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【モスクワ通信】クワス?モルス?白樺ジュース?ロシアで味わってほしい飲み物を一挙ご紹介!

木曜日, 9月 2nd, 2021
今回は、ロシアへいらしたらぜひ味わっていただきたい人気定番ジュースや、ちょっと珍しい旬の味、モスクワの流行ドリンクなどを一挙ご紹介します!Приятного аппетита(どうぞ召し上がれ)!
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△まずは、夏の人気定番ジュースといえば、モルスとクワスからどうぞ!

【モルス(Морс)】

ロシアは少し郊外へ足を伸ばすと緑豊かな森があり、ベリー摘みを楽しんだり、郊外の菜園つき別荘ダーチャで収穫したりするのはロシアらしい素敵な夏の味わい方です(☆モスクワ通信『郊外の菜園付きの別荘ダーチャでくつろぐ初夏の一日』)。長い冬の間に不足しがちなビタミンを補うかのように、ベリーの種類が豊富です。

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△いちご(Клубника)、野いちご(Земляника)、黒いちご(Ежевика)、きいちご(Малина)、ブルーベリー(Черника)、赤すぐり(フサスグリ・レッドカラント Смородина  красная)や白すぐり(Смородина белая)、青すぐり(グーズベリー・西洋すぐり Крыжовник)、黒すぐり(ブラックカラント・カシス Смородина чёрная)、シーバックソーン(Облепиха)など・・・宝石みたいにみずみずしく輝いています。そんなさまざまなベリーを配合したジュースのモルスはロシア定番ジュースのひとつです。

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△ベリーの種類や組み合わせによってこんなに種類が!

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△ちなみに、シーバックソーン(облепиха オブレピーハ)は夏はモルスとしていただきますし、冬はフルーツティーとして大人気!まろやかなコクと酸味があって香りもよく、身体もぽかぽかになります。ロシアでは果実を生でも冷凍でも購入できるのでご自宅でも気軽に作ることができますし、アイスクリームのフレーバーやシャンプーの成分などでも見かける美容の素です。

【クワス(Квас)】

ロシアの夏の風物詩といえば・・・黒パンを発酵させた炭酸飲料クワスでした!

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△2007年には、街角でクワス売りのタンクやスタンドをよく見かけました。昼間のビール?ロシア版コカ・コーラ?とも例えられ、とにかくよく飲まれていました。ところが2017年に10年ぶりに訪れたモスクワでは、都心部にはクワス売りをほとんど見かけなくなってしまいました。

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△(写真左)スーパーマーケットに並ぶクワスのペットボトル。以前より少し肩身が狭そうに、でもしっかりとした存在感で陳列されています。(写真右)モスクワのお洒落なショッピングモールのなかには、レトロなデザインのクワス自動販売機が登場し、ソ連を味わうドリンクは逆に新しい存在に・・・!?

そして、そんなクワスを使った夏の冷製スープも、ロシアの夏を代表する味です。

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△オクローシカは、皮ごと茹でたジャガイモやきゅうり、ゆで卵、ハムなどをすべて細かく切り、そこにクワスをかけて(ときにはケフィールをかけて)お好みでハーブやスメタナとともに頂く伝統的な夏の冷たいスープです。6月に入り、すっかり雪が解けたダーチャ(郊外の菜園つき別荘)へ、ロシア人が週末ごとにいそいそと通いだすと、オクローシカの季節の始まりです。日本の夏のかき氷のように、街中でもスーパーでも『オクローシカ、はじめました』の広告をよく見かけます。ロシア人のダーチャに遊びに行き、菜園で収穫したばかりの新鮮な野菜を刻むお手伝いをしてから頂くオクローシカは格別ですし、昔ながらの味を楽しめる食堂はもちろん、お洒落なレストランでもオクローシカを見かけます。

甘酸っぱくてしゅわしゅわする不思議スープ、クワスを入れたオクローシカも、そしてケフィール(飲むヨーグルトのような乳製品)を入れた少し酸味とコクのあるオクローシカも、夏のロシアでぜひ味わっていただきたい一品です。

 

【昔懐かしの味キセーリ、コンポート、白樺ジュース】

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懐かしの味といえば、コンポート(Компот)やКисель(キセーリ)。Кисель(キセーリ)はデンプン(片栗粉)が入っていて、とろりとした口当たり。冷たい葛湯みたい!手作りする時は、片栗粉の量によって、ゼリー風のデザートにも、ジュース風にもなります。スーパーでも、いくつかのベリーの種類が売られています。

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△かき氷のシロップ見たいなジュースは、好きな味を選び炭酸で割ってもらいます。

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△左の緑色のタルフンは、タラゴン(エストラゴン)というロシア〜中央アジアに分布する薬草の風味がついた飲み物。右端のバイカル は、松ぼっくりの風味が感じられます。ロシアでは、松ぼっくりを似たヴァレーニエ(※下記、ロシアンティーの項目を参照)も人気があります。

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△白樺ジュースは透明で、うっすらと甘いスポーツドリンクのような味。白樺の美しいロシアの森では、白樺につくきのこチャーガのお茶も免疫を高める効果があるとして、コロナ禍の今、改めて注目されています。(関連ブログ☆【モスクワ通信】新型コロナウイルスで再注目!チャーガ茶で免疫力アップ!?)

 

【流行!自家製レモネード】 

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△ソフトドリンクの流行!といえば、自家製レモネード(Лимонад さまざまなフルーツやハーブを混ぜたオリジナルのレモネード)。公園にはレモネードの屋台が並んで、レストランのメニューにも自家製レモネードの種類が充実していて驚きます。ちなみに、ロシアのレモネードはレモンとシロップの入った所謂シンプルなレモネードだけでなく、ストロベリーとバジル、りんごとジンジャー、クランベリーとローズマリー、チェリーとミント・・・さまざまなフルーツとハーブなどがオリジナルで配合されています。

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ちなみに、ロシアでジュースをオーダーすると、「普通の?それともフレッシュ?」と尋ねられます。フレッシュジュースは人気で、オレンジやりんご、グレープフルーツ、人参(ミルクつきが多い)やセロリもよく見かけます。スーパーでは、ペットボトルにフレッシュオレンジジュースを入れるマシンも見かけますし、空港にはフレッシュオレンジジュースの自動販売機も。流行のスムージーバーでは、生のビーツが手軽に入手できるロシアらしくビーツのスムージーも人気です。

 

【あのドリンクのロシア限定味!?】 

日本でもお馴染みの清涼飲料にも日本では見かけない珍しい味やロシア限定味を見かけることがあります。

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△夏になると登場するスプライトのきゅうり味!さらに夏らしく!?スイカ&きゅうり味も。

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△紅茶リプトンのロシア味は、ブルーベリーと、先ほどもご紹介したシーバックソーン!

 

【ロシアン・コーヒー=ラフ・コーヒー】

紅茶の国ロシアにスターバックスコーヒーが登場し、その後ロシアのコーヒーチェーンが増えていった2007〜2009年。今やすっかり紅茶もコーヒーも美味しいロシアに、ロシア発祥のコーヒーができていました。それがラフ・コーヒー(Раф-кофе)!

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お店によっても違いますが、エスプレッソコーヒーの上にフォームミルクがのっているカプチーノと比べると、ミルクの代わりにフォーム状の生クリームがのっているのがラフ・コーヒー。そして、さまざまなフレーバー&シロップが用意されているのも特徴で、生クリームのコクと甘み+フレーバー&シロップの風味と甘味で・・・ロシア人の大好きな甘いコーヒー“ラフ・コーヒー(Раф-кофе)”になります。こちらの写真は幸せという名のカフェのラフ・コーヒー。コーヒーがちょっと苦手でも、これなら美味しく飲める!という方も。

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なお、ロシア・カフェ業界では、2017年頃から抹茶ラテが一大ブームになり、そしてアイスコーヒー&ティーが登場。ロシアでは飲み物を冷やす習慣がなく、かつてはビールもジュースも室温が当たりまえ。アイス・コーヒーやアイス・ティーはありませんでした。近年は、「冷たいものを」とお願いしなくても冷たいビールが出てきたりもしますし、アイス抹茶ラテを置いているカフェも。(写真左)2017年にカフェに新登場した抹茶ラテを3杯オーダー。茶托で泡だてながら店員さんが一言「初めてなので抹茶の分量を間違えちゃった!」

 

【ロシアの紅茶といえばロシアンティー!?】

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さて、紅茶大国ロシアの“ロシアン・ティー”といえば、日本では“ジャム入りの紅茶”を思い浮かべる方が多いのですが、実は本場ロシアではちょっと違っていて、ヴァレーニエを食べながら紅茶をいただきます。ジャムは日本でもお馴染みのように、フルーツをお砂糖と一緒に煮こみ、トーストにも塗りやすいペースト(ゲル)状になったもの。ロシアのスーパーでジャムよりもさらに広めのコーナーが割り当てられているのが、ロシア伝統のヴァレーニエ!同じようにフルーツと砂糖を一緒に煮込みますが、より果実の食感が残っています。

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珍しいところでは、松ぼっくりのヴァレーニエ や、きゅうりのヴァレーニエなどもありました。一方、ヨーロッパの国の中では、ロシアンティーといえば、柑橘系のフレーバーの紅茶だったり、レモン・ティーをイメージされる方も多いのだそうです。

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△ロシアンティーに欠かせないのは、このロシア式湯沸かし器のサモワール。常にお湯が沸いているサモワールがあれば、いつでも美味しい紅茶がいただけます。上に乗せたポットには濃い目に煮出した紅茶が入っており、それを自分のカップに注いだら、あとは下の注ぎ口からのお湯でお好みの濃さに薄めて飲むことができます。ジャム入り紅茶も柑橘系フレーバー紅茶も美味しいのですが、いつでもいつまでも皆でサモワールを囲んでゆっくりおしゃべりを楽しめるスタイルこそ“ロシアンティー“です。(関連☆モスクワ通信『サモワールとプリャニキの街トゥーラ(1)ロシアのお茶文化を訪ねて』モスクワ通信『サモワールとプリャニキの町トゥーラ(2)クレムリンと街散策』

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なお、ロシアらしい茶葉としては、「イワン・チャイ(Иван чай)」はいかがでしょう。ロシアの野草でつくる優しいお味のハーブティーで、ロシアのスーパーならさまざまなメーカーから種類豊富に選ぶことができますし、ダーチャで手作りしている方も。健康茶といえば、コロナ禍でチャーガ茶も再注目されています。(関連☆【モスクワ通信】新型コロナウイルスで再注目!チャーガ茶で免疫力アップ!?)ちなみに、ロシアのカフェやレストランのティーメニューのなかには、必ずと言っていいほど「緑茶」がありますが、もうひとつ「ミルク・ウーロン」が定番のひとつになっています。

アルコールについてはまた別の機会にご紹介しますね!

【モスクワ通信】あなたはどっち派!?昔ながらの市場から食のテーマパークへ

月曜日, 8月 2nd, 2021

夏休みにぴったりなモスクワ旅行気分をお楽しみいただけるブログをお届けしています。先日開催された『新生ロシア30周年写真展』でも特集しましたモスクワの市場を歩いてみましょう!(関連ブログ【モスクワ通信】新生ロシア連邦の誕生から30年・・・モスクワの10年をプレイバック!

