Archive for the 'いちのへ友里' Category

ユートピアを求めて ~1~

木曜日, 11月 7th, 2013

松本瑠樹コレクション ユートピアを求めて ポスターに見るロシア・アヴァンギャルドとソヴィエト・モダニズム」展のオープニングを取材するため、神奈川県立近代美術館 葉山へ行ってまいりました!

 

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DCファッションブランド『BA-TSU』のデザイナーとして一世を風靡した松本瑠樹さん。世界的なポスター蒐集家としても知られています。世界の国々が、美術館が、「喉から手が出るほど欲しい!」というその貴重なコレクション約2万点のなかから、ロシア革命前〜ソヴィエト連邦初期の傑作、約180点が公開されます!

 

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オープニング・レセプションでご挨拶されたのは、ご子息でファッションプロデューサーの松本ルキさん。親子で同じお名前だなんて・・・ロシア人みたい!?「人類の遺産である作品群を、私はほんの一時期、預からせていただいているだけであり、まだ見ぬ未来の子供たちにも、是非この作品を見てもらいたいと願っている。父はいつもそう申しておりました。」

 

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△右から、ご挨拶される松本ルキさん、神奈川県立近代美術館 葉山の水沢 勉館長、東京新聞の寺尾晶子文化事業部長、ロシア文化フェスティバル日本組織委員会より鳩山由紀夫委員長に代わり幸夫人と長塚英雄事務局長

 

 

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△会期中に映画も上映されるセルゲイ・エイゼンシュテイン監督『戦艦ポチョムキン』のポスター。これまで見たことがないほどの美しい色彩に、松本瑠樹さんがどれほど愛情を持って大切に保管されてきたかがうかがわれます。

 

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△「このポスターの前に並び、それぞれの人物と同じ方向を見てみてください。すると皆の目線の先、一番目立つのは・・・?」ギャラリートークもおすすめです!

 

 

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△ポスターをモチーフにしたオリジナルグッズもたくさん!(公式FBページより)

 

 

 

「時代や作家たちの情熱が感じられるような“魂を揺り動かされるもの“を側においておきたい」本物を本能で選び抜くその審美眼には脱帽するばかり・・・!

 

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さて、“すべて目的はファミリーハピネス!かかわる人や地域すべての幸せのために“という仕事スタイルでも時代のトップランナーとして注目されるルキさん。この日も家族みなさんでご来場!

 

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ロビーに用意された体験『ろしアナ』コーナーをはじめ、展示スペースや作品を身体一杯に感じる子供たちの姿に、優しく微笑む松本瑠樹さんが見えるようでした。

 

次回は、展示室の様子や作品についてご紹介していきます!

 

 

カザクバエフ芸術監督を直撃インタビュー!~3~

木曜日, 10月 17th, 2013

それでは、ファイジー・ガスカロフ記念国立アカデミー・アンサンブルのフィリュス・カザクバエフ芸術監督にお話を伺ってみましょう!

 

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——ロシア国内で活動する数多くの民族舞踊団とは違う、あなたのアンサンブルの特徴はどんなところでしょうか?

芸術監督ーー基本的には他のロシア民族舞踊団と違いません。というのは、踊り方をはじめ、衣装や音楽に至まで、我々はロシアの教育のもとで学んでいるからです。劇団には民族的なロシア人はほとんどいませんが、首都モスクワやペテルブルグで学んだ素晴らしい人材によって質の高い教育が行われていますから、ロシアの踊りを最高のクオリティで踊ることができると自負しています。バシキールならではの特徴というのは、作品のストーリー部分です。これは、ほかのどの国とも、どの民族とも違う部分で、それぞれの作品にストーリー性があり、すべての踊りにバシキールの心が表れているのです!

 

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ーーそれこそ、創設者ガスカロフ氏から受け継がれているものですね?

