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モスクワ大学のなかの茶室『清露庵』にて初釜

木曜日, 2月 19th, 2026

ロシア最高学府ロモノーソフ記念モスクワ国立大学(Московский государственный университет имени М.В. Ломоносова)。その名を聞いて、多くの人がまず思い浮かべるのは、スターリン様式の壮大な本館ではないでしょうか。

けれど今回ご紹介したいのは、その威容とは少し違う場所にある、もうひとつのモスクワ大学の顔です。

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△赤の広場近くのマネージナヤ広場に面して建つ、モスクワ大学アジア・アフリカ諸国大学(Институт стран Азии и Африки/通称ИСАА)。

この学舎は1956年に創立され、ロシアにおける東洋・アフリカ研究の中核を担う機関として歩んできました。

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△1832年9月、詩人プーシキンがモスクワ大学を訪れた記念プレート

今回のブログでは、大学内を探検しながら、この一角にある茶室でのお茶会の思い出をご紹介します。

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△18世紀末に建築家マトヴェイ・カザコフによって建てられた古典主義建築。神殿のように並ぶ白い柱が、学びの場にふさわしい気品を感じさせます。

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△食堂に続くホールには、モスクワ大学の礎を築いた偉大な学者ロモノーソフの肖像や大学を象徴する建物が装飾的に描かれていました。日々の学生生活の中に、大学の歴史と誇りが静かに息づいています。

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△掲示板には日本関連の案内もたくさん!さて、いよいよ、教室の並ぶ廊下を進んだ先、

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△4階の一角にあるのが、1995年に開かれた裏千家の茶室『清露庵』。

 

 

ロシアの茶人たちによる「初釜」

新年最初のお茶会「初釜」は、茶の湯の世界では特別な節目であり、年のはじまりを清らかに迎える一席です。

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△茶室に入る前、待合で温かい飲み物をいただき心を整えます。

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△畳の上には、静かな緊張と清々しい新年の空気が満ちていました。

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△印象的だったのは、ロシアならではの道具の取り合わせです。ポーランドの食器を水差しに。

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△ロシアの伝統工芸パレフ塗りの棗(なつめ)は、干支に合わせて。

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△おもてなしの心はお料理にも表れていました。ロシアで手に入る食材と日本の乾物を生かして工夫された美しい懐石。

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△なかでも驚いたのは、牛蒡や白味噌が手に入りにくいモスクワで手作りされた花びら餅。異国であるからこそ、ひとつひとつの工夫が尊く感じられます。

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△さらに心をくすぐられたのが、お干菓子の意匠です。ロシア正教の暦では、クリスマスは1月7日。新年のあとにクリスマスが訪れるため、初釜のお菓子にも、ヨールカ(もみの木)がかたどられていました。

日本の歳時記とロシアの季節感が、小さな菓子の上でそっと重なっていました。

 

桜とひまわり——日露友好のお茶碗

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△『清露庵』では、「ロシアにおける日本年」のために特別に作られたという茶碗でも一服いただきました。桜とひまわりが描かれた器でいただく一服は、まさに日露友好の象徴でした。

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△特製お干菓子も、桜とひまわり!冬のイメージのロシアですが、実は国を象徴する花はひまわりです。ロシアではひまわりの種をおやつのように食べ、スーパーではひまわり油が最も一般的な食用油として並びます。ソフィア・ローレン主演の仏ソ合作映画『ひまわり』もありましたね。

モスクワで暮らしていた頃、私は週に一度、ここで茶道を学んでいました。“今ここ”に集中し、感覚を研ぎ澄ませる一服の時間は、慌ただしい日々の中で特別な癒しでした。

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△また、和露折衷のお菓子も毎回楽しみのひとつでした。例えばダーチャ(ロシアの菜園つき別荘)で穫れたフレッシュなアブレピーハの実と寒天とお砂糖で作ったという絶品の琥珀糖をいただいたり、中国市場で入手した紅芋や餅米、小豆で、私も手作りの練り切りや鶯餅、利休まんじゅうに挑戦したりも。

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J-FESTやHINODEなど、日本文化を紹介するイベントでは、いつも茶道のマスタークラスは大人気!満席の観客を前にお手前が披露され、解説を聞きながらお抹茶と手作りの干菓子をいただきます。また、モスクワ大学付属の植物園では、毎年、野点も行われていました。

異国の大学の一室で、ロシアの土地に根づいた日本の茶の湯が、今も静かに息づいています。この場を守り育ててこられたロシアの茶人の皆さまに、心より敬意を込めて。