モスクワではここ数年、昔ながらの市場をリニューアルして、お買い物だけでなくイートインを充実させたフード・テーマパーク風のお洒落な市場が増えています。各国料理が軒を連ね、食で世界一周旅行気分が味わえたり、ここでしかいただけないような新しい食に出会えたり、海の遠いモスクワですが新鮮な生牡蠣や日本人の舌をもうならせるお寿司が食べられたりもします。

 

【ウサチョフスキー市場(Усачевский рынок)】

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△まるでフランスのマルシェ?お洒落な雰囲気の外観。コロナ前には観光バスもつぎつぎにやってきてツアー客にも大人気でした。

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△色彩やかでみずみずしい野菜やフルーツ、新鮮な乳製品に卵、ロシアや旧ソ連諸国のおふくろの味などお惣菜コーナーも充実していて、つい味見をすすめられて試しているうちにあれもこれもと欲しくなってしまいます。

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△スーパーマンゴーにココナツの果実にストローをさしたエキゾチックなジュース、懐かしのロシアの夏の風物詩クワス(黒パンを発酵させた炭酸飲料)など、喉が乾いたら飲み物片手に市場を散策。

さて、こちらのУсачевский рынок(ウサチョフスキー市場)はフードコートが充実していることも人気の理由です。

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お肉屋さんのハンバーガー、ピザ、ムール貝などの海鮮、ラーメン・・・美味しい匂いでいっぱいです!

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そのなかでも、モスクワ在住日本人の舌を喜ばせているのが・・・お寿司屋さんです。

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△市場で頂けるお寿司だなんて、ちょっぴり築地気分!?

寿司(СУШИ)は、ハマチ(1貫190ルーブル)、まぐろ(190ルーブル)、うなぎ(170ルーブル)、サーモン・甘エビ・ほたて・たこ(各1貫160ルーブル)。ロール寿司(РОЛЛЫ)は、鉄火巻き(260ルーブル)以外に、ハマチやサーモン、えび、うなぎ、きゅうり、アボカド、おしんこがありました。海が遠いモスクワですが、ネタも新鮮!

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△店頭には牡蠣がずらり!白ワイン片手に生牡蠣も楽しめるそう。なんと岩手産もありますね!

カウンターにはロシア人がずらり。上手にお箸を使い美味しそうにお寿司を召し上がっています。厨房に日本人はいなかったのですが、アジア系の方がてきぱきと鮮やかにお寿司を握っていく様子はまるで日本のよう。

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住所:ул. Усачева, 26

URL:http://www.usachevsky.ru

 

【デポ(=ДЕПО)】

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△つづいてこちらは、2019年にオープンして以来、都心部で流行に敏感なモスクワっ子を虜にしているフード・テーマパーク=ДЕПО(デポ)。赤レンガ造りの可愛らしい外観。

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△テーマは車庫!なかには乗り物がたくさんディスプレイされています。

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フードコートの周りには、140もの各国料理の屋台が。ジョージア、ウズベキスタン、モロッコ、イスラエル、ギリシャ、イタリア、韓国、中国、ベトナム、そしてロシアのスープとラーメンを合わせた“ボルシチ・ラーメン”で話題の日本のクウなど世界各国の料理が選べるフードコートは、ヨーロッパ1の規模を誇っています。

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△ちなみにこちらは2020年コロナ禍での様子。

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△大切な方への気の利いた手土産にはもちろん、とっておきの日の自分へのご褒美にもぴったりな、目を引くスイーツもいっぱい!敷地内には話題のレストランや人気パティスリーも店を構えています。

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△そしてなんと、こちらのカウンターからどの店のお料理も宅配してもらえるのも特徴です。モスクワでは、コロナ以前からフードデリバリー のサービスが充実していました。(関連【モスクワ通信】コロナ禍の新たな楽しみ方!インターネット・ミュージアム 「日本のなかのロシア」オープン!

マスコミでは人気店ランキングが発表されたりとなにかと話題の場所です。

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※ちなみに、本物のデポはこんな感じです。

Фудмолл ДЕПО(デポ)https://depomoscow.ru

住所:ул. Лесная, 20

 

【その他】

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△ほかにも、劇場のような中央市場(Центральный рынок)やUFOのような形のダニーロフスキー市場(Даниловский рынок)など、おしゃれに生まれ変わった市場はいつもモスクワ市民に大人気。 冬には入り口脇に巨大なサモワール(ロシアの湯沸かし器)が設置され、熱々の紅茶をいただけたりもしてロシアの食を楽しめる工夫がみられるほか(関連☆モスクワ通信『サモワールとプリャニキの街トゥーラ(1)ロシアのお茶文化を訪ねて』)、回転扉を入ると、所狭しと並ぶレストランのなかには寿司ビストロTOKYO SUSHIというお店があったり、『日本のアイスクリームMOCHI』という薄い求肥の中にアイスクリームが入った日本の人気デザートや、日本のデパ地下にあってもおかしくない雰囲気の『Matcha WAY』という抹茶スイーツの専門店など、日本風の味も見つけることができました。

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△一方、少し中心部を離れると、まだまだ懐かしの昔ながらの市場も残っており、今も地元の人たちに民に愛されています。そんな懐かしの市場のひとつプレオブラジェンスキー市場 Преображенский рынокは1932年に修道院の敷地内の僧居や慈恵院を移転させて開かれた市場。入口脇には当時の古い煉瓦作りの建物が残っていました。また、市場の隣には、1790年にプレオブラジェンスキー墓地の敷地内に建てられた聖堂もあり、教会で焼いたパンや手作りの素朴なピロシキ(キャベツ、りんご、魚)、焼きたて南瓜ケーキなどが売られていました。

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△広い敷地内の屋外の青果コーナー。眺めているとすぐ「お嬢さん、どうぞ!」と試食させてくれます。たくさんのお店のなかで良いお店を選ぶコツは・・・なんといっても行列の長さ!昔ながらのサラミ屋さんでは、お野菜の入った“モザイク”を購入してみましたが絶品でした!

プレオブラジェンスキー市場 Преображенский рынок http://tkpreobr.ru

※清掃日以外の毎日朝8.00〜夏季(6〜9月)は20時、冬季は19時まで営業。(それぞれ休日祝日は1時間前まで)

その国の台所事情をのぞくことができる市場は、外国を訪れたらぜひおすすめしたいスポットですが、モスクワは昔ながらの市場と最新モードな市場の両方に足を運べば、より深くロシアを味わうことが出来そうです。

 

【モスクワ通信】現在進行形のモスクワ観光スポット!ザリャージエ

木曜日, 7月 15th, 2021

夏休み到来!安心して海外旅行を楽しめるようになるまでにはもう少しかかりそうな今年は、ブログでモスクワ旅行気分はいかがでしょうか?先日開催された『新生ロシア30周年写真展』でも新観光スポットとしてご紹介しましたザリャージエを歩いてみましょう!(関連ブログ【モスクワ通信】新生ロシア連邦の誕生から30年・・・モスクワの10年をプレイバック!

モスクワ中心部、クレムリンと赤の広場のすぐ脇に、かつて3000室を超える巨大なロシアホテルが建っていました。初めてのロシア(ソ連)旅行で宿泊したのはここ、とおっしゃる方も多いホテルです。(ホテル・ウクライナ内にあるモスクワのジオラマの中でそのありし日の姿を見ることができます。(関連ブログ【モスクワ通信】セブンシスターズ(下)〜幻のソヴィエト宮殿に挑んだル・コルビュジエと現代のスターリン建築!?〜)そのロシアホテルが取り壊され、跡地に2017年9月にオープンしたのがザリャージエ公園 Парк «Зарядье» です。

【①ザリャージエといえばここ!パノラマ展望橋(Парящий мост)】

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△この羽を広げて空へ飛び立つ鳥のようなパノラマ展望デッキは人気の写真スポットです。モスクワ川に張り出しているため、モスクワ川の風を感じながら広い空に映えるクレムリンを背景に撮影できて、昼も夜も魅力的!

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△モスクワ川クルーズからは展望橋の形が綺麗に見えます。(→関連ブログモスクワ通信『モスクワ川クルーズへご案内!』

公式サイト:https://www.zaryadyepark.ru/services/paryashchiy-most/

 

【②新感覚4Dでモスクワ&ロシア観光飛行アトラクション】

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△Медиацентр (メディアセンター)では新感覚4Dでモスクワ&ロシア観光ができる飛行アトラクションに挑戦!モスクワ上空を飛ぶアトラクション”Полёт над Москвой”とロシア上空を飛ぶアトラクション”Полёт над Россией”があります(約20分間)。ロシア人にも人気なのでチケットはインターネットでの事前購入が安心です。

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△手荷物をロッカーに預け、まるで本当の飛行場のようなゲートに並びます。

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△モスクワ版では、モスクワの朝〜夜にかけて、鳥になったような気分でモスクワ飛行!ゴーリキー公園の門をすり抜け、クレムリンと赤の広場、ルジニキ・スタジアム、コローメンスコエの世界遺産、目抜き通りのトヴェルスカヤ通りの渋滞を眼下に、ボリショイ劇場の屋根の上を通り、ライトアップされたオスタンキノタワーを見下ろして、モスクワ市内に上がる花火のなかに飛び込みます!モスクワの夏を彩る噴水の上を飛び越えるときには、なんと本物の水しぶきも・・・!(動画はこちら

公式サイト: https://www.zaryadyepark.ru/schedule/11925/

 

【③夏でも10分間!極寒ロシアの氷の洞窟(Ледяная пещера)】

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△建物全体が氷の洞窟のよう!ここでは夏でも10分間、極寒ロシアの冬の冬を味わえます。

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上着を羽織ったり毛布にくるまったり、身支度を整えたらドアが開き、目の前に氷の世界が広がります!

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△空間アートのインスタレーション作家アレクサンドル・ポノマリョフ(Александр Пономарёв)さんと建築家のアレクセイ・コズィリ(Алексей Козырь)さんによるプロジェクト。厳しい自然の力を感じながら、曲線とライトの加減、そして訪れる人のアイディア次第でアーティスティックな写真が撮れます。巨大な建物外観と300ルーブルという入場料から、長い氷の迷路のような場所を探検するアトラクションのようなものを想像して意気揚々と乗り込んだのですが、実際にはかまくらのようなスペースでした。暑い夏の日には、涼をとる人でいっぱい!

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△ザリャージエ特製アイスクリームでひんやりエネルギー補給!ロシアの定番コップ型アイスのスタカンチクには涼しげなРусская Арктика(Russian Arctic)味、同じく棒付きアイスのエスキモーにはПодмосковные вечера(モスクワ郊外の夕べ)味などユニークな名前がついていました。

公式サイト:https://www.zaryadyepark.ru/services/ledenaya-peshchera/

 

【④コンサートホール ザリャージエ(Московский концертный зал «Зарядье»)】

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△ザリャージエのなかの新しいコンサート・ホールの屋根も展望橋のような形!世界3大音楽コンクールのひとつにも数えられる、4年に1度のチャイコフスキー国際コンクールの受賞者ガラ・コンサートは、これまでモスクワ音楽院大ホールで開催されてきましたが、2019年はここザリャージエのホールでした。

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△ステージを囲むように配置された客席と雪山のような流線を使い、壁はまるで雪の積もった白樺の木のよう。木の質感と新しいホールならではの木の香り。冬の雪山でかまくらのなかにいるようです。このホールの音響設計は、日本人の豊田泰久氏で、芸術監督を務めるのは、ロシアが誇る指揮者として君臨するヴァレリー・ゲルギエフ氏。

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△この日は、チャイコフスキーコンクールのピアノ部門で第2位を獲得した藤田真央さんが登場。コンクール予選中からモスクワの聴衆の心をときめかせ、何度もスタンディングオベーションを巻き起こし、登場するたびに「いったい今日ははどんな風に弾いてくれるのかしら?」会場はそんな期待に包まれます。

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△ホール入口を囲む円形ロビーには、チャイコフスキーやラフマニノフ、グリンカ、ショスタコーヴィチ、ムソルグスキー、リムスキーコルサコフ、シャリャーピン・・・ロシアの偉大な作曲家や演奏家、歌手の彫刻がずらり!ほかにも、公園内には眺めの良い屋外ステージもあり、魅力的なプログラムでいっぱいです。

公式サイト:  https://zaryadyehall.com/

 

【⑤キタイ・ゴーラトの古い城壁】

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△近代的なコンサートホールの横には、古い城壁も残っています。

 

【テーマはソ連と宇宙!レストランВосход(ヴァスホート) 】

お腹が空いてきたら、展望橋のそばにあるユニークなレストランВосход(ヴァスホート)もおすすめです。ソ連が開発した有人宇宙船の名前が店名になっており、テーマはソ連と宇宙!