芸術監督ーーええ、そうですね。ガスカロフはかの有名なイーゴリ・モイセエフの愛弟子ですから、私たちはモイセエフのバレエ団とおなじように質の高いロシアの踊りを踊ることができます。他方で、ガスカロフは自ら数多くの地域をまわり、さまざまな民族の歴史や生活、習慣などに触れ、祝宴など実際の生活のなかで踊りがどのように育まれているのかを深く探り、民族の心を理解して、それを芸術の域にまで高めました。ソ連時代にガスカロフによって産み出されたこの独特の傑作を、保持していきたいと考えています。2010年には創設70周年を記念して、私たちアンサンブルの歴史博物館もできました。けれども、伝統を守るだけでなく、新しい演目も毎年追加しており、エストラーダ(大衆芸能・軽演劇のような意)的なレパートリーも組み込むなど、現代の観客にも合うように趣向をこらしています。

そうそう、世界的に有名なヌレエフというダンサーをご存知でしょうか?彼もバシコルトスタンの誇る英雄のひとりです。2006年に開設されたアンサンブル付属のダンス・スタジオでは、現在4歳から15歳まで約150名くらいの子供が未来のダンサーを夢見てレッスンに励んでいますから、ダンサーたちも日々進化しているといえるでしょう。

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公式サイトではこのスタジオについても動画で紹介されています。

 

ーー最後に、 今のあなたの夢を教えてください!

芸術監督ーー夢は・・・そう、この素晴らしい日本公演を、そしてこの温かく尊敬のこもった歓迎ぶりを、祖国のみんなに観てもらえたらいいのにということ!1939年に創立されてから初となる記念すべき日本公演をTV中継できたらよかったのにね・・・!!そして今度来日できる機会があれば、民族楽器の生の音色も合わせてお届け出来たらと思います!

 

ーー夢を叶えるためにも、どうぞまた日本へいらしてくださいね!ありがとうございました!

 

 

 

 

 

 

 

“ロシアの真珠”バシキールのダンサーたち~2~

水曜日, 10月 16th, 2013

ファイジー・ガスカロフ記念国立アカデミー・アンサンブル公演、今回は舞台裏をレポート!

 

まず目を奪われたのは、長く三つ編みにされたつややかな黒髪が印象的な女性ダンサーたち 。「覚えていないくらい小さな頃から踊っているんだから、もちろん自分の髪だわ」という方もいれば、「普段は流行のミディアムスタイルにしているから、半分から下は人工の髪を編み込んでいるのよ」という方も。おさげの先には銀のアクセサリーが編み込まれ、踊るとシャララランと揺れて響きます。

 

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△おしゃべりの途中でも、カメラを向けるとすぐにこんな美しいポーズが完成。さすがはプロ!

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△ヨーロッパとアジアの出逢うバシコルトスタン。豊かな自然を背景に撮影された公演パンフレットより

 

「日本の観客の皆様にとっては、初めて出逢う踊りが多かったと思いますが、とても良く受け止めてくださって感激しています!第一部はバシコルトスタン共和国のものを中心に、第2部はロシア全体のレパートリーにしましたが、私達のレパートリーは本当に豊富で、世界中の踊りがあるといっても過言ではありません。インド、アメリカ、ユダヤ、韓国、中国など・・・今度また来日する機会があれば、たとえばアルゼンチンとかスペインとか、別なプログラムだってお見せできることでしょう!でも今回は、初来日ですから、やはりバシコルトスタンの、バシキール民族の、そう私たちならではの踊りをお見せ出来たことを嬉しく思います。日本人と私たちは、なんだか性格が似ているように感じませんか?そう、女性は控えめで、男性は“サムライ”のように勇敢です。今回は小道具のサーベルを持ってくることができませんでしたが、いつかぜひ、バシキール風サムライの踊りもお見せしたいですね。ですから、“さようなら”ではなく、“またお会いしましょう!”と言っておきますね!」

 

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△私を驚かせようと、急にレンズの前に飛び出してきたこちらのお二人!

