そして、来たる2015年の幕開けに栗原小巻さんから演劇のプレゼント!

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すでに『桜の園』のラネーフスカヤ役はもちろん、トルストイ『アンナ・カレーニナ』アンナ役、チェーホフ『三人姉妹』イリーナ役、『かもめ』ニ―ナ役などたくさんのロシア作品のヒロインを演じ、また登場人物の衣装デザインなどを手がけることで作品への思いを深め、舞台に情熱を傾けていらっしゃる栗原小巻さんが、2015年ロシア文化フェスティバル IN JAPANの登録プログラムとして新解釈による『桜の園』に挑みます。

ーーロシアへの想い、ロシア文化フェスティバル IN JAPANへの想いをお聞かせください。

栗原ーーバレエを学びましたときにロシアの素晴らしい先生方に巡り会うことで私の芸術家人生が始まったように思います。そして、ロシアとの友好、交流を続けていきたいという想いが芽生えたと思います。私のおりました東京バレエ学校は、“チャイコフスキー記念“と冠されていたんですが、そのチャイコフスキーが日記に「ロシアでは西欧と違い、政治よりも芸術の方がより重要視されている」と書いているんですね。政治というのは、時代によって変わりますでしょう?ロシア革命、社会主義から民主主義……日本も大戦前と大戦後ではまるで別の国のように変わりましたよね。政治というのはとても移ろいやすいものですから、そういうものに重きを置かずに、文化や芸術のように普遍的なものが重要だという認識を持つことが出来たなら、両国の国民も相互の理解も深まりますし、また相互の尊重が成し遂げられるのではないかと思っております。そういう意味でも、今関わっておりますロシア文化フェスティバル IN JAPANが友好を深めるうえでとても大切な役割を果たしていると確信しております。これからも長くこのフェスティバルが続いていって、それによって日本人とロシア人の友情が深まっていけば素晴らしいことだと願っております。

2015年はチェーホフ生誕155周年にあたり、ロシア文化フェスティバルIN JAPANでも6月にシューキン演劇大学劇団の来日公演『イワノフ』も予定しております。あわせてご期待ください!

 

 

ロシア文化フェスティバル IN JAPAN日本組織委員会副委員長としても欠かせない存在である大女優、栗原小巻さん。

ロシアで最も有名な日本人女優といっても過言ではありません。1968年にチェーホフ作の『三人姉妹』で人気を集め、81年には日本ではじめてソ連の演出家を招いた舞台『桜の園』に主演。70年代に日ソ合作映画『モスクワわが愛』『白夜の調べ』に連続主演し、続く『未来への伝言』では企画にも参加。そのすべてがロシアで大ヒットを遂げました。

今年2014年の文化フェスティバルは、映画関連プログラムもかなり充実していましたが、12月にはヨーロッパ最大の映画スタジオとして1923年に設立されたモスフィルムの創立90周年記念映画祭が開催され、『モスクワわが愛』が公開40周年を記念してスクリーンに甦りました。

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バレエを通してロシアと出逢ったという小巻さんにとって、ボリショイ劇場でプリマを夢見るバレリーナ役のヒロインはまさに適役でした。日本に残してきた恋人とロシアで出逢った彫刻家ヴァロージャとの間で揺れ動きながら、バレエに身を捧げ一身に舞い続けるヒロイン百合子は、ついに夢が叶いプリマとしてジゼルを踊る前日に白血病で倒れてしまいます。可憐に情熱的にこの悲劇のヒロインを演じきった栗原小巻さんにお話を伺いました。

ーー栗原小巻さんの女優人生において『モスクワわが愛』はどのような作品でしたか?