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△テーブルや個室、お化粧室のなかまで、宇宙モチーフでデコレーションされています。

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△飲み物は、ミネラルたっぷりという黒いお水!その名もコスモス(ロシア語で宇宙の意味)

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△お料理はロシアや周辺諸国の旧ソ連圏メニュー。ビーフストロガノフを注文してみました。レジ横には宇宙食の自動販売機もあり、ボルシチの宇宙食も。

公式サイト: https://rappoport.restaurant/restaurant/voshod

 

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△美しい公園内は子どもたちの遊び場や噴水も楽しめてお散歩にぴったり!(関連サイトモスクワ通信『モスクワの宝石箱!夏空にきらめく噴水コレクション)「北方の風景(Северные ландшафты)」などテーマのあるガーデンもあり、遠くに見えるクレムリンや聖ワシリー聖堂とのコントラストがお楽しみいただけます。

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△ロシアとイギリスの貿易の始まりThe Old English Courtyard(Старый английский двор)(左)などの博物館や、美しい教会(右)も点在しています。(関連ブログ【モスクワ通信】新たな一面を発見!モスクワのなかのイギリスをピックアップ

 

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△ザリャージエ・グッズをはじめ、ロシアの昔ながらの冬のフェルト・ブーツ“ワーレンキ”を現代風にアレンジしたブーツやマトリョーシカ・モチーフのアクセサリーなどモスクワ土産のセレクトショップも。

遊んで学んで味わって・・・モスクワの今を満喫できる新しいエンターテインメント施設がつぎつぎに建設されている現在進行形の観光スポットです。

ザリャージエ公園 https://www.zaryadyepark.ru 

【モスクワ通信】セブンシスターズ(下)〜幻のソヴィエト宮殿に挑んだル・コルビュジエと現代のスターリン建築!?〜

金曜日, 6月 25th, 2021

【ホテル「ウクライナ」 現在:ラディソン・ロイヤル・ホテル・モスクワ】

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現在はラディソン・ロイヤル・ホテル・モスクワという名称になっていますが、天井画や彫刻などロビーのインテリアは今も変わらずウクライナの民族的なテーマでまとめられています。ロビーホールの奥へまっすぐ進むと、モスクワのジオラマを見ることが出来ます。

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△オーディオガイドつき!なんと、スターリン建築のなかでちいさなスターリン建築を見ることができるなんて!

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△聖ワシーリー聖堂と赤の広場。昼から夜へ・・・だんだんと明るさも変化していきます。

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△赤の広場の横には、今はなきロシアホテル!フルシチョフの命令で1964年から1968年にかけて建設され、1993年までは世界最大の、その後もしばらくはヨーロッパ最大のホテルだったそうです。2006年に営業停止したため、残念ながら私は見たことがありませんが、読者の皆様のなかにはきっと泊まったことのあるかたもいらっしゃるのではないでしょうか!

なお、この地区はザリャージエ(Зарядье)と呼ばれ、モスクワの城壁内にある古くからの市街地でした。今は再開発で人気観光地の公園となり、博物館やコンサートホール、レストランなど見どころが増えています。

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△ホテル前の広場には、ウクライナの国民的詩人・画家として知られるタラス・シェフチェンコの銅像も見ることができます。また、モスクワっ子たちに人気の話題のレストランが並んでおり、モスクワ川を遊覧するクルーズ船の発着点にもなっています。

 

【旧鉄道省?ロシア連邦運輸省オフィス棟&住居棟】

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△ここにはかつて詩人ミハイル・レールモントフの生家があったため、中庭側から建物内へ入ると、レールモントフの名前のついたレストランもあります。

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△建物の外壁にもレールモントフの生家があったことが記されています。表通りの1階にはレストランのヤキトリヤが入っており、地下鉄Красные Ворота駅ともつながっています。

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△目の前のレールモントフ広場には、レールモントフ像が建っています。1829〜1832年にモスクワ大学に通っていたレールモントフが暮らしていたアルバーツカヤにある家は、現在レールモントフの家博物館として公開されています。

 

【文化人アパート(クドリンスカヤ広場の高層アパート)】

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△子どもを抱く母親やチェロを奏でる男性など、周囲は彫刻で飾られています。

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△壁には至る所に記念プレートが掲げられ、この建物に住んだ著名人を知ることが出来ます。日本語で『赤い石』と書かれたレストランも入っていました。

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△建物の裏手側には、今注目のロシア人パティシエОлег Ильин(オレグ・イリイン)のお店がひっそりと店を構えています。

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△パティシエの名前の頭文字ОИを合わせたブランドロゴが目印!今日は“日本の桜”という名前が付けられたケーキにしてみました。派手なピンク色のコーティングはちょっと勇気がいりますが、なかにはサクランボのパスチラ入り。毎日17〜19時まではアフタヌーンティーもあるようです。ロシア注目のパティシエ、オレグ・イリインは1980年モスクワ生まれ。YouTubeチャンネルでは愛娘のヴァリャちゃんとお菓子作りをする “Папа поМожет”も運営しています。家族で楽しめるようにという願いも込めて、メニューにはソ連時代の懐かしい伝統的なケーキも大切にしているそうです。

Олег Ильин(オレグ・イリイン)http://sweetstore.ru

 

【幻のソヴィエト宮殿】

さてセブンシスターズの中心、現在の救世主キリスト大聖堂(ロシア正教の総本山)がある場所には、ソヴィエト大宮殿が建てられる予定でした。1931年、イズヴェスチヤ新聞にソヴィエト大宮殿の設計コンペティション要綱が掲載され、同年秋には国内外から約160作品が集まり、プーシキン美術館に展示されました。国をあげての大計画は、時間をかけて何度も選考が行われ、1934年の段階では約80mもの巨大なレーニン像の下に台座部分をイメージした宮殿を作る案が候補になっていました。スターリン様式の高層ビルを特徴とするスターリンの都市計画はアメリカNYのマンハッタンの摩天楼を意識していたとも言われていますが、1886年に完成した自由の女神像が約46m(台座部分を含めると約93m)ですから、このレーニン 像とソヴィエト宮殿の圧巻のスケールがお分かりいただけると思います。

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△Wikipediaより

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△しかし、第二次世界大戦によって計画が中断されてしまいます。建設予定地は、ソヴィエト宮殿建設のためにもともとの大聖堂が破壊されてしまいましたが、ソヴィエト時代には屋外プール『モスクワ』が建設され、モスクワっ子たちのお気に入りの場所になっていました。(写真はWikipediaより)

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△そして2000年に、救世主キリスト大聖堂はかつての形に完全に復元されました。(関連ブログ→モスクワ通信『ロシア正教のクリスマス礼拝とニコライ・ヤポンスキーのイコン』

さて、この謎に包まれた幻のソヴィエト宮殿のコンペ応募者のなかにはなんと、20世紀を代表する建築家のひとり、ル・コルビュジエの作品もあったのだそうです。日本で唯一のル・コルビュジエによる建築作品といえば世界遺産にも登録されている「国立西洋美術館」ですが、実はロシアにもル・コルビュジエによる建築作品があります。

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△建物の前にはル・コルビュジエの銅像。世界には他にも銅像がたくさんあるかもしれませんが、名前がキリル文字で記されているのは(Ле Корбюзье)きっとここモスクワだけ!?

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△かつてはЦентросоюз(旧ソ連消費者協同組合中央同盟)の建物で、現在はФедеральная Служба по Финансовому Мониторингу(ロシア連邦金融監督庁)が入っています。

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【スターリン建築・・・風?】

さて、モスクワ市内には、スターリン建築をイメージして目を引く現代的なビルも。

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△地下鉄マヤコフスカヤ駅の近くにあるオルジェイヌィ・ビジネスセンター(БЦ Оружейный)には1階にロシアの銀行ズべルバンク«Сбербанк» が入っています。

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△夜にはてっぺんの先頭部分が銀行のコーポレートカラーの緑にライトアップされているのですが、祝日には・・・ロシア国旗になることも。

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△建物1階のシャンデリアがまたユニークで、建物を逆さまにしたような形のシャンデリアになっていました。

また、同じくスターリン様式で建築され2006年に完成した超高層高級マンション「トライアンフ・パレス(Триумф-Палас)」は、セブンシスターズに次ぐ“八番目の姉妹”なんて呼ばれたりもしています。

 

【旧ソ連圏のスターリン建築】

旧ソ連圏の国々のなかにも、スターリン建築を見ることができます。たとえばラトビアの首都リガ 旧市街の南のはずれには、スターリン建築の科学アカデミーがあります。107mで21階建ての最上階は展望台になっており、リガの街を一望できます。

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△建物の前にある案内表示を見てみると、ゴーゴリ通りやツルゲーネフ通りもあるようで(プーシキン通りやロモノーソフ通りもあるのだとか)、まるでモスクワみたいですね。ほかにも、ポーランド 、チェコ、モンゴルなどにスターリン建築を見ることができます。

モスクワでは今も、歴史ある建物を大切にし、街の景観の調和を保ちながら、その一部を改装して店舗や住居として利用しています。建築物を眺めながら歩いているだけでもとても楽しいモスクワ散歩です。

 

 

参考文献

『ロシア建築案内』リシャット・ムラギルディン(TOTO出版)

【モスクワ通信】セブン・シスターズ(上)〜スターリン様式の超高層ビル〜

火曜日, 6月 15th, 2021

スターリン政権のソビエト連邦時代に建てられた、空を刺すような左右対象の「スターリン様式」の超高層ビル。第2次世界大戦後、1947年のモスクワ建都800周年には、偉大なる共産主義国家の模範的な首都にふさわしいモスクワになるよう計画を開始しました。結局、夢の計画のまま実現されることはなかった幻のソヴィエト大宮殿を囲むように、モスクワの7つの丘に7つの「スターリン様式」の建物が建築され、今も“セブン・シスターズ”と呼ばれています。今回のブログでは、このセブンシスターズの見どころをご紹介してから、幻のソヴィエト宮殿に挑んだあの建築家について、さらに旧ソ連圏の国にあるスターリン建築や現代のネオ・スターリン建築も追いかけてみましょう!