「ひとり10数着も着替えるんだ、いったいどのくらいの時間で早替えすると思う?2,3分だよ」「何言ってるんだ、1分だろう」「いや、1分以内かもしれない」「僕は今日はその半分の30秒で着替えてみせよう!」・・・なんて、漫才みたいな掛け合いでみんなを笑わせて、本番前もリラックス気分。

 

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△練習中は、アンサンブルのロゴマークがあしらわれたお揃いのTシャツ姿。

 

「公演のない日だって、リハーサルや練習で毎日毎日ダンス漬けなの。長い休暇がもしあったら、そのときだけはダンスを忘れて思いっきり楽しむのよ!そう、海に行きたいな。でも海外公演は楽しいわ。」「最近感動したのは、パリと・・・日本!日本に来れて幸せ。」「お土産には着物と日本刀の飾りを買ったよ。ダンスに使うのかって?う〜ん・・・それもいいかも(笑)結局ダンスを愛しているんだよね」

 

とにかく素朴で温かい人柄と、踊りに対する強くまっすぐで純粋な想いを強く感じました!次回は、そんなダンサーたちを率いる芸術監督にお話を伺います!お楽しみに。

 

 

 

 

 

拍手鳴り止まず!バシキール民族ダンス大盛況!~1~ 

火曜日, 10月 15th, 2013

 

“ロシアの真珠”と謳われるバシコルトスタン共和国から初来日したファイジー・ガスカロフ記念国立アカデミー・アンサンブル。Браво!ブラボー!ときにはКаваий!カワイイ!なんて声援も飛び交い、嵐のような拍手と熱狂のなかで幕が降りました。

 

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興奮冷めやらぬ舞台上では、肩を抱き合って成功を喜びあうアンサンブルと日本側組織委員会の皆様。記念品の交換では、ちょっぴり尺八みたいな音色のバシコルトスタンの珍しい民族楽器などが贈られました!

 

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「その軽やかなステップに誘われて、心が少女に戻りました!美しい民族衣装が今も目に焼き付いています!」「卓越した技に感動しただけでなく、バシコルトスタンの国の文化や歴史、風土を感じられました!50年もの間フォークダンスを愛してきましたが、ロシアのコサックダンスのなかでもバシキールのものは迫力がありましたし、『口琴とともに』は初めてで堪能しました!」

 

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「ひとくちにロシアといっても、バシキール、カルムイク人、ウイグル人、コリャーク人などどれも独特で、ウズベキスタンやウクライナのものもあったので、踊りで世界旅行を楽しませてもらいました!」終演後に熱く語るお客様たちの笑顔が、この公演の大成功を物語っています。

 

さて、秋晴れの連休中ということもあり、取材日は開場の13時半を前にこの行列!建物にそって続いていく列の最後尾がみえないほど!一番乗りの方は、なんと午前11時過ぎからいらっしゃっていたそうです。

 

 

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それでは、この公演の舞台裏&インタビューをご紹介していきましょう!

 

 

 

モスクワ・ペテルブルク100%濃縮の旅!

水曜日, 9月 11th, 2013

前回に引き続き、ロシア文化フェスティバルIN JAPANの記念すべき1000万人目の入場者となられた,ロシア語教師の福田知代さんにご登場いただき、副賞としてペア招待券が贈られたモスクワ・サンクトペテルブルク旅行についてお話を伺います!

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ーーこの夏の福田さんのロシア旅行、タイトルをつけるとしたらどんな旅でしたか?

福田ーー8月14日に成田空港を発ち、20日に帰国いたしました。17日まで3日間サンクトペテルブルクに滞在し、18日から2日間モスクワに滞在しました。2都市合わせて5日間ロシアに滞在したのですが、そうは思えないほどの非常に濃い体験をすることができました!2008年、大学院1年生のときに研究調査のためにペテルブルクに1週間滞在したことがありましたが、そのときはほとんど観光はできませんでしたので、街をじっくり見て回るというのは初めての経験でした。そうですね、今回の旅のタイトルは……「モスクワ・ペテルブルク100%濃縮の旅」でしょうか!