栗原ーー私にとってバレエは青春でしたので、ボリショイの方々とレッスンをさせて頂いたり、ボリショイ劇場で大好きなジゼルを踊ることが出来るなんて、それはもう大変な喜びでした。まさに夢が叶ったようでした。私のバレエの師であるアレクセイ・ヴァルラモフ先生が当時ちょうどボリショイにいらっしゃったので、バレエの撮影もとてもスムーズでしたし、先生ご自身も映画に出演してくださったり!まるでバレエ留学に来たのかと思うくらいに、温かく親しみを持って迎えてくださいました。言葉の壁を乗り越えて、日ソ両国のスタッフ&キャストが心を通わせて、アレクサンドル・ミッタ監督を中心に心ひとつに作品を作りあげるという、かけがえのない経験でした。クランクインの日、今はなきロシアホテルのちょうど北側になるかしら・・・そこで撮影が始まったんですけれども、1カット目が終わりましたところで、みんなでお皿を割って、その破片を持ち合って、映画の成功を願ったんです。日本ではそういう習慣はありませんでしょう?ですからとても印象に残っておりますし、ほかにも本当にたくさん、たくさんのことが忘れられませんが・・・『モスクワわが愛』という作品は、その後の合作映画や海外ロケ、海外公演などこれまで俳優として恵まれたたくさんの作品において、すべてが喜びになり、たとえ困難なことがあったとしてもどんなことも乗り越えられるという、女優としての自信になった特別に大切な作品です。

 

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△Москва, любовь моя(モスクワ、わが愛)

 

ーー日ソ合作映画第2弾『白夜の調べ』では、白夜の季節の美しいレニングラード(現在のサンクトペテルブルグ)の音楽院で、ソ連の作曲家イリヤと出逢うピアニストの悠子役を演じられました。実現から撮影まで、日本とソ連でスタイルが異なって苦労したというような点はありましたか?

栗原ーー合作映画第1作目実現まではとても長い歳月がかかったんです。けれどもその大ヒットによって、第2作目は「また作りましょう!」という感じで大変スムーズにすすんだんですの(笑)。改めてプロデューサーの皆様のご苦労があってのことだったと思いますが、とても嬉しいことでした。作曲家のシュワルツさんが現場についてくださって、その場で音楽が生まれるというような素晴らしい環境のなかで、ソロヴィヨフ監督やイリヤ役のソローミンさんなど皆で話しあいながら作品が作り出されていきました。映画人の皆様はスタッフもキャストもそれぞれに個性的でいらっしゃるから、“この国だから異なる“ということでひとくくりには出来ません。日本で撮影していても、それぞれの方のキャラクターによって異なりますものね。日本もソ連も、どこの国でも、良い作品をつくりあげようという思いのもとでは皆同じだと感じております。

 

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△Мелодии белой ночи (白夜の調べ)

第3弾『未来への伝言』では1960年頃に世界中で猛威を振るったポリオ(小児麻痺)で長男を失い、同じ病にかかってしまった次男を救うため、そして日本の子供たちの命を救うために、厚生省にも働きかけて航空協定も結ばれていないソ連から生ワクチンを運ぼうと奮闘する母親圭子役を演じ、またこの作品では企画にも参加されました。

今年は創立95周年を迎えた全ロシア国立映画大学の卒業記念映画祭も開催され、代表団の一員として、同大学の教授も務めるソロヴィヨフ監督が来日し、日本映画大学で講演しました。栗原小巻さんと再会し抱き合うソロヴィヨフ監督の笑顔が忘れられません!

 

 

 

日本でロシアの本物の音を響かせたいと願って誕生した北川記念ロシア民族楽器オーケストラにとって、この作品を演奏することがひとつの目標だったというシェンデリョフ作曲『ロシア狂詩曲』初演で、創立5周年記念演奏会の幕が開きました!

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日本にロシア民謡をあまねく広めた北川剛さんから、北川つとむさん、そして北川翔さんへと三代続くロシア音楽一家へのリスペクトをこめて、“北川記念“の名の下に誕生し、家族のように強く温かい絆とハーモニーを育んできたオーケストラのメンバーや共演してきた演奏家の皆様、そしてお客様とご一緒に、5周年をお祝いしてまいりました。
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サブタイトルの〜家族〜にふさわしいプログラム!

第一部はバス歌手の岸本力さん、奥様でソプラノ歌手の大倉由紀枝さん、ご子息でバス歌手の岸本大さんが登場!
これまで親子共演はあったそうですが、初のご家族揃ってのステージが実現しました!

 

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△写真左から、岸本力さん、北川翔さん、大倉由紀枝さん、岸本大さん

すでにオーケストラと共演経験もある岸本大さんは息もぴったりで、チャイコフスキー作曲『ドンファンのセレナーデ』を情熱的に歌うと、大倉由紀枝さんは、あのラフマニノフ作曲『ヴォカリーズ』を珍しい民族楽器の伴奏で披露、そして2012年にロシア友好勲章も受賞された岸本力さんが『黒い瞳』で取りを飾ってくださいました!