【ロモノーソフ名称モスクワ国立大学】

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△ロモノーソフ名称モスクワ国立大学(Московский государственный университет имени М.В.Ломоносова )はセブン・シスターズのなかでも最も高い235m。本館の尖塔の先には星のモチーフを見ることができます。

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△大学前の庭園には噴水が美しい池があり、その両脇には、ロシアが誇る学者たちの胸像が並びます。

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△ロシア最高学府であるモスクワ大学の創設にも関わり、大学にも名を冠されているロモノーソフ(Михаил Васильевич Ломоносов)。ドモジェドヴォ国際空港にもロモノーソフの名が冠されています。博学者として知られ、国民的詩人プーシキンに“ロモノーソフは偉大な人物である。彼は最初の大学を創設したが、ロモノーソフ自身が我々の最初の大学だと言ったほうが良い”(Ломоносов был великий человек. Он создал первый университет. Он, лучше сказать, сам был первым нашим университетом)と称されていました。

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△ほかにも哲学者ゲルツェン(Александр Иванович Герцен)、化学者メンデレーエフ(Дмитрий Иванович Менделеев )、“パヴロフの犬”の実験でも知られる生理学者パヴロフ(Иван Петрович Павлов)。(その他、自然科学者ティミリャゼフ、ロシア航空の父とも称される物理学者ジュコフスキー、生物学者ミチュリン、ラジオ(無線通信)の父とも称されている物理学者ポポフ、地質学者ドクチャエフ、革命家で文芸批評家チェルヌィシェフスキー、数学者ロバチェフスキー、数学者チェブィショフの像も見られます。)

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△モスクワを一望できる雀が丘(旧称レーニン丘)の展望台へと続く広場。ここでは2018年、モスクワで初開催されたワールドカップのFAN FESTが設置され、大画面を前にみんなで応援しました。

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公式サイト:https://www.msu.ru

住所: ул. Ленинские Горы, 1, Москва

 

【芸術家アパート(コテーリニスカヤ河岸通りの高層アパート】

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△バレリーナのガリーナ・ウラノワをはじめ、たくさんの偉人たちがここに住んでいたことを記す記念碑を見ることが出来ます。現在も住居として使用されており、セキュリティのために居住者以外は自由に出入りできない場所も多いため、なかにあるガリーナ・ウラノワの部屋博物館はスターリン建築の内部や部屋を実際に見ることができる貴重な博物館でもあります。(【モスクワの墓地】まるで彫刻の森美術館!著名人の眠るノヴォデヴィチ墓地

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△スターリン建築の建物とつづきの棟にある映画館イリュージオン Кинотеатр « Иллюзион»。1966年春に開館。話題作を多数公開する他の映画館とは一線を画し、豊富なアーカイヴから良質な映画を提供するプログラムも魅力的で、入場無料の映画も多いため映画通を喜ばせています。

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△ロビーにあるカフェは、映画を観賞しない人でも自由に利用できます。

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△(館内写真は公式サイトより)

Кинотеатр « Иллюзион» http://illuzion-cinema.ru/schedule/

住所:Котельническая наб., 1/15

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△モスクワ川とヤウザ川の合流点にあるため、きらめく水面を滑るように目の前をたくさんのクルーズ船が行き交います。(モスクワ川のランチ&ディナークルーズ Radisson Royal Moscow Flotilla

 

【ホテル「レニングラード」 現在:ヒルトン・モスクワ・レニングラーツカヤ・ホテル】

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△星座の大時計と哀しい伝説のスユンビケ塔がエキゾチックなカザン駅、北の都へ向かうレニングラード駅、そしてシベリア鉄道の終点で民話の世界を思わせるロマンチックな外観のヤロスラヴリ駅の3つの鉄道駅が集まっているコムソモール広場に面して立っています。そのせいでしょうか、レニングラード・ホテルのロビーへ足を踏み入れると、この3つの駅のイメージがここでひとつに溶け合っているように感じます。

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△コロナ禍では医療従事者の皆様へ部屋を提供していました。

 

【ロシア外務省】

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△一部分修復中なので、白い石造りの建物はまるで頭に白い帽子をかぶっているよう

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△2019年、外務省と大通りを挟んで向かい合うようにスモレンスカヤ広場に新しい銅像が設置されました。外務大臣としても手腕を振るったエヴゲニー・プリマコフ(Евгений Максимович Примаков)像です。ノヴォデヴィチ墓地ではお墓も見ることができます。(☆【モスクワの墓地】まるで彫刻の森美術館!著名人の眠るノヴォデヴィチ墓地

→(下)へつづく 

 

【モスクワ通信】120年の歴史に幕・・・食料品店エリセーエフスキー

土曜日, 5月 15th, 2021

2021年4月、ロシアの観光名所のひとつとしても人気のあるモスクワの食料品店エリセーエフスキー(Елисеевский)が、その長い歴史に幕を閉じることになったという衝撃的なニュースが流れました。帝政ロシア時代にタイムスリップしたかのような豪華絢爛な店内に初めて足を踏み入れたときの衝撃は、今も忘れられません。

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△モスクワの中心クレムリンから続くトヴェルスカヤ通りに面する一等地に店を構えていました。この建物は18世紀末に建築家マトヴェイ・カザコフ(Матвей Казаков)によってエカテリーナ・コズィツカヤ(Екатерина Козицкая)の邸宅として設計されました(トヴェルスカヤ大通りとコズィツキー横町の角に建っています)。クラシックな街並みに馴染んで目立つ看板がないため外観からは少し入口が分かりにくいのですが、中央の扉を押して建物内に入り、右手側が食料品店エリセーエフスキー、左手側がソ連の雰囲気を味わえるファミリーレストランのВареничная №1 (ヴァレニチナヤ No.1)になっています。

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△邸宅はその後、ジナイダ・ヴォルコンスカヤ(Зинаида Волконская)の芸術サロンとなり、なんとあの詩人プーシキンやチュッチェフ、文豪ツルゲーネフなどもここを訪れていたのだとか・・・!たくさんの文化人が集い、前菜をつまみながらお酒を酌み交わし、優雅に音楽にあわせて踊ったり詩の朗読を楽しんだりしたのかもしれません。1901年に食料品店が開業してからも、“詩人マヤコフスキーがここでサラミを買った”なんていうエピソードもたくさん残されていて、想像するだけでワクワクしてきます。

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△中央の扉をくぐって建物内へ

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△食料品店の入口にはお店の創始者でオーナーだった大富豪グリゴリー・エリセーエフ(Григорий Григорьевич Елисеев)の胸像が飾られています。1864年サンクトペテルブルクの裕福な商人の家に生まれたグリゴリーは、外国でワイン醸造について学んだ後にロシアに戻り、祖父のピョートルが1813年にサンクトペテルブルクで開いた小さなお店から始まった家業を継ぎます。その後「エリセーエフ兄弟商会」が設立され、事業がさらに拡大していきました。1898年にモスクワの現在の建物がある場所を購入し、改築して1901年にエリセーエフの名を冠したブランドストアである高級食料品店をオープンしました。

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△グリゴリーと最初の妻マリヤは、息子7人と娘1人に恵まれました。3男のセルゲイ・エリセーエフ(Сергей Григорьевич Елисеев)は日本研究者・東洋学者として知られており、当時の東京帝国大学留学中には夏目漱石を師と仰いでいたそうです。1914年に妻マリヤを失った後、19歳年下の2人目の妻ヴェラと再婚。1920年にパリへ亡命し、そこで生涯を終えました。

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△では、いよいよ店内へ。葡萄の房ように垂れ下がる見事なクリスタルのシャンデリア、ステンドグラスに優美な柱・・・重厚でゴージャスな内装は息を飲むような美しさで目に入るものすべてに圧倒されてしまいます。創業当時から変わらぬ雰囲気なのだそう・・・!

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△宮殿のような店内と不思議なコントラストを醸し出しながら、野菜&果物コーナー、精肉や魚類コーナー、冷凍食品やお惣菜・・・とエリアごとに食料品が並びます。

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△ソ連時代には国営となりГастроном № 1(ガストロノム No.1 )と店名が変更されたこともありましたが、食糧難の時代にもずっと変わらぬ姿で営業を続け、モスクワ市民の憧れの高級食料品店としての地位を誇ってきました。当時ロシアでは珍しかったオリーブオイルやフランスのトリュフ、新鮮な牡蠣やエキゾチックなフルーツ、世界中から集められた豊富な種類のコーヒーや紅茶、サフランやシナモン、ナツメグなどのスパイス類などがいち早く紹介され、ブームの火付け役としてここから人気が広がっていった食品も多いのだそうです。新生ロシアになり、お店は再びエリセーエフスキーの名前を取り戻し、2004年の大規模なリニューアルによってグリゴリー・エリセーエフのスケッチなど貴重な資料をもとに美しく復元されました。

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△場所柄いつも観光客でいっぱいで、帝政時代にタイムスリップした気分で店内を見学してから、パッケージが美しいチョコレートや紅茶など記念にお土産を購入するツアーも多いようです。ずらりと並ぶ美しい野菜や果物、お肉、冷凍食品などロシアの台所事情を覗けるのは楽しいですし、気になるお惣菜をあれこれ購入して試してみることもできます。初めてのロシア旅行の際に、本で読んでからずっと興味を持っていたロシア料理“煮こごり”や“毛皮を着たニシンのサラダ”に出逢い感動したことを思い出します。

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△ワイン売り場へ向かう入り口の上にも、エリセーエフの肖像画が飾られていました。もともとはシェレメチェフ伯爵の農奴で庭師だった祖父のピョートル・エリセーエフスキーは、クリスマスの夜に新鮮なラズベリーを届け、その心遣いに感謝した伯爵から自由を与えられて、商人としての第一歩を踏み出しました。食のサプライズで人を喜ばせたいという想いはピョートルから子孫へ、かつて見たことのないような食料品店を作りたいと考えていたグリゴリーに、そして現在まで受け継がれています。

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△通路の壁面はミニギャラリーになっていて、貴重な写真や絵画でお店の歴史の一部を知ることができます。

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△こちらがワイン売り場です。Eliseev’s Store and Cellars of Russian and ForeignWines( Магазин Елисеева и погреба русских и иностранных вин)として創業時からロシア国内外のワインを扱っていたエリセーエフスキーだけに、ワインやアルコール類がずらり。

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△エリセーエフはディスプレイにもこだわりを持っていたと言われています。

エリセーエフ兄弟商会は、1903年にはサンクトペテルブルクのネフスキー大通りにも店を開き、エリセーエフの食料品店は唯一無二の存在感でロシア二大都市に君臨してきました。モスクワ店の改装も手掛けた建築家ガヴリエル・バラノフスキー (Гавриил Васильевич Барановский)が建てたサンクトペテルブルク店は、アール・ヌーヴォー様式(モデルン様式)の美しい建物で、20世紀の主要な価値を象徴する「産業」「貿易」「芸術」「科学」の彫刻で彩られています。2012年には、100年以上前の貴重な写真やスケッチをもとに建物内を詳細を再現して、洗練されたレストランやお店、2階には劇場も備えたフードホールとして再オープンを果たしました。

エリセーエフの店の名前は、ロシアを代表する名作のなかにも見ることができます。たとえば、トルストイの『アンナ・カレーニナ』には「(中巻21章)新しい牡蠣の入荷したエリセーエフの店からたった今やってきたオブロンスキーは・・・」(新潮文庫 木村浩訳)という場面があり、食通のオブロンスキーを描写しています。また、ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』のなかでも「(1巻 第1部 第2編 8章)ファクトリーのワインにエリセーエフ兄弟商会の蜂蜜酒ですか、こりゃたいしたもんだ、神父さん!・・・」(光文社 亀山郁夫訳)というように、ステータスの証としてこの食料品店の名前が登場しています。

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△モスクワの店舗の前の石畳に埋め込まれたマーク

2021年4月、モスクワ店の突然の閉店が報じられてから、どんなときも豊かに潤っていた店内の棚からあっという間に商品が消えてしまい、がらんとした店内にはその美しい姿を永遠の記憶に留めようとカメラを手に訪れる人が後を立ちませんでした。惜しまれつつその扉を閉じた食料品店エリセエフスキーは現在モスクワ市によって歴史的建築物として保存されていますが、この場所が再び息を吹き返したくさんの美味しい食料品で満たされる日は来るのでしょうか・・・!

 

«Елисеевский»(モスクワ) Address: Tverskaya St, 14, Moscow

 «Магазин купцов Елисеевых»(サンクトペテルブルク) Address: Nevskiy pr, 56, Saint Petersburg

 

参考文献

«Магазин купцов Елисеевых» https://www.kupetzeliseevs.ru/

Елисеевский магазин – место, где живет дух старой Москвы

【モスクワ通信】コロナ禍の新たな楽しみ方!インターネット・ミュージアム 「日本のなかのロシア」オープン!