 

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△噴水が美しいサンクトペテルブルグ郊外ピョートル大帝の夏の宮殿

 

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△エルミタージュ美術館にて

 

ーーペテルブルグではどのように過ごされたのでしょうか?

福田ーーペテルブルクでは、1日目にエルミタージュ美術館、カザン聖堂、血の上の教会とゾーシェンコ博物館を訪れ、2日目には郊外まで足をのばしてピョートル大帝の夏の宮殿、イサク聖堂、ペトロパブロフスク要塞を訪れました。3日目には、エカチェリーナ宮殿とアレクサンドル宮殿を訪れました。ペテルブルクの魅力を余すところなく堪能することができました!

 

学生時代に滞在されたということは、「ここは絶対に訪れたい!」という想い出の場所もあったのでしょうね!

福田ーーええ、2008年滞在中には、学生時代の研究テーマであった風刺小説作家ゾーシェンコの博物館に何度も足を運びましたので、今回もお願いしてスケジュールの中に加えていただいたんです。当時お世話になった博物館のリュボーフィさんとも再会出来て、ひさしぶりにゾーシェンコ談義に花を咲かせました。気付いたら2時間もおしゃべりしていたんですよ・・・!

 

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△ゾーシェンコの愛用していたソファにてリュボーフィさんと。

 

ーーそれは素敵な時間でしたね!それから、首都モスクワへいらっしゃったんですね。

福田ーーモスクワでは、クレムリン内の武器庫、数々の教会、聖堂、雀が丘、セルギエフ・ポサードなどを訪れました。

 

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△クレムリンの向こうに輝く救世主キリスト大聖堂の屋根

 

ーーところでさっきから気になっていたんですが・・・ペア旅行券でどなたと一緒にいらっしゃったのでしょうか?(笑)

福田ーーまっさきに顔が思い浮かんだので・・・父と参りました(笑)。父は、若いころにヨーロッパを旅して回った経験があるそうなのですが、ロシアには行ったことがなかったのです。「こういう国のこういう言語を学んできたんだよ」というのを、娘として父に紹介したい気持ちもありました。父はロシアという国を実際に見て、ロシアの人々と接して、そのスケールの大きさに感激しておりました!

 

 

ーー愛する娘さんとご旅行だなんて、お父様はさぞ喜ばれたことでしょうね!本場ロシアの文化に触れて、今どんなお気持ちでしょうか?

福田ーー今回、特に印象に残ったのは、いろいろな教会、聖堂を訪れて、ロシア正教の一端を理解できたように思えたことです。文献や映像教材などを通して、ある程度は知っているつもりでしたが、実際に教会の中に入り、イコン(聖像画)に圧倒され、儀式が執り行われている様子を目にしたことで、ロシア人の気持ちの根本をなしているものに触れられたような気がしています。劇場シーズンの幕開けは秋ですので、舞台芸術などを見る機会はありませんでしたが、ロシアに滞在できたこと自体が、私にとっての大きなロシア文化体験でした!!!

 

 

 

 

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△荘厳な美しさのイコンで飾られたロシア正教会の内部

 

ーー今回の旅を終えて、ロシアやロシア人,ロシア文化の魅力はどんなところにあると感じていらっしゃるでしょうか?

福田ーー ロシア、ロシア語について紹介するとき、私は「ロシアは、言葉を学んだその先がとても広く、とても深い。それはまるでロシアの大地の大きさ、広さ、奥深さそのものなのです」とお話しています。今回の旅を通じて、この思いは確信に変わりました。

実際に足を運ばなくても、テレビやインターネットで何でもバーチャル体験ができてしまう現代ですが、やはり生で見るからこそ感じられる素晴らしさがあると思いました。ロシア文化は高尚で近寄りがたいと思われがちですが、ロシア文化フェスティバル IN JAPANを通して、より気軽に「ホンモノ体験」をしてもらえたらと願っております。

この旅のおかげで、ロシアに興味を持っている子どもたちに,教師として提供できる情報の引き出しが非常に増えましたので、今のロシアについて、私なりの言葉で伝えていけたらと思っています。素晴らしい経験をさせていただきまして、心より感謝申し上げます!

