ロシアでも日本と同様に1月1日に新年を祝いますが、なんとロシア正教のクリスマスは1月7日!
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そのためカードに「新年、明けましておめでとう!&メリークリスマス!」と書かれていたり、その年の干支と一緒にロシア版のサンタ・クロースが描かれていたり、ニューイヤーコンサートにツリーが飾られていたり・・・。多くのキリスト教の国が一年で最も大切な日として祝う12月25日は、ロシアでは普段通りに過ごす1日で、そのまま年末まで勤務する会社も多く、年越しからがロシアの長い新年休暇のはじまりです!

【ロシア流のカウントダウンって?】

世界中で盛大に祝われるカウントダウン!ロシアでは、新年が近づくと赤の広場のスパスカヤ塔の時計が映し出され、TVで大統領から国民へ挨拶がはじまります(Новогоднее обращение к гражданам России)。0時ちょうどになると2022年のはじまりを告げるクレムリンの鐘が12回、凍った夜空を震わせるように鳴り響きました。広大な面積を持つロシアでは国内でもいくつかの時差があるため、東から順番に新年をリレーしていきます。

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△赤の広場のシンボルのひとつにもなっているスパスカヤ・タワーの時計。毎年夏にはスパスカヤ・タワーの名前が冠された国際軍楽祭も開催されます。(関連☆モスクワ通信『毎年恒例!ロシア国際軍楽祭と戦勝記念日、そして新たに誕生した軍主聖堂』)このスパスカヤ・タワーの時計は、ロマノフ王朝時代にリニューアルされ、モスクワで初の鐘が鳴る時計となりました。ロシアの建築家バジェン・オグルツォフ(Бажен Огурцов)とスコットランドの技師クリストファー・ギャロウェイ(Christopher Galloway)によって設置されました。(関連☆【モスクワ通信】新たな一面を発見!モスクワのなかのイギリスをピックアップ

 

新年の3点セットといえば?

新年を迎えるテーブルに欠かせないものといえば、ロシア版ポテトサラダ『オリビエ』(салат «Оливье»)、オレンジ(мандарины)、そしてシャンパン(шампанское)で乾杯!

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△シャンパンとオレンジでデコレーションされたグム百貨店の食材店ショーウィンドー

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△オリビエサラダは、フランス人の血をひくモスクワの料理人オリヴィエが発案した料理で、もともとはエゾライチョウやザリガニなどが入っていましたが、ソ連時代に手に入りやすい食材にアレンジされ、大衆に広がりました。今ではじゃがいもや玉ねぎ、人参、ハムやソフトタイプのサラミ、茹で卵にキュウリのピクルスなどをサイノメに切り、ロシアのクリーミーで酸味の少ないマヨネーズをたっぷり加えて和えたサラダです。日本のポテトサラダはここからきている、という説も!?

 

【クリスマス・ツリーではなく、ニューイヤー・ツリー⁉︎】

ロシアでは“クリスマス・ツリー”でなくニューイヤー・ツリー(новогодняя ёлка)と呼びます。新年を迎えるために飾るので、門松みたいなもの?!

秋の収穫祭やハロウィンの時期が終わると、モスクワの街は冬のイルミネーションでライトアップされるようになり、新年を前にあちらこちらに美しいツリーが飾られるようになります。派手にお祝いするのが大好きなロシア人、デコレーションも毎年とってもゴージャス!秋から冬へどんどん日が暮れるのが早くなり長い冬がやってきますが、イルミネーション散歩はロシアの冬の夜の楽しみのひとつです。

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△おとぎの国みたいにライトアップされたグム百貨店に、

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△モスクワの冬の風物詩、屋外スケート場はいつも大人気!

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△そして、赤の広場の巨大なもみの木は、毎年楽しみにしている方も多いようです。

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△欧米のクリスマス・マーケットをイメージした市も毎年恒例になりました。(関連☆モスクワ通信『新しいモスクワ歳時記!季節を楽しむフェスティバル』

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△氷の滑り台や回転木馬には子どもたちの長い列が。湯気のたつ屋台からは美味しそうな香りが漂ってきます。ロシアでは年末年始に親しい人同士でちいさな贈り物をする習慣があるので、干支のついた小物やお菓子、キャンドルやツリーの飾りなどのお店も並んでいます。

前回のブログでもご紹介しましたが、ロシアでは生のもみの木を飾る家庭も多いんですよ。(関連ブログ☆【モスクワ通信】本物のもみの木のツリーを飾ろう!

 

【子どもたちにプレゼントを運ぶのはロシア版サンタクロースのジェッド・マロース!】

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△ロシア版のサンタクロースともいえるのが、スラブ民話から登場したДед мороз(ジェッド・マロース)で、直訳したら「寒波おじいさん」という感じでしょうか。欧米をはじめ日本で知られるサンタクロースとはちょっぴり違っていて、赤鼻のトナカイでなく3頭立ての馬車“トロイカ”にのってやってきます。大きなプレゼントの袋のほかに魔法の杖を持ち、その横には可愛い孫娘のСнегурочка(スネグーラチカ)「雪娘」がいます。服装だって少し違います。サンタクロースはズボンの裾を、黒い皮ブーツのなかに押し込んでいますが、ジェッド・マロースは、ワーレンキ(ロシアのフェルト製の長靴)を履いています。サンタクロースはボタンで留める赤い上着を着ていますがジェッド・マロースは、不思議な模様が刺繍された丈の長い毛皮外套を着ています。

 

新年の子どもたちの楽しみといえば、この時期、多くの劇場で子どもたち向けに催されるプログラム『ニューイヤー・ツリー』です。ストーリーのなかで、あるいはステージ後に、ジェッド・マロースとスネグーラチカが登場!

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△一緒に歌ったり踊ったり、クイズや記念撮影を楽しんだりできるイベントがあったり、イベントを盛り上げるジェッド・マロース&スネグーラチカの出張サービスがあったり、お店で仮装できるコスチュームも売られています。

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△フィンランド ではなくロシアの北ヴェリーキー・ウチューグに住んでいるというジェッド・マロースに手紙を出せる封筒も売られていました。

 

【ロシアにもあるの?年末年始にお馴染みの映画やTV番組】

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△新年に観る毎年恒例の映画といえば・・・これ!『運命の皮肉』( Ирония судьбы или с лёгким паром!1975年エリダール・リャザノフ監督による作品で、大晦日に仲間とサウナで飲んでいるうちにすっかり酔っ払ってしまった主人公の男性が、モスクワからレニングラード(現在のサンクトペテルブルク)へ。旧ソ連時代には、同じような名前の住所やそっくりの建物が多かったため、タクシーに住所を告げ帰宅したと勘違いして女性の部屋に入ってしまったことから起こる騒動を描いたラブ・コメディ。また、日本でも大晦日恒例の歌番組がありますが、ロシアでも歌あり笑いありで家族揃って楽しめる人気TV番組『青い灯(Голубой огонёк)』があります。1962年からつづく長寿番組で、第1回目のゲストはユーリー・ガガーリン宇宙飛行士だったそう!

 

ロシアのクリスマスは1月7日、さてどう過ごす?

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△そして1月7日のクリスマスには、ロシア正教の信者の方は教会のミサへ。(関連ブログ☆モスクワ通信『ロシア正教のクリスマス礼拝とニコライ・ヤポンスキーのイコン』)伝統的なクリスマスの食べ物として、ドライフルーツやナッツ、小麦などを混ぜて作る甘いお粥「クチヤ」を食べる家庭もあるそうです。

このあと、ロシアでは旧正月も祝われ、これが終わるとようやく長い新年休暇も終わり。本格的に仕事はじめという方も多いようです。

私にとって忘れられない年越しは飛行機のなか。アエロフロートでモスクワから日本へ向かう機内で、偶然に隣の席になった女性が、バックからちいさなツリーの置物とみかんを2つ出してテーブルに乗せ、「一緒に新年を祝いましょう!」とにっこり。0時になった瞬間に薄暗かった機内はパッと明るくなり、サンタ帽を頭に乗せたキャビンアテンダントの方がシャンパンを配ってくれました。もちろん、機内食にはオリビエサラダ、機内では映画『運命の皮肉』が流れていました。

ロシアでは、年末になると街中のもみの木市やホームセンターなどで、本物のもみの木が販売されるので、気軽に本物のもみの木のツリーを飾って楽しむことができます。

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△街角に出現したもみの木売り場に列をなす人たち。ロシア版サンタクロースのジェッド・マロースに扮した男性が、「良いお年を!」とにっこり迎えてくれます。

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△こちらの屋台は20日〜31日まで、なんと24時間営業。そう、ロシアでは、ロシア正教の暦の関係でクリスマスが1月7日にやってくるのですが、もみの木はクリスマス・ツリーというよりも、ニューイヤー・ツリー、つまり新年を迎えるための門松のような役割をしています。新年からクリスマス、そして旧正月まで飾ってから片付ける方が多いようです。

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△好みの大きさ、枝ぶりなどを吟味して、今年のお気に入りのもみの木を選びます。

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△地下鉄の駅前にも、ちいさなもみの木市が出ていました。

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△一方、こちらは大型ショッピングセンター内にあるホームセンターの特設コーナーです。

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△こちらも大きさに応じて、土台と一緒に購入します。(土台299ルーブルはプラスチック製で、もみの木の太さに合わせて3方からネジで固定して使うものなので、毎年使うことができます。)購入のポイントは、土台に立てる幹部分が細すぎず太すぎすに土台にはまるかどうか、また、切断面が斜めすぎたり、幹がデコボコしすぎているものも固定しにくいようです。

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△あちらを見ても、こちらを見ても、もみの木を購入する人でいっぱい!