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つづく第二部は、オーケストラが誇るソリストたちの演奏をじっくりと堪能する趣向になっており、パーカッション奏者の小栗久美子さんが、ベトナム民族楽器トルンの演奏で、ロシアとアジアの融合を表現。

 

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つづいて、“ばららいかるてっと”(バラライカ、コントラバスバラライカ、アコーディオン、パーカッションによる四重奏ユニット)でも活動するアコーディオン奏者の太田智美さんは、翔さんが初めて作曲した『アコーディオン協奏曲』を情感たっぷりに届けます。さらに、本場ロシアからも、翔さんのロシア国立ラフマニノフ記念ロストフ音楽院時代の親友もお祝いに駆けました!レジェンドの血を引き継ぎつつ、より大胆により繊細にロシア音楽に挑む翔さんにとって、まさに家族と呼べる存在でしょう。

 

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ワディム・カルーギンさんはクリコフ作曲『バラライカ協奏曲』を、アリョーナ・サーフチェンコさんはシェンデリョフ作曲『ドムラ協奏曲 第2第3楽章』でオケとともに本領発揮!

 

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そして第三部のサプライズゲストとして、人気番組のNHK『家族に乾杯』ではウラジオストクを訪れ、楽屋でもステージでも意外にもロシア好きな一面を披露してくださった笑福亭鶴瓶さん!

笑いに包まれる楽しい楽器&オーケストラのメンバー紹介になりました。

 

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フィナーレには、ロシア民謡を歌い続けて64年の合唱団白樺が出演。この日のコンサートは、合唱団白樺の初代常任指揮者を務めた北川つとむ氏ゆかりの地 目黒で、氏の命日 9月20日に開催されましたが、きっと空から温かく見守ってくださっていたことでしょう・・・!

 

北川記念ロシア民族楽器オーケストラ公式サイト

北川記念ロシア民族楽器オーケストラ公式FBページ

 

(写真提供:北川記念ロシア民族楽器オーケストラ)
(撮影Higashi Akitoshi)

 

 

 

ロシアのテルミン博士が発明した世界最古の電子楽器テルミン。

今日まで世界中で演奏されてきましたが、なかでも特に、ここ日本で人気があるということをご存知でしょうか?近年は日本独自の進化をも遂げ、今や世界のテルミンシーンをリードしているのは日本人プレーヤーたちだと言っても過言ではありません。

 

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そして今年2014年1月には、なんと日本に、『テルミンの日』が誕生しました!テルミン博士のお誕生日である8月28日が、本国ロシアにもない『テルミンの日』に制定されたのです。この『テルミンの日』誕生を祝して、在日本ロシア連邦大使館でコンサートが開催されました。テルミンの音色がより多くの人の心に届くように、そしてテルミンを通してさらに日露の友好が深まるようにと願って、日本を代表するテルミン奏者がステージに集結しました!

 

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トップバッターで登場し、あっという間に異世界へと誘ってくださったのは、テルミンのデュオとピアノという珍しい構成の【テルトピア】さん。着物姿でテルミンを奏でる大西ようこさんの猫耳&猫の手を使用したパフォーマンスには拍手喝采!あっという間に異世界へ連れて行ってくださいました!

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△【テルトピア】

テルミン大学教授としても活躍されている佐藤沙恵さんがアコースティックギターの音色とともにお届けする【佐藤沙恵with街角マチオ】さんの近未来的ながらどこか懐かしさも感じさせるパフォーマンス

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△【佐藤沙恵with街角マチオ

 

野外でのテルミン演奏も得意で東京都の大道芸人ライセンス『ヘブンアーティスト』としての顔ももっていらっしゃる【クリテツ】さんのどんな過酷な環境でも動じない鍛え上げられたテクニック

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△【クリテツ

声楽を学んでテルミンとソプラノによるユニット「ソプラミン」を結成した【濱田佳奈子】さんがテルミンで歌い上げるアリア・・・と、まるで同じ楽器とは思えない程、それぞれの演出でテルミンの魅力を伝えていきます。

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△【濱田佳奈子

 