水曜日, 4月 7th, 2021

新型コロナウイルス感染症(COVID19)のパンデミックから約1年。これまでに感染者数は1億2千万人近くに上り、死者は260万人を超えました。ロックダウンを繰り返しながら、ワクチンの開発や接種とともに、終息への期待にむかう2021年春。

ステイホームが合言葉となり、テレワークやホームスクーリング、テレビ電話などインターネットが世界を繋いで、コミュニケーションの新しい形が確立されました。2006年から毎年開催されてきたロシア文化フェスティバル IN JAPANでは、コロナ禍でも日本の皆様にロシア文化の魅力をお伝えすべく、意欲的な取り組みの一環としてインターネットミュージアムがオープンしました。

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△日本のなかのロシア研究会 & ロシアン・アーツによるインターネット・ミュージアム 『日本のなかのロシア』( https://yaponiya-russia.net )は2021年4月1日 オープン! 日本各地のロシア文化と交流史跡を音楽、写真、ナレーションによる動画で配信します。

では今回は、コロナ禍でのモスクワ生活を振り返ってみましょう。

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【2020年3月】非日常だったロシア人のマスク姿は日常へ・・・そして手袋も!

2月までは中国や日本における新型コロナウイルス感染に関するニュースを見守っていたロシアでは、国内感染者は極東の方で数名でした。モスクワでは地下鉄構内でパスポート提示を求められるアジア人が増加したり、タクシーで「中国人か?」と露骨に尋ねられることも。その後、イタリアをはじめとするヨーロッパ諸国での感染拡大により状況は一変し、3月にモスクワでの感染者が一気に増加しました。これまで予防のためのマスク着用の習慣がなかったロシアでは薬局の隅に置かれていた数少ないマスクがあっという間に完売!

施設内ではアルコール消毒液や空気清浄機を設置し、ドクターによる手洗いの講習や検温が導入され、ホームスクーリングやテレワークがはじまりました。

ロシアを発着する国際線の航空便については、3月下旬に全ての国際線フライトが停止となり、日露間をつなぐJALもアエロフロートも相次いで定期直行便を停止することを発表しました。国際郵便の一時停止・延期もあり、ロシアではEMSは利用できなくなりました。

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△劇場やコンサートホール、美術館や博物館が閉鎖。入り口には“ВСЁ БУДЕТ ХОРОШО!”(すべてうまくいくさ!)の文字が。

プーチン大統領は非労働期間(3月28日から4月5日まで)を発表し、不要不急の外出は自粛してなるべく自宅で過ごすように国民へ呼びかけました。モスクワ音楽院やボリショイ劇場などでは公演のオンライン配信も大きな話題に!4月に予定されていた『ロシア文化フェスティバル2020 IN JAPAN』オープニングセレモニーは残念ながら延期が決定。さらにロシアでは憲法改正のための投票の延期や6月サンクトペテルブルク国際経済フォーラムの中止などが発表されました。

 

 【2020年4月】外出禁止でステイホームの日々

徒歩で最寄りのスーパーや薬局、ゴミ捨て、ペットの散歩へ出かけることはできましたが、必要最低限の用事以外はステイホームが義務付けられていたモスクワ。一部のスーパーでは短期間の買い占めも見られたようでしたが、コロナ禍でも食料品はいつも問題なく充分に供給されていたようです。

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△スーパーマーケットの入り口には、ソーシャルディスタンシング1.5m以上の表示。お客さんは皆マスク着用で、レジ係員はさらに手袋とフェイスガードを装着していました。

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△オンラインショッピングやフードデリバリーを利用する人も増え、携帯電話など各種支払いもアプリやオンラインバンクが主流になりました。教会の礼拝もオンライン配信されるようになり、ロシア正教のイースターにあたるパスハも信者たちはステイホームで迎えました。

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△公園も立ち入り禁止に。ロシア人のなかには、安全のためにも都心部を離れて“ダーチャ”(ロシア人が郊外に持っている菜園付きの別荘)で生活している子ども増えているようでした。

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△4月11日無観客のボリショイ劇場から生中継された豪華出演陣によるコンサートМЫ ВМЕСТЕ(ロシア第1チャンネル)。多くの命を救うため自らの危険や恐怖を顧みず治療の最前線で日々戦ってくださっている医療関係者の皆様に心からの感謝を込めて司会者が涙を堪えて語りかけます。「どうかこの美しい音楽の間だけでも休んでください。コロナウイルスへの最良の薬、それは愛です!」バレリーナのスヴェトラーナ・ザハロワさんは、日本のコンテンポラリーダンサーで振付家の平山素子さんが振り付けたソロ作品『Revelation』を踊りました。

 

020年5月】マスク&手袋を義務化!モスクワも“ウィズ・コロナ”宣言!?

5月初旬は、ロシアも大型連休。2020年は1日『春と労働の日』、週末を挟んで4、5日が新年休暇の振替休日、9日『戦勝記念日』、週あけ11日が振替休日。6、7、8日は有給の非労働日になっているため12連休でしたが、外出制限の大型連休なんて初めて・・・!毎年盛大に祝われる5月9日戦勝記念日には航空パレードのみの実施で、その他の対独戦勝75周年記念関連の催しは、6月24日に実施されることが発表されました。

 

ロシアにおける感染者数は、当時ピークを迎えることなく増加していました。当初からかなり厳しい外出制限で早期終息を図ったロシアでしたが、なかなかその効果は表れず、国民からは少しずつ不安とストレスの声も上がっていました。外出制限はさらに厳しくなり、仕事等で毎日通勤する必要のある人は電子許可書を申請。それ以外の人は、車や公共交通機関での移動が必要な際に許可書を取得の上、週に2回までに制限されました。

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△年配の方へ食料品や薬を届けるなどボランティアも。コロナ最前線で激務にあたる医療従事者の方々へ、マクドナルドなど飲食店が無償で食事のデリバリーを始め、ホテルでも近くの病院の医療従事者が休憩出来るようにと部屋を無償で提供。さらに賛同した市民からの寄付も集まったそうです。

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△売り切れが続いていた手袋やマスク、除菌グッズが特設コーナーにずらりと並ぶように。スーパーの入り口には、手袋やマスクを忘れてきたお客様が無料で自由に使用して良い使い捨ての手袋まで置いてありました。街では、あちらこちらで消毒液を散布する車を見かけます。建物内でもこまめに消毒が実施されているようでいつも消毒液の匂いがしていました。

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△病院の入り口には、新型コロナウイルス検査を受けられる場所を示す表示。ロシアではPCR検査は比較的スムーズに受けられるようでした。

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△5月12日からは公共交通機関やショッピングセンターなどで手袋とマスクの装着が義務化。感染者の集中するモスクワでは、外出制限が続きました。

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△市内数カ所の地下鉄駅構内の自動販売機でも、マスク、手袋、マスク&手袋セットの販売が始まりました。マスク30ルーブル。

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【2020年6月】マスクは豊富!着用率は半分以下?ロックダウン解除!

6月1日からは、小売店やクリーニング店、ショッピングモールもオープン。外出制限がやや緩和され、健康維持のために散歩やスポーツが可能になりましたが、自宅から半径2km以内で週3回と決められていました。

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△地図上で公共交通機関の運行状況を確認したり、住所を入れて目的地までのアクセスや所要時間を調べたりできるお役立ちアプリ“Яндекс. Карты”にКоронавирус(コロナウイルス)というボタンが登場。営業しているスーパーマーケットや銀行、ガソリンスタンド、新型コロナウイルスの検査を受けられる場所などが一目瞭然になっており、指定の場所に住所を入力すると半径2kmがどこまでなのか知ることもできます。

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△6月9日には突如ロックダウンが解除!長い冬の後の待ちに待った季節を、厳しい外出禁止&ステイホームで耐えた反動もあるのでしょうか、都心部ではお日さまの光と自然を求めて、公園や池の周りはたくさんの人!第1段階として、9日から営業再開&訪問可能になったのは、床屋、美容院、動物病院、墓地など。16日からは第2段階として、歯医者、図書館、美術館、展示場、動物園などの訪問が可能になり、スポーツ観戦やレストラン&カフェの夏用テラスでの営業が再開されました。

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△人気店のテラスはぎゅうぎゅうです。一方でコロナ前はたくさんのお客さんで賑わっていたのに閉店してしまったところも・・・

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△街には、医療従事者を称えるさまざまなポスターが目立ちます。

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△その後、レストランやショッピングモール、劇場、美術館・・・と感染予防に気をつけながら少しずつ営業再開していきます。例えば劇場では、ソーシャルディスタンシングを考慮した座席配置になっており、入り口ではマスク着用が求めらます。マースレニッツァ(冬を送り春を迎えるバター祭り)などの大規模イベントは今年2021年も中止されていましたが、少しずつ日常が戻りつつあるモスクワには、世界初と称するデリバリー配達員に捧げる銅像も設置されました!

ロシアではワクチンの開発や接種もすすんでいますが、世界的にはいまだ完全に終息するまでには時間がかかりそうな今だからこそ、インターネットミュージアムで安全に楽しめる新しいロシア文化の形はいかがでしょうか。

 

【モスクワ通信】新型コロナウイルスで再注目!チャーガ茶で免疫力アップ!?

月曜日, 3月 15th, 2021

新型コロナウイルス感染症(COVID19)のパンデミックから約1年が経過しました。規制が緩和してはまた感染者が増加し・・・なかなか終息が見えない状況ですが、ロシアでも日本でもワクチン接種がすすみ、ロシアで開発されたワクチン「スプートニク」はプーチン大統領も接種したことが報じられました。

そして今、ワクチンだけでなくロシアのあるものが、コロナの予防に効果がある!?とちょっとした話題になっています。それが、チャーガ(Чага)です。

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チャーガは白樺に寄生する黒キノコで、ロシア北部やシベリアでは、チャーガを煎じていただくお茶は昔ながらの民間伝承療法のひとつです。白樺の栄養を奪ってしまうほどの強い生命力を持ち、古くから血圧や血糖値、免疫系など身体全体へ働きかける滋養強壮作用が紹介されてきました。

ロシアのノーべル文学賞作家アレクサンドル・ソルジェニーツィン(Александр Исаевич Солженицын)は、自身がガンを患った際に、医師に勧められて飲んだチャーガが効いた経験も取り入れて『ガン病棟(Раковый корпус)』という作品を執筆しています。

最近では特に新型コロナウイルスへの対策や治療の面で注目されています。例えば2020年11月には、ロシア科学アカデミーのシベリア支部の雑誌にチャーガの抽出エキスが新型コロナウイルスの高い抑制効果があると発表されました。ロシア消費者権利及び福祉監督庁の付属のウイルス学・バイオテクノロジー研究センター«ヴェクトル» による発表で、ここでは新型コロナウイルス感染症のワクチンの開発にあたっています。

ロシアでは、東洋医学のように自然の恵みで健康を維持する考え方はとても浸透していて、例えば風邪を引くと、周りのロシア人からは風邪薬よりも蜂蜜を入れた紅茶やウォッカなどを勧められます。

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△モスクワの一般的な薬局(健康時の平熱が店名になっている36.6のオンラインショップ)でも、チャーガを手頃な購入することが出来ます。50gで125ルーブル(約185円)。

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△最近は自然食品のお店も増えていて、コロナ禍ではインターネットショップでも購入できます。例えばこちらのお店(Вкусно.Shop)では、さまざまなチャーガ商品を見ることが出来ます。