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さて、自宅に戻り、さっそくネットから外すと・・・森からついてきたのでしょうか、あまり見かけないクモのような虫も数匹。針葉樹なので軍手などを装着して気をつけて土台にセットすると、お部屋のなかにもみの木独特のすっきりした香りが漂い、生き生きとした緑の枝振りが素敵です。

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△ツリーのてっぺんには金や銀のベツレヘムの星が一般的ですが・・・ロシアでは独特の飾りを見かけます。それが、このロシア正教の教会の玉ねぎ屋根のような形。ソ連時代の宗教弾圧により、星からこの形に変化した名残りとも言われています。以前ご紹介した、チャイコフスキーの家博物館がある町クリンには伝統的なガラスのオーナメントの博物館があり、一年中クリスマス気分を味わうことができます。オーナメントづくりの歴史はもちろん、実際の作業風景も覗くことができ、貴重なコレクションにはマトリョーシカやサモワール、宇宙関連のモチーフなどロシアならではのオーナメントが並んでいます。(関連☆モスクワ通信『チャイコフスキーの家博物館』

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△星が飾られるようになった今も、金や銀の星よりも、クレムリンのてっぺんのような赤い星が人気のロシアです。

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△ちなみに、新年、クリスマス、そして旧正月が過ぎると、市内あちらこちらにもみの木を捨てるための場所が設けられます。はじめは柔らかい葉も、針葉樹なので乾燥するとまるで針のように硬くなり、軍手などをつけないと危ないですし乾燥して葉が落ちるので、運ぶのも一苦労。それでもやっぱり、この季節になると、部屋のなかに生のもみの木があるだけで気分が盛り上がります。

С Новым годом и Рождеством! どうぞ素敵な新年&クリスマスを!

湯気の立つスープが恋しい季節がやってきました。冬が長く厳しいせいでしょうか、ロシアでは、食事のなかでスープがとても大切にされていて、美味しいスープがたくさんあります!今回は寒い国だからこそ美味しい!ロシアで味わっていただきたいスープを伝統料理からトレンドの味までご紹介します。

【基本はシー!】

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△まさにシンプル イズ ベストの伝統的なシー(щи)は、ロシアの食卓に欠かすことのできない基本の一皿。千切りキャベツ(冬期の保存食として塩漬けにした発酵キャベツを使うことも多い)のスープで、地方や家庭によって玉ねぎやニンジンなどの野菜を加えたり、肉類を一緒に煮込んだり、この1杯で栄養満点です。

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△ロシアのキャベツは春キャベツの時期を除き、日本よりも白くて硬いものが多いですし、お肉も日本のような薄切りでなく塊で売られていることが多いため、ことこと煮込むスープ料理にぴったり。

シーは、ロシアの小説にはもちろん諺にもよく登場していて、たとえば、 ”Щи да каша — пища наша.” (シーと粥がわれらの食事)と聞くと、ロシア人にとってのシーは、日本人の味噌汁と同じようなものかしら?と感じます。同じような意味で“Щи да каша — мать наша.”(シーと粥は我らの母)という言い回しもあれば、“Отец родной надоест, а щи не надоедят”(実の父には飽き飽きしても、シーには飽きない)なんて、飽くなきシチー愛を感じるものまで!?

 

【赤いボルシチ、ピンクのボルシチ、緑のボルシチ!?】

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△世界三大スープのひとつ!ロシアのスープといえばボルシチ(борщ)。この連載でも、ボルシチに欠かせない赤紫色の野菜ビーツについてご紹介しました。(関連モスクワ通信『ロシアで味わいたい!ビーツいろいろ』)もともとはウクライナ発祥のスープですが、旧ソ連圏全体へと広がって、お袋の味となりました。やはり地方ごとに特色があり、たとえば“モスクワ風”ボルシチは、共働きで働く女性が多いモスクワらしく、牛肉をじっくり煮込んでブイヨンをとる時間を短縮し、ソーセージやサラミなどで代用するスタイルで提供されたりも。ロシア人が大好きな白いスメタナ(サワークリーム)を落としていただくと、トマトの赤とは違う濃い赤紫色のスープが美しいピンク色になります。

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△“冷製ボルシチ”とも呼ばれている夏の人気スープ、スヴェコリニク(свекольник)。スメタナを混ぜたビーツのピンク色が綺麗!

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△そして時には、緑のボルシチ(зелёный борщ)も。刻んだじゃがいもやにんじん、お肉を煮込んだブイヨンスープに、ロシアのスーパーマーケットでよく見かける野菜スイバ(щавель)やロシアの人気ハーブのディルなど刻んだハーブ類を加えます。仕上げに茹で卵とスメタナをどうぞ!スイバ独特の酸味が爽やかで、スイバのスープ(щавельный суп)や緑のシー(зелёный щи)と呼ばれたりもします。

 

【その他の定番スープ:ソリャンカ、ラソーリニク、ウハー】

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△ビーツの赤紫色が特徴のボルシチとは違いトマトの赤色が強いスープのソリャンカ(солянка)も絶品です。野菜と肉を煮込んだスープですが、中身の特徴は冬の保存食きゅうりの塩漬けが漬け汁ごと入っていること、たっぷりのオリーブが浮かんでいること、そして肉類のなかでもよくソーセージの輪切りが入っていて、こってりとした旨味が絶妙なハーモニーを醸し出していること。黒胡椒やケッパーでスパイシーに仕上げたり、スメタナでまろやかさを、またレモンを絞って爽やかさをプラスしたりもします。穀類を加えたものはラソーリニク(рассольник)と呼ばれています。どちらもきゅうりの塩漬けの酸味が二日酔いに効くらしく、飲み過ぎた翌日にぴったりの一杯でもあります。(関連☆モスクワ通信『黄金の輪スーズダリの国際キュウリ祭り』)

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△シベリア風水餃子のペリメニと、ポジャルスキーカツレツ(☆モスクワ通信『ポジャルスキー・カツレツ発祥の地で伝統レシピのお料理教室』)、そして魚スープのウハー(уха)。お魚の出汁で煮込まれたごろごろ野菜がほっとする味です。魚はサーモンやタラ、ときには数種類混ざっていたりもして、まるで漁師飯のようです。

 

【あんな場所のこんなスープ】

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△修道院の食堂でいただいた“本日のスープ“と焼き立てピロシキ。この日は、豆のスープ(гороховый суп)でした。日本では成長に合わせて呼び方を変えながらサヤエンドウ(きぬさややスナップエンドウなど)→グリンピース→青いエンドウ豆が一般的に食されていますが、ロシアではスーパーマーケットでよく乾燥した黄色いエンドウ豆も売られています。野菜や肉類とともに、この黄色エンドウ豆を煮込んだ綺麗な黄色いスープはほっこりとした素朴な味わいです。

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△お洒落なモスクワのパン屋さんでは、パンの器できのこのポタージュ・スープ。まるごと食べられるのでボリュームたっぷり!

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△3種類のスープを味わえるランチが大人気のスープカフェ。学校の給食でもよく出るというこの3つのスープは、右・ボルシチ、中央・かぼちゃのポタージュ、左・チキンとヌードルのスープ。

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△右・ケフィールのオクローシカ、中央・豆のスープ、左・緑のシー。ロシアの夏の風物詩のひとつ、黒パンを発酵させた炭酸飲料クワスについては以前ご紹介しました。(関連☆【モスクワ通信】クワス?モルス?白樺ジュース?ロシアで味わってほしい飲み物を一挙ご紹介!)刻んだ夏野菜や肉類、ゆで卵にたっぷりのハーブ・・・それにクワスをかけてしまう摩訶不思議な炭酸スープ、オクローシカ。クワスの代わりに乳酸飲料ケフィールでつくるバージョンも。

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△6月に入り、すっかり雪が解けたダーチャ(郊外の菜園つき別荘)へ、ロシア人が週末ごとにいそいそと通いだすと、オクローシカの季節の始まりです。日本の「かき氷はじめました」のように、街中でもスーパーでも「オクローシカの季節です!」の広告をよく見かけます。ダーチャに招かれて、菜園で収穫したばかりの新鮮な野菜で頂くオクローシカは格別です。(☆モスクワ通信『郊外の菜園付きの別荘ダーチャでくつろぐ初夏の一日』

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△お洒落レストランでは、チーズのスープにスメタナの雪を降らせてくれました。お皿から湯気のたつ演出が楽しい!