そしてテルミンの機能を、ロシアのマトリョーシカ人形のなかに納めてしまったマンダリンエレクトロン社製マトリョミンのアンサンブル【ボル⑧】さん。イスに座り、足を組んで、聴診器をつけて・・・演奏の仕方も、音色も、またテルミンとはひと味違うので、お客様も興味津々で見て聴いて、そのハーモニーを味わっていらっしゃいました。

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△【ボル⑧

 

最後は、1996年よりテルミン演奏をはじめ、2001年にはVictorよりメジャーデビュー。日本のおけるテルミン演奏の草分けのお一人である【やの雪】さんが、『テルミンの日』を祝して、テルミン博士が製作に関わった歴史的な名機RCA社の真空管テルミンを演奏してくださいました。

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△【やの雪

数えきれないコンサート経験のなかでは、テルミンならではの不思議な出来事もあったそうで、たとえば、タクシーの無線電話が会場に流れてしまったり、山の野外音楽堂で弾いていると鳥が集まってきて蛙が一斉に鳴き出したなんてこともあったそうです。
テルミンに造詣が深いお客様も多かったため、終演後には皆様ステージに駆け寄ってこの真空管テルミンを接写されていました。

 

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今後も定期的にテルミン関連のイベントを企画していくそうです。(情報はこちらをどうぞ!)

 

さて、ロシア文化フェスティバル登録プログラム、9月は8〜9日ロシア音楽映画祭、10〜11日第3回カレン・シャフナザーロフ監督作品映画祭、22~27日ユリヤ・ホタイ&コネヴェツ・カルテット公演、そしてM・ゴレンシュテイン指揮 東京交響楽団コンサートと続いてまいります。いよいよ芸術の秋ですね!

世界最高の道化師と称されるロシア出身のスラバ・ポルニン氏が来日!この夏、日本のファン待望の『SLAVA’S SNOWSHOWスラバのスノーショー』を上演しています。

 

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これまで世界30カ国以上で500万人を動員してきた人気公演について、主催する吉本興業プロデューサー坪井大輔氏は、「客席中に、信じられないくらい大量の雪や巨大ボールを降らせたり、とにかく大胆で、なおかつお客様の空気次第で演出も微妙に変えていくリベラルでハートフルな演出に惹かれました。それは、今の日本のエンターテインメントに欠けている部分だと個人的に感じており、吉本興業としてもそのマインドをぜひとも学んでいきたいのです」と語り、海外の公演全体を、完全な形で輸入し日本で上演することは、吉本興業の歴史のなかでもこの『スラバのスノーショー』が初めての試みになるとして、大きな期待を寄せていらっしゃいます。

公演を前に、ポルニン氏にお話を伺いました。

 

    【お忍びで日本へ。スラバの10パーセントは日本人!?】

   いちのへ: ようこそ日本へ!2005年愛知万博ロシア館での公演以来、9年ぶり2回目の日本公演になりますね!

   ポルニン: そうだね。しかし実は、愛知万博の前にお忍びで2度、日本を訪れているから、2度目の来日ではないんだ。

   いちのへ: 偵察にいらしたんですか?

   ポルニン: そう、見事に、誰にもスラバだと気づかれずに来て、誰にも気づかれずに帰ったよ。

   いちのへ: どんな笑いが好まれるのか、日本の芸能を御覧になったんでしょうか?

  ポルニン: いやいや、ヨーロッパで既に何度も、歌舞伎や能をはじめ、日本の伝統芸能と言われるものは観ているんだ。自宅の本棚には、歌舞伎等に関する書籍や資料、DVDもたくさん持っているよ。そういったものにも、良い刺激をもらっているが、来日のときには全く観ないね。ただ、日本の空気を吸って、日本の食べ物を食べて、日本を散策して日本人とふれあって……身体全体で日本を感じられるように。

    いちのへ: 子供みたいに日本で遊んだ、という感じでしょうか。

    ポルニン: その通り!そのとき買った盆栽は、今も自宅の庭にあるよ。そうそう、家では着物を着たりもするし、私には日本人的な部分もあると言えるね。

    いちのへ: 何パーセントくらい!?

