Archive for 6月, 2020

モスクワ通信『クリスタル・ガラスの里グシ=フルスタリヌイの世にも美しい聖堂ガラス博物館!』

金曜日, 6月 26th, 2020

黄金の輪をなす古都のひとつウラジーミルから南へ。同じウラジーミル州のなか、ロシアのクリスタル・ガラスの里グシ=フルスタリヌイ(Гусь-Хрустальный)があります。ガラスの里にぴったりの美しい水辺!

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“水晶のガチョウ”を意味するグシ=フルスタリヌイには、世にも美しいクリスタル・ガラスの博物館があります。このグシ=フルスタリヌイに工場を作り、クリスタル・ガラスの町にしたマリツォフ家の名を冠したクリスタル・ガラス博物館(Музей хрусталя имени Мальцовых)です。

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△赤煉瓦と白い大理石のコントラストが美しいゲオルギエフスキー大聖堂(Георгиевский собор)は1892~1903年に建築家ベヌア・レオンティ(Леонтий Николаевич Бенуа)のプロジェクトに基づいて建てられました。一歩足を踏み入れると・・・

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息を呑むような美しさ・・・!聖堂の醸し出す厳かで神聖な空間に浮かび上がるように輝くクリスタル・ガラス!!!1983年5月に聖堂内にオープンしたこの博物館の約2000もの展示品は、18世紀後半から現在まで続くの工場のコレクションとグシ=フルスタリヌイの優れたガラス・アーティストたちの作品です。

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△手前左は1950年台の化粧セット“マーガレット”。可憐なマーガレットのお花に似せてカットしてあります。手前右は、海をテーマにしたワインセット。中段左は、果実酒のセット。どれも1940〜50年代の作品。

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△祭壇の上とその反対側にある2枚のモザイク画は、どちらもトレチャコフ美術館で傑作を見ることができる画家ヴィクトル・ヴァスネツォフの作品です。祭壇にはクリスマスツリーのような巨大なガラスのモニュメントも飾られていました。

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△聖堂の前のアキム・マリツォフ(Аким Васильевич Мальцов)像

芸術的なクリスタル・ガラスの世界を堪能したら、ぜひ工場見学もどうぞ。

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△さびれた雰囲気の工場が、長い歴史を感じさせます。

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△1756年創業のクリスタル・サロン(Салон Хрусталя)は、白鳥の湖ならぬ湖の白いガチョウがトレードマークです。

そもそもの始まりは1723年、オルロフの商人ワシーリー・マリツォフ(Василий Юрьевич Мальцов)がモスクワ郊外の村にクリスタル・ガラス工場の設立を許されたことから歴史が始まったと考えられています。数年後、ワシーリー・マリツォフは息子のアキム&アレクサンドル兄弟にこの工場を受け継ぎます。しかし1747年には、モスクワに火事が及ぶ危険性から近郊での工場設立が禁止されるようになり、マリツォフ兄弟が工場を移した場所がこの自然豊かなグシ=フルスタリヌイでした。展示会などで披露されるたびに国内はもちろん国際的にもロシアのグシ=フルスタリヌイのガラス製品の評価は高まり、1900年パリ万博グランプリ受賞など数々の賞に輝きました。しかし近年は、欧米諸国のガラス製品に押され気味で一度は閉鎖してしまいましたが、ロシアを代表するクリスタル・ガラス製品として、今も変わらぬ技術と伝統を守り続けています。

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かまどのなかにガラスの塊を入れて高温で熱し、成形していきます。大声を出さなければ隣の人の話し声が聞こえないほどのボウボウと燃えさかる炎の音、汗を流しながら屈強な男性たちが黙々と作業しています。時折、うまく仕上がらなかった作品を割るガシャーンという音も聞こえます。

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△熱したガラスの玉から、ピンセットのような道具でスーッと首を伸ばし形を整えたら、あっという間に白鳥?ガチョウ?が現れました・・・!