 

【お土産にも!お家でお手軽スープの素】

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△ロシアのマダムに教わった私のお気に入りは生のビーツをすり下ろし、蒸してから加えるのがポイントのボルシチ。でも、もっとお手軽に本格的な味を楽しみたい方にオススメなのはこちら!香味野菜やお肉のうまみを凝縮した洋風だしで日本でもおなじみのMaggi マギーのボルシチの素!250g分のじゃがいも(約4個)と200g分のキャベツを千切りにして、2Lのブイヨンで煮込み、あとはこのボルシチの素を加えて煮込むだけ。(お肉はお好みで加えますが、野菜のみで充分に美味しい!)とっても簡単で本格的な味に仕上がります。お土産にもとても喜ばれます。

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△ロシアでぜひ味わっていただきたいもののひとつが旧ソ連圏の国のお料理。なかでも日本人の舌にも合うと評判のジョージア料理の代表的なスープといえば、ハルチョー(харчо)です。お肉とお野菜、そしてお米が入っているのが特徴で、フメリスネリと呼ばれるジョージアの人気定番スパイスミックス(コリアンダーやディル、バジル、セロリ、パセリ、ローリエ、ミントなど)を入れると本格的な味になります。

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△スーパーマーケットで見つけたお子様向けのスープもお土産にぴったり。乾燥野菜といっしょに、キリル文字アルファベットのパスタ入り。お水を入れて煮込むだけの簡単さでオーガニック100%、ロシアのカレリア共和国で作られているようです。

 

【ヘルシーな日本の味噌スープも流行中!】

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△朝食におすすめの“一週間でスリムに!”シリーズに味噌スープを発見!魚のお出汁がしっかり効いていて、海藻とハーブでヘルシー。片栗粉が入っているので口当たりはとろ〜り。

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△またロシアの缶詰の公式サイトでもПечень минтая натуральная(スケソウダラの肝)の缶詰を使った味噌スープのレシピを見つけました。

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△日本に輸入しても人気が出そうなスタイリッシュな缶詰は、1911年創業のロシアの人気ブランドДоброфлот社のもの。太平洋で穫れた秋刀魚や鰯、極東で穫れた鯖は、натуральная(ナチュラル)や、с добавлением масла(オイル漬け)などがあります。そのままでも美味しいですが、сайра(秋刀魚)のぶつ切りは竜田揚げにしたり、иваси(鰯はロシア語でもイワシ)は梅とショウガで煮たり、скумбрия(鯖はねぎと一緒に味噌煮風にしたり・・・和食にも変身してくれます。

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△ロシア版スターバックス!?«Хлеб Насущный»のメニューにも、旨味味噌ブイヨン・スープ!ロシア語でもそのまま Умами мисо бульон(ウマミ ミソ ブリオン)と書かれていました。中身が選べるようになっていて、私は“蕎麦と鶏肉とブロッコリー”を選んでみました(2020年当時345ルーブル)。大きなボールに入ってくるので、スープというよりもお蕎麦を注文したよう。トッピングされた焼き海苔とパクチーがアジアの香りを醸し出しています。

ロシアの美味しいスープでお腹も心もあったかく満たして元気に冬を迎えましょう!

ロシアのスーパーマーケットのジャム売り場。大きな特徴のひとつは、ジャム(Джем)とコンポート(Компот)の間に、ヴァレーニエ(Варенье)のコーナーがあること。ジャムは日本でもお馴染みのように、フルーツをお砂糖と一緒に煮こみ、トーストにも塗りやすいペースト(ゲル)状になったもの。高級な海外ブランドもあればロシアのブランドもあり、ここまでは日本と一緒です。また果実がそのままの形で入った飲み物コンポートは、食堂でもよく見かけます。(関連ブログ☆【モスクワ通信】クワス?モルス?白樺ジュース?ロシアで味わってほしい飲み物を一挙ご紹介!

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そして、ロシアのスーパーでジャムよりもコンポートよりもさらに広いコーナーが割り当てられているのが、ロシア伝統のヴァレーニエ!同じようにフルーツと砂糖を一緒に煮込みますが、より果実の食感が残っています。

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△ロシア人のダーチャ(郊外の菜園付き別荘)で、自家製のハーブティー&ヴァレーニエのティータイム(関連ブログ☆モスクワ通信『郊外の菜園付きの別荘ダーチャでくつろぐ初夏の一日』)。ロシアではこんな風に、小皿のヴァレーニエをティースプーンですくって食べながら紅茶を飲むスタイルも昔からよく見られます。これが日本に伝わり、紅茶の中にジャムを入れてしまう“日本風ロシアンティー”に発展していったのでしょうか。

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△クランベリー味、黄桃味、ストロベリー味、ラズベリー味のヴァレーニエ。

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△さまざまなブランドのヴァレーニエがありますが、レースで有名なヴォログダで作られているこちらは、レース模様のあしらわれた瓶のフタやラベルも可愛い!シーバックソーンや青すぐり(グースベリー) など日本ではあまり見かけないフルーツを使ったものもあります。最近はロシアもヘルシー志向になり“お砂糖控えめ”と書いてありますが、やっぱり紅茶が恋しくなる甘さです。

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△さらに珍しいものでは、きゅうりのヴァレーニエ(モスクワ通信『黄金の輪スーズダリの国際キュウリ祭り』)や松ぼっくりのヴァレーニエなんていうのも!

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△きゅうりの青味と蜂蜜の甘みが爽やかなきゅうりのヴァレーニエ。ロシアでは、スイカやメロンだけでなく、夏にはきゅうり入りのレモネードなども見かけます。

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△食用の松ぼっくりのヴァレーニエ。シベリア地方で滋養強壮や免疫力アップによいとされていて、まだ若い緑のちいさな松ぼっくりの芽を摘み、砂糖やレモンと一緒に煮ています。試食してみると、口のなかになんともいえない体に良さそうな渋みと皮が残るような感じで、私はちょっぴり苦手かも。ロシアにはこの松ぼっくりのヴァレーニエと同じ味の昔ながらのジュース、バイカル (Байкал)もあります。(関連ブログ☆【モスクワ通信】クワス?モルス?白樺ジュース?ロシアで味わってほしい飲み物を一挙ご紹介!

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△ロシアではヴァレーニエ入りの甘いピロシキも人気で、りんご(Пирожок с яблоком)やさくらんぼのヴァレーニエ(Пирожок с вишней)などが特におすすめです。

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△スメタナ(ロシアのサワークリーム)やトヴォローク(ロシアのカッテージチーズ)と一緒にヴァレーニエ、朝食に人気です。またトヴォロークでつくる丸い焼きチーズケーキのスィルニキも、スメタナとヴァレニキでいただくと絶品。家庭料理ですが、ロシアではスターバックス・コーヒーでも人気フードメニューのひとつになっています。

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△ウクライナの水餃子ヴァレニキは、皮が厚手でもちもち!中身は肉類だけでなく、ジャガイモ、きのこ、キャベツ・・・そしてさくらんぼなど甘い果物のヴァレーニエはお子様にも人気。

さて、ロシア人は夏の間、ダーチャで獲れた自然の恵みをたっぷりいただくのですが、同時に果物のヴァレーニエやコンポートや野菜の酢漬け・塩漬けを瓶詰めにして、冬の間の保存食にしています。(関連ブログ☆モスクワ通信『郊外の菜園付きの別荘ダーチャでくつろぐ初夏の一日』

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△みんな手持ちの瓶を殺菌して利用するため、スーパーやホームセンターでは、さまざまなサイズの瓶のフタもずらり・・・!初めて見たときには驚きました。ロシアの冬を描いた可愛らしい瓶のフタのセットも。

いつも身近にヴァレーニエがあるロシアの食卓なのです。

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甘党のあなたにぴったりのロシアの人気定番ケーキをご紹介した前編につづき、後半はロシア通が喜ぶ⁉︎少し珍しいケーキや注目のケーキをいくつかご紹介していきます。

【生粋のロシアっ子、モスクワ・ケーキ】

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△(写真左)首都モスクワの名が冠されたТорт  «Москва»(モスクワ・ケーキ)は、2017年、モスクワを代表するケーキを作ろう!という呼びかけのもと、20万人以上の市民による投票で誕生しました。パイ生地とクリーム(ナッツとコンデンスミルク風味)を何層にも重ねた素朴なケーキで、ずっしりとした甘さが特徴です。まわりは木いちごの赤のアイシングで輝くように美しくコーティングされています。今や、どこのスーパーやケーキ屋さんのショーケースでも威風堂々と鎮座しています。(写真右)ちなみに、ロシア人のコンデンスミルク好きは筋金入りで、特にコンデンスミルク缶を茹でて生キャラメル状にしたものは、さまざまなお菓子に愛用されています。そんなロシア人のコンデンスミルク愛を形にしてしまったユニークなケーキはПирожное Банка сгущёнки(コンデンスミルク缶ケーキ)。ソ連時代からお馴染みのコンデンスミルク缶の形&デザインをそのままケーキに。愛する娘たちが喜びそうな、そして安心安全なスイーツを!という優しい親心から誕生したというケーキショップ『Любовь и сладости(Love & Sweets)』にて。