    ポルニン: 今は……10パーセント。ああ、さきほど昼食に和食を食べたから、11パーセントになったかな(一同爆笑)。1ヶ月の日本公演が終わることには20パーセントになっていることを期待しよう。

 

    【時間的に地理的に、笑いは変化するの?】

    いちのへ: さて、スラバのスノーショーは、2005年の公演からどのように進化したのでしょうか。

    ポルニン: 過去から進化したというよりも、毎回毎回、違うステージを作っているような気分になるんだ。とても不思議なショーなんだ。たとえば、ひとつの譜面があったとして、あるときはジャズ風に、またあるときはオーケストラによって…さまざまなジャンルの音楽家たちが演奏することで、全く違う音楽が生まれるようなものかな。

    いちのへ: スノーショーは2013年で20周年を祝いましたが、スラバさんご自身も2010年に60歳というひとつの節目を迎えられました。還暦を記念して、展覧会をはじめさまざまなお祝いイベントも催されましたが、何か変化は訪れましたか。

ポルニン: 60歳といえば、男の子が男性になるくらいの年と言えますよね。でも何にも変わっていないなあ。子供の頃のまんまさ。進歩もなく変化もなく……ここのとこの髪の毛が(と、頭頂部を指差して)ちょっと下へずれたくらいかな(笑)

    いちのへ: ショーは、公演する土地に合わせて変化を加えるのでしょうか。

    ポルニン: こちらが変えるというよりは、その土地によって国によって変えてもらうといったほうが正しいかもしれないね。

    いちのへ: 雪の降る劇場を作って世界中の観客を招くのではなく、雪とともに世界を周るスタイルで公演していらっしゃるのはなぜなんでしょうか。

    ポルニン: 雪が降る国もあれば降らない国もある。季節によって降ったり降らなかったり、あるいは地球温暖化で雪がなくなってしまった地域があったり、何が起こるか分からない世の中さ。それなら、自分で雪を作ってしまい、いつもスーツケースに雪や風や月を詰め込んで旅するほうがいいと考えたんだ。

    いちのへ: 今回は、東京と大阪で公演なさいますね。この2都市ではメンタリティも好まれる笑いも違うといわれたりしますが、ロシアでは広い国土のなかで、笑いに地方性はあるのでしょうか。

    ポルニン: うーん、子供にとって、赤くても緑でも大きくても小さくても、キャンディはキャンディだよね。私も子供だから、私にとっては東京も大阪も、与えられた日本というキャンディでしかないんだ。年齢を重ねて大人になると、「このキャンディは甘いな、大きいな」などと言うようになってしまうね。もしかして私も5年、いや15年後くらいには、そんな風になってしまうかもしれないが……。広いロシアでも、基本的に友人がいる場所はどこも一緒さ。

    いちのへ: 笑いには国境はない、ということですね。

    ポルニン: そう。家族みんなで世界ツアーをしているからね、今や、この地球が、ひとつの家みたいなものだよ。ラスベガスから息子が電話してきたと思ったら、翌日にはベルリンからかかってきたり、世界が本当に身近に感じられる。日本の寿司もよく食べていたが、今回一緒に来日した息子のヴァーニャ(イワンの愛称)は、特に日本好きで、日本語も勉強しているし、半年に1度くらいのペースで日本を訪れているんじゃないかな。だから私にとっては日本も身近だし、ヴァーニャの存在に助けられているよ。

 

 

    【雪への想い】

   いちのへ: 日本人にとって、はかなく美しい桜は、日本を象徴する特別なもののひとつなんですが、スラバさんにとって雪は、ロシアを想わせるものでしょうか。なぜ、人生を懸けたショーのテーマに、雪を選んだのでしょうか。

ポルニン: 自宅の庭には、日本庭園もあって、そこに実は桜もある。春には桜が咲いて、まるで桜の雪みたいなんだ。雪はたくさんのものを内包していて、だからこそ選んだのだが、何か新しいまっさらなもの、清く純粋で美しいもの、花びらのようでもあり、花嫁の婚礼の衣装に例えられたりもする。一方で、冷たさ、恐怖や死とも結びついている。ショーのなかでも、雪は良いイメージを魅せてくれることもあれば、逆のこともある。もちろん、ロシアを象徴するもののひとつという面もある。ただ、ひとつ間違いないのは、子供にとっては最高の遊び道具、夢中にさせるおもちゃだということ!雪が降った日には、『わーい雪だ!』と子供たちは朝早くから外へ出かけていき、夕方に大人たちが『もういいだろう』と言うまで遊んでいるものだ。遊びすぎて、睫毛や眉毛、顔中につららをつけて、暖炉に直行するのさ(笑)

    いちのへ: 雪国とそうでない国では、観客の反応は違いますか?