 

ありがとうございました!

 

記念すべきフェスティバル1000万人目の入場者は・・・?

火曜日, 8月 27th, 2013

夏の特別企画第2弾!今回は、ロシア文化フェスティバルIN JAPANの記念すべき1000万人目の入場者となられた福田知代さんにお話を伺ってみましょう。

 

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——ロシア文化フェスティバル IN JAPANの存在を初めて知ったのは、いつですか?何がきっかけだったのでしょう?

福田——2006年に、在学していた東京外国語大学で、授業中に先生がチラシを配り、このフェスティバルについて紹介してくださいました。最初は、同級生が出場していたスピーチコンテストを見にいきました。また、夏休みには友人たちと誘い合って、富山県で行われたロシア現代美術展や、バレエ「眠れる森の美女」へも出かけました。

少女時代にバレエを習っていたので、それ以降もバレエの公演にはよく足を運びました。学生料金があったため、一つの公演でもいろいろな種類のプログラムを鑑賞できたんですよ。 特に印象に残っているのは・・・やはり、ボリショイバレエとマリインスキーバレエの合同公演でしょうか!ディシニョーヴァさんとロパートキナさんの豪華共演に胸を躍らせました。

 

——ロシアバレエに恋する学生さんだった福田さん。現在は、ロシア語を教える先生をなさっているそうですね!

福田——国連の公用語のひとつであるロシア語の美しい音の響きに魅せられて、お隣の国ロシアの言葉を学びはじめました。大学院在学中に、ロシア語の教員免許を取得し、同級生と一緒にロシア語教室を創設しました。卒業してからは、都立北園高等学校でも、ロシア語の授業を担当するようになりました。現在、授業は各学年週に1度、2時間続きです。2013年度は、1年生17人、2年生9人が履修しています。2012年からは、これに加えて早稲田大学高等学院、関東国際高等学校、筑波大学でもロシア語の授業を担当しています。東京都内でロシア語が教科として開講されている高等学校は以上の3校なんですが、全体では約110名の高校生がロシア語を学んでいることになります。ほかにも、翻訳やロシア語の辞書を作るプロジェクトのお手伝いをしています。

 

ーーそんなに多くの若い方が、高校からロシア語を学んでいらっしゃるんですね!知りませんでした。ロシア語の未来のために大活躍されている福田さん、若い学生さんたちと一緒に、ロシア文化フェスティバルのイベントにいらっしゃったりもするのでしょうか。

福田ーーええ、教室の中でロシアやロシア語について学ぶのだけでは、広くて奥深いロシアについてのほんの一部分しか感じ取ることはできないだろうとの思いから、生徒たちにロシア文化フェスティバルIN JAPANについて紹介し参加してきました。これまでに、映画祭やボリショイサーカス、写真展やピアノコンサート、民族舞踊合唱団のコンサートなどに足を運びました。

なんといっても忘れられないのは、ロシア民謡アンサンブル「ルースカヤ・ヤールマルカ」のお二人を学校にお招きして、生徒たちや教職員、保護者の前でコンサートをしていただいたことでしょうか!生徒たちも一緒に楽器を触らせていただいたりして、とても思い出深い一日となりました。

 

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ーー 今回、記念すべき1000万人目のお客様になり、オープニングレセプションでは、ステージ上で、モスクワ・サンクトペテルブルグ旅行招待プレゼントの目録とチェブラーシカ人形も贈呈されましたね。

福田ーーあのときはとても驚きましたし、私にはもったいないとも思いました。壇上ではミハイル・シュビトコイ=ロシア連邦大統領文化特別代理・ロ シア組織委員会副委員長から「怖がらなくていいよ」と言われました(笑)。笑顔でいようと心掛けましたが、やはり慣れないことで、緊張していたのだと思います。

 

 

次回は、福田さんのモスクワ・サンクトペテルブルク旅行について、たっぷりとお話を伺います。どうぞお楽しみに!!