【外国生まれのロシアなケーキ、パヴロワ】

△ロシアのバレリーナ、アンナ・パヴロワの名がついたケーキТорт «Павлова»(パヴロワ)をいただいたのは、在モスクワ日本国大使館からも近いレストラン『Food Embassy』。女優で料理研究家のユリヤ・ヴィソツカヤがプロデュースするお店です。実はこのケーキは、ロシアではなくオーストラリア?ニュージーランド?で考案されたと言われているスイーツです。真っ白いクリームが、白鳥を踊る衣装のチュチュのように繊細で愛らしいこのケーキは、ロシアでいただくときは卵白を焼いたものとスメタナのクリームでデコレーションされています。ロシア人はスメタナが大好きで、ボルシチなどのスープにもビーフストロガノフにもペリメニにもスメタナを落としていただきますが、スメタナを使ったケーキも大好き。ロシアで白いクリームをみかけたら、スメタナのクリームあるいはバタークリームで、日本のショートケーキのようなシンプルな生クリームを泡だてたホイップクリームを使用するケーキにはお目にかかったことがありません。

 

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△ベリーの種類が豊富なロシアならではの野いちご(Земляника)のケーキ。ストロベリーやブルーベリーはよくみかけても、野いちごがこんなにたっぷりのケーキはなかなか日本ではお目にかかれませんね。

 

【出会えたらラッキー!?旬を味わう!チェリョームハのケーキ】

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△さて、こちらは春を味わうチェリョームハのケーキ。以前、モスクワの日本庭園の桜をご紹介しましたが(☆モスクワ通信『日本庭園の桜、満開!』)、ロシアでも春になると桜の一種、Черёмуха(チェリョームハ)が咲きます。4月下旬〜5月上旬にかけて、白い可憐な花がふんわりと咲きほこる美しさは、若草の草原に映えてなんとも爽やかです。そんなチェリョームハのケーキ、昔はよく家庭で作られていたそうで、友人は“ソ連時代の懐かしいおばあちゃんの家の味”と話していました。最近は都心のケーキ屋さんではほとんど見かけません。茶色のスポンジ生地には混ぜ込まれたチェリョームハのぷつぷつとした食感があり、まわりは桜の花のような真っ白なクリームに覆われています。

 

【お誕生日にはオーダー・ケーキ!?】

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さて、ケーキといえばお誕生日。ロシアでは、お誕生日を迎える本人がケーキを用意して、たとえば職場ではお世話になっている同僚の皆にふるまうのですが、子どもたちのお誕生日は格別!年に一度のお誕生日をスペシャルなものにしてあげようと気合を入れて用意するご家庭が多く、レストランやエンターテインメント施設ではお誕生日プランが用意されています。例えば、お友達を呼んでトランポリンセンターやキッザニアで、マジシャンや好きなキャラクターを呼んでレストランでなどなど・・・!そして、お楽しみのケーキもオリジナル・オーダーが人気!ケーキ屋さんでは「オリジナル・オーダー承ります」の案内をよく見かけます。お写真は、ロシアの音楽学校の卒業記念パーティでのオリジナル・ケーキと特製のレインボー・バースデー・ケーキ

 

【ロシアの流行!エクレアと抹茶、そしてマトリョーシカ・ケーキ】

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△この10年のロシアの変化についてもいくつかのトピックに分けてご紹介しましたが(☆【モスクワ通信】新生ロシア連邦の誕生から30年・・・モスクワの10年をプレイバック!)、ロシアのケーキ界ではエクレアと抹茶が2大ブームでした。宝石のような美しいエクレアが並ぶエクレア専門店を見かけたり、これまで日本人シェフの働くお店でしか味わえなかった抹茶ラテや抹茶スイーツが、ロシアの一般的なカフェに仲間入りしていたり。日本人気も健在で、大手スーパーマーケット『Азбука Вкуса(アズブカ・フクーサ)』では、日本人パティシエ森川英喜氏が製菓部門の顔となっています。フード・テーマパークへと変身を遂げた市場でも、エクレアと抹茶の人気は健在でした。デポをはじめ、話題の市場へ足を運べば、きっとロシアのケーキの今に出会えるでしょう!(☆【モスクワ通信】あなたはどっち派!?昔ながらの市場から食のテーマパークへ

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△一方、昔ながらの味を守り、今でも地元のロシア人に愛されているケーキ屋さんとしてお勧めしたいお店のひとつは1855年創業のВенский цех(ウィーン・ファクトリー)』です。可愛らしい赤煉瓦づくりのお菓子工場『Большевик (ボリシェヴィク)』の一部でしたが、工場移転後の現在もその敷地内にあります。工場跡はイギリスの建築会社主導のもとで、モダンな文化スペースとして改装されています。同じ敷地内のロシア印象派美術館を訪れたあとにいかがでしょうか。

最後に、デコレーションに注目してみましょう!昔ながらのデコレーションで気になるモチーフといえば、きのこ

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そして最近のトレンドは・・・マトリョーシカ⁉︎

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△フランス・パリの老舗パティスリー『Ladurée ラデュレ』のモスクワ店では、ロシアではなかなかお目にかかれない栗のケーキ“モンブラン”を秋限定で販売して話題を集めたり、ロシア正教のイースターであるパスハ(復活祭)に販売されるケーキのクリーチ(左)や、マトリョーシカのケーキ(右)など斬新なセンスで、ロシアのケーキ業界に新しい風を感じさせてくれます。(写真は公式Instagramより)

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△こちらは以前ブログでもご紹介した『カフェ・プーシキン』のマトリョーシカ・ケーキ!薔薇の花のような帽子がなんともおしゃれ。国民的詩人プーシキンらしく、本の形の名物ケーキ Сказки Пушкина(プーシキンのおはなし)もありますが、日本人にとってはプーシキンの詩を暗唱するのと同じくらい、この甘さを完食するの大変かも・・・!?(関連ブログ☆モスクワ通信『フランスにも!? カフェ・プーシキン』

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△こちらはロシア料理レストラン『マトリョーシカ』のマトリョーシカ・ケーキ!頭にはロシアの民族衣装で女性が身につける頭飾りのココーシニク(кокошник)をつけています。薄いマトリョーシカ型のチョコレートの中には、フレッシュなベリーのムースとソースが入っています。

あなたがもし、ロシアで素敵なマトリョーシカ・ケーキに出会ったらぜひ教えてくださいね。

今回は、ロシアへいらしたらぜひ味わっていただきたい人気定番ケーキや、ちょっと珍しい旬の味、モスクワの流行のケーキなどを一挙ご紹介します!Приятного аппетита(どうぞ召し上がれ)!

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△まずはロシアの定番ケーキ3つ、鳥のミルク(手前)、ナポレオン(写真奥左)、蜂蜜ケーキ(写真奥右)からどうぞ。

【鳥のミルク】

“Человек, у которого есть все, может мечтать лишь о птичьем молоке”(すべてを持つ人は、鳥のミルクを夢みることしかできない)という表現もあるそうですが、この世には存在しないはずの“Птичье молоко(鳥のミルク)”というユニークなネーミングは、母乳で赤ちゃんを育てない鳥のミルク、つまりこの世には存在しないほど美味しい!ということで呼ばれるようになったのだとか。ホイップしたメレンゲとコンデンスに寒天をあわせたふわふわスフレの周りをチョコレートでコーティングしてあり、とにかくお砂糖をたっぷり入れるのが贅沢だったソ連時代には甘くて柔らかくて魔法のようなお菓子だったそう。

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△ケーキ版の“鳥のミルク”は、 旧アルバート通りにあった伝説のレストラン『 Прага(プラハ)』のチーフ・パティシエだったウラジーミル・グラリニク(Владимир Михайлович Гуральник)さんが1978年に考案しました(写真右はこちらの記事より)。原型となったのは、ソ連の食産業大臣がチェコスロバキアで食べたお菓子だったそうです。チョコレートスポンジケーキとふわふわのスフレをチョコレートでコーティングした元祖ケーキ版“鳥のミルク”を、かつてはレストラン内でいただくことができたのですが、現在は残念ながら閉店。ソ連時代にはお祝い事といえば“鳥のミルク”を求めてモスクワっ子たちの長い行列ができたそうです。レストランの名がついたプラーガというチョコレートケーキをはじめ、このレストランからはたくさんの流行が生まれました。

 
△火の鳥が描かれたパッケージも可愛らしいホールケーキやカットされたサイズも。この世には存在しないはずの“鳥のミルク”ですが、ロシアではレストランやスーパーなどいたるところで見つけることができます。

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△お土産用には一口サイズのバージョンが人気です。スフレを作るときの温度に秘訣があるというグラリニク氏考案の元祖“鳥のミルク”以外にも、極東ウラジオストク に工場がある『Приморский кондитер』社の“鳥のミルク”も人気です。こちらは1967年に菓子職人のアンナ・チュマコワさんがレシピを考案しました。

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△『Приморский кондитер』モスクワ路面店。他にもユニークな商品がいろいろあります。極東らしくウラジオストク の景色や海、船、アムール虎などのモチーフのパッケージもユニークですが・・・チョコレートには昆布味や帆立味、ウニ味なども!?一体どんなお味なんでしょうか・・・!下の段のチョコレートは、サハリン島、ルースキー島など極東の島や湾の名前が付けられています。

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△(写真左)アイスクリームの“鳥のミルク”味!ロシアの老舗ブランド『чистая линия(Pure Line チスタヤ・リニヤ)』のものです。(写真右)最近日本でもアイスクリームのコーナーに、ロシアの新感覚スイーツとして冷凍販売されているというスィロークにも、“鳥のミルク”味を見かけます。

 