    ポルニン: 雪が降らない国からも、お正月などに招かれることがよくあるんだが、子供たちがショーのなかで降る雪をさわって「これが雪なんだ!」と感動している様子に出くわしたりする。東京も大阪も、それほどたくさんの雪が降る都市ではないから、皆様のために、たくさんの雪を持ってきたからね。

 

    【スラバ式夢の叶え方、教えます】

いちのへ: さきほど、子供の心で、スノーショーを創りだすとおっしゃいましたが、それでは演じるとき、演出されるときには、大人になるのでしょうか。

    ポルニン: まずは自分のなかの半分、つまり賢い部分が考えて、それから、もう半分の子供の部分がすべて壊してしまうんだ。そうやってステージが出来上がるんだ。

    いちのへ: 子供のままで大人になり、子供の頃の夢を大人としての仕事に出来たのですね。

    ポルニン: いつも夢を叶えるようにと生きてきたし、そうでない生き方は分からない。どうしたら私みたいに夢を叶えられるかって?そう、やっぱり自分の夢に正直になること。夢を見ることから、すべてのプランが生まれる。そうしたらそれを運命だと思って実行すること。

    いちのへ: スラバさんには、芸術一家ともいえる家族がいらっしゃいますね。女優の奥様と息子のヴァーニャさんとは、現在一緒にステージを作り上げ、共に夢を叶えていらっしゃいますし、サンクトペテルブルグで音楽を学んでいるふたりの息子さんがいらっしゃいますね。子供たちそれぞれが夢を叶えられるようにするためには?

ポルニン: 邪魔をしないこと(笑)。これが一番、重要なこと。おもちゃで遊んでいる子供の横に、両親がつきっきりで手や口を出していたとしたら、それは遊びとは言えない。才能は誰にでもあって、人それぞれに違うものだから、それが一体どういうものなのかを自ら探らなければならない。有名なロシアの歌手であるシャリャーピンは『持って生まれた才能は5パーセントで、残りの95パーセントは努力だ』という言葉を残している。才能を発掘すればよいのではなく、やはりそれ以上に努力が必要なのだということ。そして、努力できる秘訣は、何より喜びをもって楽しんでやるということに尽きるでしょう!

    いちのへ: 午前中には、オフィシャルサポーターのプリンセス天功さんらとともに記者会見が行われましたね。日本公演出演のチャンスをかけて、よしもと若手芸人さんによる『夏なのに冬を感じる6秒動画』オーディション結果発表もあったそうですね。

    ポルニン: 特に芸人さんやアーティストに限って集めたわけではないんだよ。 “幸せな人”たちと集まって、お客さんに喜んでもらえるようなステージを創りたいと思っているんだ。そのためには、こちらもハッピーでいなければならないからね。

 

 

    【これからのスラバ・ポルニン】

   いちのへ: スノーショー以外にも、スラバさんは多方面でご活躍されていますね!

   自然や生と芸術との境目をテーマに、アカデミー・オブ・フールズという国際プロジェクトを主宰していらっしゃいますし、声優を務められたアニメ映画の公開も控えています。最後に、これからの夢について教えてください。

    ポルニン: やってみたいことは数えきれないほどあって、いわば夢が行列をなしているような感じかな。この人生で、それを全部こなせるのかどうか自信がないくらいに、アイディアがあるんだ。

   だから……そう、目の前の仕事をつぎつぎと一生懸命にこなすことだね。今年のモスクワの日には、大きなフェスティバルを開催する予定で、ひとりひとりの参加者が赤や黄色や緑などの色になって行進するカラフルなカーニバルにしたいと考えている。その2日後には、モスクワで新しい舞台の初演。それから、ブックフェアでは新刊のプレゼンテーションを予定している。と、まあ、こんな感じで大忙しの毎日が今後も続いていきそうだよ。毎日すべてが仕事なんだから、舞台の上でバカンスみたいに楽しまなくっちゃね!