 

 

 

 

心の絆を強めて〜震災支援と日本のなかのロシア探究〜

火曜日, 8月 20th, 2013

今回は、夏の特別企画として、今年4月に東日本大震災の被災地を訪問し、また日露交流史跡を取材してきたロシア文化フェステイバル事務局の北村れい子さんにお話を伺います。

 

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△ 陸に乗り上げた大型船(気仙沼)

 

北村――まず、東京から東北新幹線に乗り、くりこま高原駅で下車。レンタカーで登米(とめ)―石巻―東松島―南三陸―気仙沼―陸前高田―大船渡―釜石―山田―宮古と廻り、山田線で盛岡へ。そして再び新幹線で帰京・・・3日間で、被災地をめぐり、さらにロシア関係の史跡も廻るという、大変な過密スケジュールでした!

どこも津波で押し流された街がいまだ廃墟のままで、厳しい現実を突きつけられ、認識をあらたにさせられました。ロシア正教ゆかりの日本ハリストス正教会も、どこも被害に遭われていました。悲劇の現場に足を踏み入れ、言葉に表せないほどのショックを受けましたが、お会いした人々が皆、明るく元気な表情で前を向いていたのが印象的でした。

 

 

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△今も津波の傷跡が残る(石巻)

 

 

――東日本大震災後、ロシア文化フェスティバルとしてはどのような支援活動をしてこられたのでしょうか。

北村――2011年3月11日に大地震が発生し、全世界に生々しい大震災の現場が報道されました。ロシア国民にとっても日本の震災映像はショッキングだったようです。10日後の21日にすぐさまロシア文化フェスティバルIN JAPAN組織委員会は、ロシア文化人によびかけて、イタルタス通信社ビルで記者会見、震災への哀悼の意をのべ、チャリティで被災者を支援すること、ロシア文化フェスティバル2011 IN JAPANが悲劇と困難を乗り越えて、実現・成功のために支援していくことを表明し、また呼びかけました。この席には今村朗・駐ロ日本国大使館公使が同席し、ロシア国民の支援に感謝の言葉をのべました。

2011~2013年には、ピャトニツキー国立アカデミー・ロシア民族合唱団来日公演、ボリショイサーカス公演、プロコフィエフ生誕120周年記念音楽祭、クラスノヤルスク民族アンサンブル「エニセイの朝焼け」来日公演、バレエガラコンサートなど、チャリティ行事をメインにし、その収益を毎年300万円、日赤やNHK、現地にお届けしました。そして、各地の被災避難民をサーカス公演やコンサートに招待して「家族が震災後、初めて笑顔を取り戻した」という感想文や感謝の手紙をいただきました。また、震災のためにコンサート中止や券の普及がままならないフェスティバル参加企業・団体には補助金を出してきました。

 

 

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△石巻市の旧ハリストス正教会

 

 

――訪ねた被災地の印象はいかがでしたか。

北村――石巻では、自宅が流されながら、たったひとつ残った明治の蔵を保存する運動をしている市民にお会いし、廃墟の街と建物について状況を伺いました。募金をお渡ししてきました。旧ハリストス正教会の建物は中洲にあるために津波被害にあい大きく破損、工事テントで覆われていました。現教会の司祭にもお会いしました。旧教会堂の保存は困難はありますが、市が保存を表明、復元市民の会が活動をはじめています。南三陸では手作りのプレハブ商店街で対話・買い物をしましたが、三陸沿岸の街々は復旧の遅れによる困難と新しい息吹とが交差し複雑な感慨にとらわれました。官民一体の継続的な粘り強い復旧支援の必要を実感しました。

