキンにまつわる噴水もいくつかご紹介しましょう!

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Фонтан–ротонда «Наталья и Александр»アレクサンドル・プーシキンとナタリヤ夫人の噴水 金色の丸屋根がついたフォルムが鳥かごのようなオルゴールのような可愛らしさ。プーシキン生誕200年を記念して建てられました。

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Фонтан «Пушкинский»プーシキンの噴水(1950年)Фонтан в Новопушкинском сквере新プーシキン・スクエアの噴水(1980年) プーシキン広場のプーシキン像とトヴェルスカヤ通りを挟んで2つの噴水があり、市民の憩いの場となっています。この辺りには、地下鉄のプーシキン駅、プーシキン・カフェ、ホテル・プーシキン(地下のレストランの名前は『エヴゲニー・オネーギン』の主人公オネーギンの友人の名前をとってレンスキー)、他にもプーシキンが通った芸術サロン(現在は食料品店エリセエフスキー)や、プーシキンとナタリア夫人が初めて出逢った場所などプーシキンでいっぱいです。

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△プーシキンといえば、こちらも!とても珍しい少年時代のプーシキン少年の頭像を見ることができるプーシキン生家跡の周りには、『金の魚』の噴水があります(残念ながらこの日はまだお水がありませんでしたが)。隣には『サルタン王の物語』がテーマの子ども公園や、徒歩圏内にプーシキンが洗礼を受けた教会、そしてプーシキンの叔父さまの家博物館もあります。地下鉄バウマンスカヤ周辺は知られざるプーシキン・スポット満載です。

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△国立プーシキン博物館(Государственный музей А.С. Пушкина)の中にもあります。

 

【スターリン建築とソビエト時代の噴水】スターリン政権のソビエト連邦時代に建てられた空を刺すような左右対象の超高層ビル、スターリン建築。第2次世界大戦後、ソヴィエト連邦の首都にふさわしいモスクワを目指したスターリンは、結局実現されることはなかった幻のソヴィエト大宮殿を囲むように、7つの場所に7つのスターリン・スタイル高層ビルを建築。今もセブン・シスターズと呼ばれています。

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△スターリン建築を代表する建物、ロモノーソフ記念モスクワ国立大学。その前には、気高く清らかな花を咲かせる蓮の花の噴水があり、大学に向かって噴水池を挟み両側にずらりと偉人たちの胸像が並ぶプロムナードとなっています。

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△スターリン建築7人姉妹のひとつ、クドリンスカヤ広場の高層アパート前も美しい噴水を見ることが出来ます。

さてスターリン建築以外にも、ソ連時代の建築物が味わえる場所として忘れてはならないのが全ロシア博覧センター(Выставка достижений народного хозяйства 略称ВДНХ)です。もちろんここにも有名な噴水が3つあります。

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Фонтан «Дружба народов СССР»

ロシア、ベラルーシ、ウクライナ、ウズベキスタン、グルジア、リトアニア、ラトヴィア、タジキスタン、トルクメニスタン、カレリア共和国、エストニア、アルメニア、モルドヴァ、キルギス、アゼルバイジャン、カザフスタン・・・旧ソ連諸国の国々の美女がその手に特産物を持って微笑む「民族友好」の噴水。

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Фонтан «Каменный цветок» ウラル地方の民話をテーマにしている「石の花」の噴水。孔雀石の原石ような深みのある色合いがなんともいえず素敵だったのですが、どちらも最近修復されピカピカに。またこれから時を経ていい風合いになっていくのでしょう。さらに公園の奥へ進むとФонтан«Золотой колос»「黄金の穂」の噴水もあります。

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△ソビエト時代の1967年に完成後10年間、自立式建造物として世界一を誇っていたオスタンキノTV・ラジオ塔(540m)の入り口にも噴水があります。塔があまりにも高いので、噴水が小さく見えますね。内部は見学ツアーや展望レストランがあります。

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△ソ連風の食料品店や食堂も人気スポットになっている国営グム百貨店の待ち合わせの定番といえば、こちらの噴水。四季折々のディスプレイで訪れる人を楽しめませてくれますが、春の桜満開も毎年恒例になっています。

 