    いちのへ: ぜひ、日本でも、スラバさんのご活躍を拝見出来る機会がますます増えますように願っております。ありがとうございました!

 

(※スラヴァ・ポルニン氏の名前表記は、今回の日本公演名に従いスラバで統一しました)

【日本公演 公式HP】

http://www.slavasnowshow.jp

【プロモーション動画】

http://youtu.be/Xlv2LutlTMU

スラバ・ポルニン公式サイト

www.slavasnowshow.com

日時:

【東京】8月6日(水)~17日(日)シアター1010

    ※8月11、12日休演日

【大阪】8月20日(水)~24日(日)シアターBRAVA!

お問い合わせ:【東京公演】キョードー東京 0570-550-799

【大阪公演】チケットよしもと予約問合せダイヤル 0570-550-100

さて、東京につづき新潟でもオープニングを記念して特製グッズがお披露目されました!

それは、5種類のオリジナル・マトリョーシカです。

 

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ロシアを代表する人物「Famous Russians」を5つのテーマに分けて「Ⅰ 皇帝」「Ⅱ 作曲家」「Ⅲ 作家」「Ⅳ 画家」そしてロシアの人気アニメ「チェブラーシカ」で描かれています。

 

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△たとえば、「 作曲家」バージョンでしたら、大きい順に並べると、チャイコフスキー、グリンカ、ムソルグスキーとなります。

 

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△「 作家」:左からチェーホフ、トルストイ、ドストエフスキー

 

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△「 皇帝」:左からピョートル大帝、エカテリーナ2世、エリザヴェータ女帝

 

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△「画家」:左からシャガール、カンディンスキー、マレーヴィチ

 

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△「チェブラーシカ」:左からチェブラーシカ、ゲーナ、シャパクリャクとラリースカ

 

 

 

いつもロシア文化フェスティバルのイベントに足を運んでくださっている皆様でしたら、きっとお馴染みの人物が多いことでしょう!

お部屋に飾ってあるマトリョーシカを見るたびに、新潟でのオープニングを思い出していただけたら嬉しいです。

 

(撮影=丸山英樹)

 

 

 

 

 

 

例年にも増して盛大に開催されたロシア文化フェスティバル2014 IN JAPANオープニングセレモニー!特製の記念公式グッズも製作されました。

まず、東京オープニングでお披露目されたのは・・・ロシア・アヴァンギャルド作家による絵皿5種類。さて、あなたのお好みは・・・?

 

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△マレーヴィチ『農夫の頭部』

 

 

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△カンディンスキー『赤い壁、運命』

 

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△エクステル『コンポジション・表面の動き』

 

 

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△ロザノワ『絶対主義』

 

 

 

 

 

 

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△ロザノワ『『現代」劇場』

 

 

 

 

 

 

 

 

カンディンスキー、マレーヴィチ、ロザノワの作品が2枚、そしてエクステル。5枚全部の絵をご存知でしたら、かなりのロシア・アヴァンギャルド通といえそうです。実際の絵皿は塗りの色がより鮮やかで、1枚でかなりインパクトがあります。ゴージャスに5枚揃えて飾ったら、お部屋の一角が画廊に変身してしまいそう。

 

 

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このほか会場では、小西康陽さんとのコラボレーションにより、あのソ連時代のメロディーがポップで軽快なアレンジで甦ったCD『チェブラーシカ 東京の休日』やマトリョーシカ柄の紙挟みなどもお土産として手渡されました。

 

ロシア文化フェスティバルの今後のイベント会場でぜひお手に取ってみてください!

 

 

 

コケーシカ展2014新潟!

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ロシア文化フェスティバル新潟オープニングでは、こけし×マトリョーシカ=コケーシカ展にも行ってまいりました。ロシアのマトリョーシカとそのルーツともいわれる日本のこけしとを組み合わせ、日露の友好を願って誕生したコケーシカ。

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ポスター画像にもなっている、こけしを持つマトリョーシカやこけしが描かれたマトリョーシカなどの“コケーシカ”はもちろん、ロシアのマトリョーシカがそれぞれの産地ごとに系統だてて紹介されている展示では、なんと等身大サイズでもその表情が御覧頂けるようになっていました!