モスクワでは大きな蜂蜜市があり、ロシア中から養蜂家が集まって自慢の蜂蜜の即売会をするのですが、ロシア人の友人たちはこの時期になると大きな鞄を持って出かけ、顔なじみのお店や家族から、まとめて新鮮で質の良いさまざまな蜂蜜や乾燥きのこ、チャーガなどを購入していました。(☆参照: 【ロシア文化フェスBlog】モスクワ通信『美味しい万能薬!コローメンスコエの蜂蜜市』)蜂蜜市では、チャーガは100g 約100ルーブル=約145円くらいで購入できます。一番大規模なものはモスクワ・コロメンスカヤで開催される蜂蜜市ですが、それ以外にも年に数回開催される伝統手工芸市(ロシア各地の民芸品が一堂に会する人気イベント)などでも質の良いチャーガに出会える機会があります。また中国市場や中国系のレストランで個人的に入手しているという方もいました。

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△最近は白樺の森が広がるロシアならではのチャーガ茶をお洒落にプロデュースしたティーバッグなどをロシアのお土産コーナーや高級スーパーのお茶コーナーでも見かけるようになりました。(高級スーパーのグローブスグルメHPで販売されているチャーガ(お茶は100g 1100ルーブル=約1600円、エキスは70g 3300ルーブル=約4800円)ロシア国営百貨店グム 特設コーナーで見かけたこちらの商品«Russian Chaga»  は手軽なティーバックになっており、70度以下の低温で煎じた方がよいと書いてありました。(エキスの方は40度くらいのお湯で希釈して楽しむ飲み方をお勧めしていました。)効能は、免疫システムの再生と維持、血糖値、血圧やコレステロール値の正常化、腫瘍の病気の予防と治療、身体の新陳代謝プロセスの調整、消化器官の働きの正常化などが挙げられていました。

こちらのブランドでは、本来のお茶やエキスをはじめ体内に取り入れる食品のみならず、最近ではチャーガ化粧品も開発販売されはじめています。

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△チャーガを利用した化粧品では、かつて日本にも路面店があったナチュラシベリカというブランドもホームスパにおすすめのフェイスマスクを販売しています。ナチュラシベリカは厳しい自然環境のシベリアで生育するハーブの恵みや生命力を生かした商品展開が人気を集め、ロシアの人気定番土産として市内や空港に店舗を構えるほか、世界各地で購入することができます。チャーガのフェイスマスク(写真はナチュラシベリカ公式サイトより転載)チャーガのフェイスマスクを使ったホームエステも提案されていましたが(☆動画)デトックス作用のある入浴剤にして使う方法など、なかなかユニーク!

コロナの影響もあり、今後、ロシアのチャーガが人気のロシア土産として、またスーパーフード的な観点からも注目される可能性は充分にあるのではないでしょうか。特に香りや味は強くなく飲みやすいので、日本における麦茶感覚で水がわりに常備しているという方もいらっしゃれば、独特の苦味を感じるので身体にいいと知らなければ進んでは飲まない、あるいは蜂蜜やミントを加えてハーブティー感覚で飲んでいるという方もいらっしゃいます。ナチュラルなチャーガそのものから煎じている方は、その飲み方もそれぞれで、なるべく組織を傷つけないように塊のままで煎じて何度か利用するという方や、小さく刻んだり、固いので卸し金で削ったりして1回ごとに煎じている方もいました。健康と美容のためにもこれからまた注目していきたいチャーガです。

【モスクワ通信】新たな一面を発見!モスクワのなかのイギリスをピックアップ

月曜日, 2月 15th, 2021

ロシアのなかの日本や、日本のなかのロシアを見つけると日露交流の歴史の1ページや知られざる両国の絆を感じることができます。モスクワのなかで日本を感じる場面もたくさんありますが、例えばどこかひとつの国との関係や縁のある場所をピックアップして見てみると、モスクワの新しい顔に出会うことができるかもしれません。今回は、モスクワのなかのイギリスを探してみることにしました。

1、世界で唯一!?シャーロック・ホームズ&ワトソン像と英国大使館前の詩の小道

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△煙草を呑みながら事件を推理するホームズと、横でメモを取るワトソンの銅像。ホームズとワトソンの両方が揃っている銅像は世界で唯一とも言われています。ふたりの間に腰掛けて、ワトソンのメモ帳に触れると願いが叶うと言われているそうで、ベンチのワトソンの隣とメモ帳を持つ左手がピカピカ光っていました。一方、ホームズのパイプに触れるとトラブルに巻き込まれるので要注意!?

2007年に完成したこの銅像、顔が英国人というよりもロシア人風なのも大きな特徴のひとつです。実は、ソ連時代のTVドラマシリーズ『シャーロック・ホームズとワトソン博士(Шерлок Холмс и Доктор Ватсон)』(レンフィルム、1979年)でホームズ役を演じたワシーリー・リワノフ(Василий Ливанов)とワトソン役のヴィターリー・ソロミン(Виталий Соломин)の顔をモデルにしているのだそうです。名探偵ホームズに関する作品のなかでも最高傑作のひとつに数えられており、主演のワシーリー・リワーノフはエリザベス女王から大英帝国勲章を贈られました。

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△ホームズ&ワトソンの銅像がひっそりと置かれているのは、在ロシア英国大使館の建物(左)のモスクワ 川に面するスモレンスカヤ・ナベレジナヤ通り沿いの緑地です。銅像から正面エントランスへ続く塀は、イギリスとロシアの詩人や作家たちの作品を記した金色プレートが埋め込まれています。シェイクスピア、プーシキン、ワーズワース、エセーニン・・・この小さな詩の小道はもうひとつの見所になっています。

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△英国大使館とともに大使公邸もモスクワで最もイギリスな場所といえます。大使館もモスクワ川沿いの眺めの良い場所でしたが、大使公邸もモスクワ川の向こうにクレムリンを臨む素晴らしい立地です。もともとは帝政ロシア時代にモスクワとサンクトペテルブルクへ砂糖を供給する国内最大級の工場を所有していた大富豪ハリトネンコ家が建てた邸宅でした。ここには、ハリトネンコが収集した絵画が飾られ、催されたパーティやサロン・コンサートではシャリャーピンやスクリャービンも演奏を披露したそうです。革命後ハリトネンコ一族はロシアを離れ、邸宅は国営化されてしまいました。1931年から英国大使館となり、エリザベス女王が1994年のロシア公式訪問の際にここを訪れているほか、ウィンストン・チャーチルやマーガレット・サッチャーなど歴代の宰相も滞在しているそうです。現在は大使公邸となっており、年に一度開催されるクリスマス・バザーでは、ブリティッシュスクールの子どもたちのクリスマスキャロルの歌声が響くなかミンスパイを味わいクリスマスクラッカーやお手製ママレードを購入したりもできます。

 

2、モスクワのなかの英国教会St. Andrew’s Anglican Churchとサッカーの伝来

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△モスクワの街では、あちらこちらで美しい教会と鐘の音に出会うことが出来ます。その多くはキリスト教の一派であるロシア正教の教会で、玉ねぎ型(ろうそくの炎の形)の教会屋根や、独特の十字架の形が特徴です。多民族多宗教のモスクワでは、そんなロシア正教の教会以外にも、ゴシック建築のローマ・カトリック教会やルター派のプロテスタント教会、イスラム教のモスク、ユダヤ教のシナゴーグ、そして英国国教会St. Andrew’s Anglican Church(日本語:聖アンデレ聖公会教会、ロシア語:Англиканская церковь Святого Андрея)もあります。現在の英国の国教はイングランド国教会(Church of England)。キリスト教のなかでも、カトリックやプロテスタントと異なり、国家元首を首長としているのが大きな特徴で、女王の戴冠式やロイヤル・ウェディングなどで重要な役割を果たしています。1553年イワン雷帝がロシア正教以外の宗教を容認。モスクワの英国国教会St. Andrew’s Anglican Churchは、建築家Richard Knill Freeman率いるプロジェクトにより1884年に建設されたヴィクトリアン・ゴシック建築の建物です。ソ連時代には閉鎖されていましたが、教会内部の音響の素晴らしさからメロディヤ(Мелодия)社(1964年設立のロシア最大のレコード・レーベル)のスタジオとして利用されていました。その後、再び教会として扉が開かれ、1994年10月のエリザベス女王のロシア公式訪問を期に、建物は正式にロシア政府より教会に返還されました。現在は教会としての役割のみならず、素晴らしいコンサートホールとしてもモスクワ市民に愛されています。

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△さて、イギリスからロシアにもたらされたスポーツとして有名なのは、サッカーとクロッケーです。

St. Andrew’s Anglican Churchの後援者の一人スコットランド人のウィリアム・ホッパー(William Hopper)は、モスクワで初めてサッカーの試合を開催した人物としても知られています。ホッパーの工場で働いているイギリス人たちがサッカーを始めると、200〜300人ものモスクワっ子たちが集まって試合を見ていたそうで、その様子が当時の1895年の新聞記事にも残されています。(写真は1912年のモスクワ対フィンランド戦 St. Andrew’s Anglican Church公式サイトより)

さらにロシアで最古のプロチームのひとつが組織されたのは、モスクワ東部のオレホヴォ=ズエヴォ(Орехово-Зуево)と言われています。イングランド北西ランカシャー地方を本拠地とするBlackburn Rovers F.C.のサポーターだったイギリス人Harry Charnockが中心となり。初期の頃は、英国から運ばれた芝の上で、Blackburn Roversのユニフォームを着用してプレーされていたようです。現在のFC Znamya Truda Orekhovo-Zuyevoに繋がっています。

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△一方、クロッケーは1860年代に伝わったといわれているゲートボールにも似たスポーツです。(野球に似ているクリケットとは異なるスポーツです。)文豪チェーホフもクロッケーの愛好家だったそうで、チェーホフが1892〜1899年に暮らしていたモスクワ郊外メリホヴォの邸宅(現在はミュージアム)のそばには、古いクロッケー場もあるそうです。トルストイの『アンナ・カレーニナ』をはじめロシア文豪の作品にもクロッケーのシーンが登場します。レーニンやガガーリン などもクロッケーを好んだと言われています。(写真はRussian Interregional Croquet Federation公式サイトより)

 

3、イギリス人建築家William Walcotによるホテル 老舗メトロポールとマルコ・ポーロ

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△1905年創業の最高級老舗ホテルのひとつである«Метрополь»(メトロポール)。赤の広場からすぐ、ボリショイ劇場の向かいという素晴らしい立地で、各国から訪露する要人・著名人御用達のホテルとしても知られています。鉄道王サーヴァ・マモントフの依頼で設計された建物は、ロシア・モダンの最高傑作のひとつとされています。当初はコンペで優勝したロシア人建築家レフ・ケクシェフ(Лев Кекушев)とニコライ・シェビャコフ(Николай Шевяков)のプロジェクトで進められる予定でしたが、マモントフによってなぜかコンペで4位だったイギリスの建築家ウィリアム・ウォルコット(William Walcot)に変更されました。マモントフは当初“ホテル付きの劇場”をイメージしていたようですが、結局は“レストラン付きのホテル”となり、またケクシェフとシェビャコフも最終的にはプロジェクトに参加しました。この美しいホテルは、ミハイル・ヴルーベリのモザイク画の装飾も有名ですが、噴水と美しいステンドグラスの天井があるグランドダイニングもゴージャスで、館内ツアーつきのブランチや優雅なロシア風アフタヌーンティーなど宿泊以外でも特別なひとときをお楽しみいただけます。ちなみに他にもいくつかの邸宅をデザインしているウォルコットの作品は、現在でもモスクワに残されており、なかにはケクシェフとの共作もあります。1908年にはロンドンへ帰国し、St. James Streetに質素な家を建てて暮らしていました。晩年は建築家としての活躍はあまりなく、1943年69歳で自殺してしまいます。

