Archive for 8月, 2013

記念すべきフェスティバル1000万人目の入場者は・・・?

火曜日, 8月 27th, 2013

夏の特別企画第2弾!今回は、ロシア文化フェスティバルIN JAPANの記念すべき1000万人目の入場者となられた福田知代さんにお話を伺ってみましょう。

 

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——ロシア文化フェスティバル IN JAPANの存在を初めて知ったのは、いつですか?何がきっかけだったのでしょう?

福田——2006年に、在学していた東京外国語大学で、授業中に先生がチラシを配り、このフェスティバルについて紹介してくださいました。最初は、同級生が出場していたスピーチコンテストを見にいきました。また、夏休みには友人たちと誘い合って、富山県で行われたロシア現代美術展や、バレエ「眠れる森の美女」へも出かけました。

少女時代にバレエを習っていたので、それ以降もバレエの公演にはよく足を運びました。学生料金があったため、一つの公演でもいろいろな種類のプログラムを鑑賞できたんですよ。 特に印象に残っているのは・・・やはり、ボリショイバレエとマリインスキーバレエの合同公演でしょうか!ディシニョーヴァさんとロパートキナさんの豪華共演に胸を躍らせました。

 

——ロシアバレエに恋する学生さんだった福田さん。現在は、ロシア語を教える先生をなさっているそうですね!

福田——国連の公用語のひとつであるロシア語の美しい音の響きに魅せられて、お隣の国ロシアの言葉を学びはじめました。大学院在学中に、ロシア語の教員免許を取得し、同級生と一緒にロシア語教室を創設しました。卒業してからは、都立北園高等学校でも、ロシア語の授業を担当するようになりました。現在、授業は各学年週に1度、2時間続きです。2013年度は、1年生17人、2年生9人が履修しています。2012年からは、これに加えて早稲田大学高等学院、関東国際高等学校、筑波大学でもロシア語の授業を担当しています。東京都内でロシア語が教科として開講されている高等学校は以上の3校なんですが、全体では約110名の高校生がロシア語を学んでいることになります。ほかにも、翻訳やロシア語の辞書を作るプロジェクトのお手伝いをしています。

 

ーーそんなに多くの若い方が、高校からロシア語を学んでいらっしゃるんですね!知りませんでした。ロシア語の未来のために大活躍されている福田さん、若い学生さんたちと一緒に、ロシア文化フェスティバルのイベントにいらっしゃったりもするのでしょうか。

福田ーーええ、教室の中でロシアやロシア語について学ぶのだけでは、広くて奥深いロシアについてのほんの一部分しか感じ取ることはできないだろうとの思いから、生徒たちにロシア文化フェスティバルIN JAPANについて紹介し参加してきました。これまでに、映画祭やボリショイサーカス、写真展やピアノコンサート、民族舞踊合唱団のコンサートなどに足を運びました。

なんといっても忘れられないのは、ロシア民謡アンサンブル「ルースカヤ・ヤールマルカ」のお二人を学校にお招きして、生徒たちや教職員、保護者の前でコンサートをしていただいたことでしょうか!生徒たちも一緒に楽器を触らせていただいたりして、とても思い出深い一日となりました。

 

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ーー 今回、記念すべき1000万人目のお客様になり、オープニングレセプションでは、ステージ上で、モスクワ・サンクトペテルブルグ旅行招待プレゼントの目録とチェブラーシカ人形も贈呈されましたね。

福田ーーあのときはとても驚きましたし、私にはもったいないとも思いました。壇上ではミハイル・シュビトコイ=ロシア連邦大統領文化特別代理・ロ シア組織委員会副委員長から「怖がらなくていいよ」と言われました(笑)。笑顔でいようと心掛けましたが、やはり慣れないことで、緊張していたのだと思います。

 

 

次回は、福田さんのモスクワ・サンクトペテルブルク旅行について、たっぷりとお話を伺います。どうぞお楽しみに!!

 

 

 

 

心の絆を強めて〜震災支援と日本のなかのロシア探究〜

火曜日, 8月 20th, 2013

今回は、夏の特別企画として、今年4月に東日本大震災の被災地を訪問し、また日露交流史跡を取材してきたロシア文化フェステイバル事務局の北村れい子さんにお話を伺います。

 

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△ 陸に乗り上げた大型船(気仙沼)

 

北村――まず、東京から東北新幹線に乗り、くりこま高原駅で下車。レンタカーで登米(とめ)―石巻―東松島―南三陸―気仙沼―陸前高田―大船渡―釜石―山田―宮古と廻り、山田線で盛岡へ。そして再び新幹線で帰京・・・3日間で、被災地をめぐり、さらにロシア関係の史跡も廻るという、大変な過密スケジュールでした!