【芸術と噴水などなど・・・】

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△ロシアを代表するボリショイ劇場前には、Театральный фонтан 劇場の噴水。そしてその向かい側のマルクス像がある革命広場には、«Петровский»があります。モスクワで最古の噴水は、モスクワ大公アレクセイ・ロマノフの時代にコロメンスコエにあった屋敷に作られたと言われています。それから時を経て、都心部で水道管が整備された19世紀前半に作られた彫刻家ヴィタリによる噴水は、モスクワで今も見ることが出来る噴水の中でも最も古いものに数えられています。水杯を掲げる4人のトッティ(ルネサンス美術で描かれる天使のような男の子)は、それぞれ音楽や詩情、悲劇や喜劇を表しています。もうひとつヴィタリによる有名な噴水は、かつてルビャンカ広場にありましたが現在はモスクワ南部の庭園に移設されています。

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△革命広場に面する老舗ホテル「メトロポール」の天井ステンドグラスに圧倒されるグランドホールでも、優雅な噴水を囲んでお食事を楽しむことが出来ます。ステージでは、伝説のバス歌手シャリャーピンも歌声を披露したそうです。ホテルのロビーバー“シャリャーピン”では、ロシア式アフタヌーンティーも楽しめます。(過去ブログ参照

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△お土産屋さんがひしめくクラシックな街並みがお散歩にもぴったりの旧アルバート通りでは、ヴァフタンゴフ記念劇場の前にФонтан «Принцесса Турандот»トゥーランドット姫の噴水があります。

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△Фонтан «Похищение Европы»  噴水『エウロペの略奪』キエフ駅に隣接してショッピングモール“エヴロペイスキー(ヨーロッパ)”があり、ヨーロッパ諸国の旗がたなびくヨーロッパ広場の中央には噴水“エウロペの略奪”があります。ヨーロッパという言葉のもとになったギリシア神話のエウロペをテーマにしているそうです。

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△ギリシア神話がモチーフの噴水をもうひとつ、Фонтан «Аполлон» «Сатир» «Медуза Горгона»в саду «Аквариум» アクアリウム庭園の噴水『アポロン』『サトゥロス』『メドゥーサ』です。モスソヴェート劇場(Государственный академический театр имени Моссовета)前のアクアリウム庭園は都会のオアシスです。ギリシア神話をテーマにした、アポロンとサトゥロスを挟んで小川が流れ、その後ろには、なんとメドゥーサも隠れています。

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Фонтан искусств «Вдохновение»ロシア絵画の殿堂トレチャコフ美術館本館の脇にある広場には、3枚の絵がモチーフの噴水「インスピレーション」があります。それぞれの絵はよく観ると、ヴァスネツォフ作『イワン雷帝』、クインジ作『パン』 «Снедь московская. Хлебы» 、クインジ作『白樺林』

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△こちらもトレチャコフ美術館から歩いて数分の場所にある旧約聖書『創世記』に記された最初の人間Фонтан «Адам и Ева» アダムとイヴの噴水もあります。モスクワ建都860周年を記念して誕生し、2008年から稼働している比較的新しい噴水です。

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△モスクワ大学付属植物園の薬草園にも四季折々の植物とともに可愛らしい噴水があり、水鳥たちが悠々と泳いでいます。

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△グム百貨店脇のイリインカ通りには、ガラスの滑り台のように緩やかに静かに水面が傾斜する噴水が、一方、戦勝記念公園には空高く吹き上げる勇壮な噴水があります。

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Фонтан «Поющий журавль»歌う鶴の噴水があるのは清らかな池を意味するチースティエ・プルドィЧистые пруды)

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△駅ごとにテーマの違う美しい宮殿のようなモスクワ地下鉄の中にも、実は知られざる噴水スポットがあります。リュブリンスコ・ドミトロフスカヤ線(黄緑)のリムスカヤ駅は古代ローマを記念してロシアとイタリアのアーティストによる作品があります。幻想的に浮き上がる『リッタの聖母』のレリーフも必見ですが(レオナルド・ダ・ヴィンチの描いた『リッタの聖母』はエルミタージュ美術館で鑑賞できます。)、ローマ建国神話に登場する双子の兄弟ロームルスとレムスの可愛らしい姿の後ろに本物の噴水があります。

さて、あなたはいくつご存知でしたか?噴水に注目するだけで、また新しいモスクワ地図が見えてきます。歩けば歩くほど素敵な噴水に出会える夏のモスクワで、あなたもぜひ新しい噴水を見つけてみてくださいね。