 

 

――日ロゆかりの史跡も訪ねられたそうですね。

北村――ええ、たとえば登米市では、佐藤三千夫記念碑を訪ねました。大正時代に、外国の対露干渉からロシアを守るために、シベリアのパルチザンに参加し倒れた宮城の青年を記念したものです。石巻市の禅昌寺には、若宮丸漂流民供養碑がありますが、これは1793年、ロシアへ漂流した津太夫、善六ら若宮丸船員を供養するために建てられました。

 

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△石巻市禅昌寺にある若宮丸漂流民記念碑

 

ほかにも石巻や大船渡、盛岡のハリストス正教会では山下りんのイコン画を見ることが出来ました。宮古市の華巌院では、エトロフで捕虜になった南部藩士である大村治五平記念碑などを研修しながら視察しました。

残念ながら今回は時間が足りず、ベーリング・ロシア探検船の記念碑がある網地島には渡航できませんでしたが、この地を中心に東北には、ハリストス正教会と信徒が全国で一番多く、また、江戸時代のロシア漂流船史跡も多いのです。こうした日本のなかのロシアを探究する旅は楽しいものです。

 

 

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△宮古市華厳院にある大村治五平の記念碑

 

――こんなにもたくさんのロシア関係の史跡があるなんて・・・驚きました!では最後に、今回の視察を終えて、今後のプランやご希望がありましたら教えてください。

北村――これまでも、北海道(函館ほか)、沖縄(宮古島のネフスキーの地)などの視察をしてきましたが、ロシアの文化・芸術の紹介と日本のなかのロシア探究を同時進行的にすすめて、日ロ両国民の心の絆を、固く広くしていければと願っております。ロシアの巨匠マエストロによるオーケストラコンサートを2014~15年に被災地で行う働きかけをしていますが、やはりまだ入場料は見込めませんので、なんとか実現するためにも最低限の経費を各種財団に申し入れているところです。また、チャリティコンサートを毎年行うことで、継続的に支援していけたらと思っています。

――コンサートやイベントを日本で開催するだけでなく、日ロ両国市民の心の絆を強めるさまざまな取り組みをしているロシア文化フェスティバル関係者の皆様のご努力に,心からの敬意を表します。

猛暑ですのでどうぞお体に気をつけて、芸術の秋にむけてますます実りあるご活動になりますように祈念しております!ありがとうございました。

 

 

祝55周年!ボリショイサーカス開幕!

木曜日, 7月 25th, 2013

さあいよいよ夏本番!ボリショイサーカスの季節がやってきました!

今年は祝・来日55周年記念公演。1958年の初来日以来、ロシアのサーカスはここ日本で、50年以上にわたって愛されつづけてきました。プログラムの表紙 にも「55」の文字が輝いています!

 

 

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幼い頃はご両親に連れられて、そして今はお子さんやお孫さんたちに囲まれながら、親子3代で楽しみにしてくださっている方も多いようです。

 

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人気者の熊や犬・猫による動物サーカスあり、ジャグラーやバランス・アクト、ロシアン・スイングにロシアン・バー,ジギドなどのアクロバットあり、空中ブランコ&空中フラフープあり・・・神業満載の日本特別プログラムで、人間の美と能力の限界に挑みます!

 

さて今日は、会場でしか手に入らないオリジナル・グッズの販売コーナーを覗いてみましょう。

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ボリショイ・サーカスのマスコット、熊のミーシャ&マーシャが描かれています。

 

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Tシャツにノート、クッキーにキャンディ、どれもこれも欲しくなってしまいますが、なかでも私のオススメは・・・暗闇に光るライトスティック!

スイッチを入れると、白い(透明に白文字の)スティックが、赤と青に光って、ロシア三色旗カラーが完成!?これを手にすれば、気分も盛り上がること間違いなし!