どこも津波で押し流された街がいまだ廃墟のままで、厳しい現実を突きつけられ、認識をあらたにさせられました。ロシア正教ゆかりの日本ハリストス正教会も、どこも被害に遭われていました。悲劇の現場に足を踏み入れ、言葉に表せないほどのショックを受けましたが、お会いした人々が皆、明るく元気な表情で前を向いていたのが印象的でした。

 

 

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△今も津波の傷跡が残る(石巻)

 

 

――東日本大震災後、ロシア文化フェスティバルとしてはどのような支援活動をしてこられたのでしょうか。

北村――2011年3月11日に大地震が発生し、全世界に生々しい大震災の現場が報道されました。ロシア国民にとっても日本の震災映像はショッキングだったようです。10日後の21日にすぐさまロシア文化フェスティバルIN JAPAN組織委員会は、ロシア文化人によびかけて、イタルタス通信社ビルで記者会見、震災への哀悼の意をのべ、チャリティで被災者を支援すること、ロシア文化フェスティバル2011 IN JAPANが悲劇と困難を乗り越えて、実現・成功のために支援していくことを表明し、また呼びかけました。この席には今村朗・駐ロ日本国大使館公使が同席し、ロシア国民の支援に感謝の言葉をのべました。

2011~2013年には、ピャトニツキー国立アカデミー・ロシア民族合唱団来日公演、ボリショイサーカス公演、プロコフィエフ生誕120周年記念音楽祭、クラスノヤルスク民族アンサンブル「エニセイの朝焼け」来日公演、バレエガラコンサートなど、チャリティ行事をメインにし、その収益を毎年300万円、日赤やNHK、現地にお届けしました。そして、各地の被災避難民をサーカス公演やコンサートに招待して「家族が震災後、初めて笑顔を取り戻した」という感想文や感謝の手紙をいただきました。また、震災のためにコンサート中止や券の普及がままならないフェスティバル参加企業・団体には補助金を出してきました。

 

 

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△石巻市の旧ハリストス正教会

 

 

――訪ねた被災地の印象はいかがでしたか。

北村――石巻では、自宅が流されながら、たったひとつ残った明治の蔵を保存する運動をしている市民にお会いし、廃墟の街と建物について状況を伺いました。募金をお渡ししてきました。旧ハリストス正教会の建物は中洲にあるために津波被害にあい大きく破損、工事テントで覆われていました。現教会の司祭にもお会いしました。旧教会堂の保存は困難はありますが、市が保存を表明、復元市民の会が活動をはじめています。南三陸では手作りのプレハブ商店街で対話・買い物をしましたが、三陸沿岸の街々は復旧の遅れによる困難と新しい息吹とが交差し複雑な感慨にとらわれました。官民一体の継続的な粘り強い復旧支援の必要を実感しました。

 

 

――日ロゆかりの史跡も訪ねられたそうですね。

北村――ええ、たとえば登米市では、佐藤三千夫記念碑を訪ねました。大正時代に、外国の対露干渉からロシアを守るために、シベリアのパルチザンに参加し倒れた宮城の青年を記念したものです。石巻市の禅昌寺には、若宮丸漂流民供養碑がありますが、これは1793年、ロシアへ漂流した津太夫、善六ら若宮丸船員を供養するために建てられました。

 

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△石巻市禅昌寺にある若宮丸漂流民記念碑

 

ほかにも石巻や大船渡、盛岡のハリストス正教会では山下りんのイコン画を見ることが出来ました。宮古市の華巌院では、エトロフで捕虜になった南部藩士である大村治五平記念碑などを研修しながら視察しました。

残念ながら今回は時間が足りず、ベーリング・ロシア探検船の記念碑がある網地島には渡航できませんでしたが、この地を中心に東北には、ハリストス正教会と信徒が全国で一番多く、また、江戸時代のロシア漂流船史跡も多いのです。こうした日本のなかのロシアを探究する旅は楽しいものです。

 

 

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△宮古市華厳院にある大村治五平の記念碑

 

――こんなにもたくさんのロシア関係の史跡があるなんて・・・驚きました!では最後に、今回の視察を終えて、今後のプランやご希望がありましたら教えてください。

北村――これまでも、北海道(函館ほか)、沖縄(宮古島のネフスキーの地)などの視察をしてきましたが、ロシアの文化・芸術の紹介と日本のなかのロシア探究を同時進行的にすすめて、日ロ両国民の心の絆を、固く広くしていければと願っております。ロシアの巨匠マエストロによるオーケストラコンサートを2014~15年に被災地で行う働きかけをしていますが、やはりまだ入場料は見込めませんので、なんとか実現するためにも最低限の経費を各種財団に申し入れているところです。また、チャリティコンサートを毎年行うことで、継続的に支援していけたらと思っています。

――コンサートやイベントを日本で開催するだけでなく、日ロ両国市民の心の絆を強めるさまざまな取り組みをしているロシア文化フェスティバル関係者の皆様のご努力に,心からの敬意を表します。

猛暑ですのでどうぞお体に気をつけて、芸術の秋にむけてますます実りあるご活動になりますように祈念しております!ありがとうございました。