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△また、モスクワの4つ星ホテル«МАРКО ПОЛО ПРЕСНЯ» (マルコ・ポーロ・プレスニャ)も1904年にウォルコットによって建てられたもので、革命前までイギリスの商人ロバート・マクギル(Robert McGill)の未亡人ジェーン・マクギル(Jane McGill)によって修道院として使われていたそうです。ジェーン夫人は夫の死後もモスクワで暮らし、積極的に慈善活動に従事していました。英国教会St. Andrew’s Anglican Churchにも金銭的な援助を行っており、特に教会の司祭館の建設に多大なる寄付をしました。1917年革命の年に、館に突然男が押し入るという悲劇的な事件に見舞われ、締め出されてしまった夫人は体調を崩し、英国教会に運び込まれたものの回復することなく亡くなってしまったと言われています。(写真は1908当時 «МАРКО ПОЛО ПРЕСНЯ»サイトより)

モスクワ通信『老舗ホテル メトロポールで優雅なアフタヌーンティー』

 

4、スコットランド技師によるユニークなデザイン!赤の広場のスパスカヤ・タワーの時計とイギリスの血を引く!?モスクワ創設者ユーリー・ドルゴルーキー

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△ロシアの中心、赤の広場のシンボルのひとつにもなっているスパスカヤ・タワーの時計。毎年夏にはスパスカヤ・タワーの名前が冠された国際軍楽祭が開催されますし、新年を迎える時もこのスパスカヤ・タワーの時計がTVに映し出されカウントダウンされ、12時を迎えると美しい鐘の音が響き渡ります。ロシアにとって重要なこのスパスカヤ・タワーの時計は、ロマノフ王朝時代にリニューアルされ、モスクワで初の鐘のなる時計となりました。ロシアの建築家バジェン・オグルツォフ(Бажен Огурцов)とスコットランドの技師クリストファー・ギャロウェイ(Christopher Galloway)によって設置され、針がまわる通常の時計と異なり、時計の文字盤自体が回転するように工夫されており、これは何事もユニーク成すロシアの特色を反映させてデザインされたものなのだそうです。

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△モスクワの中心で、知られざるイギリスとの意外な繋がりといえば、モスクワの創設者としてモスクワ市庁舎前に銅像があるユーリー・ドルゴルーキーЮрий I Владимирович ‘Долгорукий’)も忘れることはできません。父親のキエフ大公ウラジーミル2世モノマフは何度か妻を迎え、そのなかの一人にはングランド王国ウェセックスの生まれでアングロ・サクソン系イングランド王ハロルド2世の娘ギータ・オブ・ウェセックス(Gytha of Wessex)がいました。ユーリー・ドルゴルーキーの母親については諸説あるため、モスクワを創ったユーリー・ドルゴルーキーがもしかしたらロシアとイギリスの血を引く可能性もゼロではないと言われています。なお、当時のルーシのスーズダリに居を構えつつ、南方まで手を伸ばして攻め入ったところから、ロシア語で「長い手」を意味するドルゴルーキーと呼ばれるようになったそうです。

 

5、スコットランドの貿易商人のお店から歴史がはじまる高級百貨店ЦУМ(ツム)、イギリス人企業家マイケル・マドックス(Michael Maddox)とボリショイ劇場

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東ヨーロッパ最大級の高級デパートЦУМ(ツム)は、もともとサンクトペテルブルクで店を持っていたスコットランドの貿易商人アンドリュー・ミュア(Andrew Muir) とアーチボルド・メリリーズ(Archibald Merrilees)が、モスクワに1885年に今のツムのある場所に店を開いたのがはじまりです。今日までずっと洗練された流行の最先端のファッション雑貨でモスクワっ子たちを魅了してきました。現在ではオンラインストアへのEメール注文は一般的になりましたが、この当時からカタログを発行し、手紙での受注販売もしていたそうです。ヨーロピアン・ゴシック様式の美しい建物は、ボリショイ劇場と隣り合っており、昼も夜のライトアップも美しく、その外観でも訪れる人を楽しませてくれます。

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ロシアを代表するボリショイ劇場は、18世紀後半にピョートル・ウルソフ公爵の私設劇場として始まりましたが、興業を維持するためには莫大な費用がかかるため、イギリス人企業家マイケル・マドックス(Michael Maddox)がビジネスパートナーとして支援していました。

モスクワ通信『改装後のボリショイ劇場本館』をご紹介!

マイケル・マドックスは劇場のみならず、広い屋外庭園を作ったことでも知られています。最も有名なものとしては、ロンドンのVauxhall Gardenから名をとってタガンカ周辺に作られた“ヴァクザール”で、19世紀半ばまでモスクワっ子たちにとても人気がありました。現在はロシア語で鉄道駅を意味するヴァクザール(вокзал)は、この頃までは屋外庭園を意味する言葉でした。ロシアの専門家たちは鉄道の建設技術を学ぶために、イギリスへ渡ったのだそうです。

さらに鉄道だけでなく、実はモスクワの地下鉄もイギリスと縁のあるエピソードが見つかりました。絢爛豪華な装飾が施され地下宮殿とも称される駅構内で人気の観光名所にもなっているモスクワの地下鉄メトロポリテン(Метрополитен)は略してメトロと呼ばれていますが、ソ連時代の1930年代に建設が始められました。世界初の地下鉄が建設されたことで知られるロンドンでは、メトロポリタン鉄道会社(Metropolitan Railway Comoany)によって最初の地下鉄の路線が建設され、1863年1月10日に、パディントン駅からファリンドン駅の間で開通しましたが、このメトロポリタンという会社名からソ連時代の地下鉄がメトロポリタンと呼ばれるようになったようです。日本でもメトロと呼ばれていますね。一方、本場イギリスでは、地下鉄の通るトンネルのチューブ状の形からメトロではなくチューブ(Tube)と呼ばれています。

 

6、ロシアとイギリスの貿易の始まり!モスクワの新名所ザリャージエ公園のなかのThe Old English Courtyard(Старый английский двор)

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△16世紀エリザベス朝建築の建物は、かつてロシアにおいて初の英国商人、初の英国大使であった人物の館として使われていたそうで、現存するモスクワで最も古い建物のなかのひとつに数えられています。英国とロシアの貿易は1553年、英国人航海士リチャード・チャンセラー(Richard Chancellor)が英国からインドへの北海ルートを探っていた際に、思いがけずアルハンゲリスクへ到達したところから始まったと言われています。すぐにイワン雷帝に知らせが届き、Chancellorはモスクワへ招かれて大変もてなされたそうです。ロシアの都市と関税なしで自由の貿易できるという友好的な貿易関係のなかで、イワン雷帝がエリザベス1世に結婚を申し込んだものの丁重に断られてしまったという逸話も残っています。現在のエリザベス2世の治世になり、女王とフィリップ殿下がロシアを公式訪問した1994年には、この建物がミュージアムとして公開されるようになりました。

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さて、時を経て19世紀の産業革命真っ只中のロシアにおいてイギリスとの貿易で大成功を収めたのがクノップ家でした。ドイツからロシアに渡り優れたビジネス感覚で大富豪となったクノップは、これまでの施設の近代化が進められ、新しい施設も次々に建設されるロシアへ、イギリス製の設備や機械を大量に供給しました。その勢いは“どの教会にも牧師がいるように、どのプラントにもクノップ社製品がある”と言われるほどだったそうです。ルター派教会の信者だったクノップ家は、ルター派教会から近いコルパチヌィ横丁にクノップ邸(Главный дом усадьбы А.Л. Кнопа)を構えました。ボリシェヴィキ革命後はロシアから逃れ、この大邸宅は国営化されました。1990年代には、実業家ミハイル・ホドルコフスキーが創設したメナテップ銀行がこの邸宅を購入して改装し、石油会社ユコスのレセプションハウスとして使用されていましたが、会社はその後国営企業ロスネフチに吸収されました。(写真は☆Discover Moscow より)

 

7、プーシキンも通った!トヴェルスカヤ通りの旧イギリス・クラブ(Английский клуб на Тверской)

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△帝政時代には貴族たちの社交の場となっていて、1831年から1917年までイギリス・クラブとして使われていました。(ロシアにおけるイギリス紳士のためのクラブは、まずサンクトペテルブルクに誕生し、続いてモスクワのこの場所にできたそうです。)文豪たちの作品にも数多く登場しているイギリス・クラブの建物や内装の美しさは、現在も博物館内で味わうことができます。なんとあの国民的詩人プーシキンが妻のナタリアと出逢ったのもこの邸宅でのダンスパーティだったと言われていますので、目を閉じてそんな華やかな時代の舞踏会を想像してみるのもロマンチックですね。周りには、プーシキンも足を運んだという文学サロン(現在はエリセーエフスキー食料品店)や、プーシキンゆかりのスポット巡りを楽しむこともできます。1917年の2月革命の後に革命博物館となり、現在はロシア現代史博物館(Музей современной истории России)となっています。

モスクワ通信『モスクワで出逢うプーシキン』

 

8、イギリスの建築家によるリニューアルが進行中!ロシア印象派美術館とお菓子工場跡の赤煉瓦造りの建物

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△2016年にモスクワにオープンしたロシア印象派美術館(Музей русского импрессионизма)。印象派といえば“西洋絵画の殿堂”プーシキン美術館、ロシアの画家といえば“ロシア絵画の殿堂”トレチャコフ美術館ですが、これまであまり注目されることのなかった“ロシアの印象派の画家たち”の作品を収集した私設美術館。かつてはボリシェヴィク(Большевик )お菓子工場だったので、小麦粉や砂糖を保管していたシリンダーの形をイメージしている建物になっています。可愛らしい赤煉瓦の工場跡は、イギリスの建築家John McAslan + Partners主導のもとで、モダンな文化スペースとして改装されています。

 

9、喜劇俳優チャップリンが大好き!彫刻家ズラフ・ツェレテリのギャラリー&ジョージア料理レストランのなかのロンドン

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△モスクワの街中にたくさんの作品を見ることができる彫刻家ズラフ・ツェレテリ。尊敬の表れでしょうか、巨大な作品や著名人の銅像を作成してはロシアから世界中に贈られており、在日本ロシア連邦大使館のなかにはステンドグラスや銅版画の大作が、鳩山会館には鳩山一郎像が寄贈されています。

ロシア大使館でNew Year Ballet Gala Consert & Party

鳩山会館で日露修好160周年記念展

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モスクワには、街中にズラフ・ツェレテリの巨大モニュメントや噴水の作品を見ることができますし、2つのギャラリーとアトリエも公開されています。湧き上がるインスピレーションで沢山の作品を創造するツェレテリの大好きなモチーフのひとつが英国の喜劇俳優チャーリー・チャップリンで、ギャラリーの中にはチャップリン作品を集めた部屋もあります。また、レストランには、世界中の都市をモチーフに描かれた陶版もあり、ここにロンドンもみることができます。ツェレテリについては今後のブログで改めてご紹介いたしますのでお楽しみに!