【ナポレオンとメドヴィク】

パリでいただくナポレオンは、サクッと軽く香ばしく焼き上げたパイ生地にクリームがサンドされているイメージですが、ロシアのНаполеон(ナポレオン)は、薄いパイ生地とクリームが何層にもサンドされ、周りもクリームと砕いたパイ生地で覆われているため、パイ生地自体もしっとりと柔らかな食感です。ロシアでは、ケーキをオーダーするとデザートフォークでなくスプーンが出てくるのですが、まさにスプーンで掬っていただくのがぴったり。

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△お店ではこんな風に大きな型で作り、お好みの量をカットしてもらうスタイルも多いです。

ロシア人の蜂蜜好きについては以前このブログでもご紹介しましたが(関連ブログ☆モスクワ通信『美味しい万能薬!カローメンスコエの蜂蜜市』)、もちろん蜂蜜ケーキ Медовик(メドヴィク)も大好物です。こちらも作り方はナポレオンと似ていて、蜂蜜をたっぷり混ぜた生地を薄くのばしてオーブンで焼き、何層にも重ねます。蜂蜜の香りとねっとりとした甘味を生かすために、クリームは少し酸味のあるスメタナ(ロシアのサワークリーム)入りのクリームを挟むことが多く、周りを砕いた生地とナッツでデコレーションすることが多いため、よりずっしりとコクと重量感が感じられます。

 

【カルトーシュカ】

ソビエト時代から愛されているもっともシンプルなもののひとつが・・・Картошка (カルトーシュカ じゃがいも)

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△じゃがいものような不格好さがまた素朴な魅力を醸し出すころんと丸いチョコレートボール。こちらも旧アルバート通りにあったレストラン Прага(プラハ)のパティシエが考案したお菓子のひとつと言われています。ねっとりと濃厚なチョコレートをメインに、そこにサクサクしたウエハースやナッツ、砕いたクッキーを加えてみたりとお店によってレシピは違うのも楽しいです。ソ連時代には、家庭でちょっと残ったお菓子などを混ぜて丸めてつくっていたそうです。また、形を変えて細長くまとめて“チョコレートのサラミ(Шоколадная колбаса)”として売られていることもあります。ナイフで切ると、確かに断面はまるでサラミのよう!

 

【蟻塚ケーキ】

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△こちらもロシアの昔懐かしの味、Муравейник(蟻塚ケーキ)。砕いたクッキー生地とスメタナ、コンデンスミルクをまぜて、こんもりと山型に成型します。ブラックチョコレートを細かく削ったものを上からふりかけると・・・まるで蟻塚に群がる蟻のよう!なんだかちょっと食欲のわかないネーミングではありますが、ソ連時代から家庭にあるお馴染みの食材で簡単に作ることができる甘い甘いケーキです。

 

【ブリヌイ・ケーキ】

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△ロシアのクレープ“ブリヌイ“を重ねてミルクレープ状にしたブリヌイ・ケーキ。ブリヌイは、クレープ生地よりももっちりとしているので食べ応えあり!トッピングはお店や季節によってさまざまなアレンジをお楽しみいただけます。

 

【その他の懐かしケーキ】

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△(左)ベリー以外のフルーツでは、りんごも人気!ロシアのお庭で採れる青い小リンゴをつかったパスチラについては以前ご紹介しましたが、この甘酸っぱいリンゴを煮て生地でくるんだアップルパイのようなケーキ、シャルロットカ(шарлотка)も私のお気に入りです。そうそう、ベリーといえば、ロシアではよく、写真のように黄色いほおずきをデコレーションに使います。アクセントカラーにぴったりで、チーズケーキの上によく乗っています。ロシア料理レストラン『Китежъ-Град』にて。(右)クレムリンや赤の広場からも近い老舗ホテル ナツィオナリ(Националь)1階にあるグランド・カフェ『 Dr. Живаго(ドクトル・ジヴァゴ)』では、デザートメニューのなかに“レトロ”メニューもあり、ソ連時代からの人気スイーツを味わうことができます。手前は蜂蜜ケーキ、奥はトゥルーバチキ(さくさくのワッフルのなかにコンデンスミルク・クリーム入り)

→後編へつづく

 

今回は、ロシアへいらしたらぜひ味わっていただきたい人気定番ジュースや、ちょっと珍しい旬の味、モスクワの流行ドリンクなどを一挙ご紹介します!Приятного аппетита(どうぞ召し上がれ)!
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△まずは、夏の人気定番ジュースといえば、モルスとクワスからどうぞ!

【モルス(Морс)】

ロシアは少し郊外へ足を伸ばすと緑豊かな森があり、ベリー摘みを楽しんだり、郊外の菜園つき別荘ダーチャで収穫したりするのはロシアらしい素敵な夏の味わい方です(☆モスクワ通信『郊外の菜園付きの別荘ダーチャでくつろぐ初夏の一日』)。長い冬の間に不足しがちなビタミンを補うかのように、ベリーの種類が豊富です。

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△いちご(Клубника)、野いちご(Земляника)、黒いちご(Ежевика)、きいちご(Малина)、ブルーベリー(Черника)、赤すぐり(フサスグリ・レッドカラント Смородина  красная)や白すぐり(Смородина белая)、青すぐり(グーズベリー・西洋すぐり Крыжовник)、黒すぐり(ブラックカラント・カシス Смородина чёрная)、シーバックソーン(Облепиха)など・・・宝石みたいにみずみずしく輝いています。そんなさまざまなベリーを配合したジュースのモルスはロシア定番ジュースのひとつです。

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△ベリーの種類や組み合わせによってこんなに種類が!

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△ちなみに、シーバックソーン(облепиха オブレピーハ)は夏はモルスとしていただきますし、冬はフルーツティーとして大人気!まろやかなコクと酸味があって香りもよく、身体もぽかぽかになります。ロシアでは果実を生でも冷凍でも購入できるのでご自宅でも気軽に作ることができますし、アイスクリームのフレーバーやシャンプーの成分などでも見かける美容の素です。

【クワス(Квас)】

ロシアの夏の風物詩といえば・・・黒パンを発酵させた炭酸飲料クワスでした!

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△2007年には、街角でクワス売りのタンクやスタンドをよく見かけました。昼間のビール?ロシア版コカ・コーラ?とも例えられ、とにかくよく飲まれていました。ところが2017年に10年ぶりに訪れたモスクワでは、都心部にはクワス売りをほとんど見かけなくなってしまいました。

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△(写真左)スーパーマーケットに並ぶクワスのペットボトル。以前より少し肩身が狭そうに、でもしっかりとした存在感で陳列されています。(写真右)モスクワのお洒落なショッピングモールのなかには、レトロなデザインのクワス自動販売機が登場し、ソ連を味わうドリンクは逆に新しい存在に・・・!?

そして、そんなクワスを使った夏の冷製スープも、ロシアの夏を代表する味です。

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△オクローシカは、皮ごと茹でたジャガイモやきゅうり、ゆで卵、ハムなどをすべて細かく切り、そこにクワスをかけて(ときにはケフィールをかけて)お好みでハーブやスメタナとともに頂く伝統的な夏の冷たいスープです。6月に入り、すっかり雪が解けたダーチャ(郊外の菜園つき別荘)へ、ロシア人が週末ごとにいそいそと通いだすと、オクローシカの季節の始まりです。日本の夏のかき氷のように、街中でもスーパーでも『オクローシカ、はじめました』の広告をよく見かけます。ロシア人のダーチャに遊びに行き、菜園で収穫したばかりの新鮮な野菜を刻むお手伝いをしてから頂くオクローシカは格別ですし、昔ながらの味を楽しめる食堂はもちろん、お洒落なレストランでもオクローシカを見かけます。

甘酸っぱくてしゅわしゅわする不思議スープ、クワスを入れたオクローシカも、そしてケフィール(飲むヨーグルトのような乳製品)を入れた少し酸味とコクのあるオクローシカも、夏のロシアでぜひ味わっていただきたい一品です。

 

【昔懐かしの味キセーリ、コンポート、白樺ジュース】

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懐かしの味といえば、コンポート(Компот)やКисель(キセーリ)。Кисель(キセーリ)はデンプン(片栗粉)が入っていて、とろりとした口当たり。冷たい葛湯みたい!手作りする時は、片栗粉の量によって、ゼリー風のデザートにも、ジュース風にもなります。スーパーでも、いくつかのベリーの種類が売られています。

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△かき氷のシロップ見たいなジュースは、好きな味を選び炭酸で割ってもらいます。

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△左の緑色のタルフンは、タラゴン(エストラゴン)というロシア〜中央アジアに分布する薬草の風味がついた飲み物。右端のバイカル は、松ぼっくりの風味が感じられます。ロシアでは、松ぼっくりを似たヴァレーニエ(※下記、ロシアンティーの項目を参照)も人気があります。

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△白樺ジュースは透明で、うっすらと甘いスポーツドリンクのような味。白樺の美しいロシアの森では、白樺につくきのこチャーガのお茶も免疫を高める効果があるとして、コロナ禍の今、改めて注目されています。(関連ブログ☆【モスクワ通信】新型コロナウイルスで再注目!チャーガ茶で免疫力アップ!?)

