Archive for 9月, 2026

【ロシアの食文化】コンデンスミルクが茶色い!? ロシアで出会った甘い秘密

日曜日, 9月 27th, 2026

日本で「コンデンスミルク」と聞いて、私が真っ先に思い浮かべるのは、いちごの季節になると赤いいちごの隣に並ぶ、赤いチューブに入った白いコンデンスミルク。子どもの頃からおなじみの味です。

一方、ロシアで暮らしてみると、コンデンスミルクの大きな存在感に驚きます。

o04800360124259485731

ロシア語では、сгущённое молоко(ズグショーンナエ・マラコー)。親しみを込めて、сгущёнка(ズグショーンカ)とも呼ばれ、ソ連時代から親しまれてきた、ロシアではとても身近な甘いもののひとつです。

スーパーを歩いていても、コンデンスミルクそのものはもちろん、コンデンスミルクを使ったお菓子をいろいろ見かけます。

IMG_0346

910256acc4b86ebfc035bb2d69a9055d

IMG_0265

コンデンスミルク缶の描かれているお菓子のパッケージを眺めていて、ふと気になったことがありました。

缶の中に描かれているコンデンスミルクが……茶色い!?実際、お菓子の中に入っているクリームもキャラメル色で、ちょっと生キャラメルのような味わいです。「ロシアのコンデンスミルクって、キャラメル色なのかな?」と思い、スーパーで購入してみると……

o04800360124259485731

白い!日本のコンデンスミルクと同じ色です。では、あのキャラメル色のコンデンスミルクはいったい何なのでしょう?

ロシア人のお友達に尋ねてみると、「ロシアでは、昔からコンデンスミルクの缶を煮て食べるのよ」とのこと。

「えっ、缶ごと!?」白いコンデンスミルクを長時間加熱すると、糖と乳成分の反応によってだんだん茶色くなり、とろりと濃厚なクリームになるのだそうです。

IMG_5575

△教えてもらった方法で、さっそく実験してみました。吹きこぼれないように様子を見ながら約2時間。十分に冷ましてから缶を開けてみると……

IMG_5577

△キャラメル色になりました!白かったコンデンスミルクが、少し固まってクリーム状に。そのままスプーンですくって食べてみると、ミルキーな甘さに香ばしさが加わって、まさに生キャラメルのような味わいです。ロシアで何度も出会っていた、あの味です。

これがロシアでおなじみのварёная сгущёнка(ヴァリョーナヤ・ズグショーンカ)。親しみを込めて、варёнка(ヴァリョンカ)とも呼ばれています。

IMG_58041

△ソ連時代には、コンデンスミルクの缶を家庭で煮て、ヴァリョンカを作ることもおこなされていましたが、今ではスーパーで手軽にヴァリョンカ缶を買うことができます。

 

そして、このヴァリョンカを使った代表的なお菓子のひとつが、胡桃そっくりのクッキー「орешки(アレーシキ)」です。

IMG_16481-450x6001

IMG_17721-1

胡桃クッキー焼き型

△ソ連時代には「орешница(アレーシニツァ)」と呼ばれる専用の焼き型もあり、家庭で作られていました。当時のレシピには、コンデンスミルクの缶を水に入れて2時間煮てヴァリョンカを作り、冷ましてから砕いた胡桃と混ぜる方法が紹介されています。(画像は実際の焼き型を元にAIで作成)

 

o0276036912550395345 o0220016512550395155

△こちらは、ソ連時代を代表する食品パッケージをかたどったモニュメント。百貨店の中にあるソ連食材店でも、このコンデンスミルクの青と白の缶を見かけます。

ロシアにコンデンスミルクが伝わったのは、帝政ロシア時代。1860年代末には外国製品が輸入され、1881年にはオレンブルクに工場が作られたそうです。その後、ソ連では1932年に本格的な工業生産が始まり、広く親しまれるようになります。

おなじみの青と白の缶のデザインが生まれたのも1930年代。デザイナーのイライダ・フォミナ(Ираида Фомина)が手がけたとされています。今もひと目で「コンデンスミルク!」と分かるデザインなのです。

IMG_E7143-600x3781

△そんなロシア人のコンデンスミルク愛を形にしてしまったユニークなケーキ「Пирожное Банка сгущёнки(コンデンスミルク缶ケーキ)」も発見!ヴァリョンカ缶ケーキと並んでいました。

 

旅先や暮らした街のスーパーで見つけた、ちょっとした「なぜ?」。

そんな小さな発見を追いかけてみるのも、ロシアの食文化をのぞく楽しみのひとつです。