モスクワ通信『モスクワの宝石箱!夏空にきらめく噴水コレクション』

 

10、赤い電話ボックスに出逢える!エヴロペイスキー・ショッピングモールのロンドン・エリアとチャーチル・パブ

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△英国大使館からモスクワ川をはさんで向かいに位置するのが、ショッピングモールのエヴロペイスキー(Европейский)です。“ヨーロピアン”を意味する広いモール内は、中央アトリウムのモスクワから、パリ、ローマ、ロンドン、ベルリンと区画が分かれています。ロンドンエリアには、赤い電話ボックスやビックベンを模したショーケース。ビートルズなどのロンドンを象徴する風景や人物が映し出されるスクリーンも。

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△そして、モスクワ市内には雰囲気のあるイギリス風パブもたくさんあります。第二次大戦時の宰相ウィンストン・チャーチルの名をとったこちらのチャーチル・パブはお店の前に赤い電話BOXが置かれています。お気に入りのパブを見つけてロンドナー気分でビール片手にサッカー観戦もいいかもしれません。

 

16、ピョートル大帝の友人でブレーンとなったヤコブ・ブルース(Jacob Bruce)とナポレオン戦争でロシアを救ったマイケル・アンドレアス・バークレイ・ディ・トリー( Michael Andreas Barclay de Tolly)

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△スコットランドの家系で、科学や軍事戦略に秀でていたヤコブ・ブルース(Jacob Bruce)は、当時のロシアにおいて最も教養のある人物として政治、軍事、外国あらゆる面でピョートル大帝のブレーンの一人となっていました。天文学や自然科学にも知見が深く、かつてモスクワのランドマークだったスハレフ塔(Сухарева башня)にロシアで初の天文台を作りました。また、博識なブルースの蔵書が並ぶ図書館は、現在のロシア科学アカデミーの図書館の元になっていると言われています。錬金術や魔術の使い手としても知られており、18世紀にスハレフ塔のデザインを刷新してその壁のなかに黒魔術の奥義書を埋め込んだという噂がまことしやかに囁かれました。スターリンの命によりこのスハレフ塔が破壊されてしまいましたが、モスクワ郊外モニノにはかつてのブルースの邸宅が残っているそうです。(写真はWikipediaより)

モスクワ通信『夏の展望テラス! ロシア科学アカデミー22階 Sky Lounge』

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△1812年にフランス帝国のナポレオン1世が大軍を率いてロシアへ侵攻しモスクワへ到達しようとしていた局面で、スコットランドの血を引くロシア軍の総司令官だったマイケル・アンドレアス・バークレイ・ディ・トリー(Michael Barclay de Tolly)は、フランス軍との会戦を避けて退却し、敵軍を疲弊させる戦略をとりました。その後、ロシア軍総司令官はミハイル・クトゥーゾフに代わりますが、この戦法が継承され、結果として勝利に導くきっかけを作った英雄として高く評価されています。サンクトペテルブルクのイサク聖堂では、銅像もみることが出来ます。(写真はWikipediaより)

番外編

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世界中で愛されている『不思議の国のアリス』の著者ルイス・キャロルが、この本を出版した約1年半後の1867年にロシアを旅していたことはほとんど知られていないのではないでしょうか・・・!キャロルが英国を出たのは結果としてこのロシア旅行だけだったそうです。モスクワではロシア伝統のキャベツのスープを飲んだり、ナナカマドのお酒を飲んだり、旅行記の中には気になったロシア語の単語(とても長い単語”защищающихся”など)を書き留めたりもしていました。

 

参考文献

☆The Telegraph 10 places in Moscow that are surprisingly British

☆Russia Beyond The 12 most English places in Moscow


【モスクワ通信】新生ロシア連邦の誕生から30年・・・モスクワの10年をプレイバック!

金曜日, 1月 15th, 2021

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今年2021年のロシア文化フェスティバル IN JAPANでは、1991年新生ロシア連邦の誕生から今日までの30年をテーマにした写真展が開催されます。今回は、このロシア文化フェスティバルblogのモスクワ通信アーカイブ記事を振り返り、また今後予定されているブログ記事の予告もはさみながら、ここ10年のモスクワの変化を追いかけてみたいと思います。

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△まずは、モスクワの新アイコンとなったモスクワシティです。89階360mに位置する天空のアイスクリーム工場&チョコレート工場は出来立てのアイスクリームが食べ放題!ロシアの定番プロムビール味(ミルクともバニラともちょっと違う生クリーム味)のスタカンチク(コップ型のアイス)を味わいながら絶景を楽しんだり、シアターでモスクワの歴史を学んだりすることができます。ロシア版キッザニアとも言えるマステルスラブリ(Мастерславль)、空に手が届きそうなパノラマビューのレストランSixtyでは音楽とともに窓が開くスペシャルタイムがあったり・・・現在も進化を続けています。

モスクワ通信『食べ放題!天空のアイスクリーム工場がある展望台PANORAMA360』

モスクワ通信『職業はシークレットサービス!?キッザニア・モスクワ体験』

 

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△こちらもモスクワ観光の新名所Парк «Зарядье» ザリャージエ公園。2017年9月にホテル・ロシア跡地にオープンしました。モスクワ川にそそり出るパノラマ展望デッキや、宇宙がテーマの旧ソ連&ロシア料理レストラン、ロシア人にも大人気の新感覚4Dモスクワ&ロシア観光飛行アトラクションや氷の洞窟など・・・こちらもつぎつぎに話題のスポットが登場しています。モスクワ中心部では最も新しいコンサート・ホールもあり、ここでは2019年チャイコフスキー国際コンクール受賞者ガラ・コンサートも開催されました。

モスクワ通信『現在進行形のモスクワ観光スポット!ザリャージエ』

 

 

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△自転車愛好家が街に増えたのも大きな変化ではないでしょうか。誰でもレンタルできるシティサイクル人気はもちろん、日本の道路では見かけないような乗り物も!

モスクワ通信『モスクワ散歩の進化系!?街中で人気の乗り物』

 

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△新型コロナウイルスの世界的な感染拡大よりも前から、ロシアではアプリを利用したタクシーやデリバリーが日常化していました。コロナ禍では世界初にして唯一と称するデリバリー スタッフに捧げる感謝の銅像まで登場して話題になりました。

 

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△バスはアプリで位置情報が確認できるようになり、電気バスも増えました!IC交通カードのトロイカがあれば乗り継ぎも楽ちんです。乗用車の路上駐車もアプリで管理されています。(写真の看板の中にご覧いただけるルーブルのマークも新生ロシアになってから普及しました。)絢爛豪華な地下鉄駅巡りは観光名所にもなっていますが、昔からの路線は郊外まで延び、趣向を凝らしたデコレーションの新しい駅もつぎつぎに登場しています。写真は2010年に完成した黄緑ライン(Люблинско-Дмитровская линия)のドストエフスキー駅。文豪ドストエフスキーの家博物館の最寄駅になっており、ホーム全体に数々の作品が大理石のグラデーションで表現されています。地下鉄の駅については今後のブログでまた改めて詳しくご紹介できたらと思っております。

 

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△2009年から日本の新幹線のようにモスクワとサンクトペテルブルクを約3時間半でつなぐ高速鉄道Сапсан(サプサン)をはじめ、2016年開業のМЦК(Московское центральное кольцо モスクワ中央環状線)や2019年開業のМЦД (Московские центральные диаметры)など、新しい路線が増えました!空港直通のアエロエクスプレスも快適です。

モスクワ通信『あなたはどちら?寝台特急レッド・アロー号それとも高速鉄道サプサン?』

 

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△ロシアへの玄関口である国際空港もずいぶんと明るくリニューアルされています。長い長い行列やタクシー乗り場のカオス、無愛想な職員さんの態度など“ソ連的なおもてなし”を味わえるのもあと数年ではないでしょうか・・・!

モスクワ通信『プーシキンがお見送り&お出迎え!シェレメチェヴォ空港』

 

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ソチ冬季五輪、サッカーのワールドカップなど国際的なイベントが開催され、街には英語表記の案内が増えるなど、観光客に優しいロシアに変わりつつあります。雀が丘からモスクワ川上空を通るケーブルカーに、オスタンキノTV塔を眺めながら走るモノレール、モスクワ市内観光バスにモスクワ川の観光クルーズなども人気を集めています。

モスクワ通信『モスクワ川クルーズへご案内!』

モスクワ通信『2階建てバスに乗って観光してみよう!』

 

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△街は美しくデコレーションされ、ロシアの季節を味わうフェスティバルが開催されています。“カワイイ”はすっかりロシア語にも定着したようで、日本のアニメやコスプレ、ポップカルチャーを紹介するフェスティバルも毎年開催されています。日ロ国交回復50周年の2006年には「ロシア文化フェスティバル IN JAPAN」が始まり、それから毎年開催され多くの方に愛され大成功を収めてきたことを受けて、2018年日露交流年には、『ロシアにおける日本年』&『日本におけるロシア年』が史上初めて両国で同時に開催されました。そしてロシア文化フェスティバルは今もさらなる歩みを続けています。

モスクワ通信『新しいモスクワ歳時記!季節を楽しむフェスティバル』

 

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△さらにモスクワではここ十数年の間にお洒落なレストランがつぎつぎにオープン。市民の台所だった昔ながらの市場は充実したフードコートを兼ね備えた食のテーマパークに変身していきました。多くのロシア人が外食を楽しむようになり、ロシアの国産牛の美味しさをアピールするハンバーガーやステーキ店が急増し(写真は金粉とイクラで光るロシアの“皇帝バーガー”)、ロシアの美味しい国産ワインが流通するようになったかと思うと、海のないモスクワで新鮮なシーフードを提供するお店も急増。和食の人気も高く、寿司ブームからはじまって、今ではスーパーではロール寿司づくりの基本的な材料は揃うようになりましたし、日本のコンビニのようなおにぎりが売られ、フードコートで本格的な生のお魚を使ったお寿司が味わえることもあります。そんななか日本のうどんチェーン店も上陸しロシア人にも愛されています。また、日本人料理人が腕を振るうレストランも増え、美味しいラーメンも食べられるようになりました。食に限らず車や化粧品、おむつなど赤ちゃん用品も・・・値段は高くても質の良さで勝負できる“日本ブランド”の人気は絶大です。

モスクワ通信『あなたはどっち派!?昔ながらの市場から食のテーマパークへ』

 

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△最新ファッションや海外ブランドが出店するショッピングモールもずいぶんと増えました。日本のユニクロもモスクワっ子たちの間に浸透しています。ロシアから世界に発信されるブランドも登場し、例えばシベリアのハーブを原料にしたオーガニック化粧品を提供するナチュラシベリカ(NATURA SIBERICA)は、かつて東京の青山にも路面店がありましたが、世界へ展開されています。一方で、お洒落なロシアのショッピングモールのなかにはロシア人自らがソ連時代をテーマにプロデュースする食堂や食料品店もありこちらも人気です。冷戦時代の地下の核シェルターが博物館として公開されたり、ソ連時代のアーケードゲームの博物館などもここでしか味わえないユニークさです。ボルシチに欠かせないビーツや伝統の黒パンも改めて注目され、昔ながらの味を大切にしながら進化形も楽しむことができます。

モスクワ通信『地下核シェルターに潜入!冷戦博物館』

モスクワ通信『Мумий Тролль(ムミー・トローリ)のミュージック・バー』

モスクワ通信『ロシアで味わいたい!ビーツいろいろ』

 

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△紅茶の国だったロシアに、コーヒーチェーンが登場すると、急速にカフェブームが進みました。今では町中に美味しいコーヒーが飲めるカフェがあり、ロシア発祥のコーヒー”ラフ・コーヒー(Раф-кофе)”なるものも。最近では抹茶ラテも人気メニューの仲間入りをしています。

 

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△市民生活のなかでの大きな変化といえば、2017年頃から少しずつ、ゴミの分別も意識されるようになり、街中に分別用のゴミ箱が増えてきました。環境問題に意識の高い層を中心に、地球に優しいエコバックなども流行しています。食品には、添加物ゼロを表記した商品も増えましたし、オーガニック食品を販売するお店やレストランのメニューにベジタリアン向けの料理を示すマークを見つけたりもします。

ここまでモスクワのここ10年の変化のなかで私にとって印象的だった部分をプレイバックしてきましたが、もちろんこれはまだほんの一部です。6月開催の『1991−2021 新生ロシア連邦30周年記念写真展』では、ぜひロシア全体の30年のダイナミックな変化を感じてください!