 

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可愛い動物たちと一緒に、記念写真が撮れるコーナーは、いつも子供たちでいっぱいです!もちろん今年は55周年記念フレーム!

 

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ボリショイサーカスは、9月1日まで全国7都市で公演予定です。夏休みの想い出の1ページに、家族みんなでお楽しみください!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

プーシキン美術館展 開会式!

金曜日, 7月 12th, 2013

さて記者会見後には、グランドギャラリーにおいて開会式が催され、モスクワからはイリーナ・バカノワ副館長が来日しました。

 

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▲「東日本大震災後の日本の皆様の勇気に感動し、展覧会開催という約束をぜひとも果たしたいという想いでやってまいりました。もともとはモスクワ大学の学生たちが芸術をよく理解出来るようにと設立されたプーシキン美術館は、今もその使命を受け継ぎ、素晴らしいものを世界に広めようという大きなエネルギーを持っていると自負しております。音声ガイドや映像、パネル展示なども合わせて、ぜひロシアという国やプーシキン美術館についても知っていただけたらと願っております。ロシア人と日本人のチームワークで作り上げたこの展覧会を鑑賞して、喜びに包まれるであろう皆様が、他の作品も見てみたいと実際にモスクワのプーシキン美術館を訪れてくださることを心から望んでおります。日本とロシアの間の文化の結びつきが、ますます両国の友好関係を発展させてくれると信じております。スパシーバ!」

 

横浜美術館の逢坂恵里子館長、朝日新聞社の木村伊量代表取締役社長、そしてテレビ朝日の早河洋代表取締役社長による主催者挨拶につづき、来賓代表として在日ロシア連邦大使館のコンスタンチン・ヴィノグラドフ一等書記官と林文子横浜市長がお祝いのメッセージを述べると・・・最後にスペシャルゲストとして、音声ガイドでナビゲーターを務められた俳優の水谷豊さんが登場!

 

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▲「今年はとてもロシアにご縁がありまして、夫婦で初共演した映画『少年H』がモスクワ国際映画祭で特別賞を受賞しまして、先日モスクワを訪問してきたばかりです。」ジョークを交えつつ、プーシキン美術館展をPR。

 

 

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ヴィノグラドフ一等書記官のご挨拶での素敵なお言葉をお借りして・・・日本には、日本古来の精神を大切にしつつ西洋の技術を受け入れ、両者を調和させ発展させていく和魂洋才という言葉がありますが、まさに“露“魂洋才といえるプーシキン美術館展。いよいよ開幕です!

 

 

 

プーシキン美術館展のロシア的楽しみ方2:絵をとりまく人々

木曜日, 7月 11th, 2013

ロシア国立プーシキン美術館が収蔵する西洋絵画のなかでも、約700点ものフランス絵画コレクションの素晴らしさは、本国フランスも羨むほどと称されています。そのなかから時代を象徴する名品66点で、17世紀〜20世紀にかけての300年を辿っていく今回の展覧会。

 

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横浜美術館の松永真太郎主任学芸員はこんなふうに教えてくださいました。

「今回の展覧会のもうひとつのテーマは“人“です。出品作品の多くに描かれているのは人物です。神話に登場する人々、ロシア皇帝が自ら発注したという聖母画、ルノワールが背景にまで愛を込めて描いた肖像画・・・人の描かれ方の変遷にぜひ着目してみてください。そして、ロシアの皇帝や貴族、大商人などのコレクター、描いた画家と、描かれたモデル・・・一枚の絵の背景にある人の繋がりやその想いによって受け継がれてきたことに想いを馳せると、また違った楽しみ方ができるのではないでしょうか。」

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1枚の絵が誕生するまで、そしてフランスで誕生してからロシアへやってくるまで、そして開催延期から2年間を経て今日まで、いったいどれほどの人々がこの絵に関わってきたことでしょうか!

そして今、2013年横浜で、あなたはどんな想いを受け取るのでしょうか・・・。