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△挑戦させていただきました!熱したガラス玉がついた棒は、ゆっくりと一定のスピードで回していかなければ、すぐに球が偏ってしまいます。簡単そうに見えて、なかなか難しい!

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△「上手、上手!よし、ここで今日から働きなさい」優しい職人さんのお言葉。

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続いては、やすりを前にガラス製品をカットしていく作業を見せていただきました。

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見学の最後には、工場内のミュージアムへ。

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これまでの工場の歴史の中で誕生した一点ものの記念品や企業ロゴ入りのユニークなコラボ商品、大作、時代を反映したシリーズ作などどれもこれも貴重なものばかり。ガラス製のサモワールも。
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工場内にもショップがありましたが、近くには、さらに品揃え豊富な工場直営店や掘り出し物にも出会えるクリスタル・ガラス市もあります。ぜひお気に入りを見つけてくださいね!

 

モスクワ通信『まるで彫刻の森!ノヴォデヴィチ墓地アルバム』

木曜日, 6月 25th, 2020

6月12日はロシアの日でした。今回は、ソ連とロシアの時代に名を残し、今も人々に敬愛されている偉人たちのパンテオン、ノヴォデヴィチ墓地(Новодевичье кладбище)を歩きます。門を入り右手側の建物がチケット売り場です(2020年現在は親族のお墓参り以外は大人1枚300ルーブル)。また、売店で地図(200ルーブル)も購入できます。重複していたり地図の場所に存在しないお墓もあったりしますが、これがなければ広い敷地内に26,000以上あるお墓の中から目的地へ向かうのは至難の技!見つけたお墓に印をつけて訪問の記念にも。世界遺産にもなっているノヴォデヴィチ修道院とは壁で仕切られており別の入り口です。

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△まるで彫刻のようなお墓が並び、モスクワの観光名所のひとつにもなっています。美しい緑に包まれた墓地には、お花を手にのんびりとお散歩を楽しむロシア人の姿もよく見かけます。

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△入り口の門の手前左には花屋があります。ロシアではお祝いのお花は奇数と決まっていますが、故人には偶数のお花を捧げます。多くの人が献花に訪れる著名人の墓は、それぞれの区画の外側(通路沿い)に位置していたり、横にベンチが置いてあったりします。ロシアは土葬が多いのですが、葬儀の際には生花を、そしてその後は、生花でも造花でも好きなお花を捧げます。長い間美しく飾ることができる造花の花輪もお墓ではよく見かけます。リボンとお花でできた花輪には、誰から捧げられたかが記されています。

それでは、ロシア文化フェスティバルにも縁の深い偉人たちの美しいお墓をご覧ください!

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△2007年に101歳で逝去されたイーゴリ・モイセーエフ(Игорь Александрович Моисеев)のお墓。今年2020年の目玉プログラムとして、ロシアではもちろん世界中で愛されているイーゴリ・モイセーエフ記念国立アカデミー民族舞踊アンサンブル公演があります。ロシアを訪れたら誰もが一度は観たいと願い、1度観たらぜひまた観たくなる!と声を揃えて絶賛します。

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△白く幻想的に浮かび上がるバレリーナのガリーナ・ウラノワ(Галина Сергеевна Уланова) のお墓。スターリン建築の高層アパートには、ウラノワの部屋博物館が残されています。

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△女優タチヤナ・サモイロワ(Татьяна Евгеньевна Самойлова)のお墓。『アンナ・カレーニナ«Анна Каренина»』や『鶴は飛んでいく«Летят журавли» 』など名演で魅了しました。

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△サーカスの顔!伝説の道化師ユーリー・ニクーリン(Юрий Владимирович Никулин)。今でも彼の名を冠したニクーリン・サーカスは大人気!