 

【流行!自家製レモネード】 

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△ソフトドリンクの流行!といえば、自家製レモネード(Лимонад さまざまなフルーツやハーブを混ぜたオリジナルのレモネード)。公園にはレモネードの屋台が並んで、レストランのメニューにも自家製レモネードの種類が充実していて驚きます。ちなみに、ロシアのレモネードはレモンとシロップの入った所謂シンプルなレモネードだけでなく、ストロベリーとバジル、りんごとジンジャー、クランベリーとローズマリー、チェリーとミント・・・さまざまなフルーツとハーブなどがオリジナルで配合されています。

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ちなみに、ロシアでジュースをオーダーすると、「普通の?それともフレッシュ?」と尋ねられます。フレッシュジュースは人気で、オレンジやりんご、グレープフルーツ、人参(ミルクつきが多い)やセロリもよく見かけます。スーパーでは、ペットボトルにフレッシュオレンジジュースを入れるマシンも見かけますし、空港にはフレッシュオレンジジュースの自動販売機も。流行のスムージーバーでは、生のビーツが手軽に入手できるロシアらしくビーツのスムージーも人気です。

 

【あのドリンクのロシア限定味!?】 

日本でもお馴染みの清涼飲料にも日本では見かけない珍しい味やロシア限定味を見かけることがあります。

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△夏になると登場するスプライトのきゅうり味!さらに夏らしく!?スイカ&きゅうり味も。

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△紅茶リプトンのロシア味は、ブルーベリーと、先ほどもご紹介したシーバックソーン!

 

【ロシアン・コーヒー=ラフ・コーヒー】

紅茶の国ロシアにスターバックスコーヒーが登場し、その後ロシアのコーヒーチェーンが増えていった2007〜2009年。今やすっかり紅茶もコーヒーも美味しいロシアに、ロシア発祥のコーヒーができていました。それがラフ・コーヒー(Раф-кофе)!

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お店によっても違いますが、エスプレッソコーヒーの上にフォームミルクがのっているカプチーノと比べると、ミルクの代わりにフォーム状の生クリームがのっているのがラフ・コーヒー。そして、さまざまなフレーバー&シロップが用意されているのも特徴で、生クリームのコクと甘み+フレーバー&シロップの風味と甘味で・・・ロシア人の大好きな甘いコーヒー“ラフ・コーヒー(Раф-кофе)”になります。こちらの写真は幸せという名のカフェのラフ・コーヒー。コーヒーがちょっと苦手でも、これなら美味しく飲める!という方も。

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なお、ロシア・カフェ業界では、2017年頃から抹茶ラテが一大ブームになり、そしてアイスコーヒー&ティーが登場。ロシアでは飲み物を冷やす習慣がなく、かつてはビールもジュースも室温が当たりまえ。アイス・コーヒーやアイス・ティーはありませんでした。近年は、「冷たいものを」とお願いしなくても冷たいビールが出てきたりもしますし、アイス抹茶ラテを置いているカフェも。(写真左)2017年にカフェに新登場した抹茶ラテを3杯オーダー。茶托で泡だてながら店員さんが一言「初めてなので抹茶の分量を間違えちゃった!」

 

【ロシアの紅茶といえばロシアンティー!?】

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さて、紅茶大国ロシアの“ロシアン・ティー”といえば、日本では“ジャム入りの紅茶”を思い浮かべる方が多いのですが、実は本場ロシアではちょっと違っていて、ヴァレーニエを食べながら紅茶をいただきます。ジャムは日本でもお馴染みのように、フルーツをお砂糖と一緒に煮こみ、トーストにも塗りやすいペースト(ゲル)状になったもの。ロシアのスーパーでジャムよりもさらに広めのコーナーが割り当てられているのが、ロシア伝統のヴァレーニエ!同じようにフルーツと砂糖を一緒に煮込みますが、より果実の食感が残っています。

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珍しいところでは、松ぼっくりのヴァレーニエ や、きゅうりのヴァレーニエなどもありました。一方、ヨーロッパの国の中では、ロシアンティーといえば、柑橘系のフレーバーの紅茶だったり、レモン・ティーをイメージされる方も多いのだそうです。

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△ロシアンティーに欠かせないのは、このロシア式湯沸かし器のサモワール。常にお湯が沸いているサモワールがあれば、いつでも美味しい紅茶がいただけます。上に乗せたポットには濃い目に煮出した紅茶が入っており、それを自分のカップに注いだら、あとは下の注ぎ口からのお湯でお好みの濃さに薄めて飲むことができます。ジャム入り紅茶も柑橘系フレーバー紅茶も美味しいのですが、いつでもいつまでも皆でサモワールを囲んでゆっくりおしゃべりを楽しめるスタイルこそ“ロシアンティー“です。(関連☆モスクワ通信『サモワールとプリャニキの街トゥーラ(1)ロシアのお茶文化を訪ねて』モスクワ通信『サモワールとプリャニキの町トゥーラ(2)クレムリンと街散策』

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なお、ロシアらしい茶葉としては、「イワン・チャイ(Иван чай)」はいかがでしょう。ロシアの野草でつくる優しいお味のハーブティーで、ロシアのスーパーならさまざまなメーカーから種類豊富に選ぶことができますし、ダーチャで手作りしている方も。健康茶といえば、コロナ禍でチャーガ茶も再注目されています。(関連☆【モスクワ通信】新型コロナウイルスで再注目!チャーガ茶で免疫力アップ!?)ちなみに、ロシアのカフェやレストランのティーメニューのなかには、必ずと言っていいほど「緑茶」がありますが、もうひとつ「ミルク・ウーロン」が定番のひとつになっています。

アルコールについてはまた別の機会にご紹介しますね!

夏休みにぴったりなモスクワ旅行気分をお楽しみいただけるブログをお届けしています。先日開催された『新生ロシア30周年写真展』でも特集しましたモスクワの市場を歩いてみましょう!(関連ブログ【モスクワ通信】新生ロシア連邦の誕生から30年・・・モスクワの10年をプレイバック!

モスクワではここ数年、昔ながらの市場をリニューアルして、お買い物だけでなくイートインを充実させたフード・テーマパーク風のお洒落な市場が増えています。各国料理が軒を連ね、食で世界一周旅行気分が味わえたり、ここでしかいただけないような新しい食に出会えたり、海の遠いモスクワですが新鮮な生牡蠣や日本人の舌をもうならせるお寿司が食べられたりもします。

 

【ウサチョフスキー市場(Усачевский рынок)】

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△まるでフランスのマルシェ?お洒落な雰囲気の外観。コロナ前には観光バスもつぎつぎにやってきてツアー客にも大人気でした。

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△色彩やかでみずみずしい野菜やフルーツ、新鮮な乳製品に卵、ロシアや旧ソ連諸国のおふくろの味などお惣菜コーナーも充実していて、つい味見をすすめられて試しているうちにあれもこれもと欲しくなってしまいます。

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△スーパーマンゴーにココナツの果実にストローをさしたエキゾチックなジュース、懐かしのロシアの夏の風物詩クワス(黒パンを発酵させた炭酸飲料)など、喉が乾いたら飲み物片手に市場を散策。

さて、こちらのУсачевский рынок(ウサチョフスキー市場)はフードコートが充実していることも人気の理由です。

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お肉屋さんのハンバーガー、ピザ、ムール貝などの海鮮、ラーメン・・・美味しい匂いでいっぱいです!

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そのなかでも、モスクワ在住日本人の舌を喜ばせているのが・・・お寿司屋さんです。

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△市場で頂けるお寿司だなんて、ちょっぴり築地気分!?

寿司(СУШИ)は、ハマチ(1貫190ルーブル)、まぐろ(190ルーブル)、うなぎ(170ルーブル)、サーモン・甘エビ・ほたて・たこ(各1貫160ルーブル)。ロール寿司(РОЛЛЫ)は、鉄火巻き(260ルーブル)以外に、ハマチやサーモン、えび、うなぎ、きゅうり、アボカド、おしんこがありました。海が遠いモスクワですが、ネタも新鮮!

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△店頭には牡蠣がずらり!白ワイン片手に生牡蠣も楽しめるそう。なんと岩手産もありますね!

カウンターにはロシア人がずらり。上手にお箸を使い美味しそうにお寿司を召し上がっています。厨房に日本人はいなかったのですが、アジア系の方がてきぱきと鮮やかにお寿司を握っていく様子はまるで日本のよう。

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住所:ул. Усачева, 26

URL:http://www.usachevsky.ru

 

【デポ(=ДЕПО)】

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△つづいてこちらは、2019年にオープンして以来、都心部で流行に敏感なモスクワっ子を虜にしているフード・テーマパーク=ДЕПО(デポ)。赤レンガ造りの可愛らしい外観。

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△テーマは車庫!なかには乗り物がたくさんディスプレイされています。

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フードコートの周りには、140もの各国料理の屋台が。ジョージア、ウズベキスタン、モロッコ、イスラエル、ギリシャ、イタリア、韓国、中国、ベトナム、そしてロシアのスープとラーメンを合わせた“ボルシチ・ラーメン”で話題の日本のクウなど世界各国の料理が選べるフードコートは、ヨーロッパ1の規模を誇っています。

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△ちなみにこちらは2020年コロナ禍での様子。

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△大切な方への気の利いた手土産にはもちろん、とっておきの日の自分へのご褒美にもぴったりな、目を引くスイーツもいっぱい!敷地内には話題のレストランや人気パティスリーも店を構えています。

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△そしてなんと、こちらのカウンターからどの店のお料理も宅配してもらえるのも特徴です。モスクワでは、コロナ以前からフードデリバリー のサービスが充実していました。(関連【モスクワ通信】コロナ禍の新たな楽しみ方!インターネット・ミュージアム 「日本のなかのロシア」オープン!