 

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ロシア文化フェスティバル IN JAPANでは、これまでもさまざまな都市でコケーシカ展覧会が催されてきましたが、いつも、どんな空間でも、ファンの期待を裏切らない、唯一無二のコケーシカ世界が広がっています。

 

今回の会場ではロシアの郵便局で使用されている段ボール箱のデザインを、コケーシカ版にアレンジし、さらにコケシとマトリョーシカの色合いを生かした色味にしてディスプレイ!

 

 



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△ちなみに、こちらがロシア郵便局の箱

 

 

 

 

 

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 マトリョーシカ作家とこけし工人のコラボ作品や、見たことのない新グッズの展開など目が離せないコケーシカの世界。
ロシアでも見たことがないマトリョーシカの魅力と、知られざる古き良きコケシの魅力に、改めて気づかされます。
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能楽堂で和露折衷!?

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さて、ヤングジェネレーションに光を当てる今年のフェスティバル。新潟オープニング行事でも新たな試みのコンサート演出が光りました。

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りゅーとぴあコンサートホールから、石庭をすすむと現れる美しい能楽堂では、全ロシア音楽コンクールの優勝者ガラコンサートⅡが行われました。今年は、2011年度の室内楽部門で最高位の弦楽アンサンブル「イントゥラーダ」の皆様、そして2012年のパーカッション部門最高位のウラジーミル・テレホフさん、ハープ部門最高位のニーナ・クプリヤノワさんが登場しました。

 

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第一部では、チャイコフスキーの弦楽四重奏曲やハープによるグリンカ&バラキレフ作曲の「ひばり」など、ロシアの美しいメロディはもちろんのこと、斬新なマリンバのリズムに誘われて異空間へ・・・とそれぞれの楽器の魅力を堪能。そして第二部では、カルテットとハープ、マリンバがつぎつぎと組み合わせを変え趣向を変えて、フィナーレまで飽きさせません!

 

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△音の響きを感じながらのリハーサル風景…どこのホールとも違うなんともいえない厳かな雰囲気。

 

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△アンコールがおわり拍手に包まれてリラックスした表情で舞台袖へ

 

畳に障子、床の間のある控え室や、どこをみても美しい和の舞台でのコンサートは、ロシアの若い芸術家たちも感動ひとしおのようでした!

ロシア文化フェスティバルだからこそ実現出来る、こんな美しい和露折衷の舞台、ぜひ今後も見たいものですね!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

新津美術館でチェブラーシカ!

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6月14日からスタートした新潟オープニング行事のなかでも、まっさきにチケットが完売した人気プログラムが、チェブラーシカの原作者であるウスペンスキー先生の講演会でした。新津美術館ではその後も、ロシア・アニメーション上映会のほか、8月17日まで『チェブラーシカとロシア・アニメーションの作家たち』展が開催されています。

 

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豊かな田園風景のむこうに現れる黄色い外壁のモダンな建物が新津美術館。鉄道の町らしく、正面玄関はラッセル車(除雪用の鉄道車両)がモチーフになっています。

 

 

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白い大理石が印象的な明るい階段状のアトリウムには大きな原画パネルが用意され、チェブラーシカの世界に迷い込んだような気分に・・・

 

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チェブラーシカに案内されて2階展示室へ。

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キャラクター誕生からアニメーション完成までの秘蔵資料、実際に撮影に使用された人形や舞台装置などは、ファンならずとも必見!

さらに、アニメーションとはまたひと味違う世界観を醸し出す童話の挿絵原画はもちろん、ロシアの名作から現在活躍中の作家たちの原画も見ることが出来ます。オリンピックのマスコットやピンバッジなどのチェブラーシカ・グッズコレクションは、そのままチェブラーシカ博物館がひらけそうなほど!

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日本特製のオリジナルグッズも充実しているミュージアムショップ、ぱらぱらアニメーション作りのワークショップや読み聞かせ、ミニコンサートなどの特別イベント以外にも、展示室では実際にロシアアニメがご覧頂けたり、塗り絵や絵本コーナーがあったり、大きなチェブラーシカと記念撮影ができたりと、親子でたっぷり楽しめます。

 

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日本でもすっかり人気定番キャラクターのひとつに仲間入りしたチェブラーシカ。これって、日本人とロシア人が同じものに心を動かされ惹かれる、なによりの証拠ですよね。

 

 

 

新津美術館の公式サイトはこちら