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△劇作家・小説家アントン・チェーホフ(Антон Павлович Чехов)のお墓。周りには同じカモメのマークのついたモスクワ芸術座の俳優や関係者のお墓が並びます。

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△はためく巨大なロシア国旗は、ロシアのボリス・エリツィン(Борис Николаевич Ельцин)初代大統領のお墓

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△左:2009年 右:2020年

文豪ニコライ・ゴーゴリ(Николай Васильевич Гоголь)のお墓が以前のものとは変わっており、驚きました!実はゴーゴリは、ゴルゴダの丘に立つ十字架のような何の変哲もない石の上に十字架を立てた墓にしてほしいと遺言していたそうです。ゴーゴリは1852年に聖ダニーロフスキー修道院の墓地に葬られましたが、その際には、遺言通りに石と十字架、そして大理石の石棺が置かれていました。1932年、お墓と亡骸はこのノヴォデヴィチ墓地へ移され、ゴーゴリが天に召されてから100年の節目を記念して胸像が建てられました。そこには文豪ゴーゴリへソビエト政府から捧げられたことが記されていたそうです(それが、写真左の胸像です)。しかし、その後新生ロシアとなり、2009年には改めて、ゴーゴリの遺言の通りの墓に戻ったのだそうです(写真右が現在の墓)。

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△ヴラジーミル・ネミロヴィチ=ダンチェンコ(Владимир Иванович Немирович-Данченко)のお墓。スタニスラフスキー及びネミローヴィチ・ダンチェンコ記念 モスクワ・アカデミー音楽劇場は来日公演も多く日本でも人気があります。

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△作曲家ドミトリー・ショスタコーヴィチ(Дмитрий Дмитриевич Шостакович)のお墓

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△トレチャコフ美術館で知られているパーヴェル・トレチャコフ(Павел Михайлович Третьяков)のお墓

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△メゾ・ソプラノ歌手エレーナ・オブラスツォワ(Елена Васильевна Образцова)のお墓

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△チェロ奏者ムスティスラフ・ロストロポーヴィ(Мстислав Леопольдович Ростропович)のお墓

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△『巨匠とマルガリータ』などで知られる作家ミハイル・ブルガーコフ(Михаил Афанасьевич Булгаков)のお墓

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△詩人ヴラジーミル・マヤコフスキー(Владимир Владимирович Маяковский)のお墓

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△作曲家・ピアニストのアレクサンドル・スクリャービン(Александр Николаевич Скрябин)のお墓

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△モスクワ音楽院創設者ニコライ・ルビンシュテイン(Николай Григорьевич Рубинштейн)のお墓

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△バス歌手フョードル・シャリャーピン(Фёдор Иванович Шаляпин)のお墓

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△映画監督セルゲイ・エイゼンシュテイン(Сергей Михайлович Эйзенштейн)のお墓

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△2017年に亡くなったバリトン歌手ドミトリー・フヴォロストフスキー(Дмитрий Александрович Хворостовский)のお墓。チケット売り場にはたくさんのCDがあり、この日一番多くのお花が捧げられていました。人気の高さが窺えます。

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△作曲家ドミトリー・カバレフスキー(Дмитрий Борисович Кабалевский)のお墓。

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△航空機設計者アンドレイ・ツポレフ(Андрей Николаевич Туполев)のお墓

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△最近スターリン建築のロシア外務省の建物前に銅像も完成した外務大臣エヴゲニー・プリマコフ(Евгений Максимович Примаков)のお墓

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△日ソ国交回復への道を開いた松本・マリク会談のソ連側全権代表ヤコフ・マリク(Яков Александрович Малик)のお墓(写真左)

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△壁にも棚が設置され、骨壺や記念碑、お花で飾られています。

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△ガイドツアーも人気です。こんな風に、憧れの偉人のお墓を訪ねお花を捧げることもできますし、お墓を見て歩きながら新たな出会いや発見もあります。

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△墓地の近くには世界遺産にも指定されているノヴォデヴィチ修道院。そして作曲家チャイコフスキーが『白鳥の湖』のインスピレーションを得たといわれている美しい池があります。

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△池の反対側からは、現代ロシアを象徴するモスクワ・シティの摩天楼も綺麗に見えていました。

Новодевичье кладбище http://novodevichye.com

住所:Лужнецкий пр-д, 2, Москва