マスコミでは人気店ランキングが発表されたりとなにかと話題の場所です。

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※ちなみに、本物のデポはこんな感じです。

Фудмолл ДЕПО(デポ)https://depomoscow.ru

住所:ул. Лесная, 20

 

【その他】

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△ほかにも、劇場のような中央市場(Центральный рынок)やUFOのような形のダニーロフスキー市場(Даниловский рынок)など、おしゃれに生まれ変わった市場はいつもモスクワ市民に大人気。 冬には入り口脇に巨大なサモワール(ロシアの湯沸かし器)が設置され、熱々の紅茶をいただけたりもしてロシアの食を楽しめる工夫がみられるほか(関連☆モスクワ通信『サモワールとプリャニキの街トゥーラ(1)ロシアのお茶文化を訪ねて』)、回転扉を入ると、所狭しと並ぶレストランのなかには寿司ビストロTOKYO SUSHIというお店があったり、『日本のアイスクリームMOCHI』という薄い求肥の中にアイスクリームが入った日本の人気デザートや、日本のデパ地下にあってもおかしくない雰囲気の『Matcha WAY』という抹茶スイーツの専門店など、日本風の味も見つけることができました。

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△一方、少し中心部を離れると、まだまだ懐かしの昔ながらの市場も残っており、今も地元の人たちに民に愛されています。そんな懐かしの市場のひとつプレオブラジェンスキー市場 Преображенский рынокは1932年に修道院の敷地内の僧居や慈恵院を移転させて開かれた市場。入口脇には当時の古い煉瓦作りの建物が残っていました。また、市場の隣には、1790年にプレオブラジェンスキー墓地の敷地内に建てられた聖堂もあり、教会で焼いたパンや手作りの素朴なピロシキ(キャベツ、りんご、魚)、焼きたて南瓜ケーキなどが売られていました。

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△広い敷地内の屋外の青果コーナー。眺めているとすぐ「お嬢さん、どうぞ!」と試食させてくれます。たくさんのお店のなかで良いお店を選ぶコツは・・・なんといっても行列の長さ!昔ながらのサラミ屋さんでは、お野菜の入った“モザイク”を購入してみましたが絶品でした!

プレオブラジェンスキー市場 Преображенский рынок http://tkpreobr.ru

※清掃日以外の毎日朝8.00〜夏季(6〜9月)は20時、冬季は19時まで営業。(それぞれ休日祝日は1時間前まで)

その国の台所事情をのぞくことができる市場は、外国を訪れたらぜひおすすめしたいスポットですが、モスクワは昔ながらの市場と最新モードな市場の両方に足を運べば、より深くロシアを味わうことが出来そうです。

 

夏休み到来!安心して海外旅行を楽しめるようになるまでにはもう少しかかりそうな今年は、ブログでモスクワ旅行気分はいかがでしょうか?先日開催された『新生ロシア30周年写真展』でも新観光スポットとしてご紹介しましたザリャージエを歩いてみましょう!(関連ブログ【モスクワ通信】新生ロシア連邦の誕生から30年・・・モスクワの10年をプレイバック!

モスクワ中心部、クレムリンと赤の広場のすぐ脇に、かつて3000室を超える巨大なロシアホテルが建っていました。初めてのロシア(ソ連)旅行で宿泊したのはここ、とおっしゃる方も多いホテルです。(ホテル・ウクライナ内にあるモスクワのジオラマの中でそのありし日の姿を見ることができます。(関連ブログ【モスクワ通信】セブンシスターズ(下)〜幻のソヴィエト宮殿に挑んだル・コルビュジエと現代のスターリン建築!?〜)そのロシアホテルが取り壊され、跡地に2017年9月にオープンしたのがザリャージエ公園 Парк «Зарядье» です。

【①ザリャージエといえばここ!パノラマ展望橋(Парящий мост)】

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△この羽を広げて空へ飛び立つ鳥のようなパノラマ展望デッキは人気の写真スポットです。モスクワ川に張り出しているため、モスクワ川の風を感じながら広い空に映えるクレムリンを背景に撮影できて、昼も夜も魅力的!

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△モスクワ川クルーズからは展望橋の形が綺麗に見えます。(→関連ブログモスクワ通信『モスクワ川クルーズへご案内!』

公式サイト:https://www.zaryadyepark.ru/services/paryashchiy-most/

 

【②新感覚4Dでモスクワ&ロシア観光飛行アトラクション】

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△Медиацентр (メディアセンター)では新感覚4Dでモスクワ&ロシア観光ができる飛行アトラクションに挑戦!モスクワ上空を飛ぶアトラクション”Полёт над Москвой”とロシア上空を飛ぶアトラクション”Полёт над Россией”があります(約20分間)。ロシア人にも人気なのでチケットはインターネットでの事前購入が安心です。

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△手荷物をロッカーに預け、まるで本当の飛行場のようなゲートに並びます。

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△モスクワ版では、モスクワの朝〜夜にかけて、鳥になったような気分でモスクワ飛行!ゴーリキー公園の門をすり抜け、クレムリンと赤の広場、ルジニキ・スタジアム、コローメンスコエの世界遺産、目抜き通りのトヴェルスカヤ通りの渋滞を眼下に、ボリショイ劇場の屋根の上を通り、ライトアップされたオスタンキノタワーを見下ろして、モスクワ市内に上がる花火のなかに飛び込みます!モスクワの夏を彩る噴水の上を飛び越えるときには、なんと本物の水しぶきも・・・!(動画はこちら

公式サイト: https://www.zaryadyepark.ru/schedule/11925/

 

【③夏でも10分間!極寒ロシアの氷の洞窟(Ледяная пещера)】

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△建物全体が氷の洞窟のよう!ここでは夏でも10分間、極寒ロシアの冬の冬を味わえます。

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上着を羽織ったり毛布にくるまったり、身支度を整えたらドアが開き、目の前に氷の世界が広がります!

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△空間アートのインスタレーション作家アレクサンドル・ポノマリョフ(Александр Пономарёв)さんと建築家のアレクセイ・コズィリ(Алексей Козырь)さんによるプロジェクト。厳しい自然の力を感じながら、曲線とライトの加減、そして訪れる人のアイディア次第でアーティスティックな写真が撮れます。巨大な建物外観と300ルーブルという入場料から、長い氷の迷路のような場所を探検するアトラクションのようなものを想像して意気揚々と乗り込んだのですが、実際にはかまくらのようなスペースでした。暑い夏の日には、涼をとる人でいっぱい!

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△ザリャージエ特製アイスクリームでひんやりエネルギー補給!ロシアの定番コップ型アイスのスタカンチクには涼しげなРусская Арктика(Russian Arctic)味、同じく棒付きアイスのエスキモーにはПодмосковные вечера(モスクワ郊外の夕べ)味などユニークな名前がついていました。

公式サイト:https://www.zaryadyepark.ru/services/ledenaya-peshchera/

 

【④コンサートホール ザリャージエ(Московский концертный зал «Зарядье»)】

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△ザリャージエのなかの新しいコンサート・ホールの屋根も展望橋のような形!世界3大音楽コンクールのひとつにも数えられる、4年に1度のチャイコフスキー国際コンクールの受賞者ガラ・コンサートは、これまでモスクワ音楽院大ホールで開催されてきましたが、2019年はここザリャージエのホールでした。

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△ステージを囲むように配置された客席と雪山のような流線を使い、壁はまるで雪の積もった白樺の木のよう。木の質感と新しいホールならではの木の香り。冬の雪山でかまくらのなかにいるようです。このホールの音響設計は、日本人の豊田泰久氏で、芸術監督を務めるのは、ロシアが誇る指揮者として君臨するヴァレリー・ゲルギエフ氏。

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△この日は、チャイコフスキーコンクールのピアノ部門で第2位を獲得した藤田真央さんが登場。コンクール予選中からモスクワの聴衆の心をときめかせ、何度もスタンディングオベーションを巻き起こし、登場するたびに「いったい今日ははどんな風に弾いてくれるのかしら?」会場はそんな期待に包まれます。

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△ホール入口を囲む円形ロビーには、チャイコフスキーやラフマニノフ、グリンカ、ショスタコーヴィチ、ムソルグスキー、リムスキーコルサコフ、シャリャーピン・・・ロシアの偉大な作曲家や演奏家、歌手の彫刻がずらり!ほかにも、公園内には眺めの良い屋外ステージもあり、魅力的なプログラムでいっぱいです。

公式サイト:  https://zaryadyehall.com/

 

【⑤キタイ・ゴーラトの古い城壁】

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△近代的なコンサートホールの横には、古い城壁も残っています。

 

【テーマはソ連と宇宙!レストランВосход(ヴァスホート) 】

お腹が空いてきたら、展望橋のそばにあるユニークなレストランВосход(ヴァスホート)もおすすめです。ソ連が開発した有人宇宙船の名前が店名になっており、テーマはソ連と宇宙!

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△テーブルや個室、お化粧室のなかまで、宇宙モチーフでデコレーションされています。

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△飲み物は、ミネラルたっぷりという黒いお水!その名もコスモス(ロシア語で宇宙の意味)

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△お料理はロシアや周辺諸国の旧ソ連圏メニュー。ビーフストロガノフを注文してみました。レジ横には宇宙食の自動販売機もあり、ボルシチの宇宙食も。

公式サイト: https://rappoport.restaurant/restaurant/voshod

 

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△美しい公園内は子どもたちの遊び場や噴水も楽しめてお散歩にぴったり!(関連サイトモスクワ通信『モスクワの宝石箱!夏空にきらめく噴水コレクション)「北方の風景(Северные ландшафты)」などテーマのあるガーデンもあり、遠くに見えるクレムリンや聖ワシリー聖堂とのコントラストがお楽しみいただけます。

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△ロシアとイギリスの貿易の始まりThe Old English Courtyard(Старый английский двор)(左)などの博物館や、美しい教会(右)も点在しています。(関連ブログ【モスクワ通信】新たな一面を発見!モスクワのなかのイギリスをピックアップ

 

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△ザリャージエ・グッズをはじめ、ロシアの昔ながらの冬のフェルト・ブーツ“ワーレンキ”を現代風にアレンジしたブーツやマトリョーシカ・モチーフのアクセサリーなどモスクワ土産のセレクトショップも。

遊んで学んで味わって・・・モスクワの今を満喫できる新しいエンターテインメント施設がつぎつぎに建設されている現在進行形の観光スポットです。

ザリャージエ公園 https://www.zaryadyepark.ru 

【ホテル「ウクライナ」 現在:ラディソン・ロイヤル・ホテル・モスクワ】

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現在はラディソン・ロイヤル・ホテル・モスクワという名称になっていますが、天井画や彫刻などロビーのインテリアは今も変わらずウクライナの民族的なテーマでまとめられています。ロビーホールの奥へまっすぐ進むと、モスクワのジオラマを見ることが出来ます。

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△オーディオガイドつき!なんと、スターリン建築のなかでちいさなスターリン建築を見ることができるなんて!

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△聖ワシーリー聖堂と赤の広場。昼から夜へ・・・だんだんと明るさも変化していきます。

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△赤の広場の横には、今はなきロシアホテル!フルシチョフの命令で1964年から1968年にかけて建設され、1993年までは世界最大の、その後もしばらくはヨーロッパ最大のホテルだったそうです。2006年に営業停止したため、残念ながら私は見たことがありませんが、読者の皆様のなかにはきっと泊まったことのあるかたもいらっしゃるのではないでしょうか!

なお、この地区はザリャージエ(Зарядье)と呼ばれ、モスクワの城壁内にある古くからの市街地でした。今は再開発で人気観光地の公園となり、博物館やコンサートホール、レストランなど見どころが増えています。

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△ホテル前の広場には、ウクライナの国民的詩人・画家として知られるタラス・シェフチェンコの銅像も見ることができます。また、モスクワっ子たちに人気の話題のレストランが並んでおり、モスクワ川を遊覧するクルーズ船の発着点にもなっています。

 

【旧鉄道省?ロシア連邦運輸省オフィス棟&住居棟】

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△ここにはかつて詩人ミハイル・レールモントフの生家があったため、中庭側から建物内へ入ると、レールモントフの名前のついたレストランもあります。

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△建物の外壁にもレールモントフの生家があったことが記されています。表通りの1階にはレストランのヤキトリヤが入っており、地下鉄Красные Ворота駅ともつながっています。

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△目の前のレールモントフ広場には、レールモントフ像が建っています。1829〜1832年にモスクワ大学に通っていたレールモントフが暮らしていたアルバーツカヤにある家は、現在レールモントフの家博物館として公開されています。

 

【文化人アパート(クドリンスカヤ広場の高層アパート)】

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△子どもを抱く母親やチェロを奏でる男性など、周囲は彫刻で飾られています。

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△壁には至る所に記念プレートが掲げられ、この建物に住んだ著名人を知ることが出来ます。日本語で『赤い石』と書かれたレストランも入っていました。

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△建物の裏手側には、今注目のロシア人パティシエОлег Ильин(オレグ・イリイン)のお店がひっそりと店を構えています。

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△パティシエの名前の頭文字ОИを合わせたブランドロゴが目印!今日は“日本の桜”という名前が付けられたケーキにしてみました。派手なピンク色のコーティングはちょっと勇気がいりますが、なかにはサクランボのパスチラ入り。毎日17〜19時まではアフタヌーンティーもあるようです。ロシア注目のパティシエ、オレグ・イリインは1980年モスクワ生まれ。YouTubeチャンネルでは愛娘のヴァリャちゃんとお菓子作りをする “Папа поМожет”も運営しています。家族で楽しめるようにという願いも込めて、メニューにはソ連時代の懐かしい伝統的なケーキも大切にしているそうです。

Олег Ильин(オレグ・イリイン)http://sweetstore.ru

 

【幻のソヴィエト宮殿】

さてセブンシスターズの中心、現在の救世主キリスト大聖堂(ロシア正教の総本山)がある場所には、ソヴィエト大宮殿が建てられる予定でした。1931年、イズヴェスチヤ新聞にソヴィエト大宮殿の設計コンペティション要綱が掲載され、同年秋には国内外から約160作品が集まり、プーシキン美術館に展示されました。国をあげての大計画は、時間をかけて何度も選考が行われ、1934年の段階では約80mもの巨大なレーニン像の下に台座部分をイメージした宮殿を作る案が候補になっていました。スターリン様式の高層ビルを特徴とするスターリンの都市計画はアメリカNYのマンハッタンの摩天楼を意識していたとも言われていますが、1886年に完成した自由の女神像が約46m(台座部分を含めると約93m)ですから、このレーニン 像とソヴィエト宮殿の圧巻のスケールがお分かりいただけると思います。

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△Wikipediaより

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△しかし、第二次世界大戦によって計画が中断されてしまいます。建設予定地は、ソヴィエト宮殿建設のためにもともとの大聖堂が破壊されてしまいましたが、ソヴィエト時代には屋外プール『モスクワ』が建設され、モスクワっ子たちのお気に入りの場所になっていました。(写真はWikipediaより)

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△そして2000年に、救世主キリスト大聖堂はかつての形に完全に復元されました。(関連ブログ→モスクワ通信『ロシア正教のクリスマス礼拝とニコライ・ヤポンスキーのイコン』

さて、この謎に包まれた幻のソヴィエト宮殿のコンペ応募者のなかにはなんと、20世紀を代表する建築家のひとり、ル・コルビュジエの作品もあったのだそうです。日本で唯一のル・コルビュジエによる建築作品といえば世界遺産にも登録されている「国立西洋美術館」ですが、実はロシアにもル・コルビュジエによる建築作品があります。

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△建物の前にはル・コルビュジエの銅像。世界には他にも銅像がたくさんあるかもしれませんが、名前がキリル文字で記されているのは(Ле Корбюзье)きっとここモスクワだけ!?

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△かつてはЦентросоюз(旧ソ連消費者協同組合中央同盟)の建物で、現在はФедеральная Служба по Финансовому Мониторингу(ロシア連邦金融監督庁)が入っています。

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【スターリン建築・・・風?】

さて、モスクワ市内には、スターリン建築をイメージして目を引く現代的なビルも。

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△地下鉄マヤコフスカヤ駅の近くにあるオルジェイヌィ・ビジネスセンター(БЦ Оружейный)には1階にロシアの銀行ズべルバンク«Сбербанк» が入っています。

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△夜にはてっぺんの先頭部分が銀行のコーポレートカラーの緑にライトアップされているのですが、祝日には・・・ロシア国旗になることも。

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△建物1階のシャンデリアがまたユニークで、建物を逆さまにしたような形のシャンデリアになっていました。

また、同じくスターリン様式で建築され2006年に完成した超高層高級マンション「トライアンフ・パレス(Триумф-Палас)」は、セブンシスターズに次ぐ“八番目の姉妹”なんて呼ばれたりもしています。

 

【旧ソ連圏のスターリン建築】

旧ソ連圏の国々のなかにも、スターリン建築を見ることができます。たとえばラトビアの首都リガ 旧市街の南のはずれには、スターリン建築の科学アカデミーがあります。107mで21階建ての最上階は展望台になっており、リガの街を一望できます。

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△建物の前にある案内表示を見てみると、ゴーゴリ通りやツルゲーネフ通りもあるようで(プーシキン通りやロモノーソフ通りもあるのだとか)、まるでモスクワみたいですね。ほかにも、ポーランド 、チェコ、モンゴルなどにスターリン建築を見ることができます。

モスクワでは今も、歴史ある建物を大切にし、街の景観の調和を保ちながら、その一部を改装して店舗や住居として利用しています。建築物を眺めながら歩いているだけでもとても楽しいモスクワ散歩です。

 

 

参考文献

『ロシア建築案内』リシャット・ムラギルディン